今回は令和5年度上期 法規科目 A問題8、配線の使用電線の空欄補充問題です。平成25年度 A問題3でも同じ条文が問われており、繰り返しの頻出テーマです。
構造はシンプル。①配線の使用電線は感電・火災のおそれがない強度と絶縁性能を持つこと ②配線に裸電線は原則使用禁止 ③特別高圧の配線に接触電線は使用禁止。判断の物差しは施設場所の状況と電圧です。
令和5年度上期 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和5年度上期 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気使用場所での配線の使用電線に関する記述である。
a) 配線の使用電線((ア)及び特別高圧で使用する(イ)を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び(ウ)に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。
b) 配線には、(ア)を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び(ウ)に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
c) 特別高圧の配線には、(イ)を使用してはならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 接触電線 移動電線 施設方法 (2) 接触電線 裸電線 使用目的 (3) 接触電線 裸電線 電圧 (4) 裸電線 接触電線 使用目的 (5) 裸電線 接触電線 電圧

答えは(5):裸電線・接触電線・電圧
(ア)は「裸電線」・(イ)は「接触電線」・(ウ)は「電圧」——b)の「絶縁性がないことを考慮して」が決定打です。
この記事では、実際に使う電線の種類と選び方に踏み込みます。
条文の構造そのものは、平成25年度の記事で扱っています。
★絶縁電線の種類と記号
| 記号 | 名称 | 用途 |
| ★IV | ★★600Vビニル絶縁電線 | ★★屋内配線の基本 |
| ★HIV | ★★600V二種ビニル絶縁電線 | ★★耐熱が必要な場所 |
| ★OW | ★★屋外用ビニル絶縁電線 | ★★低圧架空電線 |
| ★DV | ★★引込用ビニル絶縁電線 | ★★低圧引込線 |
記号を見れば、どこで使う電線かが分かります——O は Outdoor、D は Drop(引込)です。
屋内はIV、引込はDV、架空はOW——用途で使い分けます。
★ケーブルと絶縁電線の違い
| 絶縁電線 | ケーブル | |
| ★構造 | ★★導体+絶縁体 | ★★導体+絶縁体+外装(シース) |
| ★施設 | ★★管やダクトに収める | ★★そのまま施設できる |
| ★例 | ★★IV・HIV | ★★VVF・VVR・CV |
外装があるかないかが、いちばんの違いです——外装があるから、そのまま壁に留められるのです。
だからケーブル工事は、どんな場所でも使えます——解釈第156条の表で確認できます。
★低圧屋内配線の電線の太さ
| 基準 | |
| ★原則 | ★★直径1.6mm以上の軟銅線 |
| ★これと同等以上 | ★★断面積2mm²以上 |
| ★例外 | ★★ライティングダクト等は別途 |
1.6mmという数字は、実務でも試験でもよく出ます——解釈第146条の規定です。
細すぎると強度が足りず、断線しやすくなります——省令の「十分な強度」を具体化した数値です。
許容電流という考え方
| 直径 | 許容電流(がいし引き工事の目安) |
| ★1.6mm | ★★27A |
| ★2.0mm | ★★35A |
| ★2.6mm | ★★48A |
太い電線ほど、たくさんの電流を流せます——発熱が同じでも、放熱しやすいからです。
管に収めると放熱が悪くなるので、許容電流は下がります——電流減少係数を掛けて求めます。
電圧で使い分ける
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電圧 | ★★電圧 | ★使用目的 | ★★危険の大きさは電圧で決まる |
| 裸電線 | ★★裸電線 | ★接触電線 | ★★絶縁性がないのは裸電線 |
| 接触電線 | ★★接触電線 | ★移動電線 | ★★特別高圧で禁止されるのは接触電線 |
600V以下ならIV、それを超えるなら高圧絶縁電線やケーブル——電圧に応じて絶縁の厚さが変わります。
