今回は平成21年度 法規科目 A問題2、一般用電気工作物に該当するものを選ぶ問題です。実はこの問題、令和6年度下期 A問題1で選択肢の順番だけ入れ替えて再出題されています。
面白いのは、同じ問題文でも法改正で答えの理由が変わる点。出題当時は小出力発電設備の合計出力が20kW未満であることが要件でした(現行は50kW未満+風力等は小規模事業用に格上げ)。どちらの時代でも正解は太陽電池5kWだけの事務所です。
平成21年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成21年度 A問題2
「電気事業法」に基づく、一般用電気工作物に該当するものは次のうちどれか。なお、(1)〜(5)の電気工作物は、その受電のための電線路以外の電線路により、その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものとする。
(1) 受電電圧6.6kV、受電電力60kWの店舗の電気工作物
(2) 受電電圧200V、受電電力30kWで、別に発電電圧200V、出力15kWの内燃力による非常用予備発電装置を有する病院の電気工作物
(3) 受電電圧6.6kV、受電電力45kWの事務所の電気工作物
(4) 受電電圧200V、受電電力35kWで、別に発電電圧100V、出力5kWの太陽電池発電設備を有する事務所の電気工作物
(5) 受電電圧200V、受電電力30kWで、別に発電電圧100V、出力7kWの太陽電池発電設備と、発電電圧100V、出力15kWの風力発電設備を有する公民館の電気工作物

答えは(4):低圧受電+太陽電池5kWの事務所
判定は3段階です——まず受電電圧、次に個々の出力、最後に合計出力。
| 肢 | 内容 | 判定 |
| ★(1) | ★★6.6kV受電・60kWの店舗 | ★自家用(電圧) |
| ★(2) | ★★200V受電・内燃力15kWの病院 | ★自家用(個々の出力) |
| ★(3) | ★★6.6kV受電・45kWの事務所 | ★自家用(電圧) |
| ★(4) | ★★200V受電・太陽電池5kWの事務所 | ★★一般用=答え |
| ★(5) | ★★200V受電・太陽電池7kW+風力15kWの公民館 | ★自家用(合計出力) |
受電電力の数字(60kW・45kW・35kW)は判断材料になりません——見るのは受電電圧です。
★3段階のふるい
| 段 | 見るところ | 落ちる肢 |
| ★①受電電圧 | ★★600V以下か | ★★(1)(3) |
| ★②個々の出力 | ★★各設備が小規模の範囲内か | ★★(2) |
| ★③合計出力 | ★★同一構内の合計が上限未満か | ★★(5) |
3段とも通らないと一般用にはなれません——1つでも外れれば自家用です。
本問は各段で1つずつ落ちる、きれいな作りになっています——3段すべてを試させる出題です。
★出題当時と現行で理由が変わる
| 出題当時(H21) | 現行 | |
| ★合計出力の上限 | ★20kW未満 | ★★50kW未満 |
| ★風力の扱い | ★20kW未満なら一般用 | ★★出力に関係なく小規模事業用(事業用) |
| ★(5)の判定 | ★7+15=22kW≧20kWで自家用 | ★★風力があるので一般用にならない |
合計の上限は緩和されましたが、風力が事業用へ格上げされました——だから(5)はどちらの時代でも一般用になりません。
理由は変わっても結論は同じ——面白い一問です。
本試験では必ず現行基準で判断してください。
なぜ内燃力15kWで落ちるのか
内燃力の小規模発電設備は10kW未満までです——15kWはこれを超えています。
非常用予備発電装置であっても、扱いは変わりません——ふだん動かさないから、という理屈は通りません。
病院という用途も関係ありません——判定は出力の数字だけで行います。
高圧受電なら受電電力が小さくても自家用
| 肢 | 受電電圧 | 受電電力 | 区分 |
| ★(1) | ★6.6kV | ★★60kW | ★自家用 |
| ★(3) | ★6.6kV | ★★45kW | ★自家用 |
| ★(4) | ★★200V | ★★35kW | ★★一般用 |
(4)は受電電力35kWと、(3)の45kWに近い規模です——それでも電圧が違うので区分が分かれます。
電力の大きさではなく、電圧で切る——この原則を徹底しましょう。
「構内以外と接続されていない」という前提
