今回は平成20年度 電力科目 A問題8、三相変圧器の百分率リアクタンス(%X)を求める計算問題です。同じ型は令和4年度下期A問題6(変電11)でも出題されている、%Z計算の入口となる定番問題です。
公式は%X=(P·X/V²)×100(P=基準容量〔V・A〕、X=リアクタンス〔Ω〕、V=線間電圧〔V〕)。三相でも√3は不要——定格電流I=P/(√3V)と相電圧V/√3の√3が約分されて消えるため、「容量×Ω÷線間電圧の2乗」だけで計算できます。
百分率リアクタンスとは
定格電流を流したときの電圧降下が、定格電圧の何 % か——それが百分率リアクタンスです。
まず定格電流を求めます。
★一次側の電流
相電圧は線間電圧の1/√3——そこに注意して代入します。
★答え
平成20年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8
電験3種 電力科目 【変電】 平成20年度 A問題8
一次電圧66〔kV〕、二次電圧6.6〔kV〕、容量80〔MV・A〕の三相変圧器がある。一次側に換算した誘導性リアクタンスの値が4.5〔Ω〕のとき、百分率リアクタンスの値〔%〕として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)2.8 (2)4.8 (3)8.3 (4)14.3 (5)24.8

公式を1つ覚えれば速い
√3 が2回出てきて打ち消し合います——整理すると簡単な形になります。
★80 MV·A=80,000 kV·A
★同じ答え
定格電流を求める手間が省けます——1行で答えが出るのです。
単位に注意——容量は kV·A、電圧は kVで入れます。
なぜこの形になるのか
★V·A と V の場合
kV·A と kV に直すと、10で割る形になります——10³ と 10⁶ の差から出てくる係数です。
√3 が消えるのは、電流に1/√3、電圧にも1/√3 が付くから——三相の計算でよく起きる約分になります。
百分率で表す利点
| オーム値 | ★百分率 | |
| ★電圧が変わると | ★換算が必要(巻数比の2乗) | ★そのまま使える |
| ★機器の比較 | ★容量が違うと比べられない | ★同じ基準なら直接比べられる |
| ★短絡電流の計算 | ★煩雑 | ★Is=In×100/%X で一発 |
一次側でも二次側でも同じ値になります——だから換算が不要なのです。
★定格の約12倍
%X が小さいほど短絡電流が大きくなります——遮断器の容量を決める根拠です。
⚠️ よくある間違い
相電圧ではなく線間電圧で割ってしまう——4.5×700/66,000×100=4.8 % となり、選択肢(2)に落ちます。これが最も多い誤りです。
√3 を掛け忘れる——定格電流が404 A となり、%X=4.8 %。やはり選択肢(2)へ。
二次電圧6.6 kV で計算してしまう——リアクタンスは「一次側に換算した値」です。一次電圧66 kV を使います。
公式で電圧を V のまま入れる——kV に直さないと桁が合いません。
選択肢(2)4.8 は√3 がらみの誤り——相電圧を使うことを忘れないことです。
⏱️ 本番での進め方
①★%X=P[kV·A]×X[Ω]/(10V²[kV]) が最速。
②★定義式なら相電圧E=V/√3 で割る。
③★線間電圧で割ると4.8 %=選択肢(2)に落ちる。
④「一次側に換算した」とあるので一次電圧を使う。
💡 覚え方
「容量×リアクタンス÷(10×電圧の2乗)」——kV·A と kV で入れれば1行です。定義式で解くなら相電圧で割る——そこだけ間違えなければ確実に取れます。
同じ形式の計算が令和4年度下期 A問題6(変電:百分率リアクタンス)にあります。数値が違うだけで解き方は同じです。
基準容量をそろえる
百分率法の要点は、すべてを同じ基準容量で表すことです。
本問の変圧器を10 MV·A 基準に直してみましょう。
★容量が小さいほど %X も小さくなる
系統に複数の機器があるとき、基準をそろえないと足せません——だから換算が必要になります。
| 機器 | 自己容量基準の %X | 10 MV·A 基準に換算 |
| ★80 MV·A の変圧器 | ★8.3 % | ★1.04 % |
| ★20 MV·A の変圧器 | ★8.3 % | ★4.15 % |
同じ8.3 % でも、容量が違えば換算値が変わります——大きい機器ほど基準換算では小さくなるのです。
それは大容量機ほどインピーダンスが小さいという意味——短絡電流を多く流せることになります。
要点をもう一度
公式を使えば1行、定義から解いても3行です。
| 解き方 | 式 | 注意 |
| ★公式 | ★P[kV·A]×X÷(10V²[kV]) | ★単位を kV·A と kV に |
| ★定義 | ★X·In÷En×100 | ★En は相電圧(V/√3) |
どちらでも8.3 % になります——公式は定義を整理しただけだからです。
最も多い誤りは、相電圧ではなく線間電圧で割ること——4.8 %=選択肢(2)に落ちます。
なぜ「一次側に換算した」と書いてあるのか
変圧器のリアクタンスは、一次側でも二次側でも表せます。
★巻数比の2乗
★100分の1
二次側で計算しても %X は同じ8.3 % になります——それが百分率表示の利点です。
だから「どちらに換算した値か」を明示する必要がある——オーム値は側によって変わるからです。
まとめ
| 公式 | %X=PX/V²×100(Vは線間電圧) |
| 使う電圧 | 一次側66kV(Xが一次側換算だから) |
| 計算 | 80×10⁶×4.5/(66×10³)²×100 |
| 結果 | 8.26≒8.3% |
| ダミー | 二次電圧6.6kVは使わない |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・%X計算の同型問題(変電11):【電力】令和4年度下期 A問題6
・%Zで遮断電流と負荷分担(変電41):【電力】平成22年度 B問題16
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