今回は令和3年度 法規科目 A問題6、高圧架空電線に適用される高圧保安工事及び連鎖倒壊防止(電気設備技術基準の解釈第70条)に関する空欄補充問題です。保安工事で強化される電線の太さ・径間の数値を押さえます。
覚える数字は「8.01kN・直径5mm」と径間「木柱・A種100m/B種150m」。高圧保安工事は通常より条件が厳しく、標準径間(A種150m/B種250m)より短い径間制限になります。
令和3年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和3年度 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧架空電線に適用される高圧保安工事及び連鎖倒壊防止に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a)電線はケーブルである場合を除き、引張強さ(ア)kN以上のもの又は直径(イ)mm以上の硬銅線であること。
b)木柱の風圧荷重に対する安全率は、2.0以上であること。
c)支持物に木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱を使用する場合の径間は(ウ)m以下であること。また、支持物にB種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合の径間は(エ)m以下であること(電線に引張強さ14.51kN以上のもの又は断面積38mm²以上の硬銅より線を使用する場合を除く。)。
d)支持物で直線路が連続している箇所において、連鎖的に倒壊するおそれがある場合は、技術上困難であるときを除き、必要に応じ、16基以下ごとに支線を電線路に平行な方向にその両側に設け、また、5基以下ごとに支線を電線路と直角の方向にその両側に設けること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 8.01 4 100 150 (2) 8.01 5 100 150 (3) 8.01 4 150 250 (4) 5.26 4 150 250 (5) 5.26 5 100 150

答えは(2):8.01kN・5mm・100m・150m
高圧保安工事は、電線が切れて落ちたら困る場所で要求されます——だから太く・短く・強くという3点セットです。
★標準径間と保安工事の径間を並べる
| 支持物 | 標準径間 | 高圧保安工事 |
| ★木柱・A種 | ★★150m以下 | ★★100m以下 |
| ★B種 | ★★250m以下 | ★★150m以下 |
| ★鉄塔 | ★★600m以下 | ★★400m以下 |
どれも保安工事のほうが短い——支持点を増やして、電線が垂れ下がるリスクを減らすのです。
150/250/600 と 100/150/400——2列で覚えると、どちらが問われても答えられます。
★8.01kNと5mmはどこから来るか
| 用途 | 引張強さ | 直径 |
| ★低圧架空電線(一般) | ★★2.30kN以上 | ★★2.6mm以上 |
| ★高圧架空電線(一般) | ★★8.01kN以上 | ★★5mm以上 |
| ★低圧保安工事 | ★★8.01kN以上 | ★★5mm以上 |
| ★高圧保安工事 | ★★8.01kN以上 | ★★5mm以上 |
低圧保安工事は、高圧の一般工事と同じ太さになります——「保安工事=ワンランク上」の意味がここに現れます。
高圧保安工事では、太さは高圧一般と同じで径間が縮む——厳しさの現れ方が違うのです。
★どんなときに保安工事になるのか
| 場面 | 内容 |
| ★建造物との接近 | ★★上方に施設する場合など |
| ★道路・横断歩道橋との接近・交差 | ★★上に施設する場合 |
| ★他の電線・弱電流電線との交差 | ★★上に施設する場合 |
| ★索道・アンテナとの接近 | ★★上方に施設する場合 |
共通するのは「電線が切れて落ちたら、下に被害が及ぶ」場所です——だから切れにくくするのです。
「上に施設する場合」という言い回しが繰り返し出ます——下を通るものを守るという発想です。
★木柱の安全率2.0という数字
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 高圧保安工事の木柱=2.0以上 | ★★高圧保安工事の木柱=2.0以上 | ★一般の木柱=1.3以上 | ★★保安工事では強度も上げる |
