今回は令和4年度下期 法規科目 A問題3、高圧・特別高圧の電気機械器具の危険の防止の空欄補充問題です。感電防止と火災防止という2つの規定がセットで問われます。
覚え方は「人には触らせない・火からは離す」。取扱者以外の者が容易に触れないように施設し、動作時にアークを生ずる器具は可燃性の物から離す(耐火性の物で隔離すれば近くてもよい)。
令和4年度下期 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和4年度下期 A問題3
次の文章は、「電気設備技術基準」における高圧又は特別高圧の電気機械器具の危険の防止に関する記述である。
a) 高圧又は特別高圧の電気機械器具は、(ア)以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。ただし、接触による危険のおそれがない場合は、この限りでない。
b) 高圧又は特別高圧の開閉器、遮断器、避雷器その他これらに類する器具であって、動作時に(イ)を生ずるものは、火災のおそれがないよう、木製の壁又は天井その他の(ウ)の物から離して施設しなければならない。ただし、(エ)の物で両者の間を隔離した場合は、この限りでない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 取扱者 過電圧 可燃性 難燃性 (2) 技術者 アーク 可燃性 耐火性 (3) 取扱者 過電圧 耐火性 難燃性 (4) 技術者 アーク 耐火性 難燃性 (5) 取扱者 アーク 可燃性 耐火性

答えは(5):取扱者・アーク・可燃性・耐火性
(ア)は「取扱者」——電技では一貫してこの語が使われ、「技術者」ではありません。
(イ)(ウ)は「アーク」「可燃性」——アークは数千℃に達します。
(エ)は「耐火性」——「難燃性」では足りません。
★「難燃性」と「耐火性」は違う
| 性質 | 意味 | アークに対して |
| ★難燃性 | ★★燃えにくい | ★不十分 |
| ★耐火性 | ★★火に耐える | ★★これが必要 |
| ★不燃性 | ★★燃えない | ★★十分 |
燃えにくいだけでは、数千℃のアークには耐えられません——だから「耐火性」という強い性能が求められるのです。
法令は、こうした似た語を厳密に使い分けます——解釈第125条では「不燃性」「自消性のある難燃性」も出てきます。
3つの語を強さの順に並べて覚えておきましょう。
★アークを生ずる器具とは
| 器具 | アークが出る場面 |
| ★開閉器 | ★★電流を入切する瞬間 |
| ★遮断器 | ★★事故電流を切る瞬間 |
| ★避雷器 | ★★雷サージを大地へ逃がす瞬間 |
いずれも電流の流れを急に変える機器です——そのときにアークが生じます。
変圧器やコンデンサは、通常アークを出しません——だからこの規定の対象外です。
条文が3つを名指ししているのは、それだけ典型的だからです。
離隔距離は解釈で決まる
| 電圧 | 可燃性の物からの離隔距離 |
| ★高圧 | ★★1m以上 |
| ★特別高圧 | ★★2m以上 |
解釈第23条が、省令の「離して施設」を具体化しています——高圧1m・特別高圧2mという数字です。
電圧が高いほどアークも大きくなるので、距離も倍になります——理由から考えれば覚えやすいでしょう。
「取扱者」という語
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 取扱者 | ★★取扱者 | ★技術者 | ★★電技で一貫して使われる語 |
| アーク | ★★アーク | ★過電圧 | ★★火災の直接原因はアーク |
| 耐火性 | ★★耐火性 | ★難燃性 | ★★燃えにくいだけでは足りない |
取扱者とは、その設備を扱う知識と権限のある人です——資格の有無ではなく、立場を指す概念です。
「技術者」だと、電気と無関係の技術者まで含まれてしまいます——だから条文は取扱者を使うのです。
触れさせない工夫
| 方法 | 内容 |
| ★高さを取る | ★★手が届かない位置に施設する |
| ★さく・へい | ★★物理的に近づけなくする |
| ★キュービクル | ★★金属箱に収め、扉に施錠する |
高圧受電設備の多くは、キュービクルに収められています——これが「容易に触れるおそれがないように施設」の実際です。
