電気設備技術基準の解釈96【電験3種 法規】B種接地の目的は高低圧混触時の低圧電位上昇防止=(3) 平成20年度 A問題9 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成20年度 A問題9 B種接地は何のため?混触時の低圧側を守る

今回は平成20年度 法規科目 A問題9B種接地工事を施す主たる目的(電気設備技術基準の解釈第24条)に関する問題です。4種類の接地工事のうち、B種接地の役割を正しく理解しているかが問われます。

ポイントは「B種接地は高圧・特別高圧と低圧が混触したときに、低圧電路の電位上昇を抑えて危険を防止する」こと。変圧器の高圧側と低圧側が混触すると低圧側に高い電圧が現れるため、これを接地で逃がします。

目次

平成20年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成20年度 A問題9 問題文
平成20年度 法規科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成20年度 A問題9

 「電気設備技術基準の解釈」に基づくB種接地工事を施す主たる目的として、正しいのは次のうちどれか。

(1)低圧電路の漏電事故時の危険を防止する。
(2)高圧電路の過電流保護継電器の動作を確実にする。
(3)高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路との混触時の、低圧電路の電位上昇の危険を防止する。
(4)高圧電路の変圧器の焼損を防止する。
(5)避雷器の動作を確実にする。

答えB種接地の目的は高低圧混触時の低圧電位上昇の防止 = (3)

答えは(3):高低圧混触時の低圧電位上昇の防止

電気設備技術基準の解釈 第24条(高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設)

高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次のいずれかの箇所にB種接地工事を施すこと。/a 低圧側の中性点/b 低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子/c 低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板

★条文の題名そのものが「混触による危険防止施設」です。

B種接地の目的は、条文の題名に書かれています——高低圧の混触による危険を防ぐことです。

★4種類の接地工事の目的を対比する

種類対象目的
★A種★★高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器★★触れた人を感電から守る
★B種★★高圧/低圧を結合する変圧器の低圧側★★混触時の低圧電路の電位上昇を防ぐ
★C種★★300V超の低圧機器の外箱★★触れた人を感電から守る
★D種★★300V以下の低圧機器の外箱★★触れた人を感電から守る

A・C・Dは「機器の外箱」を接地して人を守ります——目的は同じで、電圧で種別が分かれるだけです。

B種だけが「電路そのもの」を接地します——目的も独自なのです。

この対比を押さえれば、本問は即答できます

★混触が起きるとどうなるか

段階起きること
★① 絶縁破壊★★変圧器内部で高圧巻線と低圧巻線が触れる
★② 電位上昇★★低圧側の電路全体に6 600Vが現れる
★③ 被害★★家庭の配線・機器が焼損、人が感電

柱上変圧器1台の故障が、その先の全需要家に及びます——被害の範囲が桁違いです。

だからB種接地で電位上昇を抑える——系統を守る接地なのです。

★B種接地はどう効くのか

V = I_g R_B
混触時に低圧側に現れる電位
1線地絡電流I_gがB種接地抵抗R_Bを流れて生じる
$$R_B \leq \dfrac{150}{I_g} \Rightarrow V \leq 150\,\mathrm{V}$$
接地抵抗値の上限
対地電圧を150V以下に抑える条件

接地抵抗が低ければ、電位上昇も小さくなります——オームの法則そのままです。

だからB種の接地抵抗値は150/I(Ω)以下と定められます——解釈17条です。

平成30年度 A問題5がその接地抵抗値の計算を扱っています。

★他の選択肢がなぜ違うのか

選択肢正しくはどの接地・装置の役割か
★低圧電路の漏電事故時の危険防止★★C種・D種接地(機器外箱の接地)
★高圧電路の過電流保護継電器の動作確実化★★保護継電器とCTの役割
★高圧電路の変圧器の焼損防止★★過電流遮断器・保護継電器
★避雷器の動作確実化★★A種接地(避雷器の接地)

