今回は平成27年度 法規科目 A問題1、自家用電気工作物に該当するものを条文の言葉で確認する空欄補充問題です。定義そのものが問われる、法規の土台となる論点です。
自家用の5類型は①小出力(小規模)以外の発電設備と同一構内 ②600Vを超える電圧で受電 ③構外の電気工作物と受電以外の電線路で接続 ④火薬類製造事業場 ⑤石炭坑。特に④⑤は電圧に関係なく自家用になる特殊ケースです。
平成27年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成27年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法」に規定される自家用電気工作物に関する説明である。
自家用電気工作物とは、電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物であって、次のものが該当する。
a. (ア)以外の発電用の電気工作物と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するもの
b. 他の者から(イ)電圧で受電するもの
c. 構内以外の場所(以下「構外」という。)にわたる電線路を有するものであって、受電するための電線路以外の電線路により(ウ)の電気工作物と電気的に接続されているもの
d. 火薬類取締法に規定される火薬類(煙火を除く。)を製造する事業場に設置するもの
e. 鉱山保安法施行規則が適用される石炭坑に設置するもの
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 小出力発電設備 600Vを超え7000V未満の 需要場所 (2) 再生可能エネルギー発電設備 600Vを超える 構内 (3) 小出力発電設備 600V以上7000V以下の 構内 (4) 再生可能エネルギー発電設備 600V以上の 構外 (5) 小出力発電設備 600Vを超える 構外

答えは(5):小出力発電設備・600Vを超える・構外
(ア)は「小出力発電設備」——「再生可能エネルギー発電設備」という区分は電気事業法にありません。
(イ)は「600Vを超える」——600Vちょうどは低圧なので、「600V以上」では誤りです。
(ウ)は「構外」——問題文が「構内以外の場所(以下「構外」という。)」と定義しています。
自家用の5類型
| 類型 | 中身 | ポイント |
| ★a | ★★小規模以外の発電設備と同一構内 | ★★出力で切る |
| ★b | ★★600Vを超える電圧で受電 | ★★上限はない |
| ★c | ★★構外の電気工作物と接続 | ★★受電用の電線路は除く |
| ★d | ★★火薬類製造事業場 | ★★電圧に関係なく自家用 |
| ★e | ★★石炭坑 | ★★電圧に関係なく自家用 |
dとeが特殊です——100Vしか使っていなくても自家用になります。
爆発や坑内火災という、電気以外の危険が大きい場所だからです——だから特別に格上げしているのです。
★「600V以上」と「600Vを超える」の違い
| 受電電圧 | 区分 | 自家用か |
| ★100V・200V | ★★低圧 | ★★一般用になりうる |
| ★600Vちょうど | ★★低圧 | ★★一般用になりうる |
| ★6600V | ★★高圧 | ★★自家用 |
| ★22000V | ★★特別高圧 | ★★自家用 |
低圧の定義は交流600V以下です——600Vちょうどは低圧に入ります。
だから条文は「600Vを超える」と書いています——「以上」にすると600Vが自家用になってしまうのです。
1文字の違いが意味を変える——法規ではこの手のひっかけが定番です。
上限が付かないことに注意
選択肢には「600Vを超え7000V未満」という肢もあります——もっともらしく見えますが誤りです。
7000Vを超える特別高圧で受電しても、やはり自家用です——上限を設ける理由がありません。
電気事業用でも一般用でもないものが自家用——残り全部を受け止める区分だからです。
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 小出力発電設備 | ★★小出力発電設備 | ★再生可能エネルギー発電設備 | ★★法は出力で切る |
| 600Vを超える | ★★600Vを超える | ★600V以上 | ★★600Vちょうどは低圧 |
| 構外 | ★★構外 | ★構内 | ★★一般用の定義の裏返し |
一般用との対応関係
| 条件 | 一般用 | 自家用 |
| ★受電電圧 | ★★600V以下 | ★★600Vを超える |
