変電33【電験3種 電力】調相設備は負荷と並列!進相=コンデンサ・遅相=分路リアクトル 平成24年度 A問題8 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成24年度 A問題8 進相はコンデンサ・遅相はリアクトル!並列に接続

今回は平成24年度 電力科目 A問題8、調相設備に関する空欄補充問題です。電圧を一定に保つために無効電力を調整する4つの設備——電力用コンデンサ・分路リアクトル・同期調相機・静止形無効電力補償装置(SVC)を整理します。

軸は進める/遅らせる/両方。電流の位相を進めるのが電力用コンデンサ(進相)、遅らせるのが分路リアクトル、両方調整できるのが同期調相機。近年はパワーエレクトロニクスで容量を制御する静止形無効電力補償装置も使われます。

目次

平成24年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成24年度 A問題8 問題文
平成24年度 電力科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8

電験3種 電力科目 【変電】 平成24年度 A問題8

 送電線路の送・受電端電圧の変動が少ないことは、需要家ばかりでなく、機器への影響や電線路にも好都合である。負荷変動に対応して力率を調整し、電圧値を一定に保つため、調相設備を負荷と(ア)に接続する。調相設備には、電流の位相を進めるために使われる(イ)、電流の位相を遅らせるために使われる(ウ)、また、両方の調整が可能な(エ)や近年ではリアクトルやコンデンサの容量をパワーエレクトロニクスを用いて制御する(オ)装置もある。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の文章は、調相設備に関する記述である。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)並列電力用コンデンサ分路リアクトル同期調相機静止形無効電力補償
(2)並列直列リアクトル電力用コンデンサ界磁調整器PWM制御
(3)直列電力用コンデンサ直列リアクトル同期調相機静止形無効電力補償
(4)直列直列リアクトル分路リアクトル界磁調整器PWM制御
(5)直列分路リアクトル直列リアクトル同期調相機PWM制御
答え正解は (1)——(ア)並列 (イ)電力用コンデンサ (ウ)分路リアクトル (エ)同期調相機 (オ)静止形無効電力補償 です。

(ア) 調相設備は負荷と並列

無効電力をやりとりするので、並列に入れます

接続働き
★並列(分路)★無効電力を供給・吸収する★電力用コンデンサ・分路リアクトル
★直列★線路のリアクタンスを打ち消す★直列コンデンサ

電圧を調整するには、無効電力を出し入れします——並列でなければできません

直列に入れると、通過する電流がすべて流れます——大容量の機器が必要になり現実的ではありません

(イ)(ウ) 進めるか遅らせるか

設備電流の位相無効電力使う場面
★電力用コンデンサ★進める★進み(供給する)★重負荷時に電圧が下がるとき
★分路リアクトル★遅らせる★遅れ(吸収する)★軽負荷時に電圧が上がるとき

コンデンサは電流が電圧より進みます——だから(イ)は電力用コンデンサです。

リアクトルは電流が電圧より遅れます——だから(ウ)は分路リアクトルになります。

軽負荷時に電圧が上がる理由

送電線には静電容量があります——電線と大地の間がコンデンサになるのです。

負荷が軽いと、その充電電流が支配的になる——受電端の電圧が送電端より高くなります

フェランチ効果と呼ばれます——それを打ち消すのが分路リアクトルです。

夜間や休日に起きやすい——だからリアクトルを投入します

(エ)(オ) 両方できる設備

設備調整応答損失
★同期調相機★進み・遅れ両方(連続)★やや遅い★大きい(回転機)
★静止形無効電力補償装置(SVC)★進み・遅れ両方(連続)★きわめて速い★小さい
電力用コンデンサ進みのみ(段階的)小さい

同期調相機は、無負荷で回す同期電動機——界磁電流を変えると進みにも遅れにもなります

界磁を強めれば進み、弱めれば遅れ——V曲線で表される性質です。

けれども回転機なので損失が大きく、保守も要る——近年は新設されません

代わりに使われるのが静止形無効電力補償装置——サイリスタでリアクトルやコンデンサを制御します

動く部分がないので損失が小さく、応答も1サイクル以内——電圧変動の速い場所に向きます

⚠️ よくある間違い
(ア)を「直列」としてしまう——選択肢(3)(4)(5)がそれです。無効電力の出し入れは並列
(イ)を「直列リアクトル」としてしまう——選択肢(2)(4)直列リアクトルはコンデンサに直列に入れて高調波を抑える別の機器です。
(ウ)を「電力用コンデンサ」としてしまう——選択肢(2)(イ)と入れ替わっています
(エ)を「界磁調整器」としてしまう——選択肢(2)(4)それは同期機の界磁電流を調整する装置で、調相設備そのものではありません
(オ)を「PWM制御」としてしまう——選択肢(2)(4)(5)制御方式の名前であって装置名ではない
(ア)だけで(1)(2)に絞れます

