今回は令和7年度下期 電力科目 A問題6、避雷器に関する空欄補充問題です。雷サージなどの過電圧から機器を守る避雷器のしくみ——特性要素・続流・ギャップレスという頻出キーワードを一気に整理できます。
覚えるべき軸は3つ。①過電圧の波高値がある値を超えたら動作、②特性要素はZnO(酸化亜鉛)で非線形の抵抗特性、③放電後は続流を遮断——そして発変電所用はギャップレス避雷器が主流です。
令和2年度A9とまったく同じ問題
問題文が一字一句同じで、選択肢の並びだけが違います。
| 空欄 | 答え | 令和2年度 | 令和7年度下期 |
| (ア) | ★波高値 | ★(2) | ★(1) |
| (イ) | ★ZnO | ★同じ | ★同じ |
| (ウ) | ★非線形 | ★同じ | ★同じ |
| (エ) | ★続流 | ★同じ | ★同じ |
| (オ) | ★ギャップレス | ★同じ | ★同じ |
答えの中身は同じで、番号だけが(2)から(1)へ変わりました——選択肢の順序を入れ替えただけです。
5年を隔てた再出題——過去問を解いておけば確実に取れます。
番号を覚えるのではなく、語を覚えることが大切——並びは変わるからです。
令和7年度下期 電力科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6
電験3種 電力科目 【変電】 令和7年度下期 A問題6
次の文章は、避雷器に関する記述である。
避雷器は、雷又は回路の開閉などに起因する過電圧の(ア)がある値を超えた場合、放電により過電圧を抑制して、電気施設の絶縁を保護する装置である。特性要素としては(イ)が広く用いられ、その(ウ)の抵抗特性により、過電圧に伴う電流のみを大地に放電させ、放電後は(エ)を遮断することができる。発変電所用避雷器では、(イ)の優れた電圧-電流特性を利用し、放電耐量が大きく、放電遅れのない(オ)避雷器が主に使用されている。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 波高値 ZnO 非線形 続流 ギャップレス (2) 波頭長 ZnO 非線形 制限電圧 ギャップレス (3) 波高値 SF6 線形 制限電圧 直列ギャップ付き (4) 波高値 ZnO 線形 続流 直列ギャップ付き (5) 波頭長 SF6 非線形 続流 直列ギャップ付き
出題のポイント:避雷器の5語を動作でつなぐ

避雷器は、過電圧の波高値が動作レベルを超えるとZnO素子の非線形抵抗特性でサージ電流を大地へ逃がし、電圧が戻ると続流を遮断します。発変電所用ではギャップレス避雷器が主流です。
解法の原理:ZnO避雷器の動作を4段階で理解する

| 年度 | 問われた中心 | 答え |
| ★平成18年度 A4 | ★直撃雷は防げないという点 | ★(4)が誤り |
| ★平成23年度 A10 | ★制限電圧と絶縁協調 | ★(1) |
| ★平成27年度 A7 | ★ギャップの使い分け | ★(1) |
| ★令和2年度 A9 | ★特性要素と続流 | ★(2) |
| ★令和7年度下期 A6 | ★同上(再出題) | ★(1) |
変電の中でもGISと並ぶ最頻出テーマ——5年度で問われています。
問われる語は限られています——波高値・ZnO・非線形・続流・ギャップレス。
この5語を押さえれば、空欄補充型は確実——記述型でも判断できます。
問題の解説:5つの空欄を埋めて選択肢(1)を確定

