今回は令和2年度 電力科目 B問題16、三相3線式2回線の1線当たりの電流と、送電損失を5%以下にする最小断面積を求めるB問題です。送電の計算7・11で使った公式をB問題形式でまとめて演習できます。
ポイントは2回線=1回線あたり電流は半分。(a)で全体電流を出して2で割る、(b)で6本分(3線×2回線)の損失条件から抵抗の上限→断面積を逆算する、という流れです。
(a) の答えは(3):72.9 A
2回線で分け合うことを忘れないでください。
★
★答え
選択肢に145.8もあるので、2で割り忘れると引っかかります——(5)がそれです。
「送電線1線当たり」と問われています——2回線あるので半分になります。
三相なので、1回線に3線ありますが、各線に同じ電流が流れます——だから3で割る必要はないのです。
令和2年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16
電験3種 電力科目 【送電の計算】 令和2年度 B問題16
こう長25kmの三相3線式2回線送電線路に、受電端電圧が22kV、遅れ力率0.9の三相平衡負荷5000kWが接続されている。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、送電線は2回線運用しており、与えられた条件以外は無視するものとする。
(a) 送電線1線当たりの電流の値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、送電線は単導体方式とする。
(1)42.1 (2)65.6 (3)72.9 (4)126.3 (5)145.8 A
(b) 送電損失を三相平衡負荷に対し5%以下にするための送電線1線の最小断面積の値〔mm²〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、使用電線は、断面積1mm²、長さ1m当たりの抵抗を1/35Ωとする。
(1)31 (2)46 (3)74 (4)92 (5)183 mm²

(b) の答えは(4):92 mm²
| 段階 | 求めるもの | 使う式 |
| ★① | ★1回線あたりの電流 | \( I=\dfrac{P}{\sqrt{3}V\cos\theta}\div(\text{回線数}) \) |
| ★② | ★1回線あたりの許容損失 | ★受電端電力×損失率÷回線数 |
| ★③ | ★許される抵抗 | \( R=\dfrac{P_L}{3I^2} \) |
| ★④ | ★断面積 | \( A=\rho\dfrac{\ell}{R} \) |
★
★最も近いのは92
(a) で求めた電流をそのまま使えます——B問題の流れです。
損失も1回線あたりに直します——電流と同じ扱い。
計算値91.1に最も近い選択肢は92——ぴったり一致しなくてよいのです。
B問題の解き方
| 段階 | 行うこと |
| ★(a)を解く | ★★まず基本の量(電流など)を求める |
| ★答えを控える | ★★(b)で使うことが多い |
| ★(b)を解く | ★★(a)の結果を使って一段深い量を求める |
B問題は、2つの設問がつながっています——(a)が(b)の材料になるのです。
だから(a)を間違えると(b)も外れます——最初を丁寧に。
逆に(a)が解ければ、(b)は流れで解けます——1問で2問分の配点になります。
本問も、電流を使って断面積を求める流れ——典型的な組み立てです。
⚠️ よくある間違い
(a)で2で割り忘れて145.8を選ぶ——「1線当たり」なので2回線で分けます。
3で割ってしまう——三相では各線に同じ電流が流れます。
(b)で損失を2で割り忘れる——電流と同じく1回線あたりに直します。
こう長25 km を m に直し忘れる——25,000 mです。
計算値がぴったり合わなくてよい——「最も近いもの」を選びます。
⏱️ 本番での進め方
①★「1線当たり」なら回線数で割る。3では割らない。
②★損失も電流と同じく1回線あたりに直す。
③★B問題は(a)の答えを(b)で使う。
④★計算値に最も近い選択肢を選ぶ。
💡 覚え方
「1線当たりは回線数で割る」——3では割りません。電流も損失も、そろえて1回線あたりに——片方だけだとずれます。
同じ形の計算は令和6年度上期 A問題13(送電の計算:電線の断面積)にあります。
(a) で3で割らない理由
三相では、各線に同じ電流が流れます。
| 回路 | 線の数 | 1線の電流 |
| ★三相3線式1回線 | ★3本 | ★★全部同じ大きさ |
| ★三相3線式2回線 | ★6本 | ★★1回線分の半分 |
三相では、3本が交代で電流を運びます——分け合っているわけではないのです。
だから3で割ってはいけません——P=√3VI の I がすでに1線の電流だから。
回線数だけが、分け合う対象になります——2回線なら半分です。
ここを取り違えると、答えが3分の1になります——選択肢の(1)42.1が近い値になります。
(b) で使う式を整理する
(a) の答えをどう使うか確かめます。
| 段階 | 式 | 入れる値 |
| ★①許容損失 | ★負荷×5%÷2 | ★★125 kW(1回線) |
| ★②許される抵抗 | \( R=\dfrac{P_L}{3I^2} \) | ★★(a)の72.9 A を使う |
| ★③断面積 | \( A=\rho\dfrac{\ell}{R} \) | ★ℓ=25,000 m |
(a) で求めた電流が、そのまま②で使えます——それがB問題のつながりです。
損失も1回線あたりに直すのを忘れないでください——電流と同じ扱い。
こう長は m に直します——25 km=25,000 mです。
3つの段階を順に踏めば、確実に解けます。
計算値と選択肢がずれてよい
「最も近いもの」という問い方に注目します。
| 設問 | 計算値 | 選択肢 | 差 |
| ★(a) | ★72.9 A | ★72.9 | ★ほぼ一致 |
| ★(b) | ★91.1 mm² | ★★92 | ★★約1% |
(b) は計算値と選択肢が少しずれています——それでかまわないのです。
実際の電線には規格の断面積があります——計算値ちょうどの電線はないから。
だから計算値以上で最も近いものを選びます——細いと損失が5%を超えるのです。
「最小断面積」と問われている点も、それを示しています——これ以上細くできない値だから。
B問題の配点を活かす
(a)が解ければ(b)も解けることが多いのです。
| 設問 | 求めるもの | 難しさ |
| ★(a) | ★★電流(基本の量) | ★★式1つで済む |
| ★(b) | ★★断面積(応用) | ★★(a)を使って3段階 |
(a)は三相電力の式を1回使うだけです——確実に取りたいところ。
(b)は(a)の答えを使うので、流れで解けます——2問分の配点になります。
逆に(a)を間違えると、(b)も外れます——最初を丁寧に。
B問題は1問で10点なので、取りこぼしが大きい——時間をかける価値があるのです。
2回線の扱いをまとめる
どの量を回線数で割るのか整理します。
| 量 | 2回線での扱い | 理由 |
| ★受電端電力 | ★★問題文の値は合計 | ★負荷は1つ |
| ★★電流 | ★★1回線あたりは半分 | ★★2回線で分け合う |
| ★★許容損失 | ★★1回線あたりは半分 | ★合計で5%以下 |
| ★損失率 | ★★変わらない(5%のまま) | ★★比だから |
電流と損失は、どちらも半分にします——片方だけだとずれるのです。
損失率だけは、回線数によらず変わりません——分子も分母も半分になるから。
だから損失率で解けば、割り算は電力の1回だけ——間違えにくいのです。
どの量が合計でどれが1回線あたりか、最初に整理しておきます。
まとめ
| (a)全体電流 | 145.8A |
| (a)1線電流 | 145.8/2=72.9A |
| (b)抵抗上限 | 6I₁²R≦0.05P→R≦7.84Ω |
| (b)断面積 | A=ρL/R=91.1mm²→92 |
| 答え | (a)-(3),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・最小断面積の同型問題(送電の計算7):【電力】令和6年度上期 A問題13
・全電力損失の計算(送電の計算11):【電力】令和4年度上期 A問題8

コメント