変電32【電験3種 電力】GISはSF₆・接地・小形化・塩害対策!平成24年度 A問題6 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成24年度 A問題6 GISが小さく作れる理由!SF6ガスの実力

今回は平成24年度 電力科目 A問題6、ガス絶縁開閉装置(GIS)に関する空欄補充問題です。GISは変電1・5・20でも問われた超頻出テーマ。SF₆ガス・接地・小形化という定番の要素に加え、塩害対策としての利点まで整理します。

覚える骨格は4つ。①絶縁ガスはSF₆、②充電部を収めた金属容器は接地されるので感電の危険がほとんどない、③気中絶縁より小形化できる、④密閉構造なので大都市の地下変電所や塩害対策の開閉装置に適する。

目次

平成24年度 電力科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成24年度 A問題6 問題文
平成24年度 電力科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6

電験3種 電力科目 【変電】 平成24年度 A問題6

 ガス絶縁開閉装置(GIS)は、遮断器、断路器、避雷器、変流器等の機器を絶縁性の高いガスが充填された金属容器に収めた開閉装置である。この絶縁ガスとしては、(ア)ガスが現在広く用いられている。機器の充電部を密閉した金属容器は(イ)されるため感電の危険性がほとんどない。また、気中絶縁の設備に比べて装置が(ウ)する。このようなことから大都市の地下変電所や(エ)対策の開閉装置として適している。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の文章は、ガス絶縁開閉装置(GIS)に関する記述である。空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)SF6絶縁小形化塩害
(2)C3F6絶縁大形化水害
(3)SF6接地小形化塩害
(4)C3F6絶縁大形化塩害
(5)SF6接地小形化水害
答え正解は (3)——(ア)SF6 (イ)接地 (ウ)小形化 (エ)塩害 です。

(ア) SF6ガスが選ばれる理由

六ふっ化硫黄(SF6)は、空気より格段に優れた絶縁体です

性質SF6ガス空気との比
★絶縁耐力★高い★約3倍(同じ圧力で)
★消弧能力★きわめて高い★約100倍
★化学的性質★不活性・無毒★—
★燃焼性★燃えない★—

電子を捕らえやすい性質を持っています——だから放電が進みにくいのです。

加圧して使えば、絶縁耐力はさらに上がる——0.4〜0.5 MPa 程度で封入します

「C3F6」という選択肢は実在しない物質名——もっともらしい造語です。

ただし温室効果が二酸化炭素の約23,900倍——厳重に回収・管理する義務があります

(イ) 金属容器は接地する

「絶縁される」ではありません——接地するから安全なのです。

容器の扱い触れたとき安全性
★接地する★大地と同電位なので電位差がない★安全
★絶縁する(浮かせる)★静電誘導で電位を持つ★危険

容器を浮かせておくと、内部の充電部から静電誘導を受けます——電位を持ってしまうのです。

接地すれば、その電荷は大地へ流れます——だから触っても感電しないことになります。

接地は「電位をゼロに固定する」操作——絶縁とは正反対の発想です。

問題文が「感電の危険性がほとんどない」と続く——その理由が接地になります。

(ウ)(エ) 小形化と塩害対策

(ウ) なぜ小さくできるのか

絶縁耐力が高いので、充電部どうしを近づけられます

気中絶縁の変電所★GIS
★絶縁媒体★大気(常圧の空気)★加圧したSF6
★必要な離隔距離★大きい★小さい
★所要面積★基準★10〜30 %

面積が3分の1から10分の1で済みます——地価の高い都市部で決定的な利点です。

だから地下変電所やビル内変電所が成り立つ——問題文の通りになります。

(エ) 塩害に強い理由

充電部が密閉されているので、塩分が付着しません

気中絶縁★GIS
★がいしへの塩分付着★起きる★起きない(密閉)
★対策★活線洗浄・がいし増結・はっ水処理★不要

塩分が付いたがいしは、湿気を吸って絶縁が低下します——それが塩害です。

密閉してしまえば、そもそも付着しない——根本的な対策になります。

「水害」ではありません——地下変電所はむしろ浸水に弱いのです。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「C3F6」としてしまう——選択肢(2)(4)がそれです。実在しない物質名で、正しくはSF6(六ふっ化硫黄)
(イ)を「絶縁」としてしまう——選択肢(1)(2)(4)容器は接地します絶縁すると静電誘導で電位を持ち危険です。
(ウ)を「大形化」としてしまう——選択肢(2)(4)GISの最大の利点が小形化
(エ)を「水害」としてしまう——選択肢(2)(5)密閉されているので塩害に強いのです。
(イ)だけで(3)(5)に絞れます——あとは(エ)で確定するでしょう。

