変電42【電験3種 電力】重負荷はコンデンサ・軽負荷はリアクトル!逆はNG 変電所の役割 平成21年度 A問題6 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成21年度 A問題6 重C軽Lを逆にしない!変電所の役割を総点検

今回は平成21年度 電力科目 A問題6、電力系統における変電所の役割と機能を問う誤り選択問題です。変成・保護・潮流調整・無効電力調整・電圧調整という変電所の5大機能が一通り並び、その中に混ぜられた「逆パターン」を見抜けるかが問われます。

狙われるのはいつも調相設備の使い分け重負荷時=遅れ無効電力で電圧が下がる→電力用コンデンサ投入(進み無効電力を供給)、軽負荷時=フェランチ効果で電圧が上がる→分路リアクトル投入(進み無効電力を吸収)。この対応を逆にした記述が誤りの定番です。

目次

平成21年度 電力科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成21年度 A問題6 問題文
平成21年度 電力科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6

電験3種 電力科目 【変電】 平成21年度 A問題6

 電力系統における変電所の役割と機能に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1) 構外から送られる電気を、変圧器やその他の電気機械器具等により変成し、変成した電気を構外に送る。

(2) 送電線路で短絡や地絡事故が発生したとき、保護継電器により事故を検出し、遮断器にて事故回線を系統から切り離し、事故の波及を防ぐ。

(3) 送変電設備の局部的な過負荷運転を避けるため、開閉装置により系統切換を行って電力潮流を調整する。

(4) 無効電力調整のため、重負荷時には分路リアクトルを投入し、軽負荷時には電力用コンデンサを投入して、電圧をほぼ一定に保持する。

(5) 負荷変化に伴う供給電圧の変化時に、負荷時タップ切換変圧器等により電圧を調整する。

答え誤っている記述は (4)です。

誤りは(4):コンデンサとリアクトルが逆

「重負荷時には分路リアクトル、軽負荷時には電力用コンデンサ」——完全に入れ替わっています

★重負荷時★軽負荷時
★電圧の傾向★下がる★上がる
★原因★負荷の遅れ電流による電圧降下★線路の静電容量による充電電流
★投入すべき設備★★電力用コンデンサ★★分路リアクトル
★効果★進み無効電力を供給して電圧を上げる★遅れ無効電力を吸収して電圧を下げる

電圧が下がるときに、さらに下げる設備を入れては逆効果——そこが誤りです。

判断の順序は「電圧がどちらへ動くか」が先——設備はそれに応じて決まります

重負荷なら下がるからコンデンサ、軽負荷なら上がるからリアクトル——覚えるのはこの対応だけになります。

なぜ軽負荷で電圧が上がるのか

フェランチ効果と呼ばれる現象です。

受電端電圧の変化
\( \Delta V\ \fallingdotseq\ RP+XQ \)

Q が負(進み)なら ΔV も負=電圧が上がる

負荷支配的な電流Q の符号受電端電圧
★重負荷★負荷の遅れ電流★正★送電端より低い
★軽負荷★線路の充電電流(進み)★負★★送電端より高い

送電線は電線と大地の間がコンデンサになっています——そこへ進み電流が流れるのです。

進み電流が線路のリアクタンスを通ると、電圧が上がります——遅れ電流なら下がるのと逆です。

だから夜間や休日に電圧が上がりすぎることがある——そこで分路リアクトルを投入します

ケーブル系統や長い送電線ほど静電容量が大きく、顕著——地中送電では特に問題になります

(1)(2)(3)(5) 変電所の4つの役割

記述役割手段
(1)電圧の変成★変圧器
(2)系統の保護★保護継電器と遮断器
(3)潮流の調整★開閉装置による系統切換
(5)電圧の調整★負荷時タップ切換変圧器

(4)も本来は電圧調整の話——手段の対応だけが逆になっています

(5) 負荷時タップ切換変圧器

運転を止めずにタップを切り換えられる変圧器です。

無電圧タップ切換★負荷時タップ切換(LTC)
★操作★停電させて切り換える★通電したまま切り換えられる
★用途★季節ごとの調整★★負荷変化に追従する調整

切換の途中で電流が途切れないよう、抵抗を挟んで移します——アークを出さずに切り換える工夫です。

問題文の「負荷変化に伴う供給電圧の変化時に」——停電できないので負荷時タップ切換が要るのです。

⚠️ よくある間違い
(4)の「無効電力調整のため」を見て正しいと判断する——目的は正しいのです。誤りは設備の対応
コンデンサとリアクトルを取り違える——電圧がどちらへ動くかを先に考えれば防げます
(1)の「構外から送られる電気を変成」を疑ってしまう——変電所の定義そのものです。
(3)の「電力潮流を調整」を疑ってしまう——系統切換による潮流制御は実際の役割
(5)の「負荷時タップ切換変圧器」を疑ってしまう——標準的に使われる機器です。
4つが正しく1つだけ対応が逆——組合せを確かめる問題になっています。

