変電45【電験3種 電力】GISは工場組立→据付工期は短い!「工期が長くなる」は誤り 平成19年度 A問題6 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成19年度 A問題6 GISの据付は短工期!工場で組み立てるから

今回は平成19年度 電力科目 A問題6ガス絶縁開閉装置(GIS)の特徴を問う誤り選択問題です。GISは令和7年度上期(変電1)・令和6年度上期(変電5)・平成24年度(変電32)と繰り返し出題される変電の超頻出テーマです。

GISのイメージは「SF₆ガス入りの金属容器に主要機器をまるごと密閉収納」。だから小形化できる・塩害や塵埃に強い。さらに工場でユニットごとに組み立てて現地へ運ぶので、据付工期は短い——ここを「長い」とひっくり返すのが本問の引っかけです。

目次

平成19年度 電力科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成19年度 A問題6 問題文
平成19年度 電力科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6

電験3種 電力科目 【変電】 平成19年度 A問題6

 ガス絶縁開閉装置に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1) 金属製容器に遮断器、断路器、避雷器、変流器、母線、接地装置等の機器を収納し、絶縁ガスを充填した装置である。

(2) ガス絶縁開閉装置に充填する絶縁ガスは、六ふっ化硫黄(SF₆)ガス等が使用される。

(3) 開閉装置が絶縁ガス中に密閉されているため、塩害、塵埃等外部の影響を受けにくい。

(4) ガス絶縁開閉装置はコンパクトに製作でき、変電設備の縮小化が図られる。

(5) 現地の据え付作業後にすべての絶縁ガスの充填を行い、充填後は絶縁試験、動作試験等を実施するため、据え付作業工期は長くなる。

答え誤っている記述は (5)です。

誤りは(5):据付工期はむしろ短い

「現地の据え付作業後にすべての絶縁ガスの充填を行い」——実際の手順と違います

★気中絶縁の変電所★GIS
★組立の場所★現地で1台ずつ据え付ける★工場でユニットに組み立てる
★輸送★機器ごとにばらして運ぶ★ガスを封入したまま運ぶ
★現地作業★据付・配線・調整が多い★ユニットどうしの接続だけ
★工期★長い★★短い

GISは工場で組み立てて試験まで済ませます——現地では並べてつなぐだけです。

ガスも工場で封入した状態のまま運びます——現地ですべて充填するわけではありません

現地で開ける部分が少ないほど、金属異物の混入も防げます——品質の面でも有利になります。

だから据付工期は短くなる——それがGISの利点の1つです。

(1) GISに納まる機器

機器働き
★遮断器★負荷電流・故障電流を遮断する
★断路器★無電流で確実に切り離す
★避雷器★過電圧を大地へ逃がす
★変流器★電流を検出して継電器へ送る
★接地装置★点検時に確実に接地する
★母線★各回線をつなぐ導体

変電所に必要な機器がひととおり納まります——だから「開閉装置」という総称です。

1本の金属管に連なって配置される——それがコンパクトさの源になります。

接地装置は、点検する人の安全を守る機器——残留電荷を大地へ逃がします

(3)(4) 密閉と小形化がもたらすもの

GISの利点は、この2点からすべて導けます

原因結果
★密閉している★塩害・塵埃の影響を受けない((3))
★密閉している★充電部に触れられず安全
★絶縁性能が高い★充電部を近づけられコンパクト((4))
★工場で完成させられる★★据付工期が短い((5)の逆)

密閉と小形化が、そのまま4つの利点になっています

唯一の短所は、内部事故時の復旧に時間がかかること——中が見えないからです。

本問はその短所を「据付工期」にすり替えています——復旧と据付を混同させる作りになっています。

⚠️ よくある間違い
(5)を「工期が長いのは短所だから正しい」と判断する——長いのは復旧時間であって据付工期ではありません
GISは工場完成品なので、現地作業は短い——そこが逆になっています。
(1)の機器の並びを疑ってしまう——いずれも実際に納まる機器です。
(2)の「SF6ガス等」を疑ってしまう——「等」とあるので混合ガスも含みます
(3)(4)はGISの代表的な利点——疑う必要はありません
4つが利点で1つだけ短所らしく書かれている——その1つが本当に短所かを確かめるのが解き方です。

