電気事業法18【電験3種 法規】小出力発電設備を足しても一般用のまま!再エネ建設の手続 平成29年度 A問題10 完全解説

電験3種 法規科目 電気事業法 平成29年度 A問題10 小出力を足しても一般用のまま!境目を確認

今回は平成29年度 法規科目 A問題10再生可能エネルギー発電所を計画・建設する際の手続を4つの記述で問う問題です。太陽光・風力・水力・バイオマスが一度に登場します。

キモはc。一般用電気工作物の構内に小出力発電設備(水力なら20kW未満)を足しても、一般用電気工作物のままで自家用にはなりません。ここさえ判定できれば選択肢は絞れます。

目次

平成29年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成29年度 A問題10 問題文
平成29年度 法規科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10

電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成29年度 A問題10

 次のa、b、c及びdの文章は、再生可能エネルギー発電所等を計画し、建設する際に、公共の安全を確保し、環境の保全を図ることなどについての記述である。これらの文章の内容について、「電気事業法」に基づき、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a 太陽電池発電所を建設する場合、その出力規模によって設置者は工事計画の届出を行い、使用前自主検査を行うとともに、当該自主検査の実施に係る主務大臣が行う審査を受けなければならない。

b 風力発電所を建設する場合、その出力規模によって設置者は環境影響評価を行う必要がある。

c 小出力発電設備を有さない一般用電気工作物の設置者が、その構内に小出力発電設備となる水力発電設備を設置し、これを一般用電気工作物の電線路と電気的に接続して使用する場合、これらの電気工作物は自家用電気工作物となる。

d 66000Vの送電線路と連系するバイオマス発電所を建設する場合、電気主任技術者を選任しなければならない。

abcd
(1)不適切適切適切適切
(2)適切不適切適切不適切
(3)適切適切不適切不適切
(4)適切適切不適切適切
(5)不適切不適切適切不適切
答えa適切・b適切・c不適切・d適切 = (4)

答えは(4):a適切・b適切・c不適切・d適切

決め手はcです——小出力発電設備を構内に足しても、一般用電気工作物のままです。

記述内容判定
★a★★太陽光は出力規模により工事計画届出+自主検査+審査★★適切
★b★★風力は出力規模により環境影響評価が必要★★適切
★c★★一般用に小出力の水力を足すと自家用になる★不適切
★d★★66000V連系のバイオマス発電所は主任技術者が必要★★適切

cさえ判定できれば、選択肢は一気に絞れます

★小出力を足しても一般用のまま

一般用電気工作物の定義は「小規模発電設備以外の発電設備がないこと」です——小規模なら、あっても構わないのです。

だから水力20kW未満を足しても、区分は変わりません——「発電設備を付けたら自家用」は思い込みです。

自家用になるのは、上限を超える出力か、高圧受電の場合です

構内の状況区分
★低圧受電のみ★★一般用
★低圧受電+水力15kW★★一般用(小規模の範囲内)
★低圧受電+水力25kW★自家用(20kW以上)
★高圧受電★自家用

aの手続は3段でつながっている

すること根拠
★①★★工事計画の届出★★法48条
★②★★使用前自主検査★★法51条1項
★③★★安全管理審査(主務大臣)★★法51条3項

①をした設備には②が、②をした設備には③が続きます——ひとつながりの制度です。

だからaは「その出力規模によって」と条件づけたうえで、3つを並べています——条文どおりで適切です。

bの環境影響評価とは

大規模な開発が環境に与える影響を、事前に調査・予測・評価する制度です——いわゆるアセスメントです。

風力発電所は、騒音や景観、バードストライクが問題になります——だから一定規模以上で対象になります。

根拠は環境影響評価法で、電気事業法ではありません——それでも「電気事業法に基づき」適切と判断できるのは、記述が制度の存在を述べているだけだからです。

dの66000V連系という条件

連系電圧区分主任技術者
★低圧(600V以下)★★一般用になりうる★★不要の場合あり
★6600V★★自家用★★必要(外部委託可)
★66000V★★自家用★★必要(外部委託不可)

