送電の計算32【電力】完全同一の再出題!電力損失率PL/P=RP/(Vrcosθ)² 平成19年度 A問題10 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成19年度 A問題10 損失率の計算が完全同一で再出題!確実に取る

今回は平成19年度 電力科目 A問題10、三相3線式送電線の電力損失率PL/Pを文字式で導出する問題です。この問題は令和6年度下期A問題12(送電の計算2)と文面・選択肢・答えまで完全に同一——17年ぶりのそっくり再出題です。

導出は2行:線電流 I=P/(√3Vrcosθ) → 3線の損失 PL=3I²R。代入すると3と(√3)²=3が約分されて PL=RP²/(Vrcosθ)²。Pで割れば損失率=RP/(Vrcosθ)²です。

目次

答えは(1):RP/(Vr cosθ)²

電流を求めてから、損失率の形に整理します

段階意味
★①電流を出す\( I=\dfrac{P}{\sqrt{3}\,V\cos\theta} \)★三相電力の式を電流について解く
★②損失を出す\( P_L=3I^2R \)★★3線分なので3倍する
★③まとめる\( P_L=\dfrac{P^2R}{(V\cos\theta)^2} \)★★電圧と力率の2乗に反比例
\( I=\dfrac{P}{\sqrt{3}\,V_r\cos\theta} \)
三相電力の式から電流を出す
\( P_L=3I^2R=3\times\dfrac{P^2}{3V_r^2\cos^2\theta}\times R \)
3線分の損失
★3が約分される
\( P_L=\dfrac{P^2R}{(V_r\cos\theta)^2} \)
整理して
\( \dfrac{P_L}{P}=\dfrac{PR}{(V_r\cos\theta)^2} \)
P で割る
★答え

損失率は、損失を電力で割ったものです——だから P が1つ減るのです。

損失そのものは P の2乗に比例しますが、率なら1乗——そこが区別の要点になります。

3が約分されて消えることも押さえておきます——√3 の2乗が3だから。

平成19年度 電力科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成19年度 A問題10 問題文
平成19年度 電力科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成19年度 A問題10

 三相3線式交流送電線があり、電線1線当たりの抵抗がR〔Ω〕、受電端の線間電圧がVr〔V〕である。受電端から力率cosθの負荷に三相電力P〔W〕を供給している。

 この送電線での3線の電力損失をPLとするとき、電力損失率PL/Pを表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1) RP/(Vrcosθ)² (2) 3RP/(Vrcosθ)² (3) RP/{3(Vrcosθ)²}
(4) RP²/(Vrcosθ)² (5) 3RP²/(Vrcosθ)²

答え電力損失率は RP/(Vr cosθ)²です。

損失と損失率の違いを押さえる

P との関係
★電力損失 PL\( \dfrac{P^2R}{(V_r\cos\theta)^2} \)★★P の2乗に比例
★損失率 PL/P\( \dfrac{PR}{(V_r\cos\theta)^2} \)★★P に比例(1乗)

問われているのがどちらかを、まず確かめます——P の次数が変わるのです。

損失率は「送った電力のうち何%が失われるか」——だから割合です。

電力が増えれば、失われる割合も増えます——電流が増えて I²R が効いてくるから。

選択肢に P と P² の両方があるのは、そこを狙っている——(4)(5)が P² の形です。

式から読み取れること

量を変えると損失率実務での意味
★電圧を2倍★★4分の1になる★★昇圧が最も効く
★力率を0.8から1.0へ★★64%に減る★力率改善の効果
★抵抗を半分★半分になる★電線を太くする
★電力を2倍★★2倍になる★需要が増えると悪化する

電圧の2乗に反比例するのが、最も効く要素です——2倍にすれば4分の1

だから送電電圧の格上げが行われてきました——損失も容量も同時に改善するのです。

力率も2乗で効きます——0.8を1.0にすれば損失は64%になります。

だから力率改善用のコンデンサが設置されます——式が対策を示しているのです。

⚠️ よくある間違い
(4)(5)の P² の形を選んでしまう——それは損失そのものです。損失「率」なら P で割るので1乗
(2)の3が付いた形を選んでしまう——√3 の2乗で約分されて消えます
(3)の3で割った形を選んでしまう——同じく約分の結果、3は残りません
cosθ を2乗し忘れる——電流の式で分母にあるので2乗されます
「率」か「そのもの」かを最初に確かめる——それだけで選択肢が絞れます

