送電の計算13【電力】2回線は1線72.9A!損失5%以下の最小断面積92mm² 令和2年度 B問題16 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 令和2年度 B問題16 2回線なら電流は半分!最小断面積は92mm²

今回は令和2年度 電力科目 B問題16、三相3線式2回線の1線当たりの電流と、送電損失を5%以下にする最小断面積を求めるB問題です。送電の計算7・11で使った公式をB問題形式でまとめて演習できます。

ポイントは2回線=1回線あたり電流は半分。(a)で全体電流を出して2で割る、(b)で6本分(3線×2回線)の損失条件から抵抗の上限→断面積を逆算する、という流れです。

目次

(a) の答えは(3):72.9 A

2回線で分け合うことを忘れないでください

\( I_{全}=\dfrac{5000\times 10^3}{\sqrt{3}\times 22\times 10^3\times 0.9} \)
まず2回線の合計
\( =\dfrac{5000\times 10^3}{34294} \)
分母を計算する
\( \fallingdotseq\ 145.8\ \mathrm{A} \)
2回線の合計電流
\( I_1=\dfrac{145.8}{2}\fallingdotseq 72.9\ \mathrm{A} \)
1線当たり
★答え

選択肢に145.8もあるので、2で割り忘れると引っかかります——(5)がそれです。

「送電線1線当たり」と問われています——2回線あるので半分になります。

三相なので、1回線に3線ありますが、各線に同じ電流が流れます——だから3で割る必要はないのです。

令和2年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 令和2年度 B問題16 問題文
令和2年度 電力科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16

電験3種 電力科目 【送電の計算】 令和2年度 B問題16

 こう長25kmの三相3線式2回線送電線路に、受電端電圧が22kV、遅れ力率0.9の三相平衡負荷5000kWが接続されている。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、送電線は2回線運用しており、与えられた条件以外は無視するものとする。

(a) 送電線1線当たりの電流の値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、送電線は単導体方式とする。

(1)42.1 (2)65.6 (3)72.9 (4)126.3 (5)145.8 A

(b) 送電損失を三相平衡負荷に対し5%以下にするための送電線1線の最小断面積の値〔mm²〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、使用電線は、断面積1mm²、長さ1m当たりの抵抗を1/35Ωとする。

(1)31 (2)46 (3)74 (4)92 (5)183 mm²

答え(a) 送電線1線当たりの電流は約 72.9 Aです。

(b) の答えは(4):92 mm²

段階求めるもの使う式
★①★1回線あたりの電流\( I=\dfrac{P}{\sqrt{3}V\cos\theta}\div(\text{回線数}) \)
★②★1回線あたりの許容損失★受電端電力×損失率÷回線数
★③★許される抵抗\( R=\dfrac{P_L}{3I^2} \)
★④★断面積\( A=\rho\dfrac{\ell}{R} \)
\( P_L=5000\times 0.05=250\ \mathrm{kW} \)
負荷の5%(2回線分)
\( P_{L1}=\dfrac{250}{2}=125\ \mathrm{kW} \)
1回線あたり
\( R=\dfrac{125\times 10^3}{3\times 72.9^2}\fallingdotseq 7.84\ \Omega \)
PL=3I²R から
\( R=\dfrac{1}{35}\times\dfrac{25\times 10^3}{A}=\dfrac{714.3}{A} \)
R=ρℓ/A
\( A=\dfrac{714.3}{7.84}\fallingdotseq 91.1\ \mathrm{mm^2} \)
A について解く
★最も近いのは92

(a) で求めた電流をそのまま使えます——B問題の流れです。

損失も1回線あたりに直します——電流と同じ扱い

計算値91.1に最も近い選択肢は92——ぴったり一致しなくてよいのです。

答え(b) 最小断面積は約 92 mm²です。

B問題の解き方

段階行うこと
★(a)を解く★★まず基本の量(電流など)を求める
★答えを控える★★(b)で使うことが多い
★(b)を解く★★(a)の結果を使って一段深い量を求める

