変電29【電験3種 電力】避雷器と絶縁協調!発変電所用はギャップレス・配電用は直列ギャップ付き 平成27年度 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成27年度 A問題7 ギャップレスか直列ギャップか!避雷器の使い分け

今回は平成27年度 電力科目 A問題7、避雷器とその役割に関する空欄補充問題です。過電圧の抑制・続流の遮断という基本動作に加え、発変電所用と配電用でのギャップの有無、そして絶縁協調という設計思想まで問われます。

押さえどころは2つ。①避雷器は過電圧を抑制し放電後の続流を遮断する。②発変電所用はギャップレス、配電用は直列ギャップ付きが主流。そして機器の絶縁強度を経済的・合理的に設計することを絶縁協調と呼びます。

目次

(ウ)(エ) ギャップの使い分け

本問の特徴は、発変電所用と配電用を対比させている点です。

★発変電所用★配電用
★形式★ギャップレス★直列ギャップ付き
★重視すること★確実な保護・放電遅れのなさ★経済性・耐久性
★守る対象★高価で交換が難しい変圧器★柱上変圧器など
★数量★少ない★きわめて多い

どちらも酸化亜鉛素子を使いますが、ギャップの有無が違います

なぜ配電用にはギャップを付けるのでしょうか——素子の劣化を防ぐためです。

配電線は本数が多く、雷も汚損も受けやすい——常時わずかに電流が流れると素子が劣化します

ギャップで切り離しておけば、平常時は完全に無電流——寿命が延びます

発変電所用は数が少なく点検もできるので、確実さを優先してギャップレス——用途に応じた設計だと言えます。

平成27年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成27年度 A問題7 問題文
平成27年度 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【変電】 平成27年度 A問題7

 避雷器とは、大地に電流を流すことで雷又は回路の開閉などに起因する(ア)を抑制して、電気施設の絶縁を保護し、かつ、(イ)を短時間のうちに遮断して、系統の正常な状態を乱すことなく、原状に復帰する機能をもつ装置である。避雷器には、炭化けい素(SiC)素子や酸化亜鉛(ZnO)素子などが用いられるが、性能面で勝る酸化亜鉛素子を用いた酸化亜鉛形避雷器が、現在、電力設備や電気設備で広く用いられている。なお、発変電所用避雷器では、酸化亜鉛形(ウ)避雷器が主に使用されているが、配電用避雷器では、酸化亜鉛形(エ)避雷器が多く使用されている。電力系統には、変圧器をはじめ多くの機器が接続されている。これらの機器を異常時に保護するための絶縁強度の設計は、最も経済的かつ合理的に行うとともに、系統全体の信頼度を向上できるよう考慮する必要がある。これを(オ)という。このため、異常時に発生する(ア)を避雷器によって確実にある値以下に抑制し、機器の保護を行っている。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の文章は、避雷器とその役割に関する記述である。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)過電圧続流ギャップレス直列ギャップ付き絶縁協調
(2)過電流電圧直列ギャップ付きギャップレス電流協調
(3)過電圧電圧直列ギャップ付きギャップレス保護協調
(4)過電流続流ギャップレス直列ギャップ付き絶縁協調
(5)過電圧続流ギャップレス直列ギャップ付き保護協調
答え正解は (1)——(ア)過電圧 (イ)続流 (ウ)ギャップレス (エ)直列ギャップ付き (オ)絶縁協調 です。

(ア)(イ) 避雷器が処理する2つのもの

処理するもの内容動作
★過電圧★雷や開閉によるサージ★大地へ放電して抑制する
★続流★サージ通過後の商用周波電流★短時間で遮断する

抑えるのは電圧、遮断するのは電流——2つの働きがあります

「過電流」ではありません——避雷器は電流を抑える装置ではないのです。

むしろ大電流をあえて流して、電圧を下げます——発想が逆だと言えます。

続流を遮断できなければ、地絡状態が続きます——問題文の「原状に復帰する機能」がそれです。

(オ) 絶縁協調という設計の考え方

問題文が定義を丁寧に書いています——「最も経済的かつ合理的に」という部分が要点です。

対象絶縁強度の順考え方
★避雷器★最も低い★真っ先に動作させる
★変圧器など★制限電圧より高く★守られる側
★がいし・気中ギャップ★最も高い★復旧しやすい部分は例外的に低くすることも

