今回は平成26年度 法規科目 A問題9、高圧屋側電線路を施設する場合(電気設備技術基準の解釈第111条)に関する空欄補充問題です。施設場所・電線の種類・ケーブルの支持点間距離が問われます。
覚える骨格は「高圧屋側電線路は展開した場所にケーブルで施設・接触防護措置」「支持点間の距離は2m以下(垂直取付けは6m以下)」。屋側は高圧では原則ケーブルという点がポイントです。
答えは(2):展開した場所・ケーブル・2m・6m
令和7年度下期 A問題6は同一問題で、低圧屋側電線路との比較を主軸にしています。
この記事は、施工の実務と他物との接近・交差に踏み込みます。
平成26年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成26年度 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、高圧屋側電線路を施設する場合の記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、高圧屋側電線路を施設する場合の記述の一部である。高圧屋側電線路は、次により施設すること。
a.(ア)場所に施設すること。
b.電線は、(イ)であること。
c.(イ)には、接触防護措置を施すこと。
d.(イ)を造営材の側面又は下面に沿って取り付ける場合は、(イ)の支持点間の距離を(ウ)m(垂直に取り付ける場合は、(エ)m)以下とし、かつ、その被覆を損傷しないように取り付けること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 点検できる隠蔽 ケーブル 1.5 5 (2) 展開した ケーブル 2 6 (3) 展開した 絶縁電線 2.5 6 (4) 点検できる隠蔽 絶縁電線 1.5 4 (5) 展開した ケーブル 2 10

★ケーブルを支える金具
| 支持具 | 用途 |
| ★サドル | ★★造営材にケーブルを留める基本の金具 |
| ★クリート | ★★複数条を並べて固定する |
| ★ケーブルラック | ★★多条布設で棚状に受ける |
| ★ステープル | ★★低圧の軽いケーブル向け(高圧には不可) |
締めすぎれば被覆が食い込み、緩ければ落下します——「被覆を損傷しないように」という条文の一言が効く場面です。
高圧ケーブルは重いので、支持具にも強度が要ります。
★曲げ半径という制約
| ケーブル | 許容曲げ半径の目安 |
| ★高圧CVケーブル(単心) | ★★仕上外径の8倍以上 |
| ★高圧CVTケーブル(3心より合わせ) | ★★仕上外径の8倍以上 |
| ★低圧VVFケーブル | ★★外径の6倍以上 |
きつく曲げると、絶縁体に隙間や歪みが生じます——そこが部分放電の起点になります。
支持点間隔だけでなく、曲がり方も絶縁寿命を左右する——実務では両方を守ります。
★屋側電線路と他物との接近・交差
| 相手 | 離隔距離 |
| ★他の高圧屋側電線路の電線 | ★★0.15m以上 |
| ★低圧屋側電線・管灯回路の配線 | ★★0.15m以上 |
| ★弱電流電線等・水管・ガス管等 | ★★0.15m以上 |
いずれも0.15m(15cm)——屋側は距離を稼げないので、値は小さめです。
ただし相手が耐火性の隔壁で仕切られていれば緩和されます——物理的に守れば距離は要らない、という考え方です。
★高圧屋側電線路が施設できる範囲
高圧屋側電線路は、原則として1つの需要場所の中でしか使えません——他人の建物をまたぐことはできないのです。
建物から建物へ渡すには、架空電線路か地中電線路にします——責任分界を明確にするためです。
条文の適用範囲を押さえておくと、正誤判定型の設問に強くなります。
垂直取付けが6mでよい理由をもう一段深く
支持点間距離Sの2乗で効くので、間隔を広げると急に張力が増える
長さに比例するだけなので、間隔を広げても急増しない
水平ではSの2乗、垂直では長さの1乗——この差が2mと6mの差を生みます。
数式で見ると、3倍という緩和幅も納得できます——丸暗記より強い覚え方です。
造営材の「側面又は下面」という限定
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 側面又は下面に沿って取り付ける | ★★側面又は下面に沿って取り付ける | ★上面に置く | ★★上面に置くのは支持ではない |
