今回は平成18年度 法規科目 A問題6、太陽電池モジュールの絶縁耐力(電気設備技術基準の解釈第16条)に関する空欄補充問題です。絶縁耐力試験の試験電圧の倍率・下限値・加圧時間が問われます。
覚える数値は「最大使用電圧の1.5倍の直流又は1倍の交流(500V未満となる場合は500V)を連続10分間」。絶縁耐力試験の1.5倍・1倍・10分間、下限500Vが定番です。
答えは(1):1倍・500V・10分間
太陽電池は直流を出す機器なのに、交流試験も認められています——試験装置の都合で選べるようにしてあるのです。
平成18年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成18年度 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく太陽電池モジュールの絶縁耐力に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく太陽電池モジュールの絶縁耐力に関する記述である。太陽電池モジュールは、最大使用電圧の1.5倍の直流電圧又は(ア)倍の交流電圧((イ)V未満となる場合は、(イ)V)を充電部分と大地との間に連続して(ウ)分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
(ア) (イ) (ウ) (1) 1 500 10 (2) 1 300 10 (3) 1.1 500 1 (4) 1.1 600 1 (5) 1.1 300 1

★なぜ直流は1.5倍で交流は1倍なのか
交流1倍の試験では、瞬時値は実効値の約1.41倍まで達している
直流は常にその値がかかり続けるので、波高値相当より少し高く設定する
交流は瞬間的に√2倍の電圧がかかります——実効値で1倍でも、絶縁体には1.41倍が加わっているのです。
直流にはこの山がないので、その分を最初から上乗せします——1.5倍という数字の根拠です。
「直流のほうが厳しい数字」と丸暗記するより、波高値で考えるほうが忘れません。
★下限500Vが置かれている理由
| 最大使用電圧 | 1倍の交流 | 実際の試験電圧 |
| ★200V | ★★200V | ★★500V(下限が効く) |
| ★400V | ★★400V | ★★500V(下限が効く) |
| ★600V | ★★600V | ★★600V |
低い電圧のモジュールでも、最低500Vはかけて確かめます——倍率だけでは試験にならないほど電圧が小さくなるからです。
「300V」「600V」というダミーがよく置かれます——500Vという数字を単独で覚えておくことです。
★10分間はどの絶縁耐力試験でも共通
| 対象 | 試験電圧 | 時間 |
| ★高圧の電路(7 000V以下) | ★★最大使用電圧の1.5倍 | ★★10分間 |
| ★ケーブルの電路 | ★★交流試験電圧の2倍の直流 | ★★10分間 |
| ★太陽電池モジュール | ★★直流1.5倍/交流1倍(下限500V) | ★★10分間 |
| ★燃料電池 | ★★直流1.5倍/交流1倍(下限500V) | ★★10分間 |
時間だけは全部10分間——ここが揺れることはありません。
令和2年度 A問題3は6 600V電路の試験電圧を計算する問題です。本記事と合わせると、絶縁耐力の全体像がつかめます。
★太陽電池には「切れない」という難しさがある
普通の発電機は、止めれば電圧がゼロになります——太陽電池は日が当たる限り発電し続けます。
遮断器を開いても、モジュール側は充電されたまま——作業者にとっては常に活線なのです。
だから絶縁が破れたときの危険が大きい——解釈が絶縁耐力を明文で定める理由です。
直流の地絡は検出しにくい
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 交流の地絡 | ★★交流の地絡 | ★直流の地絡 | ★★交流は零相変流器で検出しやすい |
| ZCT(零相変流器) | ★★ZCT(零相変流器) | ★直流地絡検出装置 | ★★直流には交流用のZCTが使えない |
零相変流器は、電流の変化を磁束の変化として拾います——変化しない直流では原理的に使えません。
だから直流側には専用の地絡検出方式が必要——太陽光発電設備の保護が難しい理由です。
太陽電池発電設備の主な保護
| 保護 | 内容 |
| ★逆流防止 | ★★他のストリングから電流が逆に流れ込むのを防ぐ |
| ★単独運転検出 | ★★系統停電時に自立して電気を送り続けないようにする |
| ★直流地絡検出 | ★★直流側の絶縁低下を検出する |
| ★雷サージ対策 | ★★屋外に広く展開するのでSPDを設ける |
単独運転は、停電した系統に電気を送り込んでしまう現象——復旧作業者が感電する危険があります。
だから系統が止まったら、自分も止まるように作ります——電力科目でも問われる重要テーマです。
最大使用電圧はどう決まるか
太陽電池は、日射と温度で開放電圧が変わります——低温ほど電圧が上がるという性質があります。
だから最大使用電圧は、想定される最低気温での開放電圧で決めます。
直列に接続する枚数(ストリング)が電圧を決める——設計段階で絶縁階級が決まるのです。
なぜ「充電部分と大地との間」なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 充電部分と大地との間 | ★★充電部分と大地との間 | ★心線相互間 | ★★モジュールは大地との絶縁が問われる |
| 太陽電池モジュール | ★★太陽電池モジュール | ★多心ケーブル | ★★ケーブルは心線相互間も試験する |
モジュールは架台に固定され、金属フレームが接地されます——だから充電部と大地の間の絶縁が要です。
雨や結露でフレームと充電部の間の絶縁が下がると、地絡します——屋外設置ならではの厳しさです。
絶縁耐力試験の前後にやること
| 段階 | 内容 |
| ★試験前 | ★★絶縁抵抗を測り、健全であることを確かめる |
| ★試験中 | ★★漏れ電流を監視しながら10分間保持する |
| ★試験後 | ★★残留電荷を放電し、再度絶縁抵抗を測る |
いきなり試験電圧をかけると、既に弱っている絶縁を壊してしまいます。
太陽電池は日射があると発電しているので、遮光してから作業します——実務ならではの注意点です。
燃料電池も同じ規定
解釈16条は、燃料電池にも同じ試験条件を課しています——直流1.5倍/交流1倍・下限500V・10分間。
どちらも直流を出す分散型電源——だから同じ枠でまとめられているのです。
「太陽電池と燃料電池はセット」と覚えておくと便利です。
太陽電池発電所の主任技術者
| 出力 | 区分 |
| ★50kW未満(低圧連系) | ★★一般用電気工作物 |
| ★50kW以上2 000kW未満 | ★★自家用(主任技術者の外部委託が可能) |
| ★2 000kW以上 | ★★自家用(主任技術者の選任が必要) |
太陽光発電設備は出力によって扱いが変わります——50kWと2 000kWが2つの境目です。
絶縁耐力の規定はどの規模にも及びます——技術基準は出力で緩まないのです。
⏱️ 本番での進め方
① 直流1.5倍・交流1倍——直流のほうが数字が大きい。
② 下限500V——300Vや600Vではない。
③ 10分間——絶縁耐力試験はどれも10分間。
④ 燃料電池も同じ条件。
💡 覚え方
解釈16条=太陽電池モジュール(燃料電池も同じ)は、最大使用電圧の1.5倍の直流電圧又は1倍の交流電圧(500V未満となる場合は500V)を充電部分と大地との間に連続して10分間加えて耐えること。
⚠️ よくある間違い
交流は「1.1倍」ではなく1倍。下限は「300V」「600V」ではなく500V。加圧時間は「1分」ではなく10分間。
まとめ
| 試験電圧(直流) | 最大使用電圧の1.5倍 |
| (ア)試験電圧(交流) | 最大使用電圧の1倍 |
| (イ)下限 | 500V未満は500V |
| (ウ)加圧時間 | 連続10分間 |
| 対象 | 太陽電池モジュール |
| 答え | (1) |
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