送電の計算7【電験3種 電力】2回線は電流半分!損失5%以下の最小断面積42.8mm² 令和6年度上期 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 令和6年度上期 A問題13 損失を5%以内に収める!最小断面積は何mm²?

今回は令和6年度上期 電力科目 A問題13、送電損失を5%以下に抑えるための電線の最小断面積を求める計算問題です。抵抗R=ρL/A の A について解く形で、損失の条件式から必要な断面積を逆算します。

つまずきやすいのは「三相3線式2回線」の電流の扱い。負荷全体の電流は2回線に分かれるので1回線あたりは半分。損失は6本の電線分(3線×2回線)で計算します。ここを正しく数えられるかが分かれ目です。

出題のポイント:2回線の送電損失と断面積

2回線送電線の損失条件から最小断面積を求める要点図
2回線の分流と損失配分を考慮すると最小断面積は42.8 mm²です。

三相3線式2回線では負荷電流と許容損失を各回線に半分ずつ配分します。こう長20 kmを20,000 mへ換算し、損失から抵抗、抵抗から最小断面積を逆算します。

目次

令和6年度上期 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 令和6年度上期 A問題13 問題文
令和6年度上期 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【送電の計算】 令和6年度上期 A問題13

 こう長20kmの三相3線式2回線の送電線路がある。受電端で33kV、6600kW、力率0.9の三相負荷に供給する場合、受電端電力に対する送電損失を5%以下にするための電線の最小断面積の値〔mm²〕として、計算値が最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、使用電線は、断面積1mm²、長さ1m当たりの抵抗を1/35Ωとし、その他の条件は無視する。

(1)14.3 (2)23.4 (3)24.7 (4)42.8 (5)171 mm²

答え電線の最小断面積は約 42.8 mm²です。

2回線の送電損失から断面積を求める

三相3線式2回線の電流と損失を半分に分け抵抗と断面積42.8平方ミリメートルを求める解説
電流と損失を1回線分に直し、R=ρL/AからA=42.8 mm²を求めます。

損失の上限から、許される抵抗を逆算します

段階求めるもの使う式
★①★1回線あたりの電流\( I=\dfrac{P}{\sqrt{3}V\cos\theta}\div(\text{回線数}) \)
★②★1回線あたりの許容損失★受電端電力×損失率÷回線数
★③★許される抵抗\( R=\dfrac{P_L}{3I^2} \)
★④★断面積\( A=\rho\dfrac{\ell}{R} \)

① 1回線あたりの電流

\( I=\dfrac{6600\times 10^3}{\sqrt{3}\times 33\times 10^3\times 0.9} \)
まず2回線の合計
\( \fallingdotseq\ 128.3\ \mathrm{A} \)
計算する
\( I_1=\dfrac{128.3}{2}\fallingdotseq 64.2\ \mathrm{A} \)
2回線で分け合う

② 1回線あたりの許容損失

\( P_L=6600\times 0.05=330\ \mathrm{kW} \)
受電端電力の5%(2回線分)
\( P_{L1}=\dfrac{330}{2}=165\ \mathrm{kW} \)
1回線あたり

③ 許される抵抗と断面積

\( R=\dfrac{165\times 10^3}{3\times 64.2^2}\fallingdotseq 13.35\ \Omega \)
PL=3I²R から
\( R=\dfrac{1}{35}\times\dfrac{20\times 10^3}{A}=\dfrac{571.4}{A} \)
R=ρℓ/A
\( A=\dfrac{571.4}{13.35}\fallingdotseq 42.8\ \mathrm{mm^2} \)
A について解く
★答え

2回線であることを、電流と損失の両方で扱います——片方だけだと4倍ずれるのです。

計算結果を選択肢と照合

断面積の計算結果42.8平方ミリメートルを5つの選択肢と照合する解説
計算値が最も近い選択肢(4)の42.8 mm²が正解です。
\( \dfrac{P_L}{P}=\dfrac{PR}{(V\cos\theta)^2} \)
損失率の式(1回線分)
\( 0.05=\dfrac{3300\times 10^3\times R}{(33\times 10^3\times 0.9)^2} \)
1回線の電力3300 kW を入れる
\( R=\dfrac{0.05\times 29700^2}{3300\times 10^3}\fallingdotseq 13.36\ \Omega \)
R について解く
★同じ値

