今回は令和1年度 法規科目 A問題3、電技の総則から誤っている記述を選ぶ問題です。5つの条文を並べて、1か所だけ語を差し替えるという典型的な作りになっています。
狙われたのは電路の絶縁(第5条)。正しくは「混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置」。選択肢では「落雷」「便宜上」に化けています。
令和1年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和1年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和1年度 A問題3
「電気設備技術基準」の総則における記述の一部として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電気設備は、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。
(2) 電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は落雷による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の便宜上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
(3) 電路に施設する電気機械器具は、通常の使用状態においてその電気機械器具に発生する熱に耐えるものでなければならない。
(4) 電気設備は、他の電気設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないように施設しなければならない。
(5) 高圧又は特別高圧の電気設備は、その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない。

答えは(2):「落雷」と「便宜上」が誤り
誤りは2か所あります——どちらか一方に気づけば判定できます。
落雷も高電圧の侵入原因ではありますが、条文が挙げているのは混触です。
電技の措置はすべて「保安上」——便宜のために講じるものではありません。
★5つの肢はどの条文か
| 肢 | 条文 | 内容 |
| ★(1) | ★★第4条 | ★★電気設備における感電・火災等の防止 |
| ★(2) | ★★第5条 | ★★電路の絶縁(★誤り) |
| ★(3) | ★★第8条 | ★★電気機械器具の熱的強度 |
| ★(4) | ★★第16条 | ★★電気的・磁気的障害の防止 |
| ★(5) | ★★第18条 | ★★電気設備による供給支障の防止 |
電技の総則から5つ並べた問題です——どれも保安原則の基本条文です。
条番号まで覚えていれば、より確実に判断できます。
★なぜ「混触」なのか
混触は、変圧器の内部で高圧巻線と低圧巻線が接触する事故です——低圧側に6 600Vが侵入します。
これに備えて低圧側の中性点を接地しておくのがB種接地工事——絶縁の例外が接地になる理由です。
落雷への備えは避雷器の役割です——接地とは別の条文(電技49条)で扱われます。
原因と対策が対応しているかを確かめると、誤りに気づけます。
★「保安上」という決まり文句
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 混触 | ★★混触 | ★落雷 | ★★落雷対策は避雷器の役割 |
| 保安上 | ★★保安上 | ★便宜上 | ★★電技の措置はすべて保安のため |
| 接地その他の措置 | ★★接地その他の措置 | ★遮断その他の措置 | ★★危険回避の手段は接地 |
電技には「保安上必要な措置」という表現が繰り返し出てきます——安全のために講じる、という意味です。
「便宜上」だと、都合がよいから講じる、という意味になります——法令の趣旨とまったく合いません。
語感の違和感で気づけるようにしておきましょう。
第8条の熱的強度
「通常の使用状態において発生する熱に耐えるもの」——機器が自分で出す熱で壊れないことです。
電流が流れれば必ず熱が出ます——それに耐える設計であることが前提です。
過電流による過熱は第14条の話——こちらは異常時、第8条は通常時です。
第16条と第18条の違い
| 条 | 守るもの | 内容 |
| ★第16条 | ★★他の設備 | ★★電気的・磁気的障害を与えない |
| ★第18条 | ★★電気の供給 | ★★損壊により供給に支障を及ぼさない |
16条は誘導障害、18条は供給支障です——守る対象が違います。
18条は「高圧又は特別高圧の電気設備」に限られます——低圧では系統に波及しにくいからです。
誤り選択問題の解き方
| 順 | すること |
| ★① | ★★見慣れない語がないか探す |
| ★② | ★★原因と対策が対応しているか確かめる |
| ★③ | ★★決まり文句が変わっていないか見る |
本問なら「落雷」と「便宜上」の2つが引っかかります——どちらかに気づけば十分です。
全文を暗記していなくても、違和感で見つけられます——条文を読み慣れることが効きます。
総則は毎年のように出る
電技の総則(第1章)は、法規の出題の中心です——絶縁・接地・過電流・地絡の4本柱があります。
条文が短いので、丸暗記が最も確実です——5条・10条・11条・14条・15条を優先しましょう。
本問のような誤り選択にも、空欄補充にも対応できます。
誤り選択問題の作り方
| 手口 | 例 |
| ★語を差し替える | ★★混触→落雷、保安上→便宜上 |
| ★数値を変える | ★★300V→400V、2 000→1 000 |
| ★範囲を広げる/狭める | ★★特別高圧→高圧又は特別高圧 |
| ★語尾を弱める | ★★しなければならない→努める |
作問者が変えられる場所は限られています——だから疑うべき場所も絞れるのです。
本問は1つ目の「語の差し替え」でした。
総則の条文は短い
電技の総則は、どれも1〜2文の短い条文です——丸暗記が最も確実です。
5条・10条・11条・14条・15条を優先しましょう——絶縁・接地・過電流・地絡の4本柱です。
暗唱できれば、誤り選択も空欄補充も同じように解けます。
第4条という総括規定
(1)の第4条は、電技全体の目的を宣言した条文です——感電・火災その他人体への危害、物件への損傷を防ぐ。
以降の条文は、すべてこの目的を具体化したものです——迷ったら第4条に立ち返るとよいでしょう。
第18条の「高圧又は特別高圧」
(5)の第18条は、高圧又は特別高圧の電気設備に限られます——低圧では系統に波及しにくいからです。
この限定を外して「すべての電気設備」とすると誤りになります——範囲を広げるのも定番のダミーです。
総則は法規の出題の中心です——ここを固めれば、電技の問題は大きく取りこぼしません。
第8条の2つの項
| 項 | 内容 |
| ★第1項 | ★★通常の使用状態で発生する熱に耐える |
| ★第2項 | ★★油入機器は油の劣化・噴出への対策 |
(3)は第1項の話です——機器が自分で出す熱に耐えることを求めています。
第2項は変圧器などの絶縁油を扱います——公害等の防止(19条)ともつながるところです。
⏱️ 本番での進め方
① 「落雷」に引っかかる——条文は混触。落雷は避雷器の話。
② 「便宜上」に引っかかる——電技の措置はすべて保安上。
③ 1つの肢に誤りが2か所あるので、どちらかで判定できる。
④ 他の4肢は第4・8・16・18条の条文どおり。
出題履歴——総則の誤り選択
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和1年度 問3 | ★★総則の誤り選択(本問) |
| ★令和5年度下期 問3 | ★★第5条の空欄補充 |
| ★令和6年度下期 問3 | ★★第5条の空欄補充 |
令和5年度下期 A問題3では、同じ第5条が空欄補充で問われました。形式が違うだけで、問われている知識は同じです。
条文を正確に覚えていれば、どの形式でも対応できます。
💡 覚え方
電技5条=電路は大地から絶縁。例外は①構造上やむを得ず危険なし ②混触による高電圧の侵入等の異常時の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置。総則の主な条文=4条(感電火災防止)・5条(絶縁)・8条(熱的強度)・16条(誘導障害)・18条(供給支障)。
⚠️ よくある間違い
「落雷」ではなく混触——落雷対策は避雷器。「便宜上」ではなく保安上——電技の措置はすべて保安のため。
まとめ
| (1) | 正しい(第4条) |
| (2) | 誤り(混触/保安上) |
| (3) | 正しい(第8条) |
| (4) | 正しい(第16条) |
| (5) | 正しい(第18条) |
| 答え | (2) |
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