今回は平成21年度 法規科目 A問題1、電気事業法の目的(第1条)の空欄補充問題です。法規のすべての条文はこの目的から派生しているので、丸暗記しておく価値があります。
第1条は2階建て。前半が事業規制(電気事業の運営を適正かつ合理的にして、使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図る)、後半が保安規制(電気工作物の工事・維持・運用を規制して、公共の安全を確保し、環境の保全を図る)。
答えは(3):規制・公共・環境
(ア)は「規制」——ルールを定めるだけでなく、命令や検査で守らせるところまで含むので「規定」ではありません。
(イ)は「公共」——守るのは電気ではなく、人と社会です。
(ウ)は「環境」——この一語があるから、ばい煙や騒音の規定が電気事業法に入ってこられるのです。
平成21年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成21年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法」の目的についての記述である。
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を(ア)することによって、(イ)の安全を確保し、及び(ウ)の保全を図ることを目的とする。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (1) 規定 公共 電気工作物 (2) 規制 電気 電気工作物 (3) 規制 公共 環境 (4) 規定 電気 電気工作物 (5) 規定 電気 環境

第1条は二階建てになっている
| 手段 | 目的 | |
| ★前半(事業規制) | ★★事業の運営を適正かつ合理的にする | ★★使用者の利益の保護・事業の健全な発達 |
| ★後半(保安規制) | ★★工作物の工事・維持・運用を規制する | ★★公共の安全の確保・環境の保全 |
電験3種で問われるのは、ほとんどが後半の保安規制です——主任技術者も保安規程も技術基準も、すべて後半から生えています。
前半は電気事業の許可・登録・料金といった話につながります——令和1年度の問1がまさにこの前半の出題でした。
「規制」と「規定」——手段の強さが違う
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 規制 | ★★規制 | ★規定 | ★★定めたうえで守らせるところまで含む |
| 公共の安全 | ★★公共の安全 | ★電気の安全 | ★★守る対象は電気ではなく人と社会 |
| 環境の保全 | ★★環境の保全 | ★電気工作物の保全 | ★★工作物の保全は手段。目的は環境 |
「規定」は、ただ決めるという意味です——決めただけでは、守られなかったときに何もできません。
第40条の適合命令も第107条の立入検査も、この「規制」という一語の中身です——だから規定では弱すぎるのです。
「環境の保全」が入っている意味
電気を作る過程では、ばい煙・排水・騒音・振動が出ます——これらを電気事業法で扱えるのは、目的に環境が書いてあるからです。
法第28条の公害防止の規定は、まさにここから来ています——平成24年度の問3で問われた論点です。
目的規定は飾りではなく、法律が扱える範囲を決める条文です——だから丸暗記する価値があるのです。
⏱️ 本番での進め方
① まず「規制」か「規定」かで肢を絞る。守らせるところまで含むので規制。
② 次に「公共」を選ぶ——「電気の安全」という言い方は条文にない。
③ 最後は「環境」。工作物の保全は手段であって目的ではない。
④ 目的条文は丸ごと暗唱できるようにしておくと、他の条文の判断も速くなる。
出題履歴——法規の一問目に置かれやすい
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成21年度 問1 | ★★規制・公共・環境(本問) |
| ★平成24年度 問3 | ★★目的から派生した公害防止 |
| ★令和1年度 問1 | ★★前半の事業規制のほう |
平成18年度 A問題1(技術基準適合命令)を読むと、第1条の「規制」が第40条でどう具体化するかが分かります。
目的→義務→命令→検査、という流れで条文を並べておくと、法規全体が一枚の地図になります。
第1条から法規全体が枝分かれしている
| 第1条の言葉 | 具体化した条文 |
| ★工事・維持及び運用を規制 | ★★法39条(維持義務)・法40条(適合命令) |
| ★公共の安全を確保 | ★★法42条(保安規程)・法43条(主任技術者) |
| ★環境の保全 | ★★法28条(公害の防止) |
| ★使用者の利益を保護 | ★★小売電気事業の登録・供給能力確保義務 |
目的条文は、法律が扱ってよい範囲を決める条文です——ここに書いていないことは、この法律では扱えません。
だから条文を覚えるときは、第1条のどの言葉から来ているかをたどると整理しやすくなります。
「工事、維持及び運用」は3点セットで出てくる
この3語は、法規のあちこちにそのまま繰り返し登場します——保安規程も主任技術者も、この3つが対象です。
作るとき(工事)・保つとき(維持)・使うとき(運用)——設備の一生を3語で覆っているのです。
空欄補充でこの並びが出たら、順番ごとそのまま書けるようにしておきましょう——「工事、維持及び運用」で一語のかたまりです。
電気工作物とは何を指すのか
| 区分 | 例 |
| ★発電 | ★★発電機・太陽電池・ボイラ |
| ★変電 | ★★変圧器・遮断器・断路器 |
| ★送電・配電 | ★★電線路・鉄塔・電柱 |
| ★需要設備 | ★★受電設備・屋内配線 |
第1条が「電気工作物」と言っているのは、この全部です——作るところから使うところまで、ひとつながりで規制しています。
ただし、船舶・車両・航空機の中の設備などは除かれます——それぞれ別の法律で見ているからです。
目的条文は「手段」と「目的」に分けて読む
| 手段(〜することによって) | 目的(〜を図る) | |
| ★前半 | ★★運営を適正かつ合理的にする | ★★使用者の利益の保護・健全な発達 |
| ★後半 | ★★工事・維持・運用を規制する | ★★公共の安全の確保・環境の保全 |
「〜することによって」の前が手段、後ろが目的です——この形で読むと、長い一文が一気にほどけます。
(ウ)で「電気工作物の保全」を選んでしまうのは、手段を目的の欄に置いてしまうからです——工作物を保つのは手段であって、守りたいのは環境。
法律・省令・解釈の3層構造
| 層 | 名前 | 役割 |
| ★法律 | ★★電気事業法 | ★★目的と大枠を決める |
| ★省令 | ★★電気設備に関する技術基準を定める省令 | ★★守るべき水準を示す |
| ★解釈 | ★★電気設備技術基準の解釈 | ★★具体的な数値と方法を示す |
上ほど抽象的で、下ほど具体的です——第1条はこの3層のいちばん上、出発点にあたります。
法規の試験範囲は、この3層すべてにまたがっています——いま解いている問題がどの層の話かを意識すると、頭が整理されます。
省令は「〜しなければならない」と水準だけを示し、解釈が「何メートル以上」と数値を与えます。
だから解釈は改正されやすく、省令はめったに変わりません——抽象度が高いほど長持ちするのです。
💡 覚え方
法第1条=①電気事業の運営を適正・合理的にし、電気の使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図る ②電気工作物の工事・維持・運用を規制し、公共の安全を確保し、環境の保全を図る。前半が事業規制、後半が保安規制の二階建て。
⚠️ よくある間違い
「規定」ではなく規制(守らせるところまで含む)。「電気の安全」ではなく公共の安全。「電気工作物の保全」ではなく環境の保全——手段と目的を取り違えない。
まとめ
| (ア) | 規制 |
| (イ) | 公共(の安全) |
| (ウ) | 環境(の保全) |
| 前半の目的 | 使用者の利益の保護・電気事業の健全な発達 |
| 答え | (3) |
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