電気設備技術基準の解釈97【電験3種 法規】発電機保護は過電流・電圧低下・水車・内部故障=(1) 平成20年度 A問題10 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成20年度 A問題10 発電機を自動停止させる場面!4つを押さえる

今回は平成20年度 法規科目 A問題10発電機の保護装置(電気設備技術基準の解釈第42条)に関する空欄補充問題です。発電機を電路から自動的に遮断すべき異常のケースが問われます。

覚える骨格は「過電流」「水車・風車の制御装置の電源電圧が著しく低下」「容量2000kVA以上の水車発電機のスラスト軸受温度上昇」「容量10000kVA以上の発電機の内部故障」。過電流・電圧低下・水車・内部がキーです。

目次

平成20年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成20年度 A問題10 問題文
平成20年度 法規科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成20年度 A問題10

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における発電機の保護装置に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における発電機の保護装置に関する記述の一部である。発電機には、次の場合に、自動的にこれを電路から遮断する装置を施設すること。

・発電機に(ア)を生じた場合

・容量100kVA以上の発電機を駆動する風車の圧油装置の油圧、圧縮空気装置の空気圧又は電動式ブレード制御装置の電源電圧が著しく(イ)した場合

・容量2000kVA以上の(ウ)発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇した場合

・容量10000kVA以上の発電機の(エ)に故障を生じた場合

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)過電流低下水車内部
(2)過電流上昇水車外部
(3)過負荷低下風車内部
(4)過電流低下風車外部
(5)過負荷上昇水車内部
答え(ア)過電流・(イ)低下・(ウ)水車・(エ)内部 = (1)

答えは(1):過電流・低下・水車・内部

電気設備技術基準の解釈 第42条(発電機の保護装置)

発電機には、次の場合に、自動的にこれを電路から遮断する装置を施設すること。/一 発電機に過電流を生じた場合/二 容量500kVA以上の発電機を駆動する水車の圧油装置の油圧、圧縮空気装置の空気圧又は電動式ガイドベーン制御装置等の電源電圧が著しく低下した場合/三 容量100kVA以上の発電機を駆動する風車の圧油装置の油圧、圧縮空気装置の空気圧又は電動式ブレード制御装置の電源電圧が著しく低下した場合/四 容量2 000kVA以上の水車発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇した場合/五 容量10 000kVA以上の発電機の内部に故障を生じた場合

★容量の数値(100・500・2 000・10 000kVA)とセットで覚えます。

発電機は電源そのもの——異常時に切り離せなければ、事故が系統全体に広がります

★容量ごとの保護を一覧にする

容量保護すべき異常
★すべて★★過電流
★100kVA以上★★風車の制御装置の電源電圧が著しく低下
★500kVA以上★★水車の制御装置の電源電圧が著しく低下
★2 000kVA以上★★水車発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇
★10 000kVA以上★★発電機の内部に故障

容量が大きいほど、追加の保護が要求されます——被害が大きくなるからです。

100/500/2 000/10 000という4つの数値——小さい順に並べて覚えます

★なぜスラスト軸受なのか

水車発電機の多くは縦軸形です——回転体の重量がすべて下向きにかかります

その荷重を受けるのがスラスト軸受——数百トンを支えることもあります

ここが焼き付けば、機械が破壊されます——だから温度監視が必須なのです。

★風車が100kVA、水車が500kVAである理由

条文の言葉ダミー語違い
風車=100kVA以上★★風車=100kVA以上★水車=500kVA以上★★風車のほうが小さい容量から保護が要る
ブレード制御が止まると過回転★★ブレード制御が止まると過回転★ガイドベーン制御が止まると水量を絞れない★★どちらも制御不能になる

風車は制御を失うと過回転して破壊されます——風は止められないからです。

ブレードのピッチ制御が唯一の減速手段——その電源が落ちれば即座に危険です。

だから小さい容量から保護を義務づけます

★発電機の内部故障をどう検出するか

$$\dot{I_1} – \dot{I_2} = 0$$
健全時の差動回路(I₁は入口電流、I₂は出口電流)
巻線の中で電流が失われないので差はゼロ
$$\dot{I_1} – \dot{I_2} \neq 0$$
内部で層間短絡・地絡が生じた場合
差が現れるので、比率差動継電器が動作する