損失率は回線数によらず5%のままです——比だから

だから2で割るのは電力だけで済みます——電流も損失も直す必要がないのです。

間違えにくいので、こちらの解き方をすすめます——電流を経由しないのも利点。

どちらでも同じ答えになります——検算にも使えるのです。

2回線にする理由

ねらい内容
★★信頼度の向上★★片方が故障してももう片方で送れる
★送電容量の増加★2回線で2倍の電力を送れる
★損失の低減★★1回線あたりの電流が半分になり損失は4分の1
★用地の効率★1つの鉄塔に2回線を載せられる

電流が半分になれば、損失は4分の1になります——2乗で効くから。

2回線合計でも損失は半分で済みます——4分の1が2つだから。

だから多回線化は損失の面でも有利です——信頼度だけが理由ではないのです。

本問はその効果を数字で確かめています——見落とすと(5)171を選ぶことになります。

⚠️ よくある間違い
2回線であることを見落とす——電流が2倍、損失は4倍になり、断面積も4倍の171になります。
電流だけ半分にして損失を半分にし忘れる——両方を1回線あたりに直します
こう長20 km を m に直し忘れる——20,000 mです。
抵抗率の 1/35 を逆にする——断面積1 mm²、長さ1 m 当たりの抵抗
損失率で解けば、2で割るのは電力だけ——混乱を避けられます

⏱️ 本番での進め方
①★2回線なら電流も損失も1回線あたりに直す。
②★損失率で解けば2で割るのは電力だけ。
③★R=ρℓ/A から断面積を逆算する。
④★2回線を見落とすと断面積が4倍になる。

💡 覚え方
「2回線なら電力も損失も半分ずつ」——両方をそろえて直します損失率で解けば混乱しにくい——率は回線数によらず5%だからです。

★この問題は平成24年度 A問題10とまったく同一です送電の計算:電線の断面積(H24))。12年を隔てての再出題です

損失率5%という条件の意味

なぜこの数字が使われるのでしょうか

損失率電線評価
★1〜3%★★太い★損失は小さいが費用が高い
★5%★中程度★★一般的な設計の目安
★10%以上★★細い★★損失が大きすぎる

電線を太くすれば損失は減りますが、費用が増えます——そのつり合いで基準が決まるのです。

損失は毎日発生し続けます——長い目で見れば太いほうが得なことも

建設費と運転費の合計で判断します——経済的電流密度という考え方です。

本問の5%は、その目安を数字にしたもの——実務に近い設定になります。

抵抗率の与え方を確かめる

問題文の「1/35」が何を表すか整理します

表し方意味単位
★抵抗率 ρ★★断面積1 mm²、長さ1 m 当たりの抵抗★Ω・mm²/m
★実際の材料★★軟銅は1/58、アルミは1/35 前後★同じ単位
導体の抵抗
\( R=\rho\dfrac{\ell}{A}=\dfrac{1}{35}\cdot\dfrac{\ell}{A} \)

ℓ は m、A は mm² で入れる

単位がそろっているので、そのまま代入できます——換算が要らないのです。

1/35 はアルミに近い値です——架空送電線を想定しているのでしょう。

軟銅なら1/58 で、より細くて済みます——導電率が高いから。

数値の意味が分かると、代入の間違いが減ります

計算の見通しを立てる

4段階の流れを頭に入れておきます

段階入れる値出る値
★①★電力・電圧・力率・回線数★1回線あたりの電流
★②★電力・損失率・回線数★1回線あたりの許容損失
★③★①と②の結果★許される抵抗
★④★抵抗率・こう長・③の結果★断面積

①と②で、それぞれ回線数で割ります——ここが最大の注意点です。

③で電流と損失を結びつけます——PL=3I²R

④で抵抗を断面積に直します——R=ρℓ/A

流れが決まっているので、順に進めば解けます

まとめ

全体電流I=6600k/(√3×33k×0.9)=128.3A
1回線電流I₁=64.15A(2回線)
損失条件6I₁²R≦0.05×6600k→R≦13.37Ω
断面積A=ρL/R=(20000/35)/13.37=42.8mm²
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・損失率の導出(送電の計算2):【電力】令和6年度下期 A問題12
・損失は電圧の2乗に反比例(架空送電13):【電力】令和4年度上期 A問題6

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