今回は平成22年度 電力科目 B問題16、百分率インピーダンス(%Z)を使う計算問題です。(a)で遮断器の定格遮断電流、(b)で変圧器並行運転の負荷分担を求めます。実はこの問題、令和4年度上期・令和6年度上期のB問題16と数値まで完全同一——それだけ重要な定番計算という証拠です。
解き方の軸は2つ。(a)は「短絡容量Ps=基準容量÷%Z(電源から故障点までの合計)」→短絡電流に直して、それを上回る定格遮断電流を選ぶ。(b)は「並行運転の負荷分担は%Zに反比例」——ただし%Zを同じ基準容量に換算してから比べるのが鉄則です。
平成22年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16
電験3種 電力科目 【変電】 平成22年度 B問題16
定格容量80〔MV・A〕、一次側定格電圧33〔kV〕、二次側定格電圧11〔kV〕、百分率インピーダンス18.3〔%〕(定格容量ベース)の三相変圧器TAがある。三相変圧器TAの一次側は33〔kV〕の電源に接続され、二次側は負荷のみが接続されている。電源の百分率内部インピーダンスは、1.5〔%〕(系統基準容量80〔MV・A〕ベース)とする。なお、抵抗分及びその他の定数は無視する。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 将来の負荷変動等は考えないものとすると、変圧器TAの二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値〔kA〕として、最も適切なものは次のうちどれか。
(1)5 (2)8 (3)12.5 (4)20 (5)25
(b) 定格容量50〔MV・A〕、百分率インピーダンスが12.0〔%〕の三相変圧器TBを三相変圧器TAと並列に接続した。40〔MW〕の負荷をかけて運転した場合、三相変圧器TAの負荷分担〔MW〕の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、三相変圧器群TAとTBにはこの負荷のみが接続されているものとし、抵抗分及びその他の定数は無視する。
(1)15.8 (2)19.5 (3)20.5 (4)24.2 (5)24.6

(a) 短絡電流から遮断器を選ぶ
電源と変圧器のインピーダンスは直列なので、足し合わせます。
★どちらも同じ基準
次に、二次側の定格電流を求めます。
★11 kV で計算
★21.2 kA
遮断器は、この電流を切れなければなりません——21.2 kA を上回る標準値を選びます。
| 標準値 | この値を選ぶ短絡電流 |
| ★8 kA | ★8 kA 以下 |
| ★12.5 kA | ★8〜12.5 kA |
| ★20 kA | ★12.5〜20 kA |
| ★25 kA | ★20〜25 kA |
| ★31.5 kA | ★25〜31.5 kA |
20 kA では足りず、25 kA が必要——だから答えは(5)です。
(b) 並行運転の分担
分担は「容量÷%Z」の比で決まります。
★答え
比がほぼ1対1なので、分担も半分ずつに近くなります——40 MW の半分の20 MW をわずかに上回るのです。
容量は80と50で大きく違うのに、分担はほぼ同じ——%Z が容量の差を打ち消しているからです。
(b)の結果が意味すること
| 変圧器 | 定格容量 | 分担 | 負担率 |
| ★TA | ★80 MV·A | ★20.5 MW | ★26 % |
| ★TB | ★50 MV·A | ★19.5 MW | ★39 % |
TBのほうが負担率が高くなっています——%Z が小さいからです。
負荷が増えれば、TBが先に定格に達します——合計130 MV·A あっても使い切れないのです。
%Z をそろえれば、容量比どおりに分担します——そのほうが設備を活かせることになります。
⚠️ よくある間違い
(a)で一次側の電圧33 kV を使ってしまう——In=1,400 A となり、Is=7.07 kA。選択肢(2)8 kA に落ちます。遮断器は二次側です。
(a)で電源の1.5 % を足し忘れる——Is=22.9 kA となりやはり25 kAですが、値が違うので危うい。
(a)で計算値そのものを答える——21.2 kA という選択肢はありません。上回る標準値を選びます。
(b)で%Z の逆比だけで分けてしまう——容量を掛けないと比較できません。
(b)で容量比10:5 で分けてしまう——24.6 MW となり選択肢(5)へ。
⏱️ 本番での進め方
①★%Z は直列なら足す。基準容量をそろえてから。
②★Is=In×100/%Z。In は遮断器のある側で計算。
③★計算値を上回る標準値を選ぶ。
④★分担比は「容量÷%Z」。%Z の逆比だけでは不可。
💡 覚え方
「足して、割って、上を選ぶ」——(a)は3手です。(b)は容量を%Zで割った比——2問とも公式1つずつで解けます。
まったく同じ問題が令和4年度上期 B問題16(変電:短絡電流と並行運転)にあります。基準容量の換算は令和5年度上期 B問題16(変電:短絡電流の計算)へ。
なぜ %Z で計算すると楽なのか
オーム値で計算する場合と比べてみましょう。
| オーム法 | ★百分率法 | |
| ★変圧器をまたぐとき | ★巻数比の2乗で換算が要る | ★★換算不要 |
| ★直列の合成 | ★換算してから足す | ★★そのまま足せる |
| ★短絡電流 | ★E÷Z を計算する | ★★In×100/%Z |
本問では電源側と変圧器のインピーダンスを足しました——%Z だから単純に足せるのです。
オーム値なら、電源側の値を二次側へ換算する必要があります——手数が増えることになります。
基準容量さえそろえれば、系統全体を1つの数値で扱える——それが百分率法の利点です。
短絡容量という表し方
★定格の約5倍
短絡容量が分かれば、電圧を変えても電流を求め直せます——系統全体を表す指標になります。
要点をもう一度
(a)(b)とも公式1つずつで解けます。
| 問 | 使う式 | 答え |
| ★(a) | ★Is=In×100/%Z | ★21.2 kA → 25 kA |
| ★(b) | ★分担比=容量÷%Z | ★20.5 MW |
(a)は「足して、割って、上を選ぶ」の3手——電源の1.5 % を忘れないこと。
(b)は容量を %Z で割った比——逆比だけでは解けません。
計算値と標準値の関係
(a)の答えは計算値そのものではありません。
21.2 kA を切れる遮断器が必要なので、上回る標準値を選びます——20 kA では足りないのです。
標準値は8/12.5/20/25/31.5/40 kA——覚えておくと迷いません。
「最も適切な」という問い方がその合図——計算値を答えさせる問題ではないのです。
遮断器を選ぶときの実務
(a)で求めた25 kA が、そのまま発注仕様になります。
| 確認項目 | 本問での値 |
| ★系統電圧 | ★11 kV |
| ★定格電圧 | ★12 kV を選ぶ |
| ★定格電流 | ★4,199 A を上回る標準値 |
| ★定格遮断電流 | ★25 kA |
| ★種類 | ★11 kV なので真空遮断器 |
定格電圧は系統電圧より少し高い標準値を選びます——11 kV なら12 kVです。
定格電流は連続して流せる値——4,199 A なら4,000 A では足りません。
これらをすべて満たす機器を選ぶ——1つでも不足すれば使えないのです。
本問が問うているのは、その中の定格遮断電流——事故時の性能にあたります。
まとめ
| (a)%Z合計 | 1.5+18.3=19.8%(80MV・Aベース) |
| (a)短絡容量 | Ps=80/0.198=404MV・A |
| (a)短絡電流 | Is=404M/(√3×11k)=21.2kA→定格遮断電流25kA |
| (b)ベース換算 | %ZB=12.0×80/50=19.2% |
| (b)TA分担 | 40×19.2/37.5=20.5MW |
| 答え | (a)-(5),(b)-(3) |
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