B問題は、2つの設問がつながっています——(a)が(b)の材料になるのです。

だから(a)を間違えると(b)も外れます——最初を丁寧に

逆に(a)が解ければ、(b)は流れで解けます——1問で2問分の配点になります。

本問も、電流を使って断面積を求める流れ——典型的な組み立てです。

⚠️ よくある間違い
(a)で2で割り忘れて145.8を選ぶ——「1線当たり」なので2回線で分けます
3で割ってしまう——三相では各線に同じ電流が流れます
(b)で損失を2で割り忘れる——電流と同じく1回線あたりに直します
こう長25 km を m に直し忘れる——25,000 mです。
計算値がぴったり合わなくてよい——「最も近いもの」を選びます

⏱️ 本番での進め方
①★「1線当たり」なら回線数で割る。3では割らない。
②★損失も電流と同じく1回線あたりに直す。
③★B問題は(a)の答えを(b)で使う。
④★計算値に最も近い選択肢を選ぶ。

💡 覚え方
「1線当たりは回線数で割る」——3では割りません電流も損失も、そろえて1回線あたりに——片方だけだとずれます

同じ形の計算は令和6年度上期 A問題13送電の計算:電線の断面積)にあります。

(a) で3で割らない理由

三相では、各線に同じ電流が流れます

回路線の数1線の電流
★三相3線式1回線★3本★★全部同じ大きさ
★三相3線式2回線★6本★★1回線分の半分

三相では、3本が交代で電流を運びます——分け合っているわけではないのです。

だから3で割ってはいけません——P=√3VI の I がすでに1線の電流だから。

回線数だけが、分け合う対象になります——2回線なら半分です。

ここを取り違えると、答えが3分の1になります——選択肢の(1)42.1が近い値になります。

(b) で使う式を整理する

(a) の答えをどう使うか確かめます

段階入れる値
★①許容損失★負荷×5%÷2★★125 kW(1回線)
★②許される抵抗\( R=\dfrac{P_L}{3I^2} \)★★(a)の72.9 A を使う
★③断面積\( A=\rho\dfrac{\ell}{R} \)★ℓ=25,000 m

(a) で求めた電流が、そのまま②で使えます——それがB問題のつながりです。

損失も1回線あたりに直すのを忘れないでください——電流と同じ扱い

こう長は m に直します——25 km=25,000 mです。

3つの段階を順に踏めば、確実に解けます

計算値と選択肢がずれてよい

「最も近いもの」という問い方に注目します

設問計算値選択肢
★(a)★72.9 A★72.9★ほぼ一致
★(b)★91.1 mm²★★92★★約1%

(b) は計算値と選択肢が少しずれています——それでかまわないのです。

実際の電線には規格の断面積があります——計算値ちょうどの電線はないから。

だから計算値以上で最も近いものを選びます——細いと損失が5%を超えるのです。

「最小断面積」と問われている点も、それを示しています——これ以上細くできない値だから。

B問題の配点を活かす

(a)が解ければ(b)も解けることが多いのです。

設問求めるもの難しさ
★(a)★★電流(基本の量)★★式1つで済む
★(b)★★断面積(応用)★★(a)を使って3段階

(a)は三相電力の式を1回使うだけです——確実に取りたいところ。

(b)は(a)の答えを使うので、流れで解けます——2問分の配点になります。

逆に(a)を間違えると、(b)も外れます——最初を丁寧に

B問題は1問で10点なので、取りこぼしが大きい——時間をかける価値があるのです。

2回線の扱いをまとめる

どの量を回線数で割るのか整理します

2回線での扱い理由
★受電端電力★★問題文の値は合計★負荷は1つ
★★電流★★1回線あたりは半分★★2回線で分け合う
★★許容損失★★1回線あたりは半分★合計で5%以下
★損失率★★変わらない(5%のまま)★★比だから

電流と損失は、どちらも半分にします——片方だけだとずれるのです。

損失率だけは、回線数によらず変わりません——分子も分母も半分になるから。

だから損失率で解けば、割り算は電力の1回だけ——間違えにくいのです。

どの量が合計でどれが1回線あたりか、最初に整理しておきます

まとめ

(a)全体電流145.8A
(a)1線電流145.8/2=72.9A
(b)抵抗上限6I₁²R≦0.05P→R≦7.84Ω
(b)断面積A=ρL/R=91.1mm²→92
答え(a)-(3),(b)-(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・最小断面積の同型問題(送電の計算7):【電力】令和6年度上期 A問題13
・全電力損失の計算(送電の計算11):【電力】令和4年度上期 A問題8

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