電気設備技術基準の解釈31【電験3種 法規】接近状態は上方側方・水平3m・切断倒壊で接触=(2) 令和4年度上期 A問題5 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和4年度上期 A問題5 第1次と第2次接近状態!境目は水平3m

今回は令和4年度上期 法規科目 A問題5電線路の接近状態(第1次接近状態・第2次接近状態)の用語の定義に関する空欄補充問題です。架空電線が他の工作物に接近する範囲の定義を条文どおり押さえます。

骨格は「上方又は側方・水平距離3m」。第1次接近状態は水平距離3m以上(かつ支持物高さ以内)、第2次接近状態は水平距離3m未満。電線の切断・支持物の倒壊で他の工作物に接触するおそれ、が定義のポイントです。

目次

令和4年度上期 法規科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和4年度上期 A問題5 問題文
令和4年度上期 法規科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和4年度上期 A問題5

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電線路の接近状態に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a)第1次接近状態とは、架空電線が他の工作物と接近する場合において、当該架空電線が他の工作物の(ア)において、水平距離で(イ)以上、かつ、架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより、架空電線路の電線の(ウ)、支持物の(エ)等の際に、当該電線が他の工作物に(オ)おそれがある状態をいう。

b)第2次接近状態とは、架空電線が他の工作物と接近する場合において、当該架空電線が他の工作物の(ア)において水平距離で(イ)未満に施設される状態をいう。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)上方,下方又は側方3m振動傾斜損害を与える
(2)上方又は側方3m切断倒壊接触する
(3)上方又は側方3m切断傾斜接触する
(4)上方,下方又は側方2m切断倒壊接触する
(5)上方,下方又は側方2m振動傾斜損害を与える
答え(ア)上方又は側方・(イ)3m・(ウ)切断・(エ)倒壊・(オ)接触する = (2)

答えは(2):上方又は側方・3m・切断・倒壊・接触する

電気設備技術基準の解釈 第49条(電線路に係る用語の定義)

第1次接近状態とは、架空電線が他の工作物と接近する場合において、当該架空電線が他の工作物の上方又は側方において、水平距離で3m以上、かつ、架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより、架空電線路の電線の切断、支持物の倒壊等の際に、当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態をいう。/第2次接近状態とは、架空電線が他の工作物の上方又は側方において水平距離で3m未満に施設される状態をいう。

「下方」が入らないのが最大のポイントです。

接近状態は、保安工事が必要かどうかを決める入口の概念です——定義を外すと、その先の条文がすべて狂います

★なぜ「下方」が入らないのか

電線が工作物より下にあれば、切れて落ちても工作物には届きません——重力は下向きだからです。

支持物が倒れても、倒れる先は横——下にある電線が上の建物に接触することはないのです。

「上方,下方又は側方」という選択肢は、この物理的な当たり前を無視しています

★第1次と第2次の境目

状態水平距離もう1つの条件
★第1次接近状態★★3m以上★★支持物の地表上の高さに相当する距離以内
★第2次接近状態★★3m未満★★—

近いほうが第2次——「第1次のほうが厳しそう」という直感が裏切られるところです。

第2次接近状態のほうが危険で、要求される工事も厳しくなります——番号ではなく距離で覚えます

★「支持物の高さに相当する距離以内」の意味

$$d \leq h$$
水平距離dと支持物の地表上の高さh
支持物が倒れたとき、倒れる先は最大でも高さhの範囲
$$3\,\mathrm{m} \leq d \leq h$$
第1次接近状態の範囲
3m以上離れていても、倒壊すれば届く距離なら接近状態

電柱が倒れれば、その高さの分だけ横に倒れます——だから高さhが接近の外側の境界になります。

hより遠ければ、倒れても届かない——接近状態ではなくなります

幾何学的に考えれば、定義の意味がすっきりわかります

★接近状態だと何が要求されるか

状態求められる工事
★接近状態でない★★一般の架空電線路の規定のみ
★第1次接近状態★★離隔距離の確保等
★第2次接近状態★★高圧保安工事(電線を太く・径間を短く)

