送電の計算24【電力】%Zを基準容量にそろえて合成8%!三相短絡電流11kA 平成25年度 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成25年度 B問題17 基準容量をそろえて合成!短絡電流は11kA

今回は平成25年度 電力科目 B問題17、基準容量の異なる%インピーダンスを共通基準にそろえて合成し、三相短絡電流を求める問題です。%Z計算の王道パターン(変電41)の応用版です。

鍵は「%Zは同じ基準容量に換算してから足す」こと。換算は %Z×(新基準/元基準)。合成%Zが出たら、短絡容量Ps=基準容量÷%Z→短絡電流Is=Ps/(√3V)で事故電流を求めます。

目次

平成25年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成25年度 B問題17 問題文
平成25年度 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成25年度 B問題17

 図に示すように、定格電圧66〔kV〕の電源から送電線と三相変圧器を介して、二次側に遮断器が接続された系統を考える。三相変圧器の電気的特性は、定格容量20〔MV・A〕、一次側線間電圧66〔kV〕、二次側線間電圧6.6〔kV〕、自己容量基準での百分率リアクタンス15.0〔%〕である。一方、送電線から電源側をみた電気的特性は、基準容量100〔MV・A〕の百分率インピーダンスが5.0〔%〕である。このとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、百分率インピーダンスの抵抗分は無視するものとする。

(a) 基準容量を10〔MV・A〕としたとき、変圧器の二次側から電源側をみた百分率リアクタンス〔%〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2.0 (2)8.0 (3)12.5 (4)15.5 (5)20.0 %

(b) 図のAで三相短絡事故が発生したとき、事故電流〔kA〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、変圧器の二次側からAまでのインピーダンス及び負荷は、無視するものとする。

(1)4.4 (2)6.0 (3)7.0 (4)11 (5)44 kA

平成25年度 B問題17 電源・送電線・変圧器の単線図
平成25年度 B問題17 電源・送電線・変圧器の単線図
平成25年度 B問題17 電源・送電線・変圧器の単線図
平成25年度 B問題17 電源・送電線・変圧器の単線図
答え(a) 二次側から見た%リアクタンスは 8.0 %です。

(a) の答えは(2):8.0 %

基準容量をそろえてから足します

基準容量の換算
\( \%Z’=\%Z\times\dfrac{P_n’}{P_n} \)

新しい基準容量に比例して変わる

① 送電線側を10 MV・A 基準に直す

\( \%Z=5.0\times\dfrac{10}{100}=0.5\ \\text{%} \)
100 MV・A 基準の5.0%

② 変圧器を10 MV・A 基準に直す

\( \%X=15.0\times\dfrac{10}{20}=7.5\ \\text{%} \)
20 MV・A 基準の15.0%

③ 直列なので足す

\( \%Z_{\text{合計}}=0.5+7.5=8.0\ \\text{%} \)
電源から二次側まで直列
★答え

基準容量をそろえないと足せません——それがパーセント法の約束です。

基準容量に比例するので、小さくすれば%も小さくなります——100→10なら10分の1

電圧が違っても、%なら直接足せます——変圧器をまたげるのが利点です。

(b) の答えは(4):11 kA

短絡電流
\( I_s=I_n\times\dfrac{100}{\%Z} \)

In:基準容量での定格電流

\( I_n=\dfrac{10\times 10^6}{\sqrt{3}\times 6.6\times 10^3} \)
10 MV・A・6.6 kV での定格電流
\( \fallingdotseq\ 875\ \mathrm{A} \)
計算する
\( I_s=875\times\dfrac{100}{8.0} \)
短絡電流の式
\( =875\times 12.5\fallingdotseq 10.9\times 10^3\ \mathrm{A} \)
計算する
★約11 kA

%が小さいほど、短絡電流は大きくなります——反比例だから。

8.0%なら、定格電流の12.5倍——100÷8=12.5です。

基準容量は(a)と同じ10 MV・A を使います——そろえたまま計算するのです。

電圧は事故点の6.6 kV——二次側だからです。

答え(b) 事故電流は約 11 kAです。

パーセント法が便利な理由

求めるもの使う場面
★%インピーダンス\( \%Z=\dfrac{P_n Z}{V_n^2}\times 100 \)★Ω から%に直す
★基準容量の換算\( \%Z’=\%Z\times\dfrac{P_n’}{P_n} \)★★基準をそろえる
★短絡電流\( I_s=I_n\times\dfrac{100}{\%Z} \)★★事故電流を求める
★送電電力\( P=P_n\times\dfrac{100}{\%X}\sin\delta \)★★%のまま計算できる

