今回は平成22年度 法規科目 A問題1、太陽電池発電所の設置に必要な手続を出力別に問う空欄補充問題です。出題当時の数字を使う問題ですが、「規模が大きくなるほど手続が積み上がる」という構造は今も同じです。
階段は3段。①自家用になれば保安規程の届出 ②一定出力以上で工事計画の届出 ③さらに大きくなると外部委託ができず主任技術者の選任が必須。この積み上げの順番を押さえれば、数字が改正されても対応できます。
平成22年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成22年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づく、太陽電池発電所の設置についての記述である。
a. 出力20kWの太陽電池発電所を設置しようとする者は、(ア)を経済産業大臣に届け出なければならない。
b. 出力500kW以上の太陽電池発電所を設置しようとする者は、(イ)を経済産業大臣に届け出なければならない。
c. 出力1000kW以上の太陽電池発電所を設置しようとする者は、(ウ)ならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (1) 工事の計画 保安規程 使用前自主検査を行わなければ (2) 保安規程 工事の計画 工事計画の認可を受けなければ (3) 保安規程 工事の計画 電気主任技術者を選任しなければ (4) 工事の計画 保安規程 電気主任技術者を選任しなければ (5) 工事の計画 保安規程 工事計画の認可を受けなければ

答えは(3):保安規程・工事の計画・電気主任技術者を選任しなければ
(ア)は「保安規程」——自家用になった時点で真っ先に必要になる手続です。
(イ)は「工事の計画」——ここは「届出」であって「認可」ではありません。
(ウ)は「電気主任技術者を選任しなければ」——外部委託の上限を超えると、選任が必須になります。
★手続は3段の階段になっている
| 段 | きっかけ | 必要になる手続 |
| ★① | ★★自家用電気工作物になる | ★★保安規程の届出(使用開始前) |
| ★② | ★★一定出力以上になる | ★★工事計画の届出+使用前自主検査 |
| ★③ | ★★外部委託の上限を超える | ★★主任技術者の選任が必須 |
下の段の手続がなくなるわけではありません——上に積み上がっていくのです。
③の段階では、①も②も当然に必要です——だから「積み上がる」という言い方をします。
★出題当時と現行の数字を並べる
| 手続 | 出題当時(H22) | 現行 |
| ★工事計画の届出 | ★500kW以上 | ★★2000kW以上 |
| ★外部委託の上限 | ★1000kW未満 | ★★5000kW未満 |
| ★使用前自己確認 | ★制度なし | ★★500kW以上2000kW未満 |
太陽光の普及に合わせて、数字は繰り返し緩和されてきました——手続が重すぎると、設置が進まないからです。
本試験では必ず現行の数字で判断してください——古い過去問の数字をそのまま覚えると事故になります。
それでも本問を解く価値はあります——数字が変わっても、階段の構造は変わらないからです。
工事計画は「届出」であって「認可」ではない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 届出 | ★★届出 | ★認可 | ★★出せば工事にかかれる。同意を待つ必要はない |
| 保安規程 | ★★保安規程 | ★工事計画 | ★★自家用になった時点で必要なのは保安規程 |
| 選任 | ★★選任 | ★外部委託 | ★★上限を超えると委託できず選任が必須になる |
選択肢(2)(5)の「工事計画の認可を受けなければ」は誤りです——電気事業法の工事計画は一貫して届出制です。
届出でも、大臣は内容に問題があれば変更や中止を命じられます——行政が関与する余地は残されているのです。
なぜ保安規程が最初に来るのか
保安規程は、設備の規模に関係なく自家用なら必ず要ります——いちばん基本の手続だからです。
誰がどう保安を守るかを決めないまま、設備を動かすことはできません——体制が先、運転が後という順番です。
だから出力20kWという小さな発電所でも、保安規程は必要になります。
使用前自主検査と使用前自己確認
| 制度 | 対象 | 手続 |
