電気設備技術基準の解釈23【電験3種 法規】分散型電源連系は負荷不平衡・系統側遮断器・逆潮流・配電用変圧器=(1) 令和5年度上期 A問題7 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和5年度上期 A問題7 連系するときの施設要件!逆潮流の可否も条件

今回は令和5年度上期 法規科目 A問題7分散型電源の低圧連系時及び高圧連系時の施設要件(電気設備技術基準の解釈第226・228条)に関する空欄補充問題です。単相3線式の中性線保護、逆潮流の制限が問われます。

骨格は3点。①単相3線式は負荷の不平衡→系統側に3極過電流遮断器②逆変換装置なしなら逆潮流を生じさせない③高圧は配電用変電所の配電用変圧器で逆向き潮流(バンク逆潮流)を生じさせない

目次

答えは(1):負荷・系統側・逆潮流・配電用変圧器

電気設備技術基準の解釈 第226条・第228条

a 単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において、負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設すること。/b 低圧の電力系統に逆変換装置を用いずに分散型電源を連系する場合は、逆潮流を生じさせないこと。ただし、逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合と同等の単独運転検出及び解列ができる場合は、この限りではない。/c 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、配電用変電所の配電用変圧器において、逆向きの潮流を生じさせないこと。

★b号のただし書きが、令和5年度版で明示されています。

令和3年度 A問題9は同一問題ですが、b号のただし書きが省略された形でした。

この記事は、そのただし書きと同期発電機による連系を扱います

令和5年度上期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和5年度上期 A問題7 問題文
令和5年度上期 法規科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和5年度上期 A問題7

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における分散型電源の低圧連系時及び高圧連系時の施設要件に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a)単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において、(ア)の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、分散型電源を施設した構内の電路であって、負荷及び分散型電源の並列点よりも(イ)に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設すること。

b)低圧の電力系統に逆変換装置を用いずに分散型電源を連系する場合は、(ウ)を生じさせないこと。ただし、逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合と同等の単独運転検出及び解列ができる場合は、この限りではない。

c)高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、分散型電源を連系する配電用変電所の(エ)において、逆向きの潮流を生じさせないこと。ただし、当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との協調をとることができる場合は、この限りではない。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)負荷系統側逆潮流配電用変圧器
(2)負荷負荷側逆潮流引出口
(3)負荷系統側逆充電配電用変圧器
(4)電源負荷側逆充電引出口
(5)電源系統側逆潮流配電用変圧器
答え(ア)負荷・(イ)系統側・(ウ)逆潮流・(エ)配電用変圧器 = (1)

★「逆変換装置を用いずに」とはどんな電源か

電源系統への接続
★太陽電池・燃料電池・蓄電池★★逆変換装置(インバータ)を介する
★同期発電機(ディーゼル・ガスタービン等)★★直接連系する
★誘導発電機(小水力・風力の一部)★★直接連系する

回転機による発電は、交流をそのまま出します——逆変換装置を使いません

非常用発電機や自家発電設備がこれに当たります——b号が想定しているのはこの型です。

★なぜ逆変換装置なしだと逆潮流を禁じるのか

逆変換装置同期発電機
★単独運転の検出★★能動的方式で確実に検出できる★★受動的方式に頼るしかない
★短絡電流★★定格の1.1〜1.5倍程度★★定格の数倍〜十数倍
★出力の制御★★半導体で瞬時に制御できる★★機械的な応答で遅い

同期発電機は、単独運転になっても自力で電圧と周波数を保てます——だから検出が難しいのです。

逆潮流があると、系統が停電しても発電機が線路を支えてしまいます——単独運転が長く続くのです。

だから原則として逆潮流を禁じます

★ただし書きの意味

条文の言葉ダミー語違い
逆変換装置と同等の単独運転検出及び解列ができる★★逆変換装置と同等の単独運転検出及び解列ができる★できない★★できるなら逆潮流を認めてよい
能動的方式+受動的方式を備える★★能動的方式+受動的方式を備える★受動的方式のみ★★検出の確実性が違う