⏱️ 本番での進め方
①★GISは工場でユニット化するので据付工期は短い。
②★長いのは内部事故時の復旧時間。据付ではない。
③現地で開ける部分が少ないほど異物混入も防げる。
④密閉と小形化から、利点がすべて導ける。

💡 覚え方
「建てるのは早い、直すのは遅い」——GISの工期はこの2つで正反対です。据付は工場完成品だから短く、復旧は開けるのが大変だから長い——混同させるのが本問の狙いになります。

GISの信頼性と復旧時間は令和6年度上期 A問題6変電:ガス絶縁開閉装置)にあります。

ユニット輸送という考え方

(5)を判断する鍵は、GISがどう作られるかにあります

段階場所やること
★①★工場★機器を金属容器に組み込む
★②★工場★耐圧試験・動作試験を済ませる
★③★工場★ガスまたは乾燥空気を封入して密閉
★④★現地★ユニットどうしを接続する
★⑤★現地★接続部だけガスを充填し確認試験

試験の大部分は工場で終わっています——現地では接続部の確認だけです。

気中絶縁なら、機器を1台ずつ据え付けて配線し、すべて現地で試験します——時間がかかるのです。

だからGISのほうが据付工期は短い——問題文(5)の記述が誤りである理由になります。

工期が短いことの価値

変電所の建設中は、その分の供給力が使えません

工期が短ければ、早く運用を始められる——投資の回収も早いのです。

都市部では工事車両や騒音の影響も抑えられます——近隣への負担が減ることになります。

要点をもう一度

4つが利点で、1つだけが短所らしく書かれています

記述内容正誤
(1)納まる機器の列挙
(2)絶縁ガスはSF6等
(3)塩害・塵埃に強い
(4)コンパクトで縮小化
★(5)★据付工期が長くなる★誤(短い)

その1つが本当に短所かを確かめるのが解き方——GISの短所は復旧時間であって据付工期ではありません

GISの短所を正しく挙げる

短所理由
★内部事故の復旧が遅い★中が見えずガスを抜く必要がある
★金属異物に弱い★微小な片でも電界集中を起こす
★SF6の環境負荷★温暖化係数がCO₂の約23,900倍
★初期費用が高い★製造に精度が要る

据付工期はこの中に含まれません——むしろ短いことが利点です。

短所を正しく覚えておけば、すり替えに気づけます

GISが普及した背景

(4)の縮小化が、どれほどの意味を持つか見ましょう

電圧気中絶縁の所要面積GISの所要面積
★66 kV★基準★約30 %
★275 kV★基準★約15 %
★500 kV★基準★約10 %

電圧が高いほど、縮小の効果が大きくなります——気中では離隔距離が電圧に比例して要るからです。

500 kV の気中変電所には、東京ドーム数個分の用地が必要——都市近郊では確保できません

GISなら10分の1で済む——需要地の近くに置けることになります。

1970年代から急速に普及したのは、この用地問題が理由——日本は特に用地が限られているのです。

絶縁ガスに「等」が付く理由

(2)が「六ふっ化硫黄(SF6)ガス等」と書いています

ガス使われ方理由
★SF6単体★最も一般的★絶縁も消弧も優れる
★SF6と窒素の混合★絶縁だけの部分★SF6の使用量を減らせる
★乾燥空気★母線など絶縁専用の区画★温室効果がない

SF6は液化温度が高いという弱点もあります——寒冷地では低温で液化する恐れがあるのです。

窒素を混ぜれば液化しにくくなります——絶縁耐力はやや下がりますが実用範囲

だから「等」という書き方になっている——SF6だけとは限らないのです。

近年は環境面から、混合や代替の採用が広がっています——出題当時より選択肢が増えました

まとめ

誤り(5) 据付工期は長くなる→工場ユニット組立で短くなる
構成金属容器+SF₆+遮断器・断路器・避雷器・CT・母線等(1)(2)
強み密閉→塩害・塵埃に強い(3)、小形化(4)
弱み内部事故の復旧に時間・SF₆は温室効果大
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・GIS誤り選択・SF₆高圧封入(変電1):【電力】令和7年度上期 A問題6
・GIS空欄補充・復旧は長い(変電5):【電力】令和6年度上期 A問題6
・GISの構成機器(変電32):【電力】平成24年度 A問題6

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