今回は令和4年度上期 法規科目 A問題7、水中照明の施設(電気設備技術基準の解釈第187条)に関する空欄補充問題です。プール等の水中照明灯は感電の危険が特に大きく、絶縁変圧器・接地・配線に厳しい条件が課されます。
骨格は「絶縁変圧器1次300V/2次150V以下・混触防止板にA種接地・2次側は非接地式電路・配線は金属管工事」。水中は特に危険なので、変圧器で絶縁し、非接地とし、金属管で堅牢に保護します。
答えは(5):使用電圧・A種・非接地式電路・金属管
プールの壁面に埋め込まれた照明——あれがこの条文の対象です。
令和4年度上期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和4年度上期 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく水中照明の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく水中照明の施設に関する記述である。水中又はこれに準ずる場所であって、人が触れるおそれのある場所に施設する照明灯は、次によること。
a)照明灯に電気を供給する電路には、次に適合する絶縁変圧器を施設すること。①1次側の(ア)電圧は300V以下、2次側の(ア)電圧は150V以下であること。②絶縁変圧器は、その2次側電路の(ア)電圧が30V以下の場合は、1次巻線と2次巻線との間に金属製の混触防止板を設け、これに(イ)種接地工事を施すこと。
b)a)の規定により施設する絶縁変圧器の2次側電路は、次によること。①電路は、(ウ)であること。②開閉器及び過電流遮断器を各極に施設すること。③(ア)電圧が30Vを超える場合は、その電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。④開閉器・過電流遮断器・地絡遮断装置は、堅ろうな金属製の外箱に収めること。⑤配線は、(エ)工事によること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 使用 D 非接地式電路 合成樹脂管 (2) 対地 A 接地式電路 金属管 (3) 使用 D 接地式電路 合成樹脂管 (4) 対地 A 非接地式電路 合成樹脂管 (5) 使用 A 非接地式電路 金属管

★なぜ水中はそんなに危険なのか
| 状態 | 人体の抵抗(おおよそ) |
| ★乾燥した皮膚 | ★★数千Ω〜数万Ω |
| ★汗をかいた状態 | ★★1 000Ω程度 |
| ★水に浸かった状態 | ★★数百Ω程度 |
抵抗が10分の1になれば、同じ電圧で流れる電流は10倍です——オームの法則そのまま。
しかも水中では体全体が電極になります——心臓を電流が通る確率が高いのです。
だから電圧そのものを下げるところから始めます。
★「使用電圧」と「対地電圧」の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 使用電圧 | ★★使用電圧 | ★対地電圧 | ★★電路の公称電圧/大地との間の電圧 |
| 300V以下・150V以下 | ★★300V以下・150V以下 | ★住宅の150V以下(143条) | ★★後者は対地電圧で規定 |
2次側は非接地なので、対地電圧という概念が使いにくい——だから使用電圧で書かれています。
条文がどちらの語を使っているかで、意味が変わります——空欄になりやすい理由です。
★混触防止板になぜA種なのか
混触防止板は、1次巻線と2次巻線の間に入れる金属の板です——巻線どうしが触れても、板が受け止めます。
1次側が300Vでも、そこに高圧が侵入する可能性を考えます——だから最も手厚いA種(10Ω以下)です。
D種(100Ω以下)では、電位上昇を十分に抑えられません——「D種」というダミーが置かれる理由です。
★非接地式電路にする理由
| 方式 | 1線が地絡したとき |
| ★接地式 | ★★大地を通って回路が閉じ、大電流が流れる |
| ★非接地式 | ★★帰り道がなく、電流はほとんど流れない |
水の中で1本が漏電しても、非接地なら回路が閉じません——人が触れても電流が流れにくいのです。
V2H(199条の2)でも直流電路を非接地にしていました——危険な場所では非接地、という共通の発想です。
なぜ金属管工事なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 金属管工事 | ★★金属管工事 | ★合成樹脂管工事 | ★★機械的強度と接地による保護が段違い |