⏱️ 本番での進め方
①★調相設備は負荷と並列。
②★コンデンサは進み、リアクトルは遅れ。
③★重負荷でコンデンサ、軽負荷でリアクトル。
④★両方できるのは同期調相機とSVC。

💡 覚え方
「重いときコンデンサ、軽いときリアクトル」——電圧が下がるか上がるかで使い分けます両方できるのが同期調相機とSVC——回るか回らないかの違いです。

調相設備は平成28年度 A問題7変電:調相設備)にもあります。

電圧が変わるしくみ

(ア)の並列接続が、なぜ電圧を変えられるのか見ましょう

線路での電圧降下
\( \Delta V\ \fallingdotseq\ RP+XQ \)

P:有効電力 Q:無効電力(の流れ)

送電線ではリアクタンス X が抵抗 R よりずっと大きい——だから XQ の項が支配的です。

操作Q の変化電圧
★コンデンサを投入★遅れ Q の流れが減る★上がる
★リアクトルを投入★遅れ Q の流れが増える★下がる

無効電力を現地で作れば、線路を流れる Q が減ります——そのぶん電圧降下が小さくなるのです。

だから重負荷時にコンデンサを入れると電圧が持ち上がる——力率改善と電圧調整は同じ操作になります。

電力用コンデンサに直列リアクトルを付ける理由

選択肢に出てきた「直列リアクトル」の役割です

目的内容
★高調波の拡大防止★第5調波に対して誘導性にする
★突入電流の抑制★投入時の過大電流を抑える

容量はコンデンサの6 % が標準——第5調波で誘導性になる値です。

調相設備そのものではなく、コンデンサの付属品——(イ)の答えにはなりません

同期調相機のV曲線

(エ)の同期調相機が両方向に調整できる理由です

界磁電流状態電機子電流働き
★弱め★不足励磁★遅れ★リアクトルとして働く
★ちょうど★—★最小★力率1
★強め★過励磁★進み★コンデンサとして働く

界磁電流を横軸、電機子電流を縦軸に取るとV字になります——だからV曲線です。

1台でコンデンサにもリアクトルにもなれる——しかも連続的に調整できます

電力用コンデンサは投入するかしないかの段階的な調整——そこが決定的な違いになります。

なぜ新設されなくなったのか

欠点内容
★損失★回転させるだけで容量の1〜3 % を消費
★保守★軸受・ブラシの点検が要る
★応答★界磁の時定数があり数秒かかる

静止形無効電力補償装置は、これらをすべて解決します——だから置き換えが進みました

要点をもう一度

調相設備の全体像が、5つの空欄に収まっています

空欄答え働き
(ア)★並列★無効電力を出し入れする
(イ)★電力用コンデンサ★進み・電圧を上げる
(ウ)★分路リアクトル★遅れ・電圧を下げる
(エ)★同期調相機★回転機で両方向
(オ)★静止形無効電力補償★半導体で両方向・高速

(ア)だけで(1)(2)に絞れます——あとは(イ)で確定です。

重負荷と軽負荷で使い分ける

電圧が下がるか上がるかで、投入する設備が変わります

昼の重負荷時は電圧が下がるのでコンデンサ——夜の軽負荷時は上がるのでリアクトル

1日のうちで切り換える——変電所の日常業務になります。

静止形無効電力補償装置の中身

(オ)のSVCが、どうやって連続調整するのか見ましょう

方式しくみ調整
★TCR★サイリスタでリアクトル電流を位相制御する★遅れを連続的に
★TSC★サイリスタでコンデンサを入切する★進みを段階的に
★組合せ★TCR+固定コンデンサなど★進みも遅れも連続的に

リアクトルに流す電流を位相制御で絞れば、見かけの容量を変えられます

そこへ固定コンデンサを併設すれば、差し引きで進みにも遅れにもなる——これが連続調整のからくりです。

応答は1サイクル(20 ms)以内——同期調相機の数秒とは桁違いになります。

だから電圧変動の速いアーク炉などの近くでも使える——フリッカ対策にもなります

まとめ

(ア)調相設備は負荷と並列に接続
(イ)進める=電力用コンデンサ(進相)
(ウ)遅らせる=分路リアクトル
(エ)両方可=同期調相機
(オ)パワエレ制御=静止形無効電力補償→(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・調相設備と無効電力調整(変電3):【電力】令和6年度下期 A問題6
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成24年度 問題一覧(全4科目)

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