⏱️ 本番での進め方
①★絶縁ガスはSF6。C3F6は実在しない。
②★金属容器は接地する。絶縁ではない。
③★所要面積は気中絶縁の10〜30 %。
④★密閉されているので塩害対策になる。

💡 覚え方
「密閉するから小さくでき、塩もかからない」——GISの利点はすべてここからです。容器は接地——浮かせると静電誘導で危険になります

SF6ガスを使う遮断器は平成27年度 A問題7変電:遮断器)にあります。

GISに納まる機器

問題文が挙げる4つを整理しましょう

機器働き操作
★遮断器(CB)★負荷電流・短絡電流を遮断する★通電中でも開閉できる
★断路器(DS)★回路を確実に切り離す★無負荷でしか開閉できない
★避雷器(LA)★過電圧を大地へ逃がす★自動
★変流器(CT)★電流を測る・保護継電器へ送る★—

遮断器と断路器の違いが最頻出——電流を切れるかどうかです。

断路器は「見た目で切れていることを確認する」ための機器——点検時の安全確保に使います

GISでは密閉されて見えないので、位置表示器で確認します——気中設備との運用上の違いです。

GISの弱点

弱点内容
★内部事故の点検が難しい★開けないと分からない
★復旧に時間がかかる★ガスを抜いて開放する必要がある
★SF6の温室効果★CO₂の約23,900倍。回収が義務

密閉していることが、そのまま弱点にもなります——中が見えないのです。

SF6ガスの回収と代替

優れた絶縁体ですが、環境面の課題を抱えています

項目SF6の値
★地球温暖化係数★CO₂の約23,900倍
★大気中の寿命★約3,200年
★扱い★京都議定書の削減対象ガス

一度大気へ出ると、3,000年以上とどまります——だから絶対に漏らさない設計が求められます

点検時も大気へ放出せず、専用装置で回収します——浄化して再利用するのが標準です。

近年は乾燥空気やフッ素化合物の混合ガスを使う機器も登場——脱SF6の動きが進んでいます

なぜ絶縁耐力が高いのか

SF6分子は電子を捕まえる性質を持っています

放電は、電子が加速して次々に電離を起こすことで進みます——その電子を捕らえてしまえば連鎖が止まるのです。

ふっ素原子が電子を引きつける力が強い——電気陰性度が最も大きい元素だからです。

だから電子が自由に走れず、放電が発達しない——絶縁体として優れる理由になります。

要点をもう一度

4つの空欄が、GISの特徴をそのまま並べています

空欄答え紛らわしい選択肢
(ア)★SF6★C3F6(実在しない)
(イ)★接地★絶縁
(ウ)★小形化★大形化
(エ)★塩害★水害

4欄とも、対になる語が1つずつ用意されています——正しいほうを確実に覚えましょう。

(イ)だけで(3)(5)に絞れます——あとは(エ)で確定です。

なぜ地下変電所が成り立つのか

気中絶縁では、都心に必要な面積を確保できません

GISなら10〜30 % の面積で済む——ビルの地下に納まります

需要地の中心に変電所を置ければ、配電線が短くて済む——損失も電圧降下も減ります

だから大都市ではGISが不可欠——問題文が「大都市の地下変電所」と書く理由です。

断路器を先に開いてはならない

GISに納まる遮断器と断路器には、操作の順序があります

操作正しい順序理由
★停止するとき★遮断器を開く→断路器を開く★電流をなくしてから切り離す
★起動するとき★断路器を閉じる→遮断器を閉じる★つないでから通電する

断路器には消弧能力がありません——電流が流れたまま開くとアークが持続します

アークは数千度に達し、機器を溶かします——重大事故になるのです。

だから断路器は必ず無電流の状態で操作する——インタロックで誤操作を防いでいます

GISでは中が見えないので、このインタロックが特に重要——機械的・電気的に二重に施錠します

まとめ

(ア)絶縁ガス=SF₆
(イ)金属容器は接地→感電の危険なし
(ウ)気中絶縁より小形化
(エ)塩害対策・地下変電所に適する→(3)
要点SF₆・接地・小形化・塩害

▼あわせて解きたい関連問題
・ガス絶縁開閉装置(変電20・SF₆は加圧封入):【電力】令和1年度 A問題6
・ガス絶縁開閉装置(変電1):【電力】令和7年度上期 A問題6
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成24年度 問題一覧(全4科目)

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