問題文は「その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていない」と断っています。
これは一般用の3つ目の条件を、あらかじめ満たさせておくためです——判定を電圧と出力に絞るための設定です。
もしこの断りがなければ、構外接続も確かめる必要があります——前提条件は、問題を簡単にするために置かれているのです。
一般用の3条件をもう一度
| 条件 | 内容 |
| ★① | ★★600V以下で受電すること |
| ★② | ★★同一構内に小規模発電設備以外の発電設備がないこと |
| ★③ | ★★受電用以外の電線路で構外と接続していないこと |
本問は①と②だけで決着します——③は前提で消されているからです。
3条件を覚えていれば、どの判定問題にも対応できます。
同型問題が令和6年度下期に出ている
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 低圧受電 | ★★低圧受電 | ★高圧受電 | ★★一般用は600V以下が大前提 |
| 個々の出力が上限内 | ★★個々の出力が上限内 | ★合計だけ見る | ★★個々と合計の両方を確かめる |
| 現行は合計50kW未満 | ★★現行は合計50kW未満 | ★20kW未満 | ★★改正で緩和されている |
令和6年度下期 A問題1が、本問とほぼ同じ形式です——選択肢の順番を入れ替えただけだと言われています。
ただし現行法での判定になるので、風力の扱いが変わります——読み比べると、改正の影響がよく分かります。
実務での判定
需要家が太陽光を設置するとき、区分が変わらないかを確かめます——自家用になれば主任技術者が必要になるからです。
10kW以上の太陽光を載せると、小規模事業用に変わります——届出や自己確認が必要になります。
設置してから気づくと手戻りになります——だから事前の判定が重要なのです。
なぜ合計にも上限があるのか
1台ずつは小さくても、たくさん並べれば大きな発電所になります——個別の上限だけでは、規制が抜けてしまうのです。
だから同一構内の合計にも上限が設けられています——設備を分割して規制を逃れることを防ぐためです。
法令にはこうした「抜け道をふさぐ規定」がよく出てきます——趣旨から考えると、忘れにくくなります。
⏱️ 本番での進め方
① 全部の肢の受電電圧だけを先に拾う——高圧は即落とす。
② 次に個々の発電設備の出力を上限と比べる。
③ 最後に合計出力を確かめる。ここを忘れると(5)を選んでしまう。
④ 受電電力(kW)は判断材料にならない。惑わされない。
非常用予備発電装置でも扱いは同じ
(2)の内燃力15kWは、非常用予備発電装置として設置されたものです——ふだんは動かしません。
それでも小出力発電設備の上限(10kW未満)を超えていれば自家用です——用途や稼働頻度は判定に関係ありません。
判定は出力の数字だけで機械的に行う——ここで情に流されないことです。
出題履歴——判定問題は形を変えて出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問3 | ★★小出力発電設備の数字 |
| ★平成21年度 問2 | ★★一般用に該当するものを選ぶ(本問) |
| ★令和6年度下期 問1 | ★★同型・現行法版 |
平成19年度 A問題3で数字を固めておくと、本問は機械的に解けます。
平成27年度 A問題1の自家用の5類型と裏表の関係です。一般用と自家用は必ずセットで覚えましょう。
💡 覚え方
出題当時(H21)は小出力発電設備の合計出力20kW未満が一般用の要件。現行は小規模発電設備=太陽50・風力20・水力20・内燃10・燃料電池10・スターリング10(kW未満)で合計50kW未満、ただし太陽10kW以上と風力全部は小規模事業用電気工作物(=事業用)。
⚠️ よくある間違い
高圧受電なら受電電力が小さくても自家用。個々の出力が上限内でも合計で外れることがある。数字は改正されているので、本試験では必ず現行基準(50kW未満・小規模事業用)で判断すること。
まとめ
| (1) | 6.6kV受電→自家用 |
| (2) | 内燃力15kW(10kW以上)→自家用 |
| (3) | 6.6kV受電→自家用 |
| (4) | 低圧+太陽電池5kW→一般用 |
| (5) | 合計22kW(当時20kW以上)→自家用 |
| 答え | (4) |
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