電気設備技術基準の解釈98【電験3種 法規】高圧保安工事は直径5mm・風圧荷重・断面積38mm²=(1) 平成19年度 A問題8 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成19年度 A問題8 径間を伸ばせる条件!断面積38mm²以上が必要

今回は平成19年度 法規科目 A問題8高圧保安工事(電気設備技術基準の解釈第70条)に関する空欄補充問題です。電線の太さ・木柱の安全率・径間を緩和できる硬銅より線の断面積が問われます。

覚える数値は「電線は8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線」「木柱の風圧荷重に対する安全率1.5以上」「径間緩和は引張強さ14.51kN以上又は断面積38mm²以上の硬銅より線+B種柱・鉄塔」。5mm・風圧荷重・38mm²がキーです。

目次

平成19年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成19年度 A問題8 問題文
平成19年度 法規科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成19年度 A問題8

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧保安工事に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

a.電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ8.01kN以上のもの又は直径(ア)mm以上の硬銅線であること。

b.木柱の(イ)に対する安全率は、1.5以上であること。

c.径間は、電線に引張強さ14.51kN以上のもの又は断面積(ウ)mm²以上の硬銅より線を使用し、かつ、支持物にB種鉄筋コンクリート柱、B種鉄柱又は鉄塔を使用する場合を除き、規定する値以下とすること。

(ア)(イ)(ウ)
(1)5風圧荷重38
(2)5引張荷重22
(3)4引張荷重38
(4)5風圧荷重22
(5)4風圧荷重60
答え(ア)5・(イ)風圧荷重・(ウ)38 = (1)

答えは(1):5mm・風圧荷重・38mm²

電気設備技術基準の解釈 第70条(高圧保安工事)

a 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線であること。/b 木柱の風圧荷重に対する安全率は、所定の値以上であること。/c 径間は、電線に引張強さ14.51kN以上のもの又は断面積38mm²以上の硬銅より線を使用し、かつ、支持物にB種鉄筋コンクリート柱、B種鉄柱又は鉄塔を使用する場合を除き、規定する値(木柱・A種100m、B種150m、鉄塔400m)以下とすること。

★太い電線と丈夫な支持物を使えば、径間の制限が外れます。

令和3年度 A問題6は径間の数値、平成24年度 A問題8は条文の改正を扱っています。

この記事は、径間の緩和条件を主軸にします

★径間の制限が外れる条件

条件内容
★電線★★引張強さ14.51kN以上又は断面積38mm²以上の硬銅より線
★支持物★★B種鉄筋コンクリート柱、B種鉄柱又は鉄塔
★効果★★高圧保安工事の径間制限(100m/150m)が適用されない

2つの条件を「かつ」で満たす必要があります——電線だけ太くしても、支持物が弱ければだめです。

電線が切れにくく、支持物も倒れにくいなら、径間を縮める必要がない——これが緩和の理屈です。

★14.51kN・38mm²という数値

用途引張強さ断面積
★高圧保安工事の電線(原則)★★8.01kN以上★★直径5mm以上
★径間の緩和条件★★14.51kN以上★★38mm²以上

8.01kNの約1.8倍が14.51kN——相当に太い電線です。

直径5mmの断面積は約19.6mm²——38mm²はその約2倍です。

「22mm²」というダミーが置かれます——38という数字を覚えます

★なぜA種柱・木柱は緩和されないのか

条文の言葉ダミー語違い
B種柱・鉄塔=緩和あり★★B種柱・鉄塔=緩和あり★A種柱・木柱=緩和なし★★基礎の作り方が違う
根かせ等で補強★★根かせ等で補強★根入れだけで自立★★支えられる荷重が違う

A種は柱を土に埋めるだけ、B種は基礎で固めます——耐えられる荷重が違うのです。

太い電線は重く、張力も大きい——それを支えるには丈夫な支持物が要るのです。

電線と支持物はセットで考える——だから条件も2つ組になっています

★径間を縮めると何が起きるか

$$D = \dfrac{WS^2}{8T}$$
電線の弛度(Wは単位重量、Sは径間、Tは張力)
径間の2乗に比例する
$$S: 150 \to 100 \Rightarrow D \times \left(\tfrac{2}{3}\right)^2 \approx 0.44$$
径間150m→100mでの弛度
弛度は約44%まで減り、地上高の余裕が大きくなる