| 風圧荷重に対する安全率 | ★★風圧荷重に対する安全率 | ★引張荷重に対する安全率 | ★★支持物は風、支線は引張 |
一般の木柱は安全率1.3、保安工事では2.0——1.5倍以上の余裕を求めます。
径間・電線・支持物の3つすべてを強化する——保安工事という言葉の中身です。
連鎖倒壊防止の16基・5基
| 方向 | 間隔 | 狙い |
| ★電線路に平行 | ★★16基以下ごとに両側へ支線 | ★★ドミノ倒しを食い止める |
| ★電線路と直角 | ★★5基以下ごとに両側へ支線 | ★★横風による倒壊を防ぐ |
1本倒れると、電線に引かれて隣も倒れます——これが連鎖倒壊です。
途中に踏ん張る柱を入れて、被害を区切ります——16基と5基という数字の意味です。
径間を短くすると何が起きるか
径間Sの2乗に比例するので、径間を縮めると弛度が急に小さくなる
弛度は約44%まで減り、地上高の余裕が大きくなる
径間を3分の2にすると、たるみは半分以下になります——2乗で効くからです。
たるみが減れば、下を通るものとの距離が稼げます——保安工事で径間を縮める理由です。
A種とB種の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| A種=根入れだけで自立 | ★★A種=根入れだけで自立 | ★B種=根かせ等の補強を併用 | ★★基礎の作り方が違う |
| A種の径間は短い | ★★A種の径間は短い | ★B種の径間は長い | ★★強度の差が径間に出る |
A種は柱を土に埋めるだけ、B種は基礎で固めます——だからB種のほうが長い径間に耐えられます。
根入れは全長の6分の1以上(15m以下の柱)——あわせて覚えたい数値です。
低圧保安工事との違い
| 低圧保安工事 | 高圧保安工事 | |
| ★電線 | ★★8.01kN以上/直径5mm以上 | ★★同じ |
| ★木柱の安全率 | ★★1.5以上 | ★★2.0以上 |
| ★木柱・A種の径間 | ★★100m以下 | ★★100m以下 |
安全率だけが違う——低圧1.5/高圧2.0という対で覚えます。
数値が近いぶん、混同を狙った選択肢が作られます。
14.51kN・38mm²という除外条件
条文の括弧書きは、太い電線を使う場合を除外しています——強い電線なら径間を縮めなくてよいのです。
引張強さ14.51kN以上又は断面積38mm²以上の硬銅より線——この数値もそのまま問われます。
「強さで代える」という発想は、解釈のあちこちで使われます。
特別高圧保安工事の3段階
| 種別 | 適用場面 |
| ★第1種特別高圧保安工事 | ★★建造物等の上に35kV超の電線を施設する場合など |
| ★第2種特別高圧保安工事 | ★★道路等の上に施設する場合など |
| ★第3種特別高圧保安工事 | ★★他の工作物と接近する場合など |
特別高圧では、危険度に応じて3段階に分かれます——第1種がいちばん厳しいです。
高圧は1種類だけ——この違いも押さえておくと選択肢を切れます。
⏱️ 本番での進め方
① 電線は8.01kN以上/直径5mm以上——5.26kNや4mmではない。
② 径間は木柱・A種100m/B種150m——標準の150/250より短い。
③ 木柱の安全率は2.0以上——低圧保安工事は1.5。
④ 連鎖倒壊防止は平行16基・直角5基。
💡 覚え方
解釈70条 高圧保安工事=①電線はケーブルを除き引張強さ8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線 ②木柱の風圧荷重に対する安全率2.0以上 ③径間は木柱・A種100m以下/B種150m以下(14.51kN以上又は38mm²以上を使用する場合を除く)。連鎖倒壊防止は平行方向16基以下・直角方向5基以下。
⚠️ よくある間違い
「5.26kN」「直径4mm」ではなく8.01kN・5mm。径間は標準の150/250ではなく100/150。木柱の安全率は低圧保安工事1.5/高圧保安工事2.0。
まとめ
| (ア)電線 | 引張強さ8.01kN以上 |
| (イ)電線 | 直径5mm以上の硬銅線 |
| 木柱安全率 | 2.0以上 |
| (ウ)木柱・A種径間 | 100m以下 |
| (エ)B種径間 | 150m以下 |
| 答え | (2) |
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