今回は平成24年度 電力科目 A問題10、送電損失を5%以下に抑える電線の最小断面積を求める問題です。この問題は令和6年度上期A問題13(送電の計算7)と数値・条件・答えまで完全に同一——12年ぶりにそっくり再出題された定番です。
解き方も同じ:2回線なので1回線あたりの電流は半分、損失は6本分(3線×2回線)で計算。損失条件から抵抗の上限→断面積を A=ρL/R で逆算します。
平成24年度 電力科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10
電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成24年度 A問題10
こう長20〔km〕の三相3線式2回線の送電線路がある。受電端で33〔kV〕、6600〔kW〕、力率0.9の三相負荷に供給する場合、受電端電力に対する送電損失を5〔%〕以下にするための電線の最小断面積〔mm²〕の値として、計算値が最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、使用電線は、断面積1〔mm²〕、長さ1〔m〕当たりの抵抗を1/35〔Ω〕とし、その他の条件は無視する。
(1)14.3 (2)23.4 (3)24.7 (4)42.8 (5)171 mm²

答えは(4):42.8 mm²
損失の上限から、許される抵抗を逆算します。
① 1回線あたりの電流を出す
★1回線あたり
② 許される損失を出す
★2回線の合計
★
③ 許される抵抗を出す
★1線あたり
④ 断面積を出す
★答え
2回線であることを、電流と損失の両方で扱います——ここが最大の関門です。
2回線をどう扱うか
| 量 | 2回線での扱い | 理由 |
| ★受電端電力 | ★★2回線の合計が6600 kW | ★問題文の値 |
| ★電流 | ★★1回線あたりは半分 | ★★2回線で分け合う |
| ★許容損失 | ★★1回線あたりは半分 | ★合計で5%以下にする |
| ★抵抗 | ★★1回線1線あたりで計算 | ★電線1本の断面積を求めるため |
電流も損失も、1回線あたりに直してから計算します——求めたいのは電線1本の太さだから。
両方を半分にすれば、つじつまが合います——片方だけだと答えが4倍ずれるのです。
損失は電流の2乗に比例するので、影響が大きい——だから慎重に扱うのです。
2回線という条件を見落とすと、断面積が4倍になります——選択肢の(5)171がそれです。
別解:損失率の式から一気に求める
★
1回線あたりの電力で考えれば、損失率の式が使えます——電流を経由しなくてよいのです。
損失率は回線数によらず5%のまま——比だからです。
だからこちらのほうが混乱しにくい——2で割るのは電力だけになります。
どちらの解き方でも同じ答えです——検算にも使えます。
⚠️ よくある間違い
2回線であることを見落とす——電流が2倍、損失は4倍になります。断面積も4倍の171になるのです。
電流だけ半分にして損失を半分にし忘れる——両方を1回線あたりに直します。
こう長20 km を m に直し忘れる——20,000 mです。
抵抗率の 1/35 を逆にする——断面積1 mm²、長さ1 m 当たりの抵抗です。
「以下にする」なので最小断面積を求める——細すぎると損失が増えます。
⏱️ 本番での進め方
①★2回線なら電流も損失も1回線あたりに直す。
②★損失率で解けば電流を経由せずに済む。
③★R=ρℓ/A から断面積を逆算する。
④★2回線を見落とすと断面積が4倍になる。
💡 覚え方
「2回線なら電力も損失も半分ずつ」——両方をそろえて直します。損失率で解けば混乱しにくい——率は回線数によらず5%だからです。
損失率の式は平成19年度 A問題10(送電の計算:電力損失率)にあります。
損失率を5%以下にする意味
なぜ5%という基準を置くのでしょうか。
| 損失率 | 意味 | 評価 |
| ★1〜3% | ★送電線として良好 | ★★電線が太く費用も高い |
| ★5% | ★★一般的な設計の目安 | ★★つり合いが取れている |
| ★10%以上 | ★★損失が大きすぎる | ★電線が細く費用は安い |
電線を太くすれば損失は減りますが、費用が増えます——そのつり合いで基準が決まるのです。
損失は毎日発生し続けます——だから長い目で見れば太いほうが得なことも。
建設費と運転費の合計で判断します——それが経済的電流密度という考え方です。
本問の5%は、その目安を数字にしたもの——実務に近い設定になります。
抵抗率の与え方に注意する
問題文の「1/35」が何を表すか確かめましょう。
| 表し方 | 意味 | 単位 |
| ★抵抗率 ρ | ★★断面積1 mm²、長さ1 m 当たりの抵抗 | ★Ω・mm²/m |
| ★導電率 σ | ★抵抗率の逆数 | ★m/(Ω・mm²) |
単位がそろっているので、そのまま代入できます——ℓ を m、A を mm² で。
1/35 は銅の抵抗率に近い値です——実際の軟銅は 1/58 ほど。
だからこの問題の電線はアルミに近い——アルミの抵抗率は 1/35 前後です。
数値の意味が分かると、代入の間違いが減ります。
多回線にする理由
なぜ2回線にするのでしょうか。
| ねらい | 内容 |
| ★★信頼度の向上 | ★★片方が故障してももう片方で送れる |
| ★送電容量の増加 | ★2回線で2倍の電力を送れる |
| ★損失の低減 | ★★1回線あたりの電流が半分になり損失は4分の1 |
| ★用地の効率 | ★1つの鉄塔に2回線を載せられる |
電流が半分になれば、損失は4分の1になります——2乗で効くから。
2回線合計でも損失は半分で済みます——4分の1が2つだから。
だから多回線化は損失の面でも有利です——信頼度だけが理由ではないのです。
本問の計算も、その効果を数字で確かめています——2回線を見落とすと4倍ずれるのはこのため。
まとめ
| 全体電流 | 128.3A |
| 1回線電流 | 128.3/2=64.15A |
| 抵抗上限 | 6I₁²R≦0.05×6600k→R≦13.37Ω |
| 断面積 | A=ρL/R=42.8mm² |
| 再出題 | R06上問13(送電の計算7)と完全同一 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・完全同一の再出題(送電の計算7):【電力】令和6年度上期 A問題13
・2回線の電流と断面積(送電の計算13):【電力】令和2年度 B問題16

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