変圧器をまたいでも、%はそのまま使えます——Ω なら電圧比の2乗で換算が要るのです。

基準容量さえそろえれば、足したり並列にしたりできます——回路計算と同じ感覚で扱えます。

短絡電流も、定格電流に100/%Z を掛けるだけ——きわめて簡単です。

だから系統の短絡容量計算では、必ずこの方法を使います——実務の標準になります。

⚠️ よくある間違い
基準容量をそろえずに足してしまう——5.0+15.0=20.0 は誤りです。基準が違うものは足せません
換算の比を逆にする——新基準÷旧基準を掛けます
(b)で一次側の電圧を使う——事故点は二次側の6.6 kVです。
(b)で√3 を忘れる——三相の定格電流だから。
%が小さいほど短絡電流が大きい——反比例の関係です。

⏱️ 本番での進め方
①★基準容量をそろえてから足す。
②★%Z′=%Z×(新基準/旧基準)。
③★Is=In×100/%Z。
④★定格電流は事故点の電圧で計算する。

💡 覚え方
「基準をそろえて、足して、割る」——パーセント法の3手順です。%が小さいほど短絡電流は大きい——反比例になります。

パーセント法の別の使い方は平成30年度 B問題17送電の計算:%リアクタンスと送電電力)にあります。

なぜ基準をそろえる必要があるのか

%の意味が基準容量で変わるからです

基準容量同じ機器の%Z意味
★20 MV・A★15.0%★★自己容量基準
★10 MV・A★★7.5%★半分の基準なので半分
★100 MV・A★★75.0%★5倍の基準なので5倍

同じ機器でも、基準が違えば%の値が変わります——Ω は変わらないのに

だから基準をそろえないと足せません——単位が違うようなものです。

基準容量に比例するので、換算は掛け算だけ——簡単に直せるのです。

そろえてしまえば、あとは回路計算と同じ——直列は足し、並列は積÷和になります。

短絡電流が大きいと何が困るか

設備の選定に直接かかわります

影響内容
★遮断器★★遮断容量が足りないと切れない
★機器の熱★★短時間でも大電流で焼損する
★電磁力★★電流の2乗で働き、導体が変形する
★電圧低下★周辺の系統も電圧が下がる

遮断器には、切れる電流の上限があります——それが遮断容量です。

短絡電流がそれを超えると、遮断できません——事故が拡大するのです。

だから系統を増強するときは、短絡電流も確かめます——%Z が小さくなると増えるから。

本問の11 kA は、6.6 kV 系統では一般的な値です——遮断器の定格を選ぶ根拠になります。

直列と並列の使い分け

回路のつながり方で計算が変わります

つながり方合成のしかた本問での例
★直列★★そのまま足す★★電源→送電線→変圧器
★並列★★積÷和★2回線送電線など

本問は電源から二次側まで一本道です——だから足すだけ

送電線と変圧器が順につながっています——電流が同じ経路を通るから直列。

2回線なら並列になり、積÷和で合成します——電流が分かれるから。

回路図を見て、直列か並列かを確かめるのが第一歩——%法でも回路の考え方は同じです。

短絡容量という考え方

%から系統の強さが分かります

短絡容量
\( P_s=P_n\times\dfrac{100}{\%Z} \)

基準容量の何倍かを表す

%Z短絡容量(10 MV・A 基準)系統の強さ
★4%★★250 MV・A★★強い
★8%★★125 MV・A★中程度
★20%★★50 MV・A★★弱い

短絡容量が大きいほど、系統は強いといえます——電圧が安定するのです。

けれども短絡電流も大きくなります——遮断器の負担が増えるのです。

だから強すぎても困ることがあります——そこにつり合いがあるのです。

本問の8.0%なら、短絡容量は125 MV・A——6.6 kV 系統として一般的です。

まとめ

(a)変圧器15×10/20=7.5%
(a)送電線5×10/100=0.5%
(a)合成7.5+0.5=8.0%
(b)短絡容量Ps=10M/0.08=125MV・A
(b)短絡電流Is=125M/(√3×6.6k)=11kA
答え(a)-(2),(b)-(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・%Zと遮断電流・負荷分担(変電41):【電力】平成22年度 B問題16
・%Xと送電電力(送電の計算16):【電力】平成30年度 B問題17

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