今回は平成19年度 法規科目 A問題9、低圧幹線の施設(電気設備技術基準の解釈第148条)に関する空欄補充問題です。電動機等が接続される低圧幹線の電線の許容電流の求め方が問われます。
覚える式は「電動機等の定格電流合計I_Mが他の機器I_H以下ならI_M+I_H、I_M>I_Hで50A以下なら1.25I_M+I_H、50A超なら1.1I_M+I_H」。50Aを境に1.25倍・1.1倍と係数が変わる点がカギです。
平成19年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成19年度 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧幹線の施設に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧幹線の施設に関する記述の一部である。低圧幹線に電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下「電動機等」という。)が接続される場合、当該幹線の電線の(ア)は、次による。
・電動機等の定格電流の合計が、他の電気使用機械器具の定格電流の合計以下の場合は、それらの定格電流の合計以上であること。
・電動機等の定格電流の合計が他の電気使用機械器具の定格電流の合計を超え、かつ、電動機等の定格電流の合計が(イ)A以下の場合は、電動機等の定格電流の合計の(ウ)倍に他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以上であること。
(ア) (イ) (ウ) (1) 負荷電流 50 1.25 (2) 許容電流 100 1.25 (3) 負荷電流 100 1.2 (4) 許容電流 50 1.25 (5) 許容電流 50 1.2

答えは(4):許容電流・50A・1.25倍
平成22年度 A問題6は同じ148条の過電流遮断器の省略条件を扱っています。本記事は許容電流の計算が主題です。
★3つの場合分けを式にする
始動電流の影響が小さいので、単純な合計でよい
始動電流を見込んで1.25倍する
大容量ほど始動電流の比率が小さいので1.1倍に緩和
判定は2段階——まずI_MとI_Hを比べ、次にI_Mが50A以下かを見ます。
係数を掛けるのは電動機等の分だけ——他の機器の分にはそのまま足します。
★具体的に計算してみる
2番目の式を使う
57.5A以上の電線を選ぶ
電動機の30Aを1.25倍して37.5A、そこに20Aを足して57.5A——手順どおりに計算すれば迷いません。
単純合計なら50Aで済むところ、57.5Aが要る——始動電流のための余裕です。
★50Aを超える場合
3番目の式を使う
係数が1.1に下がる
大容量の電動機は、始動時間が長い代わりに始動電流の倍率が相対的に小さくなります。
また複数台あれば同時に始動する確率も下がる——だから1.1倍に緩和されます。
50Aという境目は、この実態を反映した区切りです。
★「許容電流」と「負荷電流」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 許容電流 | ★★許容電流 | ★負荷電流 | ★★電線が流せる上限/実際に流れる電流 |
| 電線の性能 | ★★電線の性能 | ★回路の状態 | ★★何の話をしているか |
条文が定めているのは、電線を選ぶ基準です——だから許容電流。
負荷電流は結果として流れる電流——規定する対象ではありません。
「幹線の電線の〜」という主語から、電線の性能の話だとわかります。
過電流遮断器の定格電流の上限
始動電流で動作しないよう3倍まで認める
幹線の許容電流の2.5倍を超えてはならない
2つの上限のうち、小さいほうを採ります——B問題で頻出の計算です。
遮断器が大きすぎれば電線が守れず、小さすぎれば始動で落ちる——その両立点を条文が定めています。
なぜ始動電流を見込むのか
| 始動方式 | 始動電流 |
| ★全電圧始動(直入れ) | ★★定格の5〜7倍 |
| ★スターデルタ始動 | ★★直入れの1/3 |
| ★インバータ始動 | ★★定格程度 |
直入れなら定格の5〜7倍が数秒流れます——その熱を電線が受け止めるのです。
1.25倍という係数は、この繰り返しの熱を見込んだもの——連続で流せる電流の話ではありません。
電線の許容電流はどう決まるか
| 要因 | 影響 |
| ★導体の断面積 | ★★太いほど許容電流が大きい |
| ★絶縁物の耐熱温度 | ★★高いほど許容電流が大きい(IV60℃・CV90℃) |
| ★周囲温度 | ★★高いと低減する |
| ★同一管内の電線数 | ★★多いと電流減少係数がかかる |
管に3本まで収めるなら0.70、4本なら0.63——電流減少係数の代表値です。
放熱が悪くなるぶん、流せる電流が減ります——B問題で問われる計算です。
148条の全体像
| 項目 | 内容 |
| ★許容電流 | ★★I_M+I_H/1.25I_M+I_H/1.1I_M+I_H |
| ★過電流遮断器の施設 | ★★電源側電路に施設する(原則) |
| ★遮断器の省略 | ★★55%/8m35%/3m/太陽電池のみ |
| ★遮断器の定格電流 | ★★3I_M+I_H かつ 2.5I_W 以下 |
148条は、低圧幹線に関するすべてを定めた大条文です——だからA問題でもB問題でも出ます。
3つの側面(許容電流・省略条件・遮断器の定格)をそれぞれ押さえます。
電線の許容電流の代表値
| 導体の太さ | 単線の許容電流(600V IV・がいし引き) |
| ★直径1.6mm | ★★27A |
| ★直径2.0mm | ★★35A |
| ★直径2.6mm | ★★48A |
| ★断面積5.5mm² | ★★49A |
計算で求めた許容電流以上の電線を、この表から選びます——B問題の最後のステップです。
管に収める場合は電流減少係数を掛けます——3本以下なら0.70です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は許容電流——「負荷電流」ではない。
② (イ)は50A——100Aではない。
③ (ウ)は1.25倍——50A超なら1.1倍。
④ 係数を掛けるのは電動機等の分だけ。
💡 覚え方
解釈148条 低圧幹線の許容電流I_W=①I_M≦I_H なら I_M+I_H以上 ②I_M>I_H かつ I_M≦50A なら 1.25I_M+I_H以上 ③I_M>I_H かつ I_M>50A なら 1.1I_M+I_H以上。(I_M=電動機等の定格電流の合計、I_H=他の機械器具の定格電流の合計)
⚠️ よくある間違い
(ア)は「負荷電流」ではなく許容電流。(イ)は「100A」ではなく50A。(ウ)は「1.2倍」ではなく1.25倍。係数は電動機等の分にだけ掛ける。
まとめ
| (ア) | 電線の許容電流 |
| I_M≦I_H | I_M+I_H以上 |
| I_M>I_H・(イ)50A以下 | 1.25I_M+I_H以上 |
| I_M>50A | 1.1I_M+I_H以上 |
| (ウ)50A以下の係数 | 1.25倍 |
| 答え | (4) |
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