第2次接近状態になると保安工事が要求されます——電線が切れて落ちる確率を下げるためです。

令和3年度 A問題6が高圧保安工事の中身(8.01kN・径間100m/150m)を扱っています。

「接近」と「交差」

条文の言葉ダミー語違い
接近★★接近★交差★★並んで近づく/立体的に交わる
接近状態(49条の定義)★★接近状態(49条の定義)★併架(80条)★★別の電線路との関係/同一支持物

交差は、上下に交わって通過することです——接近状態の定義とは別の概念

条文では「接近又は交差する場合」とセットで使われます——どちらも事故が波及しうる位置関係だからです。

他の工作物とは何か

工作物
★建造物★★住宅・ビル・倉庫
★道路等★★道路・横断歩道橋・鉄道・軌道
★他の電線等★★他の架空電線路・弱電流電線路
★その他★★索道・アンテナ・植物

相手ごとに条文が用意されています(71条〜79条など)——接近状態の定義は、そのすべての入口です。

だから49条は定義条文でありながら、極めて重要なのです。

なぜ「切断」「倒壊」なのか

条文の言葉ダミー語違い
電線の切断★★電線の切断★電線の振動★★切れることが最大のリスク
支持物の倒壊★★支持物の倒壊★支持物の傾斜★★倒れることを想定する

振動や傾斜では、電線が他の工作物に届きません——接触に至る事象は切断と倒壊です。

選択肢の「振動」「傾斜」は、起こりうるが接触にはつながらない事象——だからダミーなのです。

「接触する」と「損害を与える」

条文は「接触するおそれがある状態」と書きます——結果ではなく、位置関係を定義しているからです。

「損害を与える」は結果の話——定義条文にはなじみません

定義条文は客観的な事実で書く——法令の作法です。

風による揺れも考える

架空電線は、風で横に振れます——これを風偏(ふうへん)といいます

水平距離3mは、静止した状態での距離——実際の設計では風偏を見込んで余裕をとります

条文の数値は最低限——実務ではさらに上乗せするのが普通です。

定義条文が集まる第49条

用語定義のポイント
★第1次接近状態★★水平3m以上かつ支持物高さ以内
★第2次接近状態★★水平3m未満
★接近状態★★第1次接近状態及び第2次接近状態
★上部造営材★★屋根・ひさし・物干し台等、人が上部に乗るおそれのあるもの

定義条文は退屈ですが、出題率は高い——そのまま空欄補充になるからです。

語をそのまま覚えるのが、いちばん確実な対策です。

建造物との接近で求められること

状態高圧架空電線に求められること
★第1次接近状態★★上部造営材の上方2m以上(ケーブル等1m以上)等の離隔
★第2次接近状態★★高圧保安工事によること
★上に施設する場合★★保安工事に加え、離隔距離も確保

接近状態の区分が決まって初めて、求められる工事が決まります

定義条文が実務を動かしている——49条の重みはここにあります

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は上方又は側方——「下方」は入らない。
② (イ)は3m——2mではない。3m以上が第1次、3m未満が第2次。
③ (ウ)(エ)は切断・倒壊——「振動・傾斜」ではない。
④ (オ)は接触する——「損害を与える」ではない。

💡 覚え方
解釈49条=第1次接近状態は、架空電線が他の工作物の上方又は側方において水平距離3m以上かつ支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設され、電線の切断・支持物の倒壊等の際に他の工作物に接触するおそれがある状態。第2次接近状態は水平距離3m未満。

⚠️ よくある間違い
「下方」は含まない——電線が下にあれば落ちても届かない。「2m」ではなく3m「振動・傾斜」ではなく切断・倒壊

まとめ

(ア)方向上方又は側方(下方は含まない)
(イ)水平距離第1次3m以上/第2次3m未満
第1次の範囲支持物の地表上高さ相当以内
(ウ)(エ)電線の切断・支持物の倒壊
(オ)他の工作物に接触するおそれ
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・低高圧架空電線の併架(電気設備技術基準の解釈25):【法規】令和4年度下期 A問題5
・高圧屋側電線路の施設(電気設備技術基準の解釈30):【法規】令和4年度上期 A問題4

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