今回は令和4年度上期 電力科目 A問題7、過電流継電器(OCR)の限時特性の名称をグラフから選ぶ問題です。反限時・定限時・瞬時——保護協調の土台になる4つの特性カーブを一気に整理できます。
見分け方はシンプル。電流が大きいほど速く動く曲線=反限時、途中から一定時間に落ち着く曲線=反限時定限時、電流によらず一定=定限時、ほぼゼロ秒で動く=瞬時。グラフの右端(大電流側)でどう振る舞うかを見るのがコツです。
令和4年度上期 電力科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7
電験3種 電力科目 【変電】 令和4年度上期 A問題7
図に示す過電流継電器の各種限時特性(ア)〜(エ)に対する名称の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 反限時特性 反限時定限時特性 定限時特性 瞬時特性 (2) 反限時定限時特性 反限時特性 定限時特性 瞬時特性 (3) 反限時特性 定限時特性 瞬時特性 反限時定限時特性 (4) 定限時特性 反限時定限時特性 反限時特性 瞬時特性 (5) 反限時定限時特性 反限時特性 瞬時特性 定限時特性


出題のポイント:4つの限時特性を形で判別

過電流継電器の限時特性は、横軸の動作電流倍数が増えたときに縦軸の動作時間がどう変わるかで判別します。反限時は右下がりを続け、反限時定限時は大電流側で一定の最小時間へ近づきます。定限時は一定時間、瞬時は意図的な時限を設けず速やかに動作します。
4つの限時特性