| 支持点間2m(水平) | ★★支持点間2m(水平) | ★垂直6m | ★★取り付け方向で変わる |
条文は「側面又は下面」と書いています——ケーブルが自重で垂れる方向を想定しています。
上面に乗せるだけでは、風や振動で動いてしまいます——だから支持とは呼びません。
高圧ケーブルの端末処理
| 部位 | 処理 |
| ★遮へい層の切断部 | ★★電界が集中するのでストレスコーンで緩和する |
| ★接地 | ★★遮へい層を確実に接地する |
| ★防水 | ★★屋外端末は水の侵入を防ぐ |
端末部は、高圧ケーブルで最も事故が多い箇所です——遮へい層が途切れ、電界が集中するから。
ストレスコーンで電界をなだらかにするのが定石——電力科目とも重なるテーマです。
屋側電線路の点検項目
| 項目 | 見るところ |
| ★外観 | ★★シースの傷・変色・膨れ |
| ★支持部 | ★★サドルの緩み・食い込み・腐食 |
| ★端末 | ★★トラッキング痕・水の侵入 |
| ★接地 | ★★遮へい層の接地線の健全性 |
屋側は目視できるのが最大の利点です——「展開した場所」に限る条文の狙いがここにあります。
見えるからこそ、点検で異常を早く見つけられます。
鳥獣害と紫外線
外壁沿いのケーブルは、鳥がつつくことがあります——ネズミやリスがかじる事例もあります。
紫外線はシースを劣化させ、ひび割れを生みます——屋外用のシース材が使われる理由です。
屋内と違う環境にさらされる——それが屋側電線路の難しさです。
数値の覚え方
| 数値 | 意味 |
| ★2m | ★★水平(側面・下面)の支持点間距離 |
| ★6m | ★★垂直取付けの支持点間距離 |
| ★0.15m | ★★他の電線・弱電流電線・水管等との離隔 |
選択肢には1.5m・2.5m・10mというダミーが並びます——2と6のペアで覚えれば迷いません。
高圧屋内配線との違い
| 高圧屋側電線路 | 高圧屋内配線 | |
| ★条文 | ★★解釈111条 | ★★解釈168条 |
| ★工事 | ★★ケーブル工事 | ★★がいし引き工事又はケーブル工事 |
| ★場所 | ★★展開した場所 | ★★展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
屋内では、条件付きでがいし引き工事も認められます——雨に濡れず、人の管理も届くからです。
屋側のほうが条件が厳しい——屋外環境にさらされるぶん、余裕を持たせています。
同じ問題が繰り返し出ている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成26年度 問9 | ★★4空欄(本問) | ★★(2) |
| ★令和7年度下期 問6 | ★★同一の4空欄 | ★★(2) |
11年の時を経て、まったく同じ形で再出題されました——選択肢の並びまで同じです。
解釈111条は繰り返し狙われる条文——4つの数値・語を確実に押さえておく価値があります。
⏱️ 本番での進め方
① 展開した場所・ケーブルが高圧屋側の2大条件。
② 支持点間は水平2m・垂直6m——張力の式で説明できる。
③ 他物との離隔は0.15m。
④ 接触防護措置を忘れない。
💡 覚え方
解釈111条=高圧屋側電線路は①展開した場所 ②電線はケーブル ③接触防護措置 ④造営材の側面・下面に沿う場合の支持点間距離は2m以下(垂直は6m以下)で被覆を損傷しないように取り付ける。他の電線・弱電流電線・水管等との離隔は0.15m以上。
⚠️ よくある間違い
「点検できる隠蔽場所」は不可——展開した場所のみ。「絶縁電線」は不可——ケーブルのみ。1.5m・2.5m・10mはダミー——2mと6m。
まとめ
| (ア)施設場所 | 展開した場所 |
| (イ)電線 | ケーブル |
| 接触防護 | ケーブルに接触防護措置 |
| (ウ)支持点間 | 2m以下(側面・下面沿い) |
| (エ)垂直取付け | 6m以下 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・高圧屋側電線路の施設(電気設備技術基準の解釈30):【法規】令和4年度上期 A問題4
・接触防護措置及び簡易接触防護措置の定義(電気設備技術基準の解釈69):【法規】平成26年度 A問題7

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