| ★発電設備 | ★★小規模のみ | ★★小規模以外がある |
| ★構外接続 | ★★ない | ★★ある |
3つの条件が、そのまま裏返しになっています——片方を覚えれば、もう片方も分かります。
だから一般用と自家用は、必ずセットで覚えましょう——別々に覚えると2倍の労力がかかります。
なぜ構外接続で自家用になるのか
構外へ電線を延ばすと、他人の土地の上を通ります——公衆に危険が及ぶ範囲が広がるのです。
また、他の需要家とつながれば事故が波及します——もはや自分の敷地の中だけの話ではありません。
だから主任技術者を置かせる自家用に格上げされます——危険の広がりに応じて規制が重くなるという一貫した考え方です。
dとeはなぜ特別なのか
| 場所 | 電気以外の危険 |
| ★火薬類製造事業場 | ★★わずかな火花が爆発を招く |
| ★石炭坑 | ★★可燃性ガスと粉じんが充満しうる |
どちらも、電気の火花が引き金になって大事故につながる場所です——電圧の高さとは無関係に危険なのです。
だから100Vの設備でも自家用として主任技術者を置かせます——危険の性質で判断している例外です。
煙火(花火)が除かれている点も、条文どおり押さえておきましょう。
3つの区分の全体像
| 区分 | 誰のものか | 主任技術者 |
| ★電気事業用 | ★★電力会社など | ★★必要 |
| ★自家用 | ★★工場・ビル・病院 | ★★必要 |
| ★一般用 | ★★一般家庭・小規模店舗 | ★★不要 |
自家用は「電気事業用でも一般用でもないもの」と定義されます——引き算で決まる区分なのです。
だから条文も「〜以外の電気工作物であって」で始まります——定義の形そのものが、位置づけを表しています。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「小出力発電設備」——法は出力で切る。再エネという区分はない。
② (イ)は「600Vを超える」。「以上」と上限付きの肢はどちらも落とす。
③ (ウ)は問題文が定義した「構外」——本文中に答えがある。
④ 一般用の定義の裏返しと考えれば、暗記量は半分で済む。
区分が変わると何が変わるのか
| 区分 | 主任技術者 | 保安規程 | 工事計画 |
| ★自家用(1万V以上) | ★★必要 | ★★必要 | ★★必要 |
| ★自家用(6600V) | ★★必要 | ★★必要 | ★不要 |
| ★一般用 | ★不要 | ★不要 | ★不要 |
自家用になった瞬間に、主任技術者と保安規程が必要になります——負担が大きく変わるのです。
だから定義の1文字が、実務では大きな意味を持ちます——「600V以上」か「600Vを超える」かで、対象が変わってしまうのです。
定義を押さえることは、法規全体の前提を押さえることです——遠回りに見えて、いちばんの近道になります。
出題履歴——定義は繰り返し問われる
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成27年度 問1 | ★★自家用の5類型(本問) |
| ★平成30年度 問1 | ★★自家用の定義 |
| ★令和6年度下期 問1 | ★★一般用に該当するかを判定 |
平成19年度 A問題3(小出力発電設備)が、本問の(ア)に出てくる用語の中身です。数字を押さえておかないと、判定問題では手が止まります。
定義の条文は、他の問題を解く前提になります——最初に固めておく価値があります。
💡 覚え方
自家用電気工作物の5類型=①小出力(小規模)以外の発電設備と同一構内 ②600Vを超える受電 ③構外の電気工作物と受電用以外の電線路で接続 ④火薬類製造事業場 ⑤石炭坑。④⑤は電圧に関係なく自家用。
⚠️ よくある間違い
「600V以上」ではなく600Vを超える(600Vちょうどは低圧)。上限(7000V未満)は付かない。(ウ)は「構内」ではなく構外——一般用の定義の裏返しであることを意識する。
まとめ
| (ア) | 小出力発電設備(以外) |
| (イ) | 600Vを超える(電圧で受電) |
| (ウ) | 構外(の電気工作物と接続) |
| 特殊類型 | 火薬類製造事業場・石炭坑は電圧無関係 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・自家用電気工作物の定義(電気事業法15):【法規】平成30年度 A問題1
・一般用電気工作物の該当(電気事業法3):【法規】令和6年度下期 A問題1

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