今回は平成28年度 法規科目 A問題6、太陽電池モジュールの絶縁性能及び太陽電池発電所に施設する電線(電気設備技術基準の解釈第16・46条)に関する空欄補充問題です。絶縁耐力試験の条件と、直流ケーブルの使用電圧が問われます。
覚える数値は「絶縁耐力=最大使用電圧の1.5倍の直流又は1倍の交流を10分間」「太陽電池発電設備用直流ケーブルは直流1500V以下」。絶縁耐力試験の1.5倍・10分間は他機器と共通の定番です。
平成28年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成28年度 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく太陽電池モジュールの絶縁性能及び太陽電池発電所に施設する電線に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a 太陽電池モジュールは、最大使用電圧の(ア)倍の直流電圧又は(イ)倍の交流電圧(500V未満となる場合は、500V)を充電部分と大地との間に連続して(ウ)分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
b 太陽電池発電所に施設する高圧の直流電路の電線(電気機械器具内の電線を除く。)として、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所において、太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用する場合、使用電圧は直流(エ)V以下であること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 1.5 1 1 1000 (2) 1.5 1 10 1500 (3) 2 1 10 1000 (4) 2 1.5 10 1000 (5) 2 1.5 1 1500

答えは(2):1.5倍・1倍・10分間・1 500V
平成18年度 A問題6と令和5年度上期 A問題4も16条5項を扱っています。
この記事は、46条の直流1 500Vを主軸にします。
★なぜ直流1 500Vなのか
電圧を上げれば電流が下がる
電流が半分なら損失は4分の1
太陽光発電所では、直流部分の電圧を上げるほど有利です——電線を細くでき、損失も減ります。
従来の上限は直流750V(低圧の上限)でした——国際的には1 500Vが主流になっています。
それに合わせて、条件付きで1 500Vまで認めるようにした——これが46条の意味です。
★直流1 500Vは「高圧」の直流電路
| 区分 | 直流 |
| ★低圧 | ★★750V以下 |
| ★高圧 | ★★750V超 7 000V以下 |
| ★特別高圧 | ★★7 000V超 |
直流1 500Vは、電圧の種別では「高圧」です——だから条文も「高圧の直流電路」と書いています。
高圧なので、本来は厳しい規定がかかります——それを専用ケーブルで緩和する仕組みです。
★「取扱者以外の者が立ち入らないような措置」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 取扱者以外が立ち入らない措置 | ★★取扱者以外が立ち入らない措置 | ★誰でも入れる場所 | ★★立入制限が緩和の前提 |
| フェンスで囲われた発電所 | ★★フェンスで囲われた発電所 | ★住宅の屋根 | ★★適用できる場所が違う |
メガソーラーは、フェンスで囲われた専用の敷地にあります——一般の人は立ち入りません。
だから高い電圧を認めても、感電の危険が小さい——この条件があって初めて1 500Vが許されるのです。
住宅の屋根には適用できません——条文の適用範囲を読むことが大切です。
★太陽電池発電設備用直流ケーブル
| 項目 | 特徴 |
| ★耐候性 | ★★屋外で長期間、紫外線と温度変化に耐える |
| ★耐熱性 | ★★モジュール裏面の高温に耐える |
| ★絶縁 | ★★直流1 500Vに対応した絶縁厚さ |
| ★可とう性 | ★★架台に沿わせて配線しやすい |
一般のCVケーブルとは別に規格化された専用品です——PVケーブルとも呼ばれます。
製品の性能で条文の要求を満たす——だから「専用ケーブルを使う場合」と限定されます。
16条5項の3つの数値