条文の「電圧に応じ」は、この使い分けを指しています。
電線を選ぶ手順
| 順 | 確かめること |
| ★① | ★★使用電圧はいくらか |
| ★② | ★★施設場所はどこか(屋内・屋外・地中) |
| ★③ | ★★流れる電流はいくらか |
| ★④ | ★★工事方法は何か |
省令が「施設場所の状況及び電圧に応じ」と書いているのは、①②を指しています。
③④は解釈で具体化されます——省令が枠、解釈が中身という関係です。
VVFケーブルという身近な電線
| 記号 | 意味 |
| ★V | ★★ビニル絶縁 |
| ★V | ★★ビニルシース(外装) |
| ★F | ★★平形(Flat) |
住宅の屋内配線で最も使われるのがVVFケーブルです——いわゆる「Fケーブル」です。
記号は構造をそのまま表しています——VVRなら丸形(Round)です。
CVなら架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース——高圧でよく使われます。
電線の許容電流を下げる要因
| 要因 | 効果 |
| ★同一管内に多数収める | ★★放熱が悪くなり許容電流が下がる |
| ★周囲温度が高い | ★★温度上昇の余裕が減る |
| ★束ねて敷設する | ★★互いの熱で温度が上がる |
電線の許容電流は、放熱条件で決まります——同じ太さでも、施設方法で変わるのです。
電流減少係数を掛けて求めます——施設管理の計算問題で頻出です。
接触電線の安全対策
露出した接触電線には、防護板や絶縁トロリーが使われます——人が触れる部分を減らす工夫です。
それでも特別高圧では認められません——どんな対策をしても危険が大きすぎるからです。
電圧によって、対策で足りるか禁止かが分かれる——法規に一貫した考え方です。
電線の選定は法規と機械の交差点
電線の太さは、許容電流・電圧降下・機械的強度の3つで決まります——どれか1つでも足りなければ使えません。
省令が求める「十分な強度及び絶縁性能」は、この3つを含む要求です。
法規の条文が、実際の設計につながっている——そう考えると条文が生きて見えてきます。
工事の種類と使える場所
| 工事 | 使える場所 |
| ★ケーブル工事 | ★★すべての場所 |
| ★金属管工事 | ★★すべての場所 |
| ★金属線ぴ工事 | ★★300V以下・乾燥した展開場所等 |
ケーブル工事と金属管工事は、場所を選びません——だから迷ったらこの2つです。
解釈第156条の表が、この使い分けを一覧にしています。
電線は電気設備のいちばん基本の部品です——種類と使い分けを知っておくと、解釈の問題でも役に立ちます。
記号の意味が分かれば、名前から用途が読めるようになります。
⏱️ 本番での進め方
① b)の「絶縁性がないことを考慮して」から(ア)=裸電線が決まる。
② (イ)は特別高圧で禁止される電線=接触電線。
③ (ウ)は「電圧」。使用目的・施設方法はダミー。
④ (ア)と(イ)を入れ替えないのが最大の注意点。
出題履歴——10年をおいて同じ問題
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成25年度 問3 | ★★同一問題 | ★★(5) |
| ★令和5年度上期 問8 | ★★本問 | ★★(5) |
平成25年度 A問題3では、条文の3段構造と接触電線の実物を中心に解説しています。本記事は電線の種類と選び方に寄せました。
令和6年度下期 A問題8の移動電線と合わせると、電線まわりの規定がそろいます。
💡 覚え方
電技57条=配線の使用電線は施設場所の状況及び電圧に応じ十分な強度・絶縁性能。配線に裸電線は原則使用禁止。特別高圧の配線に接触電線は使用禁止。低圧屋内配線は直径1.6mm以上の軟銅線が原則。
⚠️ よくある間違い
(ア)と(イ)を入れ替えない——禁止されるのは配線の裸電線/特別高圧の接触電線。(ウ)は「使用目的」「施設方法」ではなく電圧。
まとめ
| (ア) | 裸電線 |
| (イ) | 接触電線 |
| (ウ) | 電圧 |
| 原則 | 配線に裸電線は使用禁止 |
| 絶対禁止 | 特別高圧の配線の接触電線 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・配線の使用電線(電技省令37):【法規】平成25年度 A問題3
・配線の感電・火災の防止(電技省令51):【法規】平成18年度 A問題5

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