どれももっともらしい記述です——しかしB種の目的ではありません

「混触」という語が出てくるのはB種だけ——これが見分けの決め手です。

混触防止板という別の手段

条文の言葉ダミー語違い
B種接地★★B種接地★混触防止板★★電位上昇を抑える/そもそも触れさせない
低圧側中性点を接地★★低圧側中性点を接地★巻線間に金属板を入れて接地★★対策の位置が違う

混触防止板は、1次巻線と2次巻線の間に入れる金属板です——触れる前に地絡させます

低圧電路を非接地のまま使いたいときの手段——水中照明(187条)でも使われていました

「防ぐ」と「備える」の2つの道——解釈はどちらも用意しています

B種接地の施設箇所

箇所使う場面
★低圧側の中性点★★原則。単相3線式・三相4線式など
★低圧側の1端子★★使用電圧300V以下で中性点に施し難いとき
★混触防止板★★低圧電路が非接地である場合

単相2線式には中性点がありません——だから1端子接地が用意されているのです。

平成27年度 A問題5がこの施設箇所を正面から扱っています。

B種接地線が太い理由

B種の接地線は直径4mm以上——A種の2.6mm、C種・D種の1.6mmより太いのです。

混触時には高圧側の地絡電流がそのまま流れます——細ければ溶断してしまうのです。

接地線が切れれば、電位上昇を抑えられません——だから太さが要求されるのです。

柱上変圧器のB種接地

電柱の上の変圧器から、接地線が地面まで下りています——あれがB種接地です。

低圧側の中性線に接続され、大地へつながっています——だから家庭のコンセントの片方は大地電位なのです。

身近な設備が条文を体現しています

B種接地の接地抵抗値

遮断時間接地抵抗値許される対地電圧
★遮断装置なし★★150/I★★150V
★1秒超2秒以下★★300/I★★300V
★1秒以下★★600/I★★600V

Iは高圧側の1線地絡電流(A)です——「許容電流」ではありません

速く切れるなら高い電圧が出てもよい——危険は「電圧×時間」で決まるからです。

接地線の太さ

接地工事接地線の太さ
★A種★★直径2.6mm以上の軟銅線
★B種(高圧と低圧を結合)★★直径4mm以上の軟銅線
★C種・D種★★直径1.6mm以上の軟銅線

B種がいちばん太い——混触時に高圧側の地絡電流がそのまま流れるからです。

接地線が溶断すれば、電位上昇を抑えられません——太さにも意味があるのです。

接地の3つの役割

種類役割
★保安接地(A・C・D種)★★機器の外箱に触れた人を守る
★系統接地(B種・中性点接地)★★系統の電位を確定し、保護装置を動かす
★機能接地★★電子機器の基準電位を確保する

B種は系統接地に分類されます——機器ではなく電路を接地するからです。

役割で分けると、接地の全体像が整理できます

⏱️ 本番での進め方
① B種の目的は高低圧混触時の低圧電路の電位上昇防止
② A・C・Dは機器の外箱を接地して人を守る。
③ B種だけが電路そのものを接地する。
④ 「混触」という語が出るのはB種だけ

💡 覚え方
接地工事の目的=A種は高圧・特別高圧機器の外箱等、C種は300V超の低圧機器の外箱、D種は300V以下の低圧機器の外箱(いずれも触れた人を感電から守る)。B種だけが高圧・特別高圧と低圧を結合する変圧器に施し、混触時の低圧電路の電位上昇による危険を防止する。

⚠️ よくある間違い
「低圧電路の漏電事故時の危険防止」はC種・D種の役割「避雷器の動作確実化」はA種。B種は混触対策という独自の目的を持つ。

まとめ

(1)低圧漏電時の危険防止C種/D種の役割→誤り
(2)過電流継電器の動作確実化B種の目的でない→誤り
(3)高低圧混触時の低圧電位上昇防止B種の目的→正しい
(4)変圧器焼損防止B種の目的でない→誤り
(5)避雷器動作確実化B種の目的でない→誤り
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・接地工事の種類及び施工方法(電気設備技術基準の解釈48):【法規】平成30年度 A問題5
・結合変圧器に施す接地工事(電気設備技術基準の解釈64):【法規】平成27年度 A問題5

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