径間を3分の2にすると、たるみは半分以下になります——2乗で効くからです。

たるみが減れば、下を通るものとの距離が稼げます——保安工事で径間を縮める理由です。

太い電線を強く張れば、同じ弛度をより長い径間で実現できる——だから緩和が成り立つのです。

木柱の安全率は改正されている

出題年度問題文の安全率
★平成19年度 問8(本問)★★1.5以上
★平成24年度 問8★★1.5以上
★令和3年度 問6★★2.0以上

平成期の問題文は1.5、令和3年度は2.0——その間に条文が改正されています

学習は現行の2.0で——低圧保安工事(69条)は1.5のままです。

本問で空欄になっているのは「風圧荷重」——数値そのものは問われていません

「風圧荷重」であって「引張荷重」ではない

条文の言葉ダミー語違い
木柱の風圧荷重に対する安全率★★木柱の風圧荷重に対する安全率★木柱の引張荷重に対する安全率★★柱が受けるのは風の力
支持物=風圧荷重★★支持物=風圧荷重★支線=引張荷重★★部材で受ける力が違う

柱を倒すのは風の力です——だから風圧荷重に対する安全率

引張荷重は支線に対する規定——支線の安全率は2.5以上、引張荷重10.7kN以上です。

部材ごとに受ける力が違う——語を取り違えないことです。

風圧荷重の3種類

種類適用する時期・場所
★甲種風圧荷重★★高温季
★乙種風圧荷重★★低温季で氷雪の多い地方(甲種の0.5倍+着氷)
★丙種風圧荷重★★低温季で氷雪の少ない地方(甲種の0.5倍)

季節と地方で使い分けます——夏は台風、冬は着氷という日本の気候を反映しています。

B問題の計算でも使われる区分です。

70条は3年度で問われている

年度問われた部分正解番号
★平成19年度 問8★★5mm・風圧荷重・38mm²(本問)★★(1)
★平成24年度 問8★★8.01kN・硬銅線・風圧・150m★★(2)
★令和3年度 問6★★8.01kN・5mm・100m・150m★★(2)

同じ条文でも、問われる箇所が毎回違います——条文全体を押さえる必要があるのです。

電線・安全率・径間・緩和条件の4点——これで70条は完成です。

低圧保安工事(69条)との比較

低圧保安工事高圧保安工事
★電線★★8.01kN以上/直径5mm以上★★同じ
★木柱の安全率★★1.5以上★★2.0以上(現行)
★径間★★木柱・A種100m以下等★★同じ

違うのは木柱の安全率だけ——低圧1.5/高圧2.0という対で覚えます。

数値が近いぶん、混同を狙った選択肢が作られます

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は5mm——4mmではない。8.01kNとセット。
② (イ)は風圧荷重——「引張荷重」は支線の話。
③ (ウ)は38mm²——22mm²ではない。
④ 緩和には太い電線かつB種柱・鉄塔の両方が必要。

💡 覚え方
解釈70条 高圧保安工事=①電線はケーブルを除き引張強さ8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線 ②木柱の風圧荷重に対する安全率は2.0以上(現行)③径間は木柱・A種100m以下/B種150m以下/鉄塔400m以下。ただし引張強さ14.51kN以上又は断面積38mm²以上の硬銅より線を使用し、かつB種鉄筋コンクリート柱・B種鉄柱・鉄塔を使用する場合は、この径間制限が外れる。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「4mm」ではなく5mm(イ)は「引張荷重」ではなく風圧荷重——引張荷重は支線の規定。(ウ)は「22mm²」ではなく38mm²

まとめ

(ア)電線8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線
(イ)木柱の安全率風圧荷重に対し1.5以上
(ウ)径間緩和の電線引張強さ14.51kN以上又は断面積38mm²以上の硬銅より線
径間緩和の支持物B種鉄筋コンクリート柱・B種鉄柱・鉄塔
趣旨断線・支持物倒壊の防止
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・高圧保安工事(電気設備技術基準の解釈80):【法規】平成24年度 A問題8
・発電機の保護装置(電気設備技術基準の解釈97):【法規】平成20年度 A問題10

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