禁じている理由は「単独運転を検出できないから」です——検出できるなら禁じる理由がなくなります

だから同等の性能があれば逆潮流を認める——技術の進歩に道を開く書き方です。

転送遮断装置を設ける方法もあります——系統側の情報を直接受け取れば確実です。

★条文の「ただし書き」を読む習慣

法令は「原則」と「例外」の組で書かれます——ただし書きを読み飛ばすと半分しか理解できません

そして例外には必ず条件が付きます——その条件が、原則の理由を教えてくれるのです。

本問のただし書きは、b号がなぜ置かれているかを逆から説明しています

単相3線式で中性線が危ない理由

I_N = |I_1 – I_2|
中性線に流れる電流
両側の負荷電流の差だけが中性線に流れる
I_1 = I_2 \Rightarrow I_N = 0
平衡していれば中性線は無電流
それを前提に細い電線で設計されている

分散型電源が片側に入ると、不平衡が大きくなることがあります——中性線に想定外の電流が流れるのです。

だから3極に過電流引き外し素子を持つ遮断器で保護します——中性線を含めて3本すべてを見るのです。

なぜ「系統側」なのか

条文の言葉ダミー語違い
並列点よりも系統側★★並列点よりも系統側★並列点よりも負荷側★★系統側なら分散型電源も含めて切れる
負荷+電源の合計電流を見る★★負荷+電源の合計電流を見る★負荷の電流だけ★★検出できる範囲が違う

負荷側に置いたら、分散型電源からの電流を検出できません——並列点より下流だからです。

位置が保護の成否を決める——「系統側」という語が本質です。

バンク逆潮流が制限される理由

段階可否
★需要家から配電線へ★★通常の逆潮流(売電)——認められる
★配電線から配電用変圧器へ★★バンク逆潮流——原則禁止

配電用変電所の保護継電器は、電気が上から下へ流れる前提で整定されています

逆向きに流れると、事故の検出に失敗するおそれ——だから原則禁止です。

保護装置を施設して協調がとれれば認められます——ここにもただし書きがあります

同じ問題が2年で再出題された

年度b号の書かれ方正解番号
★令和3年度 問9★★ただし書きなし★★(1)
★令和5年度上期 問7★★ただし書きあり(本問)★★(1)

2年で再出題、しかも正解番号も同じ——分散型電源は超頻出分野です。

226条・228条は繰り返し狙われます——語の穴埋めなので、条文の言い回しを覚えます

電圧上昇という別の課題

項目内容
★原因★★逆潮流で電流の向きが変わり、電圧降下が電圧上昇に転じる
★守るべき値★★101±6V/202±20V(電技26条)
★対策★★電圧上昇抑制機能(出力を絞る)・柱上変圧器のタップ調整

逆潮流が増えると、配電線末端の電圧が上がります——維持義務の範囲を超えるおそれがあります。

だからパワーコンディショナには出力を絞る機能があります——発電量が減るので、設置者には不利益です。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は負荷の不平衡——「電源」ではない。
② (イ)は系統側——並列点より下流では検出できない。
③ (ウ)は逆潮流——「逆充電」は停電時の別の現象。
④ (エ)は配電用変圧器——「引出口」ではない。

💡 覚え方
解釈226条・228条=①単相3線式で負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、並列点より系統側に3極に過電流引き外し素子を有する遮断器 ②低圧で逆変換装置を用いない連系は逆潮流を生じさせない(ただし逆変換装置を用いる場合と同等の単独運転検出及び解列ができる場合を除く)③高圧連系は配電用変電所の配電用変圧器で逆向きの潮流を生じさせない。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「電源」ではなく負荷(イ)は「負荷側」ではなく系統側(ウ)は「逆充電」ではなく逆潮流(エ)は「引出口」ではなく配電用変圧器

まとめ

(ア)不平衡の原因負荷
(イ)遮断器の位置並列点の系統側(3極過電流)
(ウ)逆変換装置なし逆潮流を生じさせない
(エ)高圧連系配電用変圧器で逆向き潮流禁止
例外同等の単独運転検出・解列/協調可の場合
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・分散型電源の用語定義(電気設備技術基準の解釈19):【法規】令和5年度下期 A問題7
・高圧連系時の系統連系用保護装置(電気設備技術基準の解釈15):【法規】令和6年度上期 A問題7

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次