過電流継電器は、電流の大きさによって動作時間を変えられます。
| 特性 | 動作時間 | グラフの形 |
| ★反限時特性 | ★電流が大きいほど短い | ★右下がりの曲線 |
| ★定限時特性 | ★電流によらず一定 | ★水平な直線 |
| ★反限時定限時特性 | ★途中まで反限時、その先は一定 | ★右下がりから水平へ |
| ★瞬時特性 | ★ある値を超えると即座 | ★ほぼゼロで垂直に立つ |
グラフは横軸が電流、縦軸が動作時間——形を見れば名前が分かります。
(ア)は右下がりの曲線だけ——反限時特性です。
(イ)は右下がりのあと水平になる——2つの性質を組み合わせた反限時定限時特性。
(ウ)は最初から水平——定限時特性になります。
(エ)は動作時間がほぼゼロ——瞬時特性です。
なぜ反限時特性を使うのか
事故が重いほど速く切りたい——それが基本的な考え方です。
| 電流の大きさ | 状況 | 望ましい動作 |
| ★定格の1.2倍 | ★軽い過負荷 | ★しばらく様子を見る |
| ★定格の3倍 | ★重い過負荷 | ★早めに切る |
| ★定格の10倍 | ★短絡事故 | ★★ただちに切る |
軽い過負荷は一時的なら回復します——すぐ切ると不要な停電になるのです。
短絡事故では大電流による熱・電磁力から機器を守るため、保護協調を保てる範囲で速やかに遮断します。
電流の大きさで判断を変えるのが反限時特性——1つの継電器で両方に対応できます。
保護協調という考え方
限時特性を使い分けて、事故範囲を最小にします。
| 位置 | 動作時間の設定 | 理由 |
| ★需要家に近い側 | ★短く | ★★先に切る |
| ★電源に近い側 | ★長く | ★★後から切る(バックアップ) |
事故点に最も近い遮断器だけが動けば、停電範囲は最小——それが理想です。
上流を先に切ると、無関係な需要家まで停電します——だから時間差をつけるのです。
上下の時限差は、遮断器の動作時間、継電器の誤差、必要な余裕を考慮して整定します。
これを保護協調と呼びます——絶縁協調とは別の概念です。
⚠️ よくある間違い
(ア)と(イ)を入れ替えてしまう——選択肢(2)(5)がそれです。曲線だけなら反限時、途中から水平なら反限時定限時。
(ウ)と(エ)を入れ替えてしまう——選択肢(3)(5)。水平線が定限時、ほぼゼロが瞬時です。
(ア)を「定限時特性」としてしまう——選択肢(4)。右下がりなら反限時。
「反限時」と「定限時」の言葉を取り違える——反限時は電流が大きいほど動作時間が短く、定限時は一定時間で動作します。
グラフの形と名前を結びつけて覚える——それだけで確実に取れます。
⏱️ 本番での進め方
①★右下がりの曲線=反限時特性。
②★水平線=定限時特性。
③★曲線から水平へ=反限時定限時特性。
④★ほぼゼロ=瞬時特性。
💡 覚え方
反限時は大電流ほど短時間、定限時は電流によらず一定時間。重い事故ほど速く切る——それが反限時特性を使う理由です。
保護継電器の役割は平成18年度 A問題4(変電:変電所に設置される機器)にあります。
過電流継電器の整定
限時特性を選んだあと、2つの値を決めます。
| 整定項目 | 意味 | 決め方 |
| ★電流タップ値 | ★動作を始める電流 | ★最大負荷電流の1.2〜1.5倍 |
| ★時間レバー(ダイヤル) | ★曲線全体を上下に動かす | ★上位・下位との協調から |
電流タップが低すぎると、正常な負荷でも動作します——不要な停電になるのです。
高すぎると、軽い事故を検出できません——そこも折り合いが必要です。
時間レバーやタイムダイヤルは特性曲線の形を保ちながら動作時間を調整し、上下の保護協調を取ります。
誘導形とディジタル形
| 誘導形(旧来) | ★ディジタル形(現行) | |
| ★原理 | ★円板が回転して接点を閉じる | ★演算で判定する |
| ★特性 | ★構造で決まり変えにくい | ★★設定で自由に選べる |
| ★機能 | ★1つ | ★複数を1台に集約できる |
ディジタル形では、機種の機能範囲内で反限時・定限時・瞬時などの要素を設定できます。
だから特性の名前と形を知っておく必要がある——設定するのは人間だからです。
要点をもう一度
グラフの形と名前を結びつけるだけの問題です。
| 空欄 | グラフの形 | 名前 |
| (ア) | ★右下がりの曲線 | ★反限時特性 |
| (イ) | ★曲線から水平へ | ★反限時定限時特性 |
| (ウ) | ★水平な直線 | ★定限時特性 |
| (エ) | ★ほぼゼロで垂直 | ★瞬時特性 |
反限時は電流が大きいほど短時間、定限時は電流によらず一定時間——グラフの形と結び付けて覚えます。
2つが組み合わさったものが反限時定限時——名前の順序も形の順序と一致します。
どの特性をどこに使うか
| 特性 | 使う場面 |
| ★反限時 | ★配電線の保護(事故の重さで判断を変える) |
| ★定限時 | ★上位との協調を取りやすい場所 |
| ★瞬時 | ★近距離の短絡(ただちに切る) |
| ★反限時定限時 | ★両方の利点を得たい場合 |
実際には反限時と瞬時を組み合わせて使うことが多い——軽い事故は待ち、重い事故は即座に切るのです。
時限差による協調の実際
限時特性を使って、事故範囲を絞り込みます。
| 位置 | 動作時間 | 役割 |
| ★需要家の受電設備 | ★0.2秒 | ★★最初に動く |
| ★配電用変電所 | ★0.6秒 | ★下位が失敗したとき動く |
| ★上位変電所 | ★1.0秒 | ★さらにバックアップ |
事故点に最も近い遮断器だけが動けば、停電は最小で済みます。
下位が0.2秒で切れば、上位の0.6秒には至りません——だから上位は動かないのです。
もし下位が失敗しても、0.6秒後に上位が切ります——二重の備えになります。
この0.4秒の差が、確実に切れるための余裕——遮断器の動作時間と誤差を見込んだ値です。
過電流継電器が守るもの
限時特性は、機器の耐量曲線に合わせて選びます。
| 機器 | 耐量の特性 | 合う継電器特性 |
| ★電線・ケーブル | ★電流の2乗×時間が一定 | ★反限時(曲線が似ている) |
| ★変圧器 | ★短時間なら大電流に耐える | ★反限時 |
| ★電動機 | ★始動時の大電流は正常 | ★反限時+瞬時 |
電線が焼けるのは、発生した熱の総量で決まります——I²t が一定という関係です。
反限時特性の曲線は、その関係とよく似ています——だから電線の保護に適するのです。
電動機の始動時には定格電流の数倍の電流が一定時間流れるため、正常な始動で不要動作しない整定が必要です。
だから反限時で待ち、それ以上の電流には瞬時で対応する——組み合わせて使う理由です。
まとめ

| (ア)反限時 | 大電流ほど短時間・右端でも低下し続ける |
| (イ)反限時定限時 | 反限時+大電流側は一定時間(約2.6秒)に飽和 |
| (ウ)定限時 | 電流によらず一定時間(約2秒)の水平線 |
| (エ)瞬時 | 整定値超過で即動作(ほぼ0秒)→答えは(1) |
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