今回は令和4年度下期 法規科目 A問題2、電気設備技術基準に規定されているものを選ぶ問題です。裏を返せば「電気工作物から除かれるもの」を知っているかが問われています。
除外されるのは3つ。①船舶・航空機・車両(鉄道等を含む)に設置される電気設備 ②電圧30V未満で、30V以上の設備と電気的に接続されていないもの ③鉄道等の専用の電気設備。この3つに当てはまらないものが答えです。
令和4年度下期 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和4年度下期 A問題2
電気設備の安全を確保するためには、「電気設備技術基準」への適合を確認する必要がある。「電気設備技術基準」に規定されているものとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 船舶の客室屋内配線
(2) 乾電池使用のEMS(電気的筋肉刺激器)
(3) 航空機に搭載される発電機
(4) 電気浴器
(5) 自動車の24Vオルタネータ(交流発電機)

答えは(4):電気浴器だけが電気工作物
この設問は裏返しの問い方をしています——5つの選択肢のうち4つが「除外」に当たり、残った1つが答えという構造です。
除外リストを暗記していれば、消去法で一瞬で解けます。
★電気工作物の全体地図
| 区分 | 中身 | 例 |
| ★事業用電気工作物 | ★★一般用以外のすべて | ★★発電所・変電所・工場の受電設備 |
| ★ うち電気事業の用に供するもの | ★★電気事業者の設備 | ★★送配電線・電力会社の発電所 |
| ★ うち自家用電気工作物 | ★★電気事業用・一般用以外 | ★★ビル・工場のキュービクル |
| ★一般用電気工作物 | ★★低圧受電+小規模発電設備 | ★★一般家庭・小商店 |
まず「電気工作物かどうか」、次に「どの区分か」の2段構えです——本問は1段目だけを問うています。
除外に当たれば、区分を考えるまでもなく電気事業法の外——主任技術者も保安規程も要りません。
★なぜ乗り物は除かれるのか
| 乗り物 | 電気設備を規制する法律 |
| ★船舶 | ★★船舶安全法 |
| ★航空機 | ★★航空法 |
| ★自動車 | ★★道路運送車両法 |
| ★鉄道・軌道 | ★★鉄道営業法・軌道法・鉄道事業法 |
規制がなくなるのではなく、担当する法律が変わるだけです——船には船の、飛行機には飛行機の安全基準があるのです。
二重に規制すると基準が食い違って現場が混乱します——だから電気事業法のほうが身を引くという整理です。
「除外=野放し」と誤解しないこと——ここは意外と誤答を誘う落とし穴です。
★30V未満の除外には条件がある
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 30V以上と接続されていない | ★★30V以上と接続されていない | ★30V未満なら常に除外 | ★★接続されていれば電気工作物 |
| 電圧30V未満 | ★★電圧30V未満 | ★電圧30V以下 | ★★「未満」——30Vちょうどは含まない |
ここが最頻出の引っかけです——乾電池のように独立していれば除外、変圧器で100V回路とつながっていれば電気工作物。
平成18年度 A問題2は、まさにこの「接続されていれば電気工作物」を正面から問うた問題です。
本問の(2)は乾電池使用のEMSなので、商用電源から独立——だから除外になります。
★電気浴器とは何か
電気浴器は、浴槽の中に電極を入れて微弱な電流を流す設備です——血行促進をうたう温浴施設などに置かれています。
人が水に浸かった状態で通電するので、感電の危険が非常に大きい——水は人体の抵抗を大きく下げるからです。
だから解釈第198条が特別に細かい規定を置いています——電気工作物として、しっかり規制する側なのです。
電気浴器の施設規定(解釈第198条)
| 項目 | 基準 |
| ★電源装置 | ★★電気用品安全法の適用を受ける電気浴器用電源装置 |
| ★2次側電圧 | ★★10V以下 |
| ★電線 | ★★直径1.6mm以上の軟銅線と同等以上の絶縁電線等 |
| ★絶縁抵抗 | ★★電極間0.1MΩ以上 |
2次側10V以下という数字が肝です——水中で人体に触れる以上、そこまで下げないと危険だからです。