ばらばらに覚えるより、動作の流れで押さえます。
| 段階 | 起きること | 関わる語 |
| ★① | ★過電圧の波高値がある値を超える | ★波高値 |
| ★② | ★ZnO素子の抵抗が急激に下がる | ★ZnO・非線形 |
| ★③ | ★サージ電流が大地へ流れ電圧が制限される | ★— |
| ★④ | ★電圧が戻ると抵抗が上がり電流が止まる | ★続流 |
| ★⑤ | ★ギャップがないので遅れなく動作する | ★ギャップレス |
すべて非線形抵抗特性から出てきます——1つの性質が開閉の両方をこなすのです。
電圧が上がれば開き、下がれば閉じる——自動的なスイッチだと言えます。
⚠️ よくある間違い
(ア)を「波頭長」としてしまう——選択肢(2)(5)がそれです。波頭長は波形の形、波高値は大きさ。
(イ)を「SF6」としてしまう——選択肢(3)(5)。SF6はGISの絶縁ガスで避雷器の素子ではありません。
(ウ)を「線形」としてしまう——選択肢(3)(4)。線形ならオームの法則どおりで避雷器になりません。
(エ)を「制限電圧」としてしまう——選択肢(2)(3)。遮断するのは電流です。
(オ)を「直列ギャップ付き」としてしまう——選択肢(3)(4)(5)。発変電所用はギャップレス。
(イ)だけで(1)(2)(4)に絞れます。
⏱️ 本番での進め方
①★5語を覚える:波高値・ZnO・非線形・続流・ギャップレス。
②★令和2年度と完全に同じ問題。番号だけ違う。
③★SF6は絶縁ガス。避雷器の素子ではない。
④遮断するのは続流という電流。制限電圧ではない。
💡 覚え方
「番号ではなく語を覚える」——選択肢の並びは変わります。5語をつなげて動作の流れで押さえれば、どんな並びでも選べるようになります。
まったく同じ問題が令和2年度 A問題9(変電:避雷器)にあります。ギャップの使い分けは平成27年度 A問題7(変電:避雷器とその役割)へ。
ZnO素子の中で起きていること
(イ)(ウ)の非線形性が、どこから生まれるか見ましょう。
| 構造 | 内容 |
| ★酸化亜鉛の粒 | ★直径10〜50 μm。それ自体は導電性がある |
| ★粒界層 | ★粒と粒の境目にできる薄い高抵抗層 |
| ★1つの粒界の耐圧 | ★約3 V |
抵抗を担っているのは粒界層です——粒そのものではありません。
低い電圧では粒界層が壁になり、電流を通しません——だから平常時はマイクロアンペア級。
高い電圧がかかると、その壁を電子が突き抜けます——すると急激に導通するのです。
粒界1つで3 V なので、必要な耐圧に応じて厚みを決めます——直列につながった粒界の数で決まることになります。
この壁の性質が、そのまま非線形抵抗特性の正体——材料の構造が機能を生んでいます。
要点をもう一度
5つの語を、動作の流れで押さえます。
| 空欄 | 答え | 誤答の型 |
| (ア) | ★波高値 | ★波頭長(形の話) |
| (イ) | ★ZnO | ★SF6(GISの絶縁ガス) |
| (ウ) | ★非線形 | ★線形(オームの法則) |
| (エ) | ★続流 | ★制限電圧(電流ではない) |
| (オ) | ★ギャップレス | ★直列ギャップ付き(配電用) |
誤答はすべて「別の場面では正しい語」です——だから紛らわしいのです。
SF6も制限電圧も直列ギャップ付きも、実在する用語——使う場所が違うだけになります。
配電用との違いを押さえる
| ★発変電所用 | ★配電用 | |
| ★形式 | ★ギャップレス | ★直列ギャップ付き |
| ★重視すること | ★確実な保護 | ★経済性・耐久性 |
問題文が「発変電所用避雷器では」と限定しています——だからギャップレスです。
避雷器の劣化診断
ギャップレス避雷器には、点検の課題もあります。
| 項目 | 内容 |
| ★漏れ電流の測定 | ★常時流れる微小電流を監視する |
| ★増加の意味 | ★素子の劣化・吸湿を示す |
| ★測定方法 | ★接地線に電流計を入れる |
ギャップがないので、平常時もわずかに電流が流れます——マイクロアンペア級です。
その値が増えていれば、素子が劣化している証拠——運転したまま診断できるのです。
直列ギャップ付きでは、平常時に電流が流れません——だからこの方法が使えないことになります。
ギャップレスの利点は、動作の確実さだけではない——状態を監視できることも大きいのです。
避雷器を設置する場所と数
1つの変電所に、いくつも設置されます。
| 場所 | 守る対象 | 優先度 |
| ★変圧器の直近 | ★最も高価で交換が難しい機器 | ★★最優先 |
| ★線路の引込口 | ★侵入するサージを入口で抑える | ★高い |
| ★ケーブル接続部 | ★インピーダンスの変化点 | ★中 |
サージは進行波なので、避雷器から離れるほど守れません。
波が往復する時間だけ、機器の電圧が上がり続けます——だから近くに置くのです。
目安は変圧器から10〜20 m 以内——それ以上離れると保護効果が落ちます。
ケーブルと架空線の接続点では反射が起きます——特性インピーダンスが大きく違うから。
反射で電圧が2倍になることもあるので、そこにも置く——系統全体で配置を考えます。
まとめ
| (ア)波高値 | 過電圧のピーク値がある値を超えたら動作 |
| (イ)ZnO | 特性要素=酸化亜鉛素子(バリスタ) |
| (ウ)非線形 | 平常時ほぼ絶縁・過電圧時に急激に低抵抗化 |
| (エ)続流 | 放電後に流れ続けようとする商用周波電流を遮断 |
| (オ)ギャップレス | 発変電所用の主流。放電耐量大・放電遅れなし→答えは(1) |
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