今回は令和4年度上期 法規科目 A問題6、無線設備への障害の防止の空欄補充問題です。短い条文ですが、修飾語が細かく問われます。
条文は一文。電気使用場所に施設する電気機械器具又は接触電線は、電波・高周波電流等の発生により、無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設する。「継続的かつ重大な」という限定がポイントです。
令和4年度上期 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和4年度上期 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準」における無線設備への障害の防止に関する記述である。
電気使用場所に施設する電気機械器具又は(ア)は、(イ)、高周波電流等が発生することにより、無線設備の機能に(ウ)かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 接触電線 高調波 継続的 (2) 屋内配線 電波 一時的 (3) 接触電線 高調波 一時的 (4) 屋内配線 高調波 継続的 (5) 接触電線 電波 継続的

答えは(5):接触電線・電波・継続的
(ア)は「接触電線」——集電子が擦れながら走るので、火花が連続的に出ます。
(イ)は「電波」——「高調波」は電力品質の話で、無線障害の語ではありません。
(ウ)は「継続的」——一時的なノイズまでは規制しません。
★高調波と電波は別物
| 高調波 | 電波 | |
| ★正体 | ★★商用周波数の整数倍の電流成分 | ★★空間を伝わる電磁波 |
| ★問題 | ★★波形ひずみ・機器の過熱 | ★★無線通信への妨害 |
| ★分野 | ★★電力品質 | ★★無線障害 |
高調波は電線を伝わる電流、電波は空間を飛ぶ波です——まったく別の現象です。
高調波は電力科目・施設管理でよく出てきます——第5調波・直列リアクトルなどの話です。
本条が扱うのは無線障害なので、電波が正解です。
★なぜ接触電線がノイズ源なのか
接触電線は、集電子が擦れながら電気を取る構造です——接触が一瞬途切れるたびに火花が飛びます。
火花は広い周波数の電波を出します——ラジオに雑音が入る原因になります。
「擦れる・切れるところがノイズ源」と押さえましょう——屋内配線は固定されているので、この問題は起きません。
★「継続的かつ重大な」という限定
| 障害の程度 | 規制されるか |
| ★一時的で軽微 | ★されない |
| ★継続的だが軽微 | ★されない |
| ★一時的だが重大 | ★されない |
| ★継続的かつ重大 | ★★規制される |
2つの条件を両方満たす場合だけが規制対象です——「かつ」でつながれています。
電気機器がわずかにノイズを出すのは避けられません——だから規制の範囲を実務的な水準に絞っているのです。
「一時的」を選ぶと、規制が広くなりすぎます。
同じ表現が電気さくにもある
解釈第192条(電気さく)にも「無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるおそれがある場所には施設しない」とあります。
電気さくは高電圧のパルスを出すので、電波も出ます——だから同じ限定が使われているのです。
同じ言い回しが複数の条文に出てくる——まとめて覚えると効率がよいのです。
身近なノイズ源
| 機器 | ノイズが出る理由 |
| ★電動工具 | ★★ブラシと整流子の火花 |
| ★インバータ | ★★高速スイッチングによる急峻な電流変化 |
| ★蛍光灯 | ★★放電の断続 |
火花や急な電流変化があるところに、電波が生じます——接触電線もこの仲間です。
近年はインバータ機器がふえ、ノイズ対策の重要性が増しています——ノイズフィルタやシールドが使われます。
電波法との関係
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電波 | ★★電波 | ★高調波 | ★★無線障害を扱う条文 |
| 継続的 | ★★継続的 | ★一時的 | ★★二重の限定で範囲を絞る |
| 接触電線 | ★★接触電線 | ★屋内配線 | ★★擦れるところがノイズ源 |
無線の混信そのものは電波法が扱います——電技は電気設備の側から規制しています。
