今回は平成20年度 法規科目 A問題10、発電機の保護装置(電気設備技術基準の解釈第42条)に関する空欄補充問題です。発電機を電路から自動的に遮断すべき異常のケースが問われます。
覚える骨格は「過電流」「水車・風車の制御装置の電源電圧が著しく低下」「容量2000kVA以上の水車発電機のスラスト軸受温度上昇」「容量10000kVA以上の発電機の内部故障」。過電流・電圧低下・水車・内部がキーです。
平成20年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成20年度 A問題10
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における発電機の保護装置に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における発電機の保護装置に関する記述の一部である。発電機には、次の場合に、自動的にこれを電路から遮断する装置を施設すること。
・発電機に(ア)を生じた場合
・容量100kVA以上の発電機を駆動する風車の圧油装置の油圧、圧縮空気装置の空気圧又は電動式ブレード制御装置の電源電圧が著しく(イ)した場合
・容量2000kVA以上の(ウ)発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇した場合
・容量10000kVA以上の発電機の(エ)に故障を生じた場合
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 過電流 低下 水車 内部 (2) 過電流 上昇 水車 外部 (3) 過負荷 低下 風車 内部 (4) 過電流 低下 風車 外部 (5) 過負荷 上昇 水車 内部

答えは(1):過電流・低下・水車・内部
発電機は電源そのもの——異常時に切り離せなければ、事故が系統全体に広がります。
★容量ごとの保護を一覧にする
| 容量 | 保護すべき異常 |
| ★すべて | ★★過電流 |
| ★100kVA以上 | ★★風車の制御装置の電源電圧が著しく低下 |
| ★500kVA以上 | ★★水車の制御装置の電源電圧が著しく低下 |
| ★2 000kVA以上 | ★★水車発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇 |
| ★10 000kVA以上 | ★★発電機の内部に故障 |
容量が大きいほど、追加の保護が要求されます——被害が大きくなるからです。
100/500/2 000/10 000という4つの数値——小さい順に並べて覚えます。
★なぜスラスト軸受なのか
水車発電機の多くは縦軸形です——回転体の重量がすべて下向きにかかります。
その荷重を受けるのがスラスト軸受——数百トンを支えることもあります。
ここが焼き付けば、機械が破壊されます——だから温度監視が必須なのです。
★風車が100kVA、水車が500kVAである理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 風車=100kVA以上 | ★★風車=100kVA以上 | ★水車=500kVA以上 | ★★風車のほうが小さい容量から保護が要る |
| ブレード制御が止まると過回転 | ★★ブレード制御が止まると過回転 | ★ガイドベーン制御が止まると水量を絞れない | ★★どちらも制御不能になる |
風車は制御を失うと過回転して破壊されます——風は止められないからです。
ブレードのピッチ制御が唯一の減速手段——その電源が落ちれば即座に危険です。
だから小さい容量から保護を義務づけます。
★発電機の内部故障をどう検出するか
巻線の中で電流が失われないので差はゼロ
差が現れるので、比率差動継電器が動作する
比率差動継電器(87)は、入る電流と出る電流を比べます——差があれば内部で漏れているのです。
外部事故では差が出ないので、誤動作しません——内部故障だけを選んで検出できるのです。
電力科目・機械科目でも問われるテーマです。
発電機の主な保護継電器
| 継電器 | 検出するもの |
| ★過電流継電器(51) | ★★過負荷・外部短絡 |
| ★比率差動継電器(87) | ★★巻線の内部故障 |
| ★地絡過電圧継電器(64) | ★★固定子巻線の地絡 |
| ★逆電力継電器(67P) | ★★原動機が止まって電動機運転になった状態 |
逆電力継電器は、発電機が電動機として回り出すのを検出します——原動機を傷めるからです。
42条は最低限の要求——実務ではさらに手厚く保護します。
燃料電池・常用電源の保護(45条)
| 設備 | 自動遮断すべき場合 |
| ★燃料電池 | ★★出力の異常低下・燃料ガスの異常・空気の供給停止 |
| ★蓄電池 | ★★過電圧・過電流・制御装置異常・断熱容器の内部温度上昇(44条) |
| ★変圧器 | ★★内部故障・冷却装置の故障・温度上昇(43条) |
42条〜48条は「異常を検出して自動的に切り離す」条文群です——対象が違うだけで発想は同じ。
まとめて眺めると、記憶が整理されます。
「著しく低下した場合」という書き方
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 著しく低下した場合 | ★★著しく低下した場合 | ★低下した場合 | ★★わずかな変動では動作させない |
| 性能規定 | ★★性能規定 | ★数値規定 | ★★具体的な値は事業者が定める |
少し電圧が下がっただけで発電機を止めては、運用になりません——だから「著しく」という限定です。
具体的な整定値は保安規程や設計で決めます——法令が枠を示し、事業者が中身を埋めるのです。
常時監視をしない発電所との関係
無人の発電所では、設備が自分で止まる必要があります——人がいないからです。
42条の保護装置は、その前提条件——47条の2とセットで効いてきます。
平成27年度 A問題6が常時監視をしない発電所の3方式を扱っています。
変圧器の保護装置(解釈43条)
| 容量 | 自動遮断又は警報すべき場合 |
| ★5 000kVA以上10 000kVA未満 | ★★変圧器の内部故障(自動遮断又は警報) |
| ★10 000kVA以上 | ★★変圧器の内部故障(自動遮断) |
| ★他冷式の変圧器 | ★★冷却装置の故障・温度の著しい上昇 |
発電機と同じく、容量で要求が変わります——10 000kVAが1つの境目です。
他冷式(送油風冷式等)は冷却装置が止まると過熱します——だから冷却装置の故障も検出対象です。
調相設備の保護装置(解釈47条)
| 設備 | 容量 | 自動遮断すべき場合 |
| ★電力用コンデンサ・分路リアクトル | ★★500kvar超15 000kvar未満 | ★★内部故障・過電流 |
| ★同上 | ★★15 000kvar以上 | ★★内部故障・過電流・過電圧 |
| ★調相機 | ★★15 000kVA以上 | ★★内部故障 |
42条〜48条は「容量と異常の組合せ」で覚えます——発電機・変圧器・調相設備・蓄電池・燃料電池。
数値が多いので、表にして繰り返し確認するのが確実です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は過電流——「過負荷」ではない。
② (イ)は低下——制御装置の電源が落ちると制御不能になる。
③ (ウ)は水車発電機——スラスト軸受は縦軸機の要。
④ (エ)は内部故障——比率差動継電器で検出する。
💡 覚え方
解釈42条 発電機の保護装置=①過電流 ②容量500kVA以上の水車の圧油装置の油圧等が著しく低下 ③容量100kVA以上の風車の圧油装置の油圧等が著しく低下 ④容量2 000kVA以上の水車発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇 ⑤容量10 000kVA以上の発電機の内部に故障——の場合に自動的に電路から遮断する。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「過負荷」ではなく過電流。(イ)は「上昇」ではなく低下。(ウ)は「風車」ではなく水車——スラスト軸受は縦軸の水車発電機。(エ)は「外部」ではなく内部。
まとめ
| (ア) | 発電機に過電流 |
| (イ) | 制御装置の電源電圧が著しく低下 |
| (ウ)2000kVA以上 | 水車発電機のスラスト軸受温度上昇 |
| (エ)10000kVA以上 | 発電機の内部故障 |
| 装置 | 自動的に電路から遮断 |
| 答え | (1) |
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