⏱️ 本番での進め方
①★損失は P の2乗、損失率は P の1乗に比例。
②★√3 の2乗で3が約分され、式に3は残らない。
③★電圧と力率はどちらも2乗で効く。
④★電圧を2倍にすれば損失率は4分の1。

💡 覚え方
「損失はP²、率はP」——割った分だけ次数が下がります3は約分されて消える——選択肢を絞る手がかりになります。

実際の数値計算は令和4年度上期 A問題8送電の計算:電力損失)にあります。

なぜ3が消えるのか

式の変形で最もつまずきやすい点です

\( P_L=3I^2R \)
3線分なので3倍
★ここに3がある
\( I^2=\left(\dfrac{P}{\sqrt{3}V\cos\theta}\right)^2 \)
電流の2乗
\( =\dfrac{P^2}{3V^2\cos^2\theta} \)
√3 の2乗は3
★分母に3が出る
\( P_L=3\times\dfrac{P^2}{3V^2\cos^2\theta}\times R \)
掛け合わせる
★3と3が約分

「3線だから3倍」と「√3 の2乗が3」がぶつかります——だから約分されて消えるのです。

偶然のように見えますが、必然です——三相の対称性から出てくるのです。

だから最終形に3は残りません——選択肢を絞る手がかりになります。

単相なら2線なので、こうはなりません——三相ならではの形です。

選択肢を絞る手順

計算しなくても、かなり絞れます

確かめること判断残る選択肢
★P の次数★★率なので1乗★★(1)(2)(3)
★3の有無★★約分されて消える★★(1)のみ

まず P の次数を見ます——「率」なら1乗だから(4)(5)が消えます。

次に3の有無を見ます——約分されるので(2)(3)も消えるのです。

残った(1)が答え——2つの手がかりだけで決まるのです。

式を導けなくても、性質を知っていれば選べます——選択問題ならではの解き方です。

損失率から電線の太さを決める

この式は設計でそのまま使われます

\( \dfrac{P_L}{P}=\dfrac{PR}{(V\cos\theta)^2} \)
損失率の式
\( R=\dfrac{(P_L/P)\times(V\cos\theta)^2}{P} \)
R について解く
★許される抵抗
\( A=\rho\dfrac{\ell}{R} \)
R=ρℓ/A から
★必要な断面積

損失率の上限を決めれば、抵抗の上限が出ます——そこから断面積が決まるのです。

だから「損失率5%以下」という条件から電線が選べます——実際の設計手順です。

電圧が高いほど、細い電線で済みます——2乗で効くから。

だから式を導けることが、実務にも試験にも役立ちます

損失率が実務で持つ意味

送電のむだをどれだけ抑えるかという指標です

系統損失率の目安理由
★超高圧送電線★★1〜2%★★電圧が高いので損失が小さい
★特別高圧送電線★2〜4%★中間
★配電線★★4〜6%★★電圧が低く電流が大きい

電圧が低いほど損失率は大きくなります——2乗で効くから。

だから配電線のほうが損失率が高い——6.6 kV で送っているのです。

発電所から需要家まででは、合計5%前後になります——それが日本の送配電損失率

世界的に見ても低い水準です——設備がよく整備されている証拠になります。

まとめ

線電流I=P/(√3Vrcosθ)
3線の損失PL=3I²R=RP²/(Vrcosθ)²
損失率PL/P=RP/(Vrcosθ)²
含意損失率∝P・∝1/V²・∝1/cos²θ
再出題R06下問12(送電の計算2)と完全同一
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・完全同一の再出題(送電の計算2):【電力】令和6年度下期 A問題12
・損失は電圧の2乗に反比例(架空送電13):【電力】令和4年度上期 A問題6

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