今回は平成26年度 法規科目 A問題1、送電線路と配電線路の定義の空欄補充問題です。用語の定義は地味ですが、他の条文を読むときの土台になります。
境目は需要設備。送電線路=発電所・変電所どうしを結ぶ、配電線路=発電所・変電所・送電線路から需要設備まで(又は需要設備どうし)。どちらも附属するのは開閉所その他の電気工作物です。
平成26年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成26年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法施行規則」における送電線路及び配電線路の定義である。
a.「送電線路」とは、発電所相互間、変電所相互間又は発電所と(ア)との間の(イ)(専ら通信の用に供するものを除く。以下同じ。)及びこれに附属する(ウ)その他の電気工作物をいう。
b.「配電線路」とは、発電所、変電所若しくは送電線路と(エ)との間又は(エ)相互間の(イ)及びこれに附属する(ウ)その他の電気工作物をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 変電所 電線 開閉所 電気使用場所 (2) 開閉所 電線路 支持物 電気使用場所 (3) 変電所 電線 支持物 開閉所 (4) 開閉所 電線 支持物 需要設備 (5) 変電所 電線路 開閉所 需要設備

答えは(5):変電所・電線路・開閉所・需要設備
(ア)は「変電所」——送電線路がつなぐのは発電所と変電所という2種類の施設です。
(イ)は「電線路」・(ウ)は「開閉所」——本体は電線路、附属するのが開閉所その他です。
(エ)は「需要設備」——配電線路の終端はお客さまの設備です。
「電線」と「電線路」は別のもの
| 語 | 指すもの |
| ★電線 | ★★導体そのもの。銅やアルミの線 |
| ★電線路 | ★★電線+支持物+がいしなどをまとめた設備全体 |
| ★送電線路 | ★★電線路+附属する開閉所その他の電気工作物 |
電線だけでは電気は送れません——鉄塔やがいしがあって、はじめて線路になるのです。
だから定義に使われるのは「電線路」です——「電線」を選ぶと、設備の一部しか指さないことになります。
「支持物」も同じ理由でダミーです——支持物は電線路の構成要素であって、附属する電気工作物ではありません。
電気が届くまでの道すじ
| 区間 | 呼び名 | 電圧の目安 |
| ★発電所→変電所 | ★★送電線路 | ★★27万5000V・15万4000Vなど |
| ★変電所→変電所 | ★★送電線路 | ★★6万6000Vなど |
| ★変電所→需要設備 | ★★配電線路 | ★★6600V・100/200V |
発電所を出た電気は、変電所で何度も電圧を下げながら運ばれます——その道のりが送電線路です。
最後に需要設備へ向かう区間が配電線路です——街中の電柱がこれにあたります。
定義を丸暗記するより、この流れを思い浮かべるほうが確実です。
「需要設備」と「電気使用場所」を混ぜない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 需要設備 | ★★需要設備 | ★電気使用場所 | ★★施行規則の定義で使うのは需要設備 |
| 電線路 | ★★電線路 | ★電線 | ★★定義に使うのは設備全体を指す電線路 |
| 開閉所 | ★★開閉所 | ★支持物 | ★★支持物は電線路の一部。附属設備ではない |
「電気使用場所」は電気設備技術基準の側で使われる語です——法体系が違うので、この定義には出てきません。
似た意味の語が、法令ごとに使い分けられています——どの法令の話かを意識すると、選択肢が絞れます。
「専ら通信の用に供するもの」を除く理由
送電鉄塔には、電力を送る電線のほかに通信線も架かっています——保護リレーの信号や運転情報を送るためです。
しかし通信専用の線は、電気を送る設備ではありません——だから定義から外してあるのです。
この括弧書きは、条文をていねいに読ませるための出題ポイントにもなります。
開閉所とは何か
開閉所は、電圧を変えずに電路の開閉だけを行う場所です——変圧器がないのが変電所との違いです。
線路の途中で系統を切り替えたり、事故区間を切り離したりします——だから線路に「附属する」設備という位置づけになります。
(ア)に「開閉所」を入れてしまうと、(ウ)と重複します——同じ語が2か所に出てくるのは不自然だと気づけます。
発電所・変電所・開閉所の役割
| 施設 | していること | 変圧器 |
| ★発電所 | ★★電気を作る | ★★ある(昇圧用) |
| ★変電所 | ★★電圧を変える | ★★ある |
| ★開閉所 | ★★電路を開閉する | ★★ない |
変圧器があるかないかが、変電所と開閉所の分かれ目です——電圧を変えないなら開閉所です。
だから開閉所は線路に「附属する」設備という扱いになります——線路の途中に置かれる切り替え装置だからです。
需要設備とは何を指すか
需要設備とは、電気を使うために設けられた設備の一式です——受電設備から屋内配線までが含まれます。
工場やビルの受電設備は、この需要設備にあたります——自家用電気工作物の中心をなすものです。
配電線路の終端が需要設備だ、というのは電気が最後に届く先という意味です——電気の旅の終点だと考えれば覚えやすくなります。
電気工作物の全体像
| 階層 | 中身 |
| ★電気工作物 | ★★いちばん大きなくくり |
| ★ └ 事業用 | ★★電気事業用+自家用 |
| ★ └ 一般用 | ★★一般家庭・小規模店舗 |
| ★施設の種類 | ★★発電所・変電所・開閉所・送電線路・配電線路・需要設備 |
「誰のものか」で分けたのが事業用と一般用——「何をするものか」で分けたのが発電所や線路です。
2つの分け方が重なっていることを押さえておくと、用語の問題で混乱しません。
⏱️ 本番での進め方
① まず「電線」か「電線路」かを決める——設備全体なので電線路。
② 配電線路の終端は「需要設備」——電気使用場所は別法令の語。
③ (ア)に開閉所を入れると(ウ)と重複する。重複は不自然と考える。
④ 用語の定義問題は電気が届く道すじを思い浮かべると速い。
定義を覚えるコツ
「送電線路は施設どうし、配電線路は施設から需要設備へ」——この一行で両方の違いが言えます。
共通するのは、どちらも電線路+附属する開閉所その他という構成です——違うのは、つなぐ先だけなのです。
共通部分と相違部分を分けて覚えると、覚える量が半分になります。
定義の条文は、施行規則の第1条にまとまって置かれています——一度まとめて目を通しておく価値があります。
用語が曖昧なままだと、解釈の問題でも足をすくわれます。
出題履歴——用語の定義は土台になる
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成26年度 問1 | ★★送電線路・配電線路の定義(本問) |
| ★平成26年度 問5 | ★★電圧の維持 |
| ★令和1年度 問1 | ★★電気事業そのものの定義 |
用語の定義は地味ですが、他の条文を読むときの土台になります——ここが曖昧だと、解釈の問題でも足をすくわれます。
令和1年度 A問題1では事業そのものの定義が問われました。設備の定義と事業の定義は、あわせて押さえておきましょう。
💡 覚え方
送電線路=発電所相互間・変電所相互間・発電所と変電所の間の電線路+附属する開閉所その他の電気工作物(専ら通信用は除く)。配電線路=発電所・変電所・送電線路と需要設備の間、又は需要設備相互間の電線路+附属する開閉所その他。境目は需要設備。
⚠️ よくある間違い
「電線」と電線路を混同しない。附属設備は「支持物」ではなく開閉所その他の電気工作物。配電線路の終端は「電気使用場所」ではなく需要設備。
まとめ
| (ア) | 変電所 |
| (イ) | 電線路 |
| (ウ) | 開閉所 |
| (エ) | 需要設備 |
| 除外 | 専ら通信の用に供するもの |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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