今回は平成20年度 法規科目 A問題4、保安規程の届出手続の空欄補充問題です。保安規程は「何を書くか」(記載事項)と「いつどうやって出すか」(手続)の2方向から出題されますが、本問は手続のほうです。
覚える形はひとつ。保安を確保するため保安規程を定め、使用の開始前に経済産業大臣に届け出る。変更したときは遅滞なく変更事項を届け出る。手続は認可ではなく届出、タイミングは使用開始前です。
答えは(2):保安・開始前・届け出・遅滞なく
(ア)は「保安」——電気事業法の条文用語は、日常語の「安全」ではなく保安で統一されています。
(イ)(ウ)は「開始前に」「届け出」——動かす前に出す、そして認可ではなく届出です。
(エ)は「遅滞なく」——「30日以内」のような具体的な日数は書かれていません。
平成20年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成20年度 A問題4
次の文章は、「電気事業法」に基づく、自家用電気工作物を設置する場合の保安規程に関する記述である。
自家用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する(ア)を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用の(イ)に、経済産業大臣(ウ)なければならない。
また、保安規程を変更したときは、(エ)、変更した事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成20年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 安全 直後 の認可を受け 30日以内に (2) 保安 開始前 に届け出 遅滞なく (3) 保安 開始前 の認可を受け 遅滞なく (4) 保安 直後 に届け出 30日以内に (5) 安全 直後 に届け出 30日以内に

届出と認可はどう違うのか
| 意味 | 効果 | |
| ★届出 | ★★出せばよい | ★★出した時点で手続は完了 |
| ★認可 | ★★行政の同意が要る | ★★同意がなければ効力が出ない |
保安規程は、事業者が自分で決めて自分で守るルールです——だから行政のお墨付きを得る仕組みにはなっていません。
中身が不適切なら、大臣は変更を命じることができます(法42条3項)——事前に止めるのではなく、後から直させる形です。
この「まず届け出させて、必要なら後から介入する」という設計は、電気事業法のあちこちに出てきます。
なぜ「使用の開始前」なのか
設備を動かし始めてから規程を作ったのでは、保安体制がないまま運転する期間が生まれます。
電気事故は、動かした初日にも起こり得ます——だから最初の1秒から体制が要るのです。
主任技術者の選任も同じ考え方で、使用開始前に済ませます——人と規程がそろって、はじめて電気を入れられる。
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 保安 | ★★保安 | ★安全 | ★★条文用語は保安で一貫している |
| 届け出 | ★★届け出 | ★認可を受け | ★★自分で定めて守るルールなので届出 |
| 遅滞なく | ★★遅滞なく | ★30日以内に | ★★具体的な日数は定められていない |
「遅滞なく」は電気事業法の定番表現
| 場面 | 期限 | 根拠 |
| ★保安規程の変更 | ★★遅滞なく | ★★法42条2項 |
| ★主任技術者の選任・解任 | ★★遅滞なく | ★★法43条2項 |
| ★事故報告 | ★★速報は24時間以内・詳報は30日以内 | ★★報告規則3条 |
事後の届出はおおむね「遅滞なく」です——具体的な日数が出てくるのは、事故報告のような特別な場面だけ。
だから「30日以内」を見たら、まず事故報告を疑いましょう——保安規程や主任技術者の話なら、遅滞なくが正解です。
⏱️ 本番での進め方
① 「安全」を含む肢はまず疑う——条文用語は保安。
② 認可か届出かで肢を切る。保安規程は届出。
③ タイミングは使用の開始前——「直後」は動かしてからになるので誤り。
④ 変更は遅滞なく。日数が書いてある肢は落とす。
出題履歴と関連問題
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成20年度 問4 | ★★手続の4語(本問) |
