今回は平成23年度 法規科目 A問題2、技術基準適合命令の空欄補充問題です。命令の主体・相手方・中身がすべて空欄になった、条文の総合チェック問題になっています。
法第40条を丸ごと覚えましょう。経済産業大臣が設置する者に対し、修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。「撤去」「変更」「禁止」はすべてダミーです。
平成23年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成23年度 A問題2
次の文章は、「電気事業法」における、技術基準適合命令に関する記述の一部である。
(ア)は、事業用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を(イ)に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を(ウ)し、改造し、若しくは(エ)し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を(オ)することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 経済産業局長 運用する者 変更 撤去 禁止 (2) 経済産業大臣 設置する者 修理 移転 制限 (3) 産業保安監督部長 運用する者 変更 撤去 制限 (4) 経済産業大臣 設置する者 修理 撤去 禁止 (5) 経済産業局長 管理する者 変更 移転 制限

答えは(2):経済産業大臣・設置する者・修理・移転・制限
5つの空欄はすべて、法40条を丸ごと覚えていれば埋まります——部分暗記では対応できない形です。
命じられるのは修理・改造・移転・一時停止の4つ——そこに「使用の制限」が加わって5通りです。
行政機関の名前がダミーに使われている
| 肢の語 | 実在するか | この条文の主体か |
| ★経済産業大臣 | ★★する | ★★これが正解 |
| ★経済産業局長 | ★★する | ★違う |
| ★産業保安監督部長 | ★★する | ★違う |
ダミーに使われている役職は、どれも実在します——だから「聞いたことがある」だけでは選べません。
権限の一部は実際に地方の機関へ委任されていますが、条文の主語はあくまで経済産業大臣です。
条文に書いてあるとおりの語を選ぶ——実務の運用と条文の文言を混ぜないのが法規のコツです。
「撤去」が入らない理由
この条文の目的は、技術基準に適合させることです——設備をなくさせることではありません。
だから命じられるのは、直す(修理)・造り替える(改造)・動かす(移転)の3つです。
撤去してしまえば適合も何もありません——目的から考えれば、ダミーだと分かるのです。
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 修理 | ★★修理 | ★変更 | ★★漠然とした語は使わず具体的に列挙する |
| 移転 | ★★移転 | ★撤去 | ★★適合させるのが目的。なくさせる規定ではない |
| 制限 | ★★制限 | ★禁止 | ★★条文に禁止という語はない |
命令の相手方は義務の主体と一致する
| 条文 | 誰に | 何を |
| ★法39条 | ★★設置する者 | ★★技術基準に適合するように維持する義務 |
| ★法40条 | ★★設置する者 | ★★適合させるための命令 |
39条で義務を負う人と、40条で命令を受ける人は同じです——だから「運用する者」「管理する者」ではありえません。
義務を負っていない人に命令しても、法律の筋が通りません——この対応を知っていれば、(イ)は考えずに決まります。
5空欄は2つ決めれば終わる
| 使う空欄 | 落ちる肢 | 残り |
| ★(イ)=設置する者 | ★★(1)(3)(5)が落ちる | ★★(2)(4) |
| ★(エ)=移転 | ★★(4)が落ちる | ★★(2)=答え |
組合せ問題では、自信のある空欄から使うのが鉄則です——5つ全部を判断する必要はありません。
本問なら(イ)と(エ)の2つだけで決着します——30秒で終わる問題です。
条文の列挙は「若しくは」で階層を作る
修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限する——長い一文ですが構造は単純です。
「若しくは」でつながれた4つがひとかたまりで、それを「命じ」が受けています。
そのかたまりと「使用を制限する」を分けているのが「又は」です——大きい選択が又は、小さい選択が若しくはと覚えましょう。
事業用電気工作物とは何を指すか
| 区分 | 中身 | 40条の対象 |
| ★電気事業用 | ★★発電所・変電所・送配電網 | ★★対象 |
| ★自家用 | ★★工場・ビル・病院の受電設備 | ★★対象 |
| ★一般用 | ★★一般家庭・小規模店舗 | ★対象外(法56条が別にある) |
40条が向いているのは事業用電気工作物です——電気事業用と自家用の両方が入ります。
一般用には、相手方を所有者又は占有者とする別の条文があります——設備の種類で条文が分かれているのです。
「経済産業省令で定める技術基準」とは何か
ここでいう技術基準は、電気設備に関する技術基準を定める省令です——いわゆる電技と呼ばれるものです。
省令は「〜しなければならない」と水準だけを示します——何メートル以上といった具体的な数値は、その下の解釈にあります。
40条は、この省令に適合していないときに動きます——法律・省令・解釈の3層がつながっているのが見えるところです。
命令に従わなかったらどうなるか
命令に従わない場合には、罰則が用意されています——命令が実効性を持つのは、これがあるからです。
さらに大臣は、使用の一時停止を命じ、使用を制限することもできます——設備を動かせなくするという、事実上いちばん重い手です。
ただし実務では、命令まで行く前に主任技術者が直します——40条は、その仕組みが働かなかったときの備えです。
⏱️ 本番での進め方
① (イ)で「設置する者」を選ぶ——ここで肢が2つに減る。
② 「撤去」「禁止」を含む肢を落とす——条文にない語。
③ 行政機関名は経済産業大臣で固定。局長・監督部長はダミー。
④ 5空欄でも2つの判断で決着する。全部読まない。
40条を一息で言えるようにする
「大臣は、設置者に、修理・改造・移転・一時停止を命じ、又は使用を制限できる」——これを一息で言えれば合格です。
空欄がどこに来ても、この一文から切り出すだけで済みます——語を個別に覚えるより、文で覚えるほうが速いのです。
法規の頻出条文は、数えるほどしかありません——その数本を丸暗記するのが、最も確実な戦略です。
出題履歴——法規で最も繰り返される条文
| 年度 | 抜かれた場所 |
| ★平成18年度 問1 | ★★適合・設置・制限の3空欄 |
| ★平成23年度 問2 | ★★主体・相手方・中身の5空欄(本問) |
| ★平成29年度 問1 | ★★39条の維持義務と合わせて |
| ★令和6年度上期 問1 | ★★平成29年度と同一問題 |
平成18年度 A問題1は同じ40条を3空欄で問うています。本問の5空欄版を固めておけば、そちらは自動的に解けます。
平成29年度 A問題1では、39条の維持義務と技術基準の中身まで含めて問われました。39条と40条はセットで覚えるのが正解です。
💡 覚え方
法40条=経済産業大臣→設置する者に、修理・改造・移転・使用の一時停止を命じ、又は使用を制限。法39条の維持義務とセット。撤去・変更・禁止という語は条文にない。
⚠️ よくある間違い
相手方を「運用する者」「管理する者」としない——設置する者。行政機関を「経済産業局長」「産業保安監督部長」としない——実在するがこの条文の主語ではない。
まとめ
| (ア) | 経済産業大臣 |
| (イ) | 設置する者 |
| (ウ) | 修理 |
| (エ) | 移転 |
| (オ) | 制限 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・技術基準への適合(電気事業法4):【法規】令和6年度上期 A問題1
・技術基準への適合(電気事業法17):【法規】平成29年度 A問題1

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