今回は令和4年度下期 電力科目 A問題6、変圧器の百分率リアクタンスを求めるシンプルな計算問題です。オーム値[Ω]と百分率[%]の橋渡し——%Z計算のいちばん土台になる公式を確認できます。
公式は「%X=X·Pn/Vn²×100」。定格電流を経由して導いてもよいですが、この一発公式を覚えると速い。Xを一次側換算にしたらVも一次側(66kV)を使う——換算側を揃えるのが唯一の注意点です。
令和4年度下期 電力科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6
電験3種 電力科目 【変電】 令和4年度下期 A問題6
定格値が一次電圧66kV、二次電圧6.6kV、容量30MV・Aの三相変圧器がある。一次側に換算した漏れリアクタンスの値が14.5Ωのとき、百分率リアクタンスの値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)3.3 (2)5.8 (3)10.0 (4)17.2 (5)30.0
出題のポイント:換算側と単位をそろえて百分率リアクタンスを求める

一次側換算の漏れリアクタンス14.5Ωには一次電圧66kVを組み合わせます。容量30MV・Aを30×10⁶V・A、電圧66kVを66×10³Vにそろえ、%X=X×P/V²×100へ代入すると約10.0%です。
公式に入れるだけ

★30 MV·A=30,000 kV·A
★答え
1行で答えが出ます——覚えておく価値のある公式です。
別解:定義から解く

公式を忘れても、定義から導けます。
★相電圧であることに注意
★同じ答え
どちらでも同じ値になります——公式は定義を整理しただけだからです。
時間があれば定義から、急ぐなら公式で——両方できるのが理想でしょう。
平成20年度とまったく同じ形式
| 年度 | 容量 | リアクタンス | 答え |
| ★平成20年度 A8 | ★80 MV·A | ★4.5 Ω | ★8.3 %(選択肢3) |
| ★令和4年度下期 A6 | ★30 MV·A | ★14.5 Ω | ★10.0 %(選択肢3) |
数値が違うだけで、解き方はまったく同じです。
どちらも一次電圧66 kV、答えも選択肢(3)——偶然ですが覚えやすいでしょう。
百分率リアクタンスは、変電の計算問題の定番——公式を1つ覚えれば確実に取れます。
%X から短絡容量を求める
百分率リアクタンスの本来の使い道です。
★定格の10倍
%X が10 % なら、短絡容量は定格の10倍——逆数の関係です。
この値をもとに遮断器の遮断容量を選びます——実務に直結する数値になります。
%X が小さいほど短絡電流が大きく、遮断器が高価になる——だから適度な値に設計されます。
⚠️ よくある間違い
容量を MV·A のまま入れてしまう——30×14.5/(10×66²)=0.00999 となり、桁が1000違います。公式は kV·A で入れるのです。
電圧を V のまま入れてしまう——やはり桁が合いません。kV で入れます。
二次電圧6.6 kV を使ってしまう——100倍の値になります。「一次側に換算した」と書いてあるので一次電圧66 kVです。
定義式で線間電圧のまま割る——5.8 % となり、選択肢(2)に落ちます。
選択肢(2)5.8 は√3 がらみの誤り——10.0÷√3=5.77 です。
⏱️ 本番での進め方
①★%X=P[kV·A]×X[Ω]/(10V²[kV])。
②★kV·A と kV で入れる。単位を間違えると桁がずれる。
③★「一次側に換算」なので一次電圧66 kV。
④★定義式なら相電圧V/√3 で割る。
💡 覚え方
「容量×X÷(10×V²)」——単位は kV·A と kVです。選択肢に√3 倍・1/√3 倍の値が置かれている——相電圧か線間電圧かで迷わせる作りになっています。
同じ形式の計算が平成20年度 A問題8(変電:百分率リアクタンス)にあります。どちらも答えは選択肢(3)です。
%X の値の目安
変圧器の百分率リアクタンスには、容量ごとの相場があります。
| 容量 | %X の目安 | 備考 |
| ★数百 kV·A | ★4〜6 % | ★配電用 |
| ★数 MV·A〜数十 MV·A | ★7〜12 % | ★本問(10.0 %)はここ |
| ★100 MV·A 以上 | ★12〜20 % | ★大容量ほど大きくする |
大容量ほど %X を大きく設計します——短絡電流を抑えるためです。
%X が小さいと短絡電流が大きくなり、遮断器が高価になる——だから意図的に大きくするのです。
%X が大きいことの代償
| %X が大きいと | 結果 |
| ★短絡電流 | ★小さくなる(利点) |
| ★電圧変動率 | ★大きくなる(欠点) |
| ★並行運転 | ★分担が %X の逆比になる |
負荷が変わったときの電圧の振れが大きくなります——だから無制限には大きくできません。
短絡電流の抑制と電圧の安定、その折り合いで決まる——本問の10 % 前後が標準的な値です。
要点をもう一度
単位さえ間違えなければ、確実に取れる問題です。
| 入れる値 | 単位 | 本問 |
| ★容量 P | ★kV·A | ★30,000 |
| ★リアクタンス X | ★Ω | ★14.5 |
| ★電圧 V | ★kV | ★66(一次側) |
MV·A のまま入れると1000倍ずれます——最も多い桁の誤りです。
二次電圧6.6 kV を使うと100倍ずれます——「一次側に換算した」を読み落とさないこと。
選択肢の並びが教えてくれること
| 選択肢 | 値 | どんな誤りか |
| (1) | 3.3 | 10.0÷3 に近い |
| ★(2) | ★5.8 | ★10.0÷√3(線間電圧で割った) |
| ★(3) | ★10.0 | ★正解 |
| ★(4) | ★17.2 | ★10.0×√3 |
| (5) | 30.0 | 10.0×3 |
正解を中心に、√3倍と3倍が対称に置かれています——三相の計算でつまずく点をすべて拾っているのです。
自分の答えが√3倍ずれていたら、相電圧の扱いを疑う——検算の手がかりになります。
並行運転での分担
%X は、複数の変圧器を並べたときの分担も決めます。
★%X の逆比に近い
| 変圧器 | 定格容量 | %X | 分担 |
| ★A | ★30 MV·A | ★10 % | ★3.0(基準) |
| ★B | ★30 MV·A | ★5 % | ★6.0(2倍) |
%X が小さいほうに多く流れます——インピーダンスが小さいからです。
だから並行運転する変圧器は、%X をそろえる必要がある——片方だけ過負荷になってしまうからです。
容量が同じで %X が半分なら、負荷は2倍かかります——先に定格を超えてしまうことになります。
だからメーカーは %X を規格値に合わせて製造します——互換性を保つためです。
まとめ
| 公式 | %X=X·Pn/Vn²×100 |
| 組合せ | 一次側換算X=14.5Ω ⇔ 一次電圧66kV |
| 計算 | 14.5×30×10⁶/4.356×10⁹×100≒9.99% |
| 答え | 最も近いのは10.0%→(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・%Z合成と定格遮断電流(変電10):【電力】令和5年度上期 B問題16
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