| ★平成21年度 問3 | ★★記載事項のほう |
| ★令和5年度下期 問1 | ★★記載事項7項目 |
記載事項は平成21年度 A問題3で問われています。「何を書くか」と「いつ出すか」をセットにして覚えると、どちらが来ても対応できます。
保安規程は法規で最頻出のテーマです——記載事項7項目と手続4語だけは、必ず暗記しておきましょう。
使用開始前に済ませることを並べてみる
| いつ | すること | 根拠 |
| ★使用開始前 | ★★保安規程を定めて届出 | ★★法42条1項 |
| ★使用開始前 | ★★主任技術者を選任 | ★★法43条1項 |
| ★工事の前 | ★★工事計画の届出(一定規模以上) | ★★法48条 |
| ★使用の前 | ★★使用前自主検査 | ★★法51条 |
電気を入れる前に、体制と手続がひととおりそろっている必要があります——動かしてから整えるのでは間に合わないからです。
この「開始前」というキーワードは、法規全体を貫いています——迷ったら、動かす前か後かで考えると当たります。
変更命令という後ろ盾がある
届出制だからといって、何を書いても通るわけではありません——大臣は保安規程の変更を命じることができます(法42条3項)。
つまり入口は自由にしておいて、問題があれば後から直させる形です——認可にすると手続が重くなりすぎるので、この設計になっています。
「届出だから行政は関与しない」と考えると誤ります——関与のタイミングが後ろにずれているだけです。
認可・許可・登録・届出を強い順に並べる
| 手続 | 強さ | 法規での例 |
| ★許可 | ★★最も重い | ★★一般送配電事業・主任技術者の許可選任 |
| ★認可 | ★★重い | ★★託送供給等約款・供給約款 |
| ★登録 | ★★中くらい | ★★小売電気事業・電気工事業(一般用も扱う場合) |
| ★届出 | ★★最も軽い | ★★保安規程・主任技術者の選任・工事計画 |
法規の空欄補充では、この4語のどれが入るかが繰り返し問われます——強さの順に並べて覚えておくと迷いません。
保安に関する手続は、ほとんどが届出です——事業者が自ら守る仕組みだからです。
保安規程を守る義務は誰にあるか
法第42条第4項は、設置する者とその従業者に保安規程を守る義務を課しています。
作って届け出て終わりではない、ということです——守られてはじめて意味があるから、わざわざ条文にしてあります。
届出(1項)→変更の届出(2項)→変更命令(3項)→遵守義務(4項)——42条は4項でひとつの流れになっています。
工事計画の届出と混同しない
| 保安規程 | 工事計画 | |
| ★何を出すか | ★★保安の体制を書いた規程 | ★★これから行う工事の内容 |
| ★いつ | ★★使用の開始前 | ★★工事の開始前(30日前まで) |
| ★手続 | ★★届出 | ★★届出 |
どちらも届出ですが、出すタイミングも中身も違います——工事計画は工事の前、保安規程は使用の前です。
工事計画の届出は一定規模以上の設備だけが対象です——需要設備なら受電電圧1万V以上が目安になります。
つまり高圧受電の小さな事業場なら、工事計画の届出は要りません——それでも保安規程と主任技術者は必要です。
どの手続がどこから必要になるか、規模で線引きされている——ここを混ぜないことが法規の得点源になります。
💡 覚え方
保安規程(法42条)=保安を確保するため定め、使用の開始前に経済産業大臣へ届出/変更したときは遅滞なく届出。届出であって認可ではない。主任技術者の選任・解任も遅滞なく届出(法43条2項)。
⚠️ よくある間違い
「認可」としないこと——届出。タイミングを「直後」「30日以内」としないこと——使用の開始前/遅滞なく。条文用語は「安全」ではなく保安。
まとめ
| (ア) | 保安 |
| (イ) | 開始前(使用の) |
| (ウ) | に届け出 |
| (エ) | 遅滞なく |
| 根拠 | 電気事業法 第42条 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・保安規程7項目(電気事業法5):【法規】令和5年度下期 A問題1
・保安規程7項目(電気事業法34):【法規】平成21年度 A問題3

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