| プールサイド | ★★プールサイド | ★一般の屋内 | ★★水・薬品・人の往来にさらされる |
プールサイドは、水と塩素にさらされ、人が歩き回る場所です——配管が壊れれば充電部が露出します。
金属管なら堅ろうで、接地すれば漏電時に地絡電流を流せます——二重の守りです。
「合成樹脂管」というダミーが選択肢に置かれます。
30Vという境目
| 2次側使用電圧 | 求められること |
| ★30V以下 | ★★混触防止板+A種接地(地絡遮断装置は不要) |
| ★30V超 150V以下 | ★★地絡遮断装置を施設する |
30Vは、電気工作物から除外される電圧の境目とも同じ数字です——「30V未満なら危険が小さい」という共通の感覚。
ただし水中では30V以下でも油断できません——だから混触防止板は要求されます。
電気浴器との比較
| 水中照明灯(187条) | 電気浴器(198条) | |
| ★2次側電圧 | ★★150V以下 | ★★10V以下 |
| ★目的 | ★★照明 | ★★人体に電流を流す |
| ★共通点 | ★★水中で人が触れる/絶縁変圧器を使う | ★★同左 |
電気浴器は、人体に電流を流すことが目的なので10V以下——桁違いに厳しいです。
水まわりの特則は、目的によって値が変わります。
地絡遮断器の感度
人体保護用の漏電遮断器は、定格感度電流15mA・30mAが標準です——動作時間0.1秒以内。
心室細動を起こす電流に至る前に切る——これが数値の根拠です。
水中ではさらに厳しい条件が望ましく、実務では15mA品が使われます。
プール以外の適用場面
| 場所 | 該当するか |
| ★プールの水中照明 | ★★該当 |
| ★噴水の照明 | ★★該当(水中に準ずる場所) |
| ★観賞魚水槽の照明(人が触れる) | ★★該当しうる |
| ★屋外の一般照明 | ★★該当しない |
「水中又はこれに準ずる場所」「人が触れるおそれ」の2条件——両方を満たす場合に適用されます。
条文の適用範囲を読むのも、法規科目の力です。
絶縁変圧器とは
| 絶縁変圧器 | 単巻変圧器 | |
| ★巻線 | ★★1次と2次が電気的に分かれている | ★★巻線の一部を共用する |
| ★1次2次の絶縁 | ★★あり | ★★なし |
| ★水中照明への適用 | ★★可 | ★★不可 |
単巻変圧器は巻線を共用するので、1次と2次が電気的につながっています。
それでは絶縁の意味がありません——条文が「絶縁変圧器」と書く理由です。
プールの電気設備で守るべきこと
| 設備 | 求められること |
| ★水中照明灯 | ★★絶縁変圧器・非接地・金属管工事(187条) |
| ★プールサイドのコンセント | ★★地絡遮断装置を施設する |
| ★等電位ボンディング | ★★金属部分を相互に接続して電位差をなくす |
水まわりでは、電位差そのものをなくす考え方も使われます——触れても電流が流れない状態をつくるのです。
電圧を下げる・非接地にする・電位差をなくす——3つの方向から守ります。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は使用電圧——「対地」ではない。
② (イ)はA種——「D種」ではない。混触の相手は高圧。
③ (ウ)は非接地式電路——回路を閉じさせない。
④ (エ)は金属管工事——「合成樹脂管」ではない。
💡 覚え方
解釈187条 水中照明灯=①絶縁変圧器(1次使用電圧300V以下・2次150V以下)②2次30V以下なら1次2次巻線間に金属製の混触防止板を設けA種接地工事 ③2次側は非接地式電路 ④開閉器・過電流遮断器を各極に ⑤30V超は地絡遮断装置 ⑥堅ろうな金属製の外箱 ⑦配線は金属管工事。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「対地電圧」ではなく使用電圧。(イ)は「D種」ではなくA種。(ウ)は「接地式」ではなく非接地式。(エ)は「合成樹脂管」ではなく金属管。
まとめ
| 絶縁変圧器 | 1次使用電圧300V以下/2次150V以下 |
| (イ)混触防止板 | A種接地工事 |
| (ウ)2次側電路 | 非接地式電路 |
| 地絡遮断 | 2次使用電圧30V超で施設 |
| (エ)配線 | 金属管工事 |
| 答え | (5) |
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