⏱️ 本番での進め方
①★重負荷→電圧が下がる→コンデンサ。
②★軽負荷→電圧が上がる→分路リアクトル。
③★軽負荷で上がるのはフェランチ効果。
④負荷時タップ切換は通電したまま調整できる。

💡 覚え方
「重いときコンデンサ、軽いときリアクトル」——本問はそれを逆にしただけです。電圧がどちらへ動くかを先に判断する——それだけで対応が決まります

同じ論点を空欄補充で問う問題が平成18年度 A問題5変電:調相設備)にあります。変電所の役割は令和元年度 A問題7変電:変電所の役割と分類)へ。

変電所が担う電圧調整の手段

(4)と(5)は、どちらも電圧調整の話です

手段変えるもの特徴
★調相設備★無効電力の流れ★系統全体の電圧に効く
★負荷時タップ切換★変圧比★その変圧器の二次側だけに効く

調相設備は、線路を流れる無効電力そのものを減らします——だから上流の電圧降下も改善されるのです。

タップ切換は、変圧比を変えて二次電圧を持ち上げるだけ——上流の状態は変わりません

だから両方を組み合わせて使います——問題文が(4)(5)と並べている理由になります。

タップの刻み

項目目安
★調整範囲★±10 % 程度
★1段の刻み★1.25〜2.5 %
★段数★17段前後

細かく刻めば滑らかに調整できますが、機構が複雑になります——そのつり合いで決まります

負荷の変化に合わせて自動で切り換わる——電圧を監視して制御装置が判断します

要点をもう一度

誤りは(4)の設備の対応だけです。

記述役割正誤
(1)電圧の変成
(2)系統の保護
(3)潮流の調整
★(4)★無効電力調整★誤(設備が逆)
(5)電圧の調整

目的は正しく、手段の対応だけが入れ替わっています——そこを見抜くのが本問です。

平成18年度と同じ論点

★平成18年度 A5★平成21年度 A6(本問)
★形式★空欄補充★誤りを選ぶ
★問われ方★正しい組合せを答える★逆にした記述を見抜く
★答え★(1)★(4)

同じ知識を、正と逆の両方から問うています——対応を確実にしておけば両方取れるのです。

変電所が電圧を保つ理由

問題文の(4)(5)がなぜ必要かを、需要家側から見ましょう

機器電圧が低いと電圧が高いと
★誘導電動機★トルク不足で始動できない★励磁電流が増え過熱する
★白熱電球★暗くなる★寿命が大きく縮む
★電子機器★誤動作・停止★部品が劣化する

電動機のトルクは電圧の2乗に比例します——1割下がるとトルクは約2割減るのです。

白熱電球の寿命は電圧の十数乗に反比例——5 % 上がるだけで寿命が半分になります。

だから高すぎても低すぎても困る——一定に保つことが求められるのです。

低圧では101±6 V、202±20 V という基準があります——電気事業法で定められた義務です。

系統切換による潮流調整

(3)の記述を、具体的な場面で見ましょう

状況操作効果
★1回線が過負荷★開閉器を操作して別ルートへ回す★負担を分散する
★点検で1回線停止★残る回線と隣の系統で分担する★供給を続けられる
★事故で回線喪失★健全な系統へ切り換える★停電を最小化する

電力は最も流れやすい経路を通ります——だから偏りが生じるのです。

開閉器で経路を変えれば、その偏りを調整できます——これが潮流調整になります。

設備を増やさずに使い方で対応できる——変電所が担う重要な機能です。

中央給電指令所が全体を見て指示を出します——変電所はその実行部隊にあたります。

まとめ

誤り(4) 重負荷にリアクトル・軽負荷にコンデンサは真逆
正しい対応重負荷→電力用コンデンサ/軽負荷→分路リアクトル
変成構外から受電→変成→構外へ送電(1)
保護保護継電器で検出→遮断器で切り離し(2)
電圧調整負荷時タップ切換変圧器(5)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
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