| ★使用前自主検査 | ★★工事計画の届出をした設備(太陽光2000kW以上) | ★★検査+安全管理審査 |
| ★使用前自己確認 | ★★太陽光500kW以上2000kW未満など | ★★確認結果の届出のみ |
名前が似ていますが、対象も重さも違います——「自主検査」と「自己確認」を混同しないようにしましょう。
自己確認は、工事計画の対象にならない中規模設備の受け皿です——まったくの野放しにしないための制度です。
太陽光だけ数字が特別な理由
太陽電池には回転部も燃焼もなく、事故の性質が他の発電と違います——だから基準の数字も別に定められています。
いっぽうで、パネルの飛散や感電といった固有の危険もあります——近年は規制が強まる方向にも動いています。
緩和と強化が同時に進んでいる分野です——だから改正が多いのです。
発電所と需要設備で基準が違う
| 区分 | 工事計画の入口 |
| ★需要設備 | ★★受電電圧1万V以上 |
| ★太陽電池発電所 | ★★出力2000kW以上 |
| ★風力発電所 | ★★出力500kW以上 |
需要設備は電圧、発電所は出力で切ります——物差しそのものが違うのです。
電気を受ける側か、送り出す側かで危険の性質が違うからです——理由から考えれば、混同しません。
実務では何をするのか
太陽光発電所を作るときは、まず出力を確定させます——その数字で必要な手続がすべて決まるからです。
次に保安規程を作り、主任技術者を決め、必要なら工事計画を届け出ます——本問の階段をそのままなぞることになります。
試験の知識が、そのまま段取りの手順書になっています。
空欄の順番にも意味がある
a→b→cと出力が上がる順に並んでいます——問題文そのものが階段になっているのです。
だから(ア)にいちばん基本の手続、(ウ)にいちばん重い手続が入ります——並びから答えを推測することもできます。
条文を忘れても、構造から絞り込めるのが本問の親切なところです。
選択肢の切り方
| 使う空欄 | 落ちる肢 |
| ★(ア)=保安規程 | ★★(1)(4)(5)が落ちる |
| ★(ウ)=主任技術者の選任 | ★★(2)が落ちる |
(ア)で肢が2つに減り、(ウ)で決着します——実質2回の判断で済みます。
「認可」を含む肢を先に捨てる、という切り方でも同じ結果になります。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「保安規程」——自家用になれば規模を問わず必要。
② 「工事計画の認可」を含む肢は即落とす。届出制。
③ (ウ)は外部委託の上限超え→選任必須という流れ。
④ 数字は改正されている——本試験では現行値で判断する。
出題履歴——太陽光の手続は繰り返し出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成22年度 問1 | ★★出力別の手続の階段(本問) |
| ★平成29年度 問10 | ★★再エネ建設手続の正誤 |
| ★平成30年度 問2 | ★★自己確認と工事計画の数字 |
平成29年度 A問題10では、同じ手続が正誤問題の形で問われました。階段の構造を知っていれば、どちらの形式でも解けます。
再エネの拡大に伴って、この分野の出題はふえています——数字の改正にも気を配りましょう。
💡 覚え方
太陽電池発電所の手続の積み上げ=①自家用→保安規程の届出(使用開始前)②一定出力以上→工事計画の届出(現行2000kW以上)③外部委託の上限超→主任技術者の選任が必須。工事計画は常に届出で、認可ではない。
⚠️ よくある間違い
工事計画を「認可」としない——届出。出題当時の数字(500kW/1000kW)は現行と異なる(工事計画届出は2000kW以上、外部委託は5000kW未満)が、手続の積み上がり方は不変。
まとめ
| (ア) | 保安規程(法42条・使用開始前に届出) |
| (イ) | 工事の計画(法48条・届出) |
| (ウ) | 電気主任技術者を選任しなければ |
| 現行の工事計画届出 | 太陽光は2000kW以上 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・太陽電池発電所等の設置(電気事業法16):【法規】平成30年度 A問題2
・再エネ発電所の建設手続(電気事業法18):【法規】平成29年度 A問題10

コメント