比率差動継電器(87)は、入る電流と出る電流を比べます——差があれば内部で漏れているのです。

外部事故では差が出ないので、誤動作しません——内部故障だけを選んで検出できるのです。

電力科目・機械科目でも問われるテーマです。

発電機の主な保護継電器

継電器検出するもの
★過電流継電器(51)★★過負荷・外部短絡
★比率差動継電器(87)★★巻線の内部故障
★地絡過電圧継電器(64)★★固定子巻線の地絡
★逆電力継電器(67P)★★原動機が止まって電動機運転になった状態

逆電力継電器は、発電機が電動機として回り出すのを検出します——原動機を傷めるからです。

42条は最低限の要求——実務ではさらに手厚く保護します

燃料電池・常用電源の保護(45条)

設備自動遮断すべき場合
★燃料電池★★出力の異常低下・燃料ガスの異常・空気の供給停止
★蓄電池★★過電圧・過電流・制御装置異常・断熱容器の内部温度上昇(44条)
★変圧器★★内部故障・冷却装置の故障・温度上昇(43条)

42条〜48条は「異常を検出して自動的に切り離す」条文群です——対象が違うだけで発想は同じ

まとめて眺めると、記憶が整理されます

「著しく低下した場合」という書き方

条文の言葉ダミー語違い
著しく低下した場合★★著しく低下した場合★低下した場合★★わずかな変動では動作させない
性能規定★★性能規定★数値規定★★具体的な値は事業者が定める

少し電圧が下がっただけで発電機を止めては、運用になりません——だから「著しく」という限定です。

具体的な整定値は保安規程や設計で決めます——法令が枠を示し、事業者が中身を埋めるのです。

常時監視をしない発電所との関係

無人の発電所では、設備が自分で止まる必要があります——人がいないからです。

42条の保護装置は、その前提条件——47条の2とセットで効いてきます

平成27年度 A問題6が常時監視をしない発電所の3方式を扱っています。

変圧器の保護装置(解釈43条)

容量自動遮断又は警報すべき場合
★5 000kVA以上10 000kVA未満★★変圧器の内部故障(自動遮断又は警報)
★10 000kVA以上★★変圧器の内部故障(自動遮断)
★他冷式の変圧器★★冷却装置の故障・温度の著しい上昇

発電機と同じく、容量で要求が変わります——10 000kVAが1つの境目です。

他冷式(送油風冷式等)は冷却装置が止まると過熱します——だから冷却装置の故障も検出対象です。

調相設備の保護装置(解釈47条)

設備容量自動遮断すべき場合
★電力用コンデンサ・分路リアクトル★★500kvar超15 000kvar未満★★内部故障・過電流
★同上★★15 000kvar以上★★内部故障・過電流・過電圧
★調相機★★15 000kVA以上★★内部故障

42条〜48条は「容量と異常の組合せ」で覚えます——発電機・変圧器・調相設備・蓄電池・燃料電池

数値が多いので、表にして繰り返し確認するのが確実です。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は過電流——「過負荷」ではない。
② (イ)は低下——制御装置の電源が落ちると制御不能になる。
③ (ウ)は水車発電機——スラスト軸受は縦軸機の要。
④ (エ)は内部故障——比率差動継電器で検出する。

💡 覚え方
解釈42条 発電機の保護装置=①過電流 ②容量500kVA以上の水車の圧油装置の油圧等が著しく低下 ③容量100kVA以上の風車の圧油装置の油圧等が著しく低下 ④容量2 000kVA以上の水車発電機のスラスト軸受の温度が著しく上昇 ⑤容量10 000kVA以上の発電機の内部に故障——の場合に自動的に電路から遮断する。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「過負荷」ではなく過電流(イ)は「上昇」ではなく低下(ウ)は「風車」ではなく水車——スラスト軸受は縦軸の水車発電機。(エ)は「外部」ではなく内部

まとめ

(ア)発電機に過電流
(イ)制御装置の電源電圧が著しく低下
(ウ)2000kVA以上水車発電機のスラスト軸受温度上昇
(エ)10000kVA以上発電機の内部故障
装置自動的に電路から遮断
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・発電機の保護装置(電気設備技術基準の解釈34):【法規】令和3年度 A問題5
・B種接地工事の目的(電気設備技術基準の解釈96):【法規】平成20年度 A問題9

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