今回は平成18年度 法規科目 A問題1、技術基準適合命令の空欄補充問題です。平成23年度・令和6年度・平成29年度でも繰り返し問われている、法規の超定番条文です。
抜かれるのはいつも同じ3種類の語。技術基準に「適合」/「設置」する者/使用を「制限」。ここに「合格」「管理」「禁止」といったダミーが混ぜられます。
答えは(5):適合・設置・制限
(ア)は「適合」——基準との一致を表す語は、電気事業法では一貫して適合です。
(イ)は「設置」——命令の相手は、維持義務を負っている設置者でなければ筋が通りません。
(ウ)は「制限」——条文に「禁止」という語は出てきません。強い手が一時停止、弱い手が制限です。
平成18年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成18年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法」に基づく、技術基準適合命令に関する記述である。
経済産業大臣は、事業用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に(ア)していないと認めるときは、事業用電気工作物を(イ)する者に対し、その技術基準に(ア)するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を(ウ)することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成18年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) (イ) (ウ) (1) 適合 管理 禁止 (2) 合格 管理 制限 (3) 合格 設置 禁止 (4) 適合 管理 制限 (5) 適合 設置 制限

39条・40条・107条は一本の線でつながっている
| 条文 | 内容 | 役割 |
| ★法39条 | ★★技術基準に適合するように維持せよ | ★★平常時の義務 |
| ★法40条 | ★★適合していなければ大臣が命令できる | ★★破られたときの是正 |
| ★法107条 | ★★大臣は立入検査ができる | ★★破れているかを確かめる手段 |
義務を課す条文・確かめる条文・直させる条文の3点セットです——40条だけを丸暗記すると、なぜ設置者が相手なのかが見えなくなります。
39条で義務を負うのが「設置する者」だから、40条で命令を受けるのも設置する者です——義務の主体と命令の相手は必ず一致します。
「適合」と「合格」は使う場面が違う
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 適合 | ★★適合 | ★合格 | ★★基準と一致しているかどうかを表す |
| 設置する者 | ★★設置する者 | ★管理する者 | ★★義務を負うのは所有・設置している側 |
| 制限 | ★★制限 | ★禁止 | ★★条文にない語。使用を細らせるのが制限 |
「合格」は検査の結果に対して使う語です——合格・不合格は人が判定した結論を指します。
いっぽう「適合」は、基準と設備との関係そのものを表します——誰かが判定しなくても、適合しているかどうかは決まっているのです。
この違いを押さえると、条文を読んだだけでどちらの語が入るか判断できます。
大臣が打てる手は「命令」と「制限」の二階建て
| 手段 | 中身 | 重さ |
| ★修理・改造・移転 | ★★設備そのものを直させる | ★★通常の是正 |
| ★使用の一時停止 | ★★いったん止めさせる | ★★最も強い |
| ★使用の制限 | ★★条件を付けて使わせる | ★★ゆるやかな手 |
前半3つと一時停止は「命じ」、最後の制限は「することができる」と書き分けられています——命令ではなく大臣自身の処分だからです。
危険の度合いに応じて手段を選べるようにしてある、という設計です——いきなり止めるだけでは、社会が回らなくなるから。
実務ではこう現れる
年次点検で絶縁抵抗が基準を割っていた、接地抵抗が規定値を超えていた——こうしたときに動くのが40条です。
実際には、主任技術者が先に見つけて自主的に直します——大臣の命令まで行くのは、報告や検査で発覚した重い案件だけです。
つまり40条は、主任技術者制度が働かなかったときの最後の砦です——だから相手方が設置者になっているのです。
⏱️ 本番での進め方
① 空欄(ア)を見たら、まず「適合」か「合格」かを判断する。基準の話なら適合。
② 命令の相手方は義務を負う者=設置する者。ここで選択肢が半分に減る。
③ 最後は「禁止」を含む肢を捨てる。電気事業法に禁止という手段はない。
④ 3語のうち2語が決まれば、残りは自動的に定まる——全部を吟味しない。
出題履歴——形を変えて何度も出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成18年度 問1 | ★★適合・設置・制限の3語(本問) |
| ★平成23年度 問2 | ★★同じ40条を別の空欄で |
| ★令和6年度上期 問1 | ★★39条の維持義務と合わせて |
条文が短いぶん、抜かれる場所を変えて繰り返されます——3語だけでなく、条文を丸ごと覚えておくのが確実です。
平成21年度 A問題1(法第1条の目的)と合わせて読むと、「規制」という手段が40条で具体化していることが見えてきます。
主語が「経済産業大臣」である意味
電気事業法で命令や許可を出すのは、原則として経済産業大臣です——内閣総理大臣でも都道府県知事でもありません。
電気は全国が一本の系統でつながっています——地域ごとに技術基準が違ったら、電気を融通できなくなるのです。
だから国が一元的に基準を決め、一元的に守らせます——この一貫性が、電気事業法の行政庁が大臣で統一されている理由です。
| 手続 | 相手方 |
| ★技術基準適合命令 | ★★経済産業大臣 |
| ★保安規程の届出 | ★★経済産業大臣 |
| ★主任技術者の選任の届出 | ★★経済産業大臣 |
| ★電気工事業の登録 | ★★経済産業大臣又は都道府県知事(例外) |
例外は電気工事業法の登録だけです——営業所が1つの都道府県に収まるなら知事が窓口になります。
一般用電気工作物には別の条文が用意されている
| 対象 | 命令の条文 | 誰に命じるか |
| ★事業用電気工作物 | ★★法40条 | ★★設置する者 |
| ★一般用電気工作物 | ★★法56条 | ★★所有者又は占有者 |
一般用にも技術基準適合命令はありますが、条文が違います——相手方も「所有者又は占有者」に変わります。
一般家庭には設置者という概念がなじまないからです——誰に命じるかは、その設備を誰が持っているかで決まるのです。
4つの動詞を順に唱えられるようにする
| 順 | 動詞 | 意味 |
| ★① | ★★修理し | ★★壊れたところを直す |
| ★② | ★★改造し | ★★構造そのものを変える |
| ★③ | ★★移転し | ★★場所を移す |
| ★④ | ★★使用を一時停止 | ★★いったん止める |
この4つが「命じ」の対象で、そのあとに「又は使用を制限」が続きます——4+1という構成で覚えましょう。
修理→改造→移転と、だんだん手当てが大きくなっていく順番です——意味のある並びなので、覚えやすくなっています。
「若しくは」と「又は」で階層が分かる
条文では、小さいくくりの選択に「若しくは」、大きいくくりの選択に「又は」を使います。
本条なら、修理・改造・移転・一時停止は「若しくは」でつながれた小さい選択肢です——それらをひとまとめにした「命じる」と「制限する」を分けるのが「又は」。
この使い分けを知っていると、長い条文でも構造が見えます——法規を読む力そのものが上がるので、覚えておく価値があります。
💡 覚え方
法40条=経済産業大臣→設置する者に、修理・改造・移転・使用の一時停止を命じ、又は使用を制限。キーワードは適合・設置・制限。法39条の維持義務、法107条の立入検査とセットで暗記する。
⚠️ よくある間違い
「合格」「管理」「禁止」はすべてダミー——条文に禁止・撤去という語はない。また相手を「所有者」としないこと(それは一般用の法56条)。
まとめ
| (ア) | 適合 |
| (イ) | 設置(する者) |
| (ウ) | 制限 |
| 命令の内容 | 修理・改造・移転・使用の一時停止 |
| 根拠 | 電気事業法 第40条 |
| 答え | (5) |
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