今回は令和4年度下期 法規科目 A問題4、架空電線等の高さの空欄補充問題です。省令の考え方と解釈の具体的な数値が1問で確認できます。
省令が防ぐのは接触と誘導作用による感電、それに交通への支障。そして解釈の具体値は道路横断で路面上6m以上——大型車の高さを考えれば納得できる数字です。
答えは(2):接触・誘導作用・6m
(ア)は「接触」・(イ)は「誘導作用」——感電には2種類あるという条文です。
(ウ)は「6」m——大型車の高さに余裕を見た値です。
「通電」は状態を指す語で、感電の原因を表す用語ではありません。
令和4年度下期 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和4年度下期 A問題4
次の文章は、「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく電気供給のための電気設備の施設に関する記述である。
架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、(ア)又は(イ)による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。
低圧架空電線又は高圧架空電線の高さは、道路(車両の往来がまれであるもの及び歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合、路面上(ウ)m以上にしなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 通電 アーク 6 (2) 接触 誘導作用 6 (3) 通電 誘導作用 5 (4) 接触 誘導作用 5 (5) 通電 アーク 5

★架空電線の高さ一覧
| 場所 | 低圧・高圧架空電線の高さ |
| ★道路横断 | ★★路面上6m以上 |
| ★鉄道・軌道横断 | ★★軌条面上5.5m以上 |
| ★横断歩道橋の上 | ★★低圧3m以上/高圧3.5m以上 |
| ★その他 | ★★地表上5m以上 |
下を何が通るかで高さが決まります——車が通れば6m、列車なら5.5mです。
横断歩道橋の上は人しか通らないので、低くて済みます——低圧3m・高圧3.5mという差にも意味があります。
この4つは法規で頻出の数値です——理由とセットで覚えましょう。
★なぜ6mなのか
車両制限令では、車両の高さは原則3.8mまでとされています——大型トラックやクレーン車がこの高さです。
そこに十分な余裕を見て6mが定められました——荷物を積み上げた場合や、路面の起伏も考慮されています。
数字に理由があると分かれば、5mと6mを取り違えません。
★「誘導作用による感電」とは
| 誘導の種類 | 起きること |
| ★静電誘導 | ★★電線の下の金属体に電荷が誘起される |
| ★電磁誘導 | ★★並行する導体に誘導電圧が生じる |
特別高圧の電線の下では、触れていなくても感電しえます——トラックの荷台、傘、金属屋根などに電圧が生じるのです。
だから条文は「接触又は誘導作用による感電」と両方を挙げています。
接触だけを考えていると、この空欄で迷います。
交通への支障も条文の柱
条文は感電に加えて「交通に支障を及ぼすおそれがない高さ」も求めています。
電線が低すぎると、車両やクレーンが引っ掛けます——断線して道路をふさげば、大きな事故になります。
感電+交通の2つ——この条文が守っているものは2つあると押さえましょう。
特別高圧はさらに高い
| 使用電圧 | 道路横断時の高さ |
| ★低圧・高圧 | ★★6m以上 |
| ★35kV以下の特別高圧 | ★★6m以上 |
| ★35kV超 | ★★6m+10kVごとに0.12mを加える |
電圧が高いほど、アークが飛ぶ距離も長くなります——だから高さも増していきます。
10kVごとに0.12mという刻み方は、他の規定でも見かけます——さくの高さと距離の和も同じ考え方です。
省令と解釈の役割分担がよく分かる問題
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 接触 | ★★接触 | ★通電 | ★★感電の原因を表す語 |
| 誘導作用 | ★★誘導作用 | ★アーク | ★★触れなくても起こる感電 |
| 6m | ★★6m | ★5m | ★★道路横断は6m |
(ア)(イ)は省令、(ウ)は解釈から出ています——1問で両方を確かめる作りです。
省令が「感電のおそれがない高さ」と言い、解釈が「6m」と答える——この関係が典型的に表れています。
引っ掛け事故は実際に起きている
クレーン車のブームを上げたまま走行して電線に接触する事故は、毎年起きています。
作業員が感電したり、停電を引き起こしたりします——高さの規定があっても、なくならない事故です。
だから電線の下には防護管や表示が設けられます——規定に加えて、現場の工夫で守っているのです。
高さを確保できないときは
| 方法 | 内容 |
| ★防護管を取り付ける | ★★電線に絶縁カバーをかぶせる |
| ★地中化する | ★★そもそも架空にしない |
| ★ルートを変える | ★★道路を横断しない経路にする |
どうしても高さが取れない場所では、別の手を使います——規定を満たせないなら、施設方法を変えるのです。
工事現場でよく見る黄色い防護管は、この目的で付けられています——クレーンが触れても大丈夫なようにです。
架空電線路の構成
| 部材 | 役割 |
| ★電線 | ★★電気を運ぶ |
| ★がいし | ★★電線を支持物から絶縁する |
| ★腕金 | ★★がいしを取り付ける |
| ★支持物 | ★★全体を支える |
高さは支持物の長さと、電線のたるみで決まります——だから弛度の計算が重要になります。
夏場は電線が伸びてたるみが増えます——最も低くなる条件で高さを確保する必要があります。
高さの規定は電線の種類でも変わる
ケーブルを使う場合でも、道路横断の6mは変わりません——令和1年度A問題8で問われた論点です。
絶縁されていても、車が引っ掛ければ断線します——交通への支障という観点は変わらないのです。
「ケーブルだから低くてよい」と考えないことです。
架空電力保安通信線も対象
条文は架空電線だけでなく、架空電力保安通信線と架空電車線も挙げています——3つとも空中に張られる線だからです。
電力保安通信線は電気を運びませんが、引っ掛ければ断線します——交通への支障という点では同じです。
架空電車線は鉄道の架線です——こちらも高さの規定があります。
電線の高さは、身近なところで法令が働いている例です——道路の上を見上げれば確かめられます。
6mという数字が、頭上の安全を支えています。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は「接触」「誘導作用」——通電・アークはダミー。
② (ウ)は道路横断で6m。5mは「その他」の場合。
③ 高さの数値は6/5.5/5/3の4つを場所とセットで覚える。
④ 条文は感電+交通の2つを守っている。
出題履歴——数値と条文の複合問題
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和2年度 問4 | ★★架空電線路からの誘導作用 |
| ★令和4年度下期 問4 | ★★架空電線の高さ(本問) |
令和2年度 A問題4では、静電誘導と電磁誘導の使い分けが問われました。本問の「誘導作用」を掘り下げた内容です。
誘導作用は法規で繰り返し出てくるテーマです——2本あわせて押さえておきましょう。
💡 覚え方
電技25条=架空電線等は接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設。解釈68条の低圧・高圧架空電線の高さ=道路横断6m以上/鉄道・軌道横断5.5m以上/横断歩道橋の上3m以上/その他5m以上。
⚠️ よくある間違い
「通電」「アーク」はダミー。触れなくても誘導作用で感電しうるのが本条の肝。道路横断は6m(5mではない)。
まとめ
| (ア) | 接触 |
| (イ) | 誘導作用 |
| (ウ) | 6(m以上・道路横断) |
| 鉄道・軌道横断 | 5.5m以上 |
| 横断歩道橋の上 | 3m以上 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・架空電線路からの誘導作用(電技省令24):【法規】令和2年度 A問題4
・引込線の定義(電技省令25):【法規】令和2年度 A問題7

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