今回は平成25年度 電力科目 B問題17、基準容量の異なる%インピーダンスを共通基準にそろえて合成し、三相短絡電流を求める問題です。%Z計算の王道パターン(変電41)の応用版です。
鍵は「%Zは同じ基準容量に換算してから足す」こと。換算は %Z×(新基準/元基準)。合成%Zが出たら、短絡容量Ps=基準容量÷%Z→短絡電流Is=Ps/(√3V)で事故電流を求めます。
平成25年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成25年度 B問題17
図に示すように、定格電圧66〔kV〕の電源から送電線と三相変圧器を介して、二次側に遮断器が接続された系統を考える。三相変圧器の電気的特性は、定格容量20〔MV・A〕、一次側線間電圧66〔kV〕、二次側線間電圧6.6〔kV〕、自己容量基準での百分率リアクタンス15.0〔%〕である。一方、送電線から電源側をみた電気的特性は、基準容量100〔MV・A〕の百分率インピーダンスが5.0〔%〕である。このとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、百分率インピーダンスの抵抗分は無視するものとする。
(a) 基準容量を10〔MV・A〕としたとき、変圧器の二次側から電源側をみた百分率リアクタンス〔%〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2.0 (2)8.0 (3)12.5 (4)15.5 (5)20.0 %
(b) 図のAで三相短絡事故が発生したとき、事故電流〔kA〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、変圧器の二次側からAまでのインピーダンス及び負荷は、無視するものとする。
(1)4.4 (2)6.0 (3)7.0 (4)11 (5)44 kA



(a) の答えは(2):8.0 %
基準容量をそろえてから足します。
① 送電線側を10 MV・A 基準に直す
★
② 変圧器を10 MV・A 基準に直す
★
③ 直列なので足す
★答え
基準容量をそろえないと足せません——それがパーセント法の約束です。
基準容量に比例するので、小さくすれば%も小さくなります——100→10なら10分の1。
電圧が違っても、%なら直接足せます——変圧器をまたげるのが利点です。
(b) の答えは(4):11 kA
★
★約11 kA
%が小さいほど、短絡電流は大きくなります——反比例だから。
8.0%なら、定格電流の12.5倍——100÷8=12.5です。
基準容量は(a)と同じ10 MV・A を使います——そろえたまま計算するのです。
電圧は事故点の6.6 kV——二次側だからです。
パーセント法が便利な理由
| 求めるもの | 式 | 使う場面 |
| ★%インピーダンス | \( \%Z=\dfrac{P_n Z}{V_n^2}\times 100 \) | ★Ω から%に直す |
| ★基準容量の換算 | \( \%Z’=\%Z\times\dfrac{P_n’}{P_n} \) | ★★基準をそろえる |
| ★短絡電流 | \( I_s=I_n\times\dfrac{100}{\%Z} \) | ★★事故電流を求める |
| ★送電電力 | \( P=P_n\times\dfrac{100}{\%X}\sin\delta \) | ★★%のまま計算できる |
変圧器をまたいでも、%はそのまま使えます——Ω なら電圧比の2乗で換算が要るのです。
基準容量さえそろえれば、足したり並列にしたりできます——回路計算と同じ感覚で扱えます。
短絡電流も、定格電流に100/%Z を掛けるだけ——きわめて簡単です。
だから系統の短絡容量計算では、必ずこの方法を使います——実務の標準になります。
⚠️ よくある間違い
基準容量をそろえずに足してしまう——5.0+15.0=20.0 は誤りです。基準が違うものは足せません。
換算の比を逆にする——新基準÷旧基準を掛けます。
(b)で一次側の電圧を使う——事故点は二次側の6.6 kVです。
(b)で√3 を忘れる——三相の定格電流だから。
%が小さいほど短絡電流が大きい——反比例の関係です。
⏱️ 本番での進め方
①★基準容量をそろえてから足す。
②★%Z′=%Z×(新基準/旧基準)。
③★Is=In×100/%Z。
④★定格電流は事故点の電圧で計算する。
💡 覚え方
「基準をそろえて、足して、割る」——パーセント法の3手順です。%が小さいほど短絡電流は大きい——反比例になります。
パーセント法の別の使い方は平成30年度 B問題17(送電の計算:%リアクタンスと送電電力)にあります。
なぜ基準をそろえる必要があるのか
%の意味が基準容量で変わるからです。
| 基準容量 | 同じ機器の%Z | 意味 |
| ★20 MV・A | ★15.0% | ★★自己容量基準 |
| ★10 MV・A | ★★7.5% | ★半分の基準なので半分 |
| ★100 MV・A | ★★75.0% | ★5倍の基準なので5倍 |
同じ機器でも、基準が違えば%の値が変わります——Ω は変わらないのに。
だから基準をそろえないと足せません——単位が違うようなものです。
基準容量に比例するので、換算は掛け算だけ——簡単に直せるのです。
そろえてしまえば、あとは回路計算と同じ——直列は足し、並列は積÷和になります。
短絡電流が大きいと何が困るか
設備の選定に直接かかわります。
| 影響 | 内容 |
| ★遮断器 | ★★遮断容量が足りないと切れない |
| ★機器の熱 | ★★短時間でも大電流で焼損する |
| ★電磁力 | ★★電流の2乗で働き、導体が変形する |
| ★電圧低下 | ★周辺の系統も電圧が下がる |
遮断器には、切れる電流の上限があります——それが遮断容量です。
短絡電流がそれを超えると、遮断できません——事故が拡大するのです。
だから系統を増強するときは、短絡電流も確かめます——%Z が小さくなると増えるから。
本問の11 kA は、6.6 kV 系統では一般的な値です——遮断器の定格を選ぶ根拠になります。
直列と並列の使い分け
回路のつながり方で計算が変わります。
| つながり方 | 合成のしかた | 本問での例 |
| ★直列 | ★★そのまま足す | ★★電源→送電線→変圧器 |
| ★並列 | ★★積÷和 | ★2回線送電線など |
本問は電源から二次側まで一本道です——だから足すだけ。
送電線と変圧器が順につながっています——電流が同じ経路を通るから直列。
2回線なら並列になり、積÷和で合成します——電流が分かれるから。
回路図を見て、直列か並列かを確かめるのが第一歩——%法でも回路の考え方は同じです。
短絡容量という考え方
%から系統の強さが分かります。
| %Z | 短絡容量(10 MV・A 基準) | 系統の強さ |
| ★4% | ★★250 MV・A | ★★強い |
| ★8% | ★★125 MV・A | ★中程度 |
| ★20% | ★★50 MV・A | ★★弱い |
短絡容量が大きいほど、系統は強いといえます——電圧が安定するのです。
けれども短絡電流も大きくなります——遮断器の負担が増えるのです。
だから強すぎても困ることがあります——そこにつり合いがあるのです。
本問の8.0%なら、短絡容量は125 MV・A——6.6 kV 系統として一般的です。
まとめ
| (a)変圧器 | 15×10/20=7.5% |
| (a)送電線 | 5×10/100=0.5% |
| (a)合成 | 7.5+0.5=8.0% |
| (b)短絡容量 | Ps=10M/0.08=125MV・A |
| (b)短絡電流 | Is=125M/(√3×6.6k)=11kA |
| 答え | (a)-(2),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
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