今回は令和4年度上期 法規科目 A問題4、高圧屋側電線路の施設(電気設備技術基準の解釈第111条)に関する問題です。5つの施設例のうち誤っているものを選びます。
要点は「展開した場所・ケーブル・接触防護措置・支持点間2m(垂直6m)・A種接地」。特に接触防護措置の高さは屋内は床上2.3m以上、屋外は地表上2.5m以上という違いが引っかけになります。
答えは(3):屋外は地表上2.5m以上
令和7年度下期 A問題6と平成26年度 A問題9が同じ111条の空欄補充版です。本記事は接地と正誤判定に踏み込みます。
令和4年度上期 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和4年度上期 A問題4
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧屋側電線路(高圧引込線の屋側部分を除く。)の施設に関するものである。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)展開した場所に施設した。
(2)電線はケーブルとした。
(3)屋外であることから、ケーブルを地表上2.3mの高さに、かつ、人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に施設した。
(4)ケーブルを造営材の側面に沿って被覆を損傷しないよう垂直に取付け、その支持点間の距離を6m以下とした。
(5)ケーブルを収める防護装置の金属製部分にA種接地工事を施した。

★屋内2.3mと屋外2.5mを取り違えさせる作り
| 措置 | 屋内 | 屋外 |
| ★接触防護措置 | ★★床上2.3m以上 | ★★地表上2.5m以上 |
| ★簡易接触防護措置 | ★★床上1.8m以上 | ★★地表上2m以上 |
設問(3)は「屋外であることから」とわざわざ断ったうえで2.3mを使っています。
屋内の値を屋外に持ってきた——数値そのものは条文に存在するので、見落としやすいのです。
屋外は屋内より0.2m高い——この関係を覚えておけば即断できます。
★111条の接地工事はA種
| 対象 | 接地工事 |
| ★ケーブルを収める防護装置の金属製部分 | ★★A種(接触防護措置を施す場合はD種でも可) |
| ★金属製の電線接続箱 | ★★同上 |
| ★ケーブルの被覆に使用する金属体 | ★★同上 |
高圧なのでA種(10Ω以下)が原則です——設問(5)はそのままなので正しい。
接触防護措置を施せばD種に緩和できます——人が触れないなら要求を下げてよい、という考え方です。
高圧屋内配線(168条)でも同じ「A種、接触防護措置ならD種」——セットで覚えられます。
★なぜ金属体を接地するのか
ケーブルの遮へい層や金属管は、絶縁が壊れれば充電されます。
接地しておけば、地絡電流が大地へ流れて電位が上がりません——触れた人が感電しないのです。
同時に地絡継電器が動作して、電路を切ります——接地は保護装置を働かせる役割も担います。
★「誤っているものを選べ」型の解き方
| 選択肢 | 照合する条文 | 判定 |
| ★(1)展開した場所 | ★★111条一号 | ★★正しい |
| ★(2)電線はケーブル | ★★111条二号 | ★★正しい |
| ★(3)屋外で2.3m | ★★1条(屋外は2.5m) | ★★誤り |
| ★(4)垂直で6m以下 | ★★111条四号 | ★★正しい |
| ★(5)A種接地 | ★★111条五号 | ★★正しい |
4つは111条、1つだけ1条(定義)から作られています——他の条文から持ってくるのが誤りの作り方です。
数値が出てきたら「どの条文の数値か」を確かめる——この習慣が正誤判定型を強くします。
接触防護措置は高さ以外でも満たせる
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 高さで防ぐ | ★★高さで防ぐ | ★さく・へい等で防ぐ | ★★どちらでもよい(いずれか) |
| 金属管に収める | ★★金属管に収める | ★高さを確保する | ★★同じく代替できる |
屋側電線路は建物の壁沿いなので、高さを稼げないことがあります。