設備を作る側と、電波を使う側の両方から規制する——法律の役割分担です。
短い条文だが修飾語が細かい
条文は一文だけですが、空欄が3つとも修飾語です——丁寧に読む力が問われます。
「電気機械器具又は接触電線」「電波、高周波電流等」「継続的かつ重大な」——どれも条文の言葉そのままです。
短い条文ほど、丸暗記が効きます。
ノイズ対策の方法
| 方法 | 効果 |
| ★ノイズフィルタ | ★★高周波成分を電源側へ流さない |
| ★シールド | ★★金属で覆って電波を遮る |
| ★接地の強化 | ★★ノイズを大地へ逃がす |
| ★離隔 | ★★無線設備から遠ざける |
条文は「施設しなければならない」と結果だけを求めています——方法は問わない性能規定です。
だから現場に合った対策を選べます。
電気使用場所に限られる
条文の主語は「電気使用場所に施設する電気機械器具又は接触電線」です——需要家の構内の話に限られます。
送電線からの誘導障害は、別の条文(第27条)が扱います——場所によって条文が分かれているのです。
どこの話かを見分けることが、条文選びの第一歩です。
接触電線の使われ方
| 設備 | 用途 |
| ★天井クレーン | ★★工場の重量物運搬 |
| ★ホイスト | ★★小型の巻上機 |
| ★搬送装置 | ★★生産ラインの移動機器 |
いずれも移動しながら電気を取る設備です——だから接触電線が必要になるのです。
近年は絶縁トロリーが普及し、露出部が減っています——感電もノイズも減らせるのです。
無線設備とは何を指すか
ラジオ・テレビの受信設備、無線通信の設備などです——身近なものから業務用まで幅広く含まれます。
近年は無線LANや携帯電話も生活に欠かせません——ノイズの影響を受ける設備がふえているのです。
条文の重要性は、むしろ増していると言えます。
高周波電流という語
| 語 | 意味 |
| ★電波 | ★★空間を伝わる電磁波 |
| ★高周波電流 | ★★電線を伝わる高い周波数の電流 |
条文は「電波、高周波電流等」と両方を挙げています——空間経由と電線経由の両方を押さえるためです。
ノイズは、飛んでくるものと伝わってくるものがある——だから対策も2通り必要になります。
シールドは前者、フィルタは後者への対策です。
なぜ電技で無線を守るのか
電気設備が原因で無線が使えなくなれば、社会に影響が出ます——防災無線や業務無線が妨害されれば重大です。
電気設備を作る側が、あらかじめ配慮すべきだという考え方です——他の設備に迷惑をかけない(第16条)と同じ発想です。
ただし本条は無線設備に特化しています——第16条は電線等への誘導障害という違いがあります。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「接触電線」——擦れるところがノイズ源。
② (イ)は「電波」。高調波は電力品質の話。
③ (ウ)は「継続的」かつ重大な——一時的はダミー。
④ 条文が短いので丸ごと暗唱する。
出題履歴——出題頻度は低いが取りやすい
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和4年度上期 問6 | ★★無線設備への障害の防止(本問) |
覚えることが少ないので、出題されれば確実に取りたい問題です。
令和2年度 A問題4の誘導障害と混同しないようにしましょう。あちらは弱電流電線路への影響、こちらは無線設備への影響です。
💡 覚え方
電技67条=電気使用場所の電気機械器具又は接触電線は、電波・高周波電流等により無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼさないように施設。高調波=電力品質/電波=無線障害で区別。
⚠️ よくある間違い
「高調波」ではなく電波。「一時的」ではなく継続的(かつ重大な)。「屋内配線」ではなく接触電線。
まとめ
| (ア) | 接触電線 |
| (イ) | 電波(、高周波電流等) |
| (ウ) | 継続的(かつ重大な) |
| 根拠 | 電技 第67条 |
| 同表現 | 解釈192条(電気さく) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・配線の使用電線(電技省令15):【法規】令和5年度上期 A問題8
・電磁誘導作用による影響の防止(電技省令6):【法規】令和6年度下期 A問題5

コメント