電気設備技術基準の解釈29【電験3種 法規】接地工事で不適切は内蔵避雷器のD種70Ω=(3) 令和4年度上期 A問題3 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和4年度上期 A問題3 避雷器の接地はA種10Ω!D種では不適切

今回は令和4年度上期 法規科目 A問題3高圧架空電線路に施設された機械器具等の接地工事の事例から、不適切なものを選ぶ問題です。避雷器(LA)・PAS(柱上気中開閉器)の接地工事の種別と接地抵抗値がポイントです。

要は「避雷器の接地はA種(10Ω以下)」という原則を守れているか。PASに内蔵された避雷器も同じでA種が必要です。D種(100Ω以下、緩和70Ω等)で済ませると避雷器の要件を満たしません。

目次

答えは(3):避雷器の接地はA種(10Ω以下)

電気設備技術基準の解釈 第37条・第29条・第17条

第37条 避雷器には、A種接地工事を施すこと。/第29条 高圧用又は特別高圧用の機械器具の金属製外箱等にはA種接地工事、300V以下の低圧用にはD種接地工事を施すこと。/第17条 A種接地工事の接地抵抗値は10Ω以下、接地線は直径2.6mm以上の軟銅線。D種接地工事の接地抵抗値は100Ω以下、接地線は直径1.6mm以上の軟銅線。

★PASに内蔵された避雷器も、避雷器である以上A種が必要です。

機器の外箱の接地と、避雷器の接地は別の規定——同じ端子にまとめても、要求は避雷器の側に合わせます

令和4年度上期 法規科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和4年度上期 A問題3 問題文
令和4年度上期 法規科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和4年度上期 A問題3

 次の記述は、高圧架空電線路に施設された機械器具等の接地工事の事例である。「電気設備技術基準の解釈」の規定上、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)高圧架空電線路に施設した避雷器(LA)の接地工事を14mm²の軟銅線を用いて施設した。
(2)高圧架空電線路に施設された柱上気中開閉器(PAS)の制御装置(定格制御電圧AC100V)の金属製外箱の接地端子に5.5mm²の軟銅線を接続し、D種接地工事を施した。
(3)高圧架空電線路にPAS(VT・LA内蔵形)が施設されている。この内蔵されているLAの接地線及び高圧計器用変成器(零相変流器)の2次側電路は、PASの金属製外箱の接地端子に接続されている。この接地端子にD種接地工事(接地抵抗値70Ω)を施した。なお、VTとは計器用変圧器である。
(4)高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が750kWの需要場所の引込口に施設したLAにA種接地工事を施した。
(5)木柱の上であって人が触れるおそれがない高さの高圧架空電線路に施設されたPASの金属製外箱の接地端子にA種接地工事を施した。なお、このPASにLAは内蔵されていない。

答え不適切なのは(3)——内蔵避雷器の接地をD種70Ωで済ませた = (3)

★避雷器の接地がA種である理由

V = I R
避雷器が動作したときの接地点の電位
サージ電流Iは数kA〜数十kAに達する
I = 5\,\mathrm{kA},\ R = 10\,\Omega \Rightarrow V = 50\,\mathrm{kV}
接地抵抗10Ωの場合
それでも数十kVの電位が生じる
R = 70\,\Omega \Rightarrow V = 350\,\mathrm{kV}
接地抵抗70Ωの場合
電位が7倍になり、逆に機器を壊す

避雷器はサージを大地へ逃がす装置です——逃がす先の抵抗が高ければ、電位が上がります

接地点の電位が上がれば、機器の絶縁を破ります——避雷器の意味がなくなるのです。

だからできるだけ低い10Ω以下が要求されるのです。

★PAS(柱上気中開閉器)の接地

部分接地工事理由
★内蔵避雷器(LA)★★A種(10Ω以下)★★避雷器の規定(37条)
★金属製外箱★★A種(高圧用機械器具)★★29条
★制御装置(AC100V)の外箱★★D種(300V以下の低圧用)★★29条
★ZCTの2次側電路★★D種(高圧計器用変成器)★★28条

1台の機器の中に、A種とD種が混在します——部分ごとに適用条文が違うのです。

それらを1つの接地端子にまとめる場合、最も厳しい要求に合わせます——つまりA種(10Ω以下)です。

★共用接地の考え方

条文の言葉ダミー語違い
最も厳しい要求に合わせる★★最も厳しい要求に合わせる★平均的な値でよい★★1つの接地極を共用する場合
A種10Ω以下+D種100Ω以下→10Ω以下★★A種10Ω以下+D種100Ω以下→10Ω以下★70Ωでよい★★低いほうが要求水準