すべてを最高強度にすれば安全ですが、費用が跳ね上がります——だから段階をつけるのです。

避雷器を最も弱くしておけば、そこで受け止められる——他の機器は無傷で済みます

「保護協調」は継電器の動作順序を決める別の概念——絶縁の話なら絶縁協調です。

「電流協調」という用語は存在しません——もっともらしい造語になります。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「過電流」としてしまう——選択肢(2)(4)がそれです。避雷器が抑えるのは電圧
(イ)を「電圧」としてしまう——選択肢(2)(3)短時間で遮断するのは続流という電流です。
(ウ)(エ)を入れ替えてしまう——選択肢(2)(3)発変電所用がギャップレス、配電用が直列ギャップ付き
(オ)を「保護協調」としてしまう——選択肢(3)(5)絶縁強度の話なので絶縁協調です。
(オ)を「電流協調」としてしまう——選択肢(2)存在しない用語
(ア)と(オ)の2欄で(1)に確定できます。

⏱️ 本番での進め方
①★抑えるのは過電圧、遮断するのは続流。
②★発変電所用=ギャップレス、配電用=直列ギャップ付き。
③★配電用にギャップを付けるのは素子の劣化を防ぐため。
④★絶縁強度の話なので絶縁協調。電流協調は存在しない。

💡 覚え方
「大事な変圧器にはギャップレス、数の多い配電用にはギャップ付き」——確実さと経済性の使い分けです。抑えるのは電圧、遮断するのは電流——2つの働きを混同しないことになります。

特性要素と続流は令和2年度 A問題9変電:避雷器)、制限電圧は平成23年度 A問題10変電:発変電所用避雷器)にあります。

配電用避雷器の実際

(エ)の配電用避雷器は、電柱の上に取り付けられています

項目配電用避雷器
★取付場所★柱上変圧器の近く・支線の引留箇所
★定格電圧★8.4 kV 前後
★公称放電電流★2.5 kA
★数量★全国で数百万台

数が多いので、1台あたりの費用と寿命が重要になります——だからギャップを付けて素子を守るのです。

屋外で雨風にさらされ、点検も頻繁にはできません——耐久性が最優先になります。

避雷器が壊れたらどうなるか

避雷器の故障は、短絡状態になることが多いのです

そのまま放置すると、系統が地絡し続けます——だから切り離す仕組みが要ります

仕組み働き
★分離装置(ディスコネクタ)★故障時に接地線を切り離す
★外れた表示★地上から見て故障が分かる

切り離せば、系統は正常に戻ります——避雷器としての機能は失われますが、停電は防げるのです。

垂れ下がった接地線が、故障の目印になります——巡視で発見できる工夫です。

要点をもう一度

避雷器の機能と設計思想を、5つの空欄で問う形です。

空欄答え要点
(ア)★過電圧★抑えるのは電圧
(イ)★続流★遮断するのは電流
(ウ)★ギャップレス★発変電所用
(エ)★直列ギャップ付き★配電用
(オ)★絶縁協調★絶縁強度の合理的な設計

(ア)と(オ)の2欄で(1)に確定します。

「電流協調」は存在しない用語——もっともらしい造語です

酸化亜鉛素子が優れている点

炭化けい素(SiC)★酸化亜鉛(ZnO)
★非線形指数★4〜6★20〜50
★平常時の電流★ミリアンペア級★マイクロアンペア級
★制限電圧★高め★低く抑えられる

非線形指数が大きいほど、電圧の変化に鋭く反応します——ZnOはSiCの5倍以上です。

だから平常時にほとんど流れず、ギャップが要らない——問題文の「性能面で勝る」がこの点になります。

避雷器と接地の関係

避雷器はサージを大地へ流します——接地抵抗が大きいと働きません

\( V=R_g I \)
接地点の電位上昇
\( V=10\times 10\,000=100\,000\ [\mathrm{V}] \)
接地抵抗10 Ω・雷電流10 kA なら
★100 kV も上がる
接地抵抗10 kA 流したとき評価
★1 Ω★10 kV★良好
★10 Ω★100 kV★不十分
★100 Ω★1,000 kV★保護にならない

制限電圧を低く抑えても、接地点の電位が上がれば意味がない——機器にかかるのは両者の差だからです。

だから変電所では接地網を敷いて抵抗を下げます——数オーム以下が目標です。

避雷器・接地・機器の絶縁は一体で設計する——それが(オ)の絶縁協調になります。

配電線では接地抵抗を下げにくい——電柱1本ごとの接地では限界があるのです。

まとめ

(ア)雷・開閉に起因する過電圧を抑制
(イ)放電後の続流を短時間で遮断
(ウ)発変電所用=酸化亜鉛形ギャップレス
(エ)配電用=酸化亜鉛形直列ギャップ付き
(オ)絶縁強度の経済的設計=絶縁協調→(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・避雷器の特性要素と動作(変電2):【電力】令和7年度下期 A問題6
・避雷器の空欄補充(変電19):【電力】令和2年度 A問題9
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成27年度 問題一覧(全4科目)

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