今回は平成21年度 法規科目 A問題10、電圧及び周波数の値の空欄補充問題です。法規で最も有名な数字、101±6V/202±20Vがストレートに問われます。
ポイントは2つ。中心値は100V・200Vではなく101V・202V。そして周波数は幅を持たせず「標準周波数に等しい値」に維持するよう努める——ここに「上下0.2Hz」といった許容幅はありません。
平成21年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成21年度 A問題10
次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」の電圧及び周波数の値についての説明である。
1. 電気事業者(卸電気事業者及び特定規模電気事業者を除く。以下同じ。)は、その供給する電気の電圧の値を標準電圧が100Vでは、(ア)を超えない値に維持するように努めなければならない。
2. 電気事業者は、その供給する電気の電圧の値を標準電圧が200Vでは、(イ)を超えない値に維持するように努めなければならない。
3. 電気事業者は、その者が供給する電気の標準周波数(ウ)値に維持するよう努めなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (1) 100Vの上下4V 200Vの上下8V に等しい (2) 100Vの上下4V 200Vの上下12V の上下0.2Hzを超えない (3) 100Vの上下6V 200Vの上下12V に等しい (4) 101Vの上下6V 202Vの上下12V の上下0.2Hzを超えない (5) 101Vの上下6V 202Vの上下20V に等しい

答えは(5):101±6V・202±20V・標準周波数に等しい値
(ア)は「101Vの上下6V」=95〜107V——中心が1V高いのがポイントです。
(イ)は「202Vの上下20V」=182〜222V——100V側より幅がずっと広いのが特徴です。
(ウ)は「に等しい」——周波数には許容幅の規定がありません。
数字を一枚で押さえる
| 標準電圧 | 維持すべき値 | 範囲 |
| ★100V | ★★101Vの上下6V | ★★95〜107V |
| ★200V | ★★202Vの上下20V | ★★182〜222V |
範囲まで言えるようにしておくと、数字が定着します——95〜107と182〜222です。
下限と上限を計算させる形で問われることもあります——その場で引き算できるようにしておきましょう。
なぜ中心が101Vなのか
電柱の変圧器から家までの間で、電圧は下がっていきます——電線に抵抗があるからです。
だから送り出す側は、少し高めに出しておきます——その分を見込んだのが「101V」という中心値です。
100Vちょうどで送ると、末端では100Vを割ってしまいます——理由が分かれば、101という半端な数字も忘れません。
なぜ200V側は幅が広いのか
| 100V系 | 200V系 | |
| ★主な用途 | ★★照明・家電 | ★★動力(電動機など) |
| ★変動への強さ | ★★敏感 | ★★比較的強い |
| ★許容幅 | ★★上下6V(約6%) | ★★上下20V(約10%) |
照明は電圧が変わるとちらつきや明るさの差が出ます——人が気づきやすいのです。
動力用途は多少の変動でも運転を続けられます——だから幅が広く取られていると理解しましょう。
★周波数に許容幅がない意味
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| に等しい | ★★に等しい | ★の上下0.2Hzを超えない | ★★条文に許容幅の数字はない |
| 101Vの上下6V | ★★101Vの上下6V | ★100Vの上下6V | ★★中心値は101V |
| 202Vの上下20V | ★★202Vの上下20V | ★202Vの上下12V | ★★200V側は上下20V |
「標準周波数に等しい値に維持するよう努める」——幅を書かずに、等しくせよと言っています。
実務では上下0.2〜0.3Hz程度で運用されています——しかしそれは法令の数字ではありません。
だから「上下0.2Hzを超えない」は巧妙なダミーです——もっともらしいだけに引っかかります。
周波数がずれると何が起きるか
周波数は、発電量と需要のつり合いを映す指標です——需要が多すぎると下がり、少なすぎると上がります。
大きくずれると、発電機が系統から外れて連鎖的に停電します——だから幅を許さず「等しく」と書いてあるのです。
電圧は場所ごとに違いますが、周波数は系統全体で同じです——この違いが、条文の書き方の差になっています。
50Hzと60Hzの境目
| 地域 | 標準周波数 |
| ★東日本(北海道・東北・東京) | ★★50Hz |
| ★西日本(中部以西) | ★★60Hz |
条文が「その者が供給する電気の標準周波数」と書いているのは、会社ごとに違うからです。
全国一律の数字を書けないので、こういう言い回しになっています——条文の書き方にも理由があるのです。
努力義務であることの意味
条文は「維持するように努めなければならない」で終わっています——結果を保証する義務ではありません。
電圧は需要家側の使い方でも変わるので、完全な保証は不可能です——だから努力義務になっているのです。
この語尾も出題対象になります——「維持しなければならない」と書き換えたら誤りです。
どこで測る値なのか
条文は「その電気を供給する場所において」と定めています——需要家との境目、つまり引込口です。
家の中の配線で下がった分までは、電気事業者の責任ではありません——屋内配線は需要家側の領分だからです。
責任の分界点という考え方は、法規のあちこちに出てきます。
電圧が範囲を外れたら
| 状態 | 起きること |
| ★電圧が低すぎる | ★★照明が暗い・電動機のトルク不足・始動不良 |
| ★電圧が高すぎる | ★★機器の寿命が縮む・絶縁の劣化が早まる |
高すぎても低すぎても困る——だから上下の両方に幅が決められています。
近年は太陽光の逆潮流で、昼間に電圧が上がりやすくなっています——電圧維持は新しい課題にもなっているのです。
自家用でも電圧管理は必要になる
この条文の義務を負うのは電気事業者です——需要家側に課された義務ではありません。
しかし工場やビルでは、構内の電圧管理を主任技術者が行います——タップの切替やコンデンサの投入で調整します。
条文の数字は、その目標値としても使われます——試験の知識が、そのまま実務の基準になるところです。
| 調整手段 | 効果 |
| ★変圧器のタップ切替 | ★★二次側の電圧を段階的に上下できる |
| ★進相コンデンサ | ★★無効電力を減らして電圧降下を抑える |
⏱️ 本番での進め方
① 中心値は101V・202V——100V・200Vを含む肢は即落とす。
② 幅は上下6Vと上下20V。200V側を12Vとしない。
③ 周波数は「に等しい」——数字の入った肢はすべてダミー。
④ 語尾が「努めなければならない」である点も確認する。
出題履歴——数字問題の定番
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成21年度 問10 | ★★電圧と周波数(本問) |
| ★平成26年度 問5 | ★★電圧維持+電圧の種別 |
平成26年度 A問題5では、同じ101±6V/202±20Vに加えて低圧・高圧・特別高圧の区分まで問われました。
本問は周波数まで含む点が違います——2本セットで解くと、電圧まわりの数字が一通りそろいます。
💡 覚え方
100V→101±6V(95〜107V)/200V→202±20V(182〜222V)/周波数→標準周波数に等しい値。いずれも努力義務(「維持するように努めなければならない」)で、測る場所は電気を供給する場所。
⚠️ よくある間違い
中心値を100V・200Vとしない。200V側を±12Vとしない——±20V。周波数に許容幅の条文はないので「上下0.2Hz」は誤り。
まとめ
| (ア) | 101Vの上下6V(95〜107V) |
| (イ) | 202Vの上下20V(182〜222V) |
| (ウ) | に等しい(標準周波数) |
| 義務の性格 | 努力義務 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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