接地端子を共用すると、電位はすべて同じになります——だから最も低い値を満たす必要があるのです。

設問(3)は70Ω——D種としては適合しますが、A種としては不足です。

「D種接地工事(接地抵抗値70Ω)」という書き方が引っかけ——D種だけを見れば正しいからです。

★接地線の太さの換算

接地工事条文の規定断面積換算
★A種★★直径2.6mm以上の軟銅線★★約5.3mm²以上
★C種・D種★★直径1.6mm以上の軟銅線★★約2.0mm²以上

設問(1)は14mm²——A種の約5.3mm²を大きく上回るので適切です。

設問(2)は5.5mm²でD種——約2.0mm²以上を満たすので適切です。

直径と断面積の換算ができると、判定が速くなります

500kW以上の需要場所(設問(4))

受電電力750kWは500kW以上なので、避雷器が必要です——解釈37条三号

その避雷器にA種接地工事を施すのも条文どおり——だから適切です。

避雷器の設置義務と接地の種別、2つの条文が絡みます

木柱の上での接地の省略(設問(5))

条件接地の省略
★木柱その他これに類するものの上★★人が触れるおそれがない高さなら省略できる
★省略できる理由★★木は絶縁体で、触れる人もいない

省略できる場合でも、A種を施すこと自体は問題ありません——より安全側だからです。

設問(5)は「A種接地工事を施した」——適切です。

「省略できる=してはいけない」ではない——読み違えないことです。

零相変流器(ZCT)の役割

三相の電流の和(零相電流)を取り出す変流器です——地絡が起きると和がゼロでなくなります

DGR(方向性地絡継電器)と組み合わせて、構内の地絡を検出します

2次側電路はD種接地——高圧計器用変成器の規定(28条)です。

接地工事の種別を判定する手順

①その部分の使用電圧を見る——高圧か、300V超の低圧か、300V以下か

②特別な規定がないか確認する——避雷器はA種、高圧計器用変成器の2次側はD種

③共用する場合は最も厳しい値に合わせる——この3ステップで判定できます

PAS・UGSが果たす役割

機能内容
★区分★★構内と系統を切り分ける
★地絡検出★★DGR(方向性地絡継電器)で構内の地絡を判別する
★SOG動作★★短絡は系統停電中に開放、地絡は自力で開放する
★雷保護★★避雷器(LA)を内蔵する形式もある

構内で地絡が起きたとき、自分で切り離すのが最大の役割です——系統側の遮断器を落とさせないためです。

これが働かないと地域一帯が停電します——波及事故と呼ばれ、責任を問われます

接地抵抗を下げる方法

方法内容
★接地極を深く打ち込む★★深部ほど土壌が湿っていて抵抗率が低い
★接地極を並列に増やす★★十分に離して打つと合成抵抗が下がる
★接地抵抗低減剤★★接地極の周囲の土壌抵抗率を下げる

柱上のPASでは、電柱の根元に接地極を打ちます——10Ω以下を確保するのは容易ではありません

それでもA種が要求される——避雷器の性能がそれに懸かっているからです。

⏱️ 本番での進め方
避雷器の接地はA種(10Ω以下)——内蔵形でも同じ。
② 共用接地では最も厳しい要求に合わせる。
③ A種の接地線は直径2.6mm以上(約5.3mm²)
④ 「省略できる」は「してはいけない」ではない。

💡 覚え方
避雷器の接地はA種接地工事(接地抵抗値10Ω以下・接地線は直径2.6mm以上の軟銅線)。PASに内蔵された避雷器も同じ。高圧用機械器具の金属製外箱はA種、300V以下の低圧用機械器具の外箱と高圧計器用変成器の2次側電路はD種。共用する場合は最も厳しい値に合わせる。

⚠️ よくある間違い
内蔵避雷器の接地をD種(70Ω)で済ませるのは不適切——避雷器はA種(10Ω以下)。接地端子を共用しても、要求水準は下がらない。

まとめ

(1)避雷器A種14mm²正しい(2.6mm以上あればよい)
(2)制御装置(AC100V)D種正しい(低圧はD種)
(3)内蔵LAをD種70Ω不適切(避雷器はA種10Ω以下)
(4)750kW引込口LAにA種正しい(500kW以上)
(5)PAS外箱A種正しい/答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
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