「除外される30V未満」とは別の話——電源装置の1次側は100Vなので、全体としては立派な電気工作物です。
除外リストの覚え方——「船・空・車・鉄」+30V
船舶/航空機/車両/鉄道の4つの乗り物——頭文字で「船・空・車・鉄」と唱えると落ちません。
そこに「30V未満で独立」を足せば完成です——この5項目以外はすべて電気工作物と考えてよいのです。
選択肢に乗り物が出てきたら、まず除外を疑う——これが解答の初手です。
鉄道の除外には「専用」という条件
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| それらの事業のためのもの | ★★それらの事業のためのもの | ★鉄道会社の設備すべて | ★★駅ビルの照明は電気工作物 |
| 電車線・変電所(鉄道用) | ★★電車線・変電所(鉄道用) | ★駅の商業テナント | ★★運行のためか、それ以外か |
鉄道会社の設備でも、運行のためでなければ電気工作物です——駅ビルのテナントの受電設備は普通に自家用電気工作物。
「鉄道会社だから全部除外」ではありません——用途で切り分けるのが条文の趣旨です。
自動車の24Vオルタネータが二重に除外される理由
選択肢(5)は「自動車の24Vオルタネータ」でした——これは2つの理由で除外されます。
① 道路運送車両法が適用される車両に設置される電気設備だから——乗り物ルールで一発です。
② 24Vは30V未満で、商用電源とはつながっていないから——どちらの号でも除外になる、念入りな選択肢です。
電気工作物でなければ何が要らなくなるか
| 義務 | 電気工作物 | 除外される設備 |
| ★技術基準への適合 | ★★必要 | ★★不要(別法令で規制) |
| ★主任技術者の選任 | ★★事業用なら必要 | ★★不要 |
| ★保安規程の届出 | ★★事業用なら必要 | ★★不要 |
| ★事故報告 | ★★必要 | ★★不要 |
電気工作物かどうかは、法規科目の全問の出発点です——ここが決まらないと、義務の話に進めないのです。
⏱️ 本番での進め方
① 選択肢に乗り物が出たら、まず除外を疑う。
② 30V未満は「独立していれば」除外——接続の有無を必ず確認。
③ 電気浴器・電気炉・電解槽は電気工作物側。
④ 除外は規制がなくなるのではなく、担当法令が変わるだけ。
よく混同される「一般用電気工作物」との違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 除外される工作物 | ★★除外される工作物 | ★一般用電気工作物 | ★★前者は電気事業法の外、後者は中 |
| 船舶の配線 | ★★船舶の配線 | ★一般家庭の屋内配線 | ★★船は船舶安全法、家は電技 |
「規制がゆるい」と「規制の対象外」はまったく別です——一般用電気工作物は電技に従う義務があります。
除外される工作物には、電技そのものが及びません——この違いを問う設問も出ます。
水まわりの電気設備が特別扱いされる理由
電気浴器のほかにも、プール用水中照明灯、水中ポンプなど水まわりの設備には特則があります。
水に濡れると人体の抵抗が大幅に下がり、同じ電圧でも流れる電流が桁違いに大きくなるからです。
だから電圧そのものを下げる、あるいは地絡遮断器を必ず付けるという二段構えで守ります。
💡 覚え方
電気工作物から除かれるもの=①鉄道・軌道の事業のための電気設備 ②船舶に設置される電気設備 ③航空機に設置される電気設備 ④車両に設置される電気設備 ⑤電圧30V未満で30V以上と電気的に接続されていないもの。電気浴器は電気工作物で、解釈198条により2次側10V以下。
⚠️ よくある間違い
「30V未満なら常に除外」は誤り——30V以上と接続されていないことが条件。除外=無規制ではない——船舶安全法など別の法律が担当する。
まとめ
| (1) | 除外(船舶) |
| (2) | 除外(乾電池・30V未満で独立) |
| (3) | 除外(航空機) |
| (4) | 電気工作物(電気浴器) |
| (5) | 除外(自動車・30V未満) |
| 答え | (4) |
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