66000Vは特別高圧なので、外部委託承認の対象外です——必ず主任技術者を選任します

「特別高圧の設備で主任技術者が不要」ということはありません——dは当然に適切です。

4つの記述が扱う制度

記述制度根拠法
★a★★工事計画・検査★★電気事業法
★b★★環境影響評価★★環境影響評価法
★c★★電気工作物の区分★★電気事業法
★d★★主任技術者★★電気事業法

再エネ発電所を建てるときに関わる制度が、まとめて登場します——実務の見取り図としても使える問題です。

電気事業法だけでは完結しない、という点も押さえておきましょう

「公共の安全を確保し、環境の保全を図る」

問題文の冒頭にこの言葉が置かれています——法第1条の目的そのものです。

4つの記述は、どれもこの目的から派生した制度です——だから1問にまとめられるのです。

目的規定を起点に整理すると、バラバラに見える制度がつながります

cの誤りは「発想」の誤り

条文の言葉ダミー語違い
小規模なら一般用のまま★★小規模なら一般用のまま★発電設備を付けたら自家用★★定義は「小規模以外」がないこと
工事計画は届出★★工事計画は届出★工事計画は認可★★電気事業法は一貫して届出制
特別高圧は選任必須★★特別高圧は選任必須★委託で済ませられる★★外部委託は7000V以下

cは条文の数字ではなく、区分の考え方そのものを問うています——暗記ではなく理解が試されるところです。

一般用の定義を正確に覚えていれば、迷わず不適切と判断できます

現行制度での注意

本問は平成29年度なので、小規模事業用電気工作物の区分がありません——令和5年3月からの新しい制度です。

現行では、太陽光10kW以上と風力すべてが小規模事業用になります——一般用のままではいられません

ただしcは水力なので、現行でも一般用のままです——結論は変わりません

再エネ発電所を建てるまでの流れ

すること
★①★★出力を決め、区分(一般用か事業用か)を判定する
★②★★規模により環境影響評価を行う
★③★★保安規程の届出・主任技術者の選任
★④★★規模により工事計画の届出
★⑤★★工事後に使用前自主検査・安全管理審査

すべての出発点は、出力と連系電圧を決めることです——そこで区分が決まり、必要な手続がすべて決まります

本問の4記述は、この流れのそれぞれの段階を指しています——1枚の流れとして読むと、全部つながります

⏱️ 本番での進め方
① まずcを見る——区分の考え方を問う記述は決め手になりやすい。
「小規模以外の発電設備がないこと」が一般用の条件。足しても変わらない。
特別高圧連系で主任技術者が不要になることはない。dは当然適切。
④ 工事計画→自主検査→安全管理審査はひとつながり。aも適切。

環境影響評価は電気事業法の外

制度根拠法
★工事計画・自主検査★★電気事業法
★主任技術者★★電気事業法
★環境影響評価★★環境影響評価法

bだけが電気事業法以外の制度です——それでも発電所を建てるには避けて通れません

法規の学習では、隣接する法律にも目を配る必要があります

出題履歴——再エネの手続は頻出化している

年度問われ方
★平成22年度 問1★★太陽光の手続の階段
★平成29年度 問10★★再エネ建設手続の正誤(本問)
★平成30年度 問2★★自己確認と工事計画の数字

平成22年度 A問題1は同じ手続を空欄補充で問うています。形式が違うだけで、問われている知識は同じです。

平成19年度 A問題3で小出力発電設備の数字を固めておくと、cの判定が速くなります。

💡 覚え方
小出力(小規模)発電設備を構内に足しても一般用電気工作物のまま。自家用になるのは上限超えの出力か高圧受電。大規模発電所は工事計画の届出→使用前自主検査→安全管理審査。風力は環境影響評価の対象事業。高圧・特別高圧連系の発電所は主任技術者の選任が必要。

⚠️ よくある間違い
「発電設備を付けたら自家用になる」と早合点しない——小出力なら一般用のまま。工事計画は届出(認可ではない)。66kV連系のような特別高圧設備で主任技術者が不要になることはない

まとめ

a適切(工事計画届出+自主検査+安全管理審査)
b適切(風力は環境影響評価の対象)
c不適切(小出力なら一般用のまま)
d適切(66kV連系→主任技術者の選任)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・太陽電池発電所等の設置(電気事業法16):【法規】平成30年度 A問題2
・小規模発電設備(電気事業法40):【法規】平成19年度 A問題3

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