| 項目 | 値 | ダミー |
| ★直流試験電圧 | ★★最大使用電圧の1.5倍 | ★★2倍 |
| ★交流試験電圧 | ★★最大使用電圧の1倍 | ★★1.5倍 |
| ★加圧時間 | ★★10分間 | ★★1分間 |
直流1.5倍・交流1倍・10分間——3つセットで覚えます。
直流のほうが数字が大きいのは、交流には波高値があるから——実効値の√2倍が瞬時にかかっています。
なぜ太陽電池だけ耐力試験なのか
太陽電池は屋外に長年さらされます——雨・紫外線・温度変化・塩害。
絶縁抵抗を測るだけでは、弱っている箇所を見つけられません——破壊寸前まで値が下がらないことがあるのです。
だから実際に電圧をかけて確かめます——それが耐力試験です。
直流回路の危険
| 交流 | 直流 | |
| ★電流のゼロ点 | ★★1秒間に100〜120回ある | ★★ない |
| ★アークの消弧 | ★★ゼロ点で自然に消える | ★★強制的に引き伸ばして消す |
| ★地絡の検出 | ★★ZCTで検出できる | ★★専用の検出方式が必要 |
電圧が1 500Vに上がれば、アークもさらに消えにくくなります——直流用の開閉器が必須です。
だから絶縁を確実にすることが、いっそう重要になるのです。
46条が新設された背景
太陽光発電の大規模化に伴い、直流電圧を上げる要求が強まりました——1 500Vが世界標準になったのです。
日本でも専用ケーブルの規格が整備され、条文が追随しました——技術の進歩が法令を動かした例です。
新しい条文は数年以内に出題される——法規科目の鉄則です。
太陽電池発電設備の構成
| 単位 | 内容 |
| ★セル | ★★最小単位。1枚で約0.5〜0.6V |
| ★モジュール(パネル) | ★★セルを直列にまとめて枠に収めたもの |
| ★ストリング | ★★モジュールを直列に接続したもの |
| ★アレイ | ★★ストリングを並列に接続した全体 |
直列枚数が増えるほど電圧が上がります——1 500Vならモジュール30〜40枚程度の直列です。
16条が対象にするのはモジュール、46条は電路の電線——対象が違うことに注意します。
太陽電池の出力は温度で変わる
低温ほど開放電圧が上がる
この最悪条件で最大使用電圧を決める
太陽電池は、寒いほど電圧が上がります——晴れた冬の朝がいちばん高いのです。
だから最大使用電圧は想定最低気温で計算します——そこから試験電圧が決まるのです。
太陽電池発電設備の事故
| 事故 | 原因 |
| ★直流地絡 | ★★絶縁劣化・浸水・ケーブルの損傷 |
| ★直流アーク | ★★コネクタの接触不良(直流は消弧しにくい) |
| ★ホットスポット | ★★影や汚れでセルが発熱する |
| ★飛散・倒壊 | ★★台風による架台の破損 |
電圧が1 500Vに上がると、アーク事故の危険も増します——だから絶縁性能の確認がいっそう重要です。
16条の耐力試験は、その第一関門です。
⏱️ 本番での進め方
① 直流は1.5倍、交流は1倍。
② 加圧時間は10分間——1分間ではない。
③ 太陽電池発電設備用直流ケーブルは直流1 500V以下。
④ 1 500Vが使えるのは取扱者以外が立ち入らない措置がある場所。
💡 覚え方
解釈16条5項=太陽電池モジュールは最大使用電圧の1.5倍の直流電圧又は1倍の交流電圧(500V未満は500V)を充電部分と大地との間に連続10分間加えて耐える。解釈46条=太陽電池発電所の高圧の直流電路で、取扱者以外が立ち入らない措置を講じた場所において太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用する場合、使用電圧は直流1 500V以下。
⚠️ よくある間違い
直流は「2倍」ではなく1.5倍、交流は「1.5倍」ではなく1倍。加圧時間は「1分」ではなく10分間。直流ケーブルは「1 000V」ではなく1 500V。
まとめ
| (ア)試験電圧(直流) | 最大使用電圧の1.5倍 |
| (イ)試験電圧(交流) | 最大使用電圧の1倍(下限500V) |
| (ウ)加圧時間 | 連続10分間 |
| (エ)直流ケーブル | 使用電圧は直流1500V以下 |
| 適用場所 | 取扱者以外立入禁止措置場所 |
| 答え | (2) |
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