扉には施錠し、危険の表示を掲げます——第23条の立入防止とも重なります。
2つの規定の役割分担
| a)触れさせない | b)火から離す | |
| ★守るもの | ★★人(感電) | ★★建物(火災) |
| ★対象 | ★★高圧・特別高圧の機器すべて | ★★アークを生ずる器具 |
| ★例外 | ★★接触の危険がない場合 | ★★耐火性の物で隔離 |
1つの条文で、感電防止と火災防止の両方を扱っています——電技の典型的な構成です。
「人には触らせない・火からは離す」で覚えましょう。
キュービクルという解決策
| 内容 | |
| ★構造 | ★★受電設備一式を金属箱に収める |
| ★利点 | ★★触れられない・場所を取らない・施工が早い |
| ★扉 | ★★施錠し、危険の表示を掲げる |
ビルや工場の屋上でよく見かける金属の箱がこれです——省令9条の要求を、まとめて満たす製品です。
中には遮断器・変圧器・計器用変成器などが入っています——アークを生ずる器具も含まれるので、内部の隔離も設計されています。
避雷器がアークを出す場面
避雷器は、雷サージが来たときだけ導通して大地へ逃がします——その瞬間にアークが生じます。
ふだんは絶縁状態を保ち、異常時だけ動く——だから「動作時にアークを生ずる」器具に挙げられているのです。
避雷器は引込口・引出口に施設します——解釈第37条、高圧需要場所なら500kW以上が対象です。
ガス絶縁機器の規定
| 項目 | 内容 |
| ★対象 | ★★GIS(ガス絶縁開閉装置)など |
| ★求められること | ★★圧力容器としての強度・圧力の異常上昇への対策 |
| ★根拠 | ★★電技33条 |
SF6ガスを高い圧力で封入するので、容器の強度が問われます——電気の危険だけでなく、機械的な危険もあるのです。
平成29年度A問題4で出題されました——高圧機器まわりの条文としてセットで押さえましょう。
この条文は、感電と火災という電気の二大危害に1つずつ手を打っています——短いながら、よくできた構成です。
低圧機器の防護は別の条文
低圧の電気機械器具は、この条文の対象ではありません——充電部が露出しないようにする規定で守られます。
電圧に応じて、守り方も条文も変わります——どの電圧の話かを最初に確かめましょう。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「取扱者」——技術者はダミー。
② (イ)は「アーク」。過電圧は火災の直接原因ではない。
③ (ウ)は「可燃性」の物から離す。
④ (エ)は「耐火性」——難燃性では足りない。
出題履歴——感電と火災の2本立て
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問5 | ★★発電所等への立入の防止 |
| ★平成29年度 問4 | ★★ガス絶縁機器等の危険の防止 |
| ★令和4年度下期 問3 | ★★本問 |
平成19年度 A問題5は場所への立入を防ぐ規定です。本問は機器そのものに触れさせない規定——アプローチが違います。
低圧では機器単位、高圧以上では場所単位の防護——危険の大きさに応じた使い分けです。
💡 覚え方
電技9条=高圧・特別高圧の電気機械器具は取扱者以外の者が容易に触れないように施設(接触による危険のおそれがなければ例外)。動作時にアークを生ずる器具(開閉器・遮断器・避雷器等)は可燃性の物から離す(耐火性の物で隔離すれば可)。離隔距離は高圧1m・特別高圧2m。
⚠️ よくある間違い
「技術者」ではなく取扱者。「過電圧」ではなくアーク。隔離材は「難燃性」ではなく耐火性——燃えにくいだけでは足りない。
まとめ
| (ア) | 取扱者(以外の者) |
| (イ) | アーク |
| (ウ) | 可燃性(の物から離す) |
| (エ) | 耐火性(の物で隔離) |
| 該当機器 | 開閉器・遮断器・避雷器等 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・ガス絶縁機器等の危険の防止(電技省令31):【法規】平成29年度 A問題4
・発電所等への立入の防止(電技省令45):【法規】平成19年度 A問題5

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