その場合は防護管に収める等の方法をとります——条文は手段を1つに限りません。
高圧引込線の屋側部分が除かれる理由
問題文は「高圧引込線の屋側部分を除く」と断っています——引込線には別の条文(117条)があるからです。
引込線は電力会社との責任分界に関わる区間——屋側電線路とは扱いが違います。
括弧書きで適用範囲を絞るのは、条文の常套手段です。
A種接地工事の要件
| 項目 | 基準 |
| ★接地抵抗値 | ★★10Ω以下 |
| ★接地線の太さ | ★★直径2.6mm以上の軟銅線 |
| ★接地極の埋設深さ | ★★地下0.75m以上 |
| ★接地線の防護 | ★★地表上0.6mまで合成樹脂管等で覆う |
10Ωという値は、高圧機器の外箱に共通です——C種と同じ値ですが、対象が違います。
0.75mと0.6mという2つの数値もあわせて覚えます。
屋側電線路で起きやすい不具合
| 不具合 | 原因 |
| ★シースの亀裂 | ★★紫外線による劣化 |
| ★支持具の腐食 | ★★雨水と塩害 |
| ★端末部の絶縁低下 | ★★水の侵入・トラッキング |
| ★接地線の断線 | ★★腐食・外力 |
接地線が切れていると、A種接地の意味がなくなります——点検では導通も確かめます。
「展開した場所」に限る条文の狙いは、こうした点検を可能にすることです。
同じ条文が3回出題されている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成26年度 問9 | ★★4空欄 | ★★(2) |
| ★令和4年度上期 問4 | ★★誤りを選ぶ(本問) | ★★(3) |
| ★令和7年度下期 問6 | ★★4空欄 | ★★(2) |
11年間に3回——解釈111条は屈指の頻出条文です。
空欄補充と正誤判定の両方で出る——語・数値・趣旨のすべてを押さえます。
高圧引込線の施設(解釈117条)
| 項目 | 基準 |
| ★電線 | ★★ケーブル、又は引張強さ8.01kN以上/直径5mm以上の硬銅線 |
| ★高さ | ★★地表上5m以上(ケーブル等で危険のおそれがなければ3.5m以上) |
| ★道路を横断する場合 | ★★路面上6m以上 |
本問が「高圧引込線の屋側部分を除く」と断っているのは、この117条があるからです。
引込線は3.5mまで下げられる——建物に引き込む都合上の緩和です。
屋側電線路と屋内配線の境目
屋側電線路は造営物の外壁に沿う部分です——建物の中に入れば屋内配線(168条)になります。
同じケーブルでも、通る場所で適用条文が変わります——支持点間の数値も変わるのです。
問題文がどこの話をしているかを最初に確かめる——これが解答の第一歩です。
⏱️ 本番での進め方
① 接触防護措置の高さは屋内2.3m・屋外2.5m。
② 111条の接地はA種(接触防護措置を施せばD種でも可)。
③ 支持点間は水平2m・垂直6m。
④ 数値が出たらどの条文の数値かを確かめる。
💡 覚え方
解釈111条=高圧屋側電線路は①展開した場所 ②電線はケーブル ③接触防護措置 ④支持点間2m以下(垂直6m以下)⑤防護装置の金属製部分・電線接続箱・ケーブル被覆の金属体にA種接地工事(接触防護措置を施す場合はD種でも可)。接触防護措置の高さは屋内床上2.3m以上・屋外地表上2.5m以上。
⚠️ よくある間違い
屋外に「2.3m」を使うのは誤り——2.3mは屋内の値、屋外は2.5m以上。接地は「B種」ではなくA種。
まとめ
| (1)場所 | 展開した場所 → 正しい |
| (2)電線 | ケーブル → 正しい |
| (3)屋外の高さ | 2.3mは誤り(屋外は2.5m以上) |
| (4)支持点間 | 垂直6m以下 → 正しい |
| (5)防護装置金属部 | A種接地 → 正しい/答え(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・高圧屋側電線路(電気設備技術基準の解釈2):【法規】令和7年度下期 A問題6
・高圧の機械器具の施設(電気設備技術基準の解釈13):【法規】令和6年度上期 A問題4

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