今回は令和5年度上期 電力科目 A問題7、変電所の計器用変成器に関する空欄補充問題です。計器用変成器という大分類=計器用変圧器(VT)+変流器(CT)という用語の整理と、CTの接続ルールがそのまま問われています。
ポイントは「計器用変成器は計器用変圧器と変流器の総称」であること。取り出した電圧・電流は計器と保護継電器に供給します。そしてCTの二次側は低インピーダンス負荷・一次端子は線路に直列——令和6年度下期にもほぼ同じテーマが出た、変電ユニットの定番です。
令和5年度上期 電力科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7
電験3種 電力科目 【変電】 令和5年度上期 A問題7
次の文章は、変電所の計器用変成器に関する記述である。
計器用変成器は、(ア)と変流器とに分けられ、高電圧あるいは大電流の回路から計器や(イ)に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。変流器の二次端子には、常に(ウ)インピーダンスの負荷を接続しておく必要がある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に(エ)に接続する。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 主変圧器 避雷器 高 縦続 (2) CT 保護継電器 低 直列 (3) 計器用変圧器 遮断器 中 並列 (4) CT 遮断器 高 縦続 (5) 計器用変圧器 保護継電器 低 直列
出題のポイント:VTとCTの接続とCT二次開放禁止

計器用変成器は、電圧用の計器用変圧器(VT)と電流用の変流器(CT)に分かれます。VT一次は被測定回路へ並列、CT一次は被測定線路へ直列に接続します。CT二次は低インピーダンス負荷で閉じ、開放してはいけません。
令和3年度A7とまったく同じ問題
問題文も選択肢も、一字一句同じです。
| ★令和3年度 A7 | ★令和5年度上期 A7(本問) | |
| ★問題文 | ★同一 | ★同一 |
| ★選択肢 | ★同一 | ★同一 |
| ★答え | ★(5) | ★(5) |
わずか2年での再出題——それだけ基本的で重要な内容だということです。
計器用変成器は、変電所の保護と計測の入口——確実に押さえてほしいのでしょう。
計器用変圧器と変流器の役割

| 項目 | ★計器用変圧器(VT) | ★変流器(CT) |
| ★測るもの | ★電圧 | ★電流 |
| ★線路への接続 | ★並列 | ★直列 |
| ★二次の負荷 | ★高インピーダンス | ★低インピーダンス |
| ★二次定格 | ★110 V | ★5 A |
| ★厳禁 | ★二次短絡 | ★二次開放 |
| ★外すとき | ★開放してから | ★短絡してから |
6項目すべてが逆になっています——片方を覚えて反転させれば済むのです。
なぜ逆なのか——VTは電圧源、CTは電流源のように振る舞うからです。
電圧源は短絡が危険、電流源は開放が危険——回路の基本と同じになります。
4空欄を選択肢(5)と照合する

(イ)の判断には、機器の順序が分かると確実です。
| 順 | 機器 | 働き |
| ★① | ★計器用変成器 | ★大きな電圧・電流を小さくする |
| ★② | ★計器/保護継電器 | ★監視する/異常を判定する |
| ★③ | ★遮断器 | ★継電器の指令で回路を切る |
遮断器は継電器の先にあります——変成器から直接つながるものではありません。
「避雷器」はこの流れに入りません——過電圧を大地へ逃がす別系統の機器です。
だから(イ)は保護継電器——信号を受け取って判定する側になります。
⚠️ よくある間違い
(ア)を「CT」としてしまう——選択肢(2)(4)がそれです。CT=変流器なので同じものを2つ挙げることになる。
(ウ)を「高」としてしまう——選択肢(1)(4)。変圧器の感覚だと引き寄せられますが、CTは低インピーダンス。
(エ)を「並列」「縦続」としてしまう——選択肢(1)(3)(4)。電流を測るので直列です。
(イ)を「遮断器」としてしまう——選択肢(3)(4)。遮断器は継電器の指令で動く側。
(ア)だけで(1)(3)(5)に絞れます——あとは(ウ)で確定するでしょう。
⏱️ 本番での進め方
①★計器用変成器=計器用変圧器(VT)+変流器(CT)。
②★VTとCTは6項目すべてが逆。
③★流れは変成器→継電器→遮断器の一方向。
④★令和3年度A7と完全に同一問題。
💡 覚え方
「CTは直列・低インピーダンス・開放厳禁」——VTはすべて逆です。2年で再出題された基本問題——確実に取りたいところになります。
まったく同じ問題が令和3年度 A問題7(変電:計器用変成器)にあります。二次開放が危険な理由は平成22年度 A問題9(変電:計器用変成器)へ。
変流器の二次を開放してはならない理由
(ウ)の「低インピーダンス」が、そのまま安全に直結します。
| 順 | 起きること |
| ① | ★一次電流は線路で決まり、二次の状態では変わらない |
| ★② | ★二次を開くと、打ち消す起磁力が消える |
| ★③ | ★一次電流のすべてが励磁電流になる |
| ★④ | ★鉄心の磁束が飽和する |
| ★⑤ | ★二次端子に数千ボルトが誘起する |
| ★⑥ | ★鉄損が過大となり焼損する |
ふだんは一次と二次の起磁力が打ち消し合っています——だから鉄心の磁束は小さいのです。
二次を開けば、その打ち消しが消えます——磁束が一気に増えることになります。
飽和すると波形が方形波に近づき、dφ/dt が跳ね上がります——それが高電圧の正体です。
だから点検時は必ず二次を短絡してから外します——そのための試験用端子が備えられています。
要点をもう一度
4つの空欄が、計器用変成器の基本を並べています。
| 空欄 | 答え | 決め手 |
| (ア) | ★計器用変圧器 | ★変流器の相方 |
| (イ) | ★保護継電器 | ★信号を受け取って判定する |
| (ウ) | ★低 | ★電流を流し続ける必要がある |
| (エ) | ★直列 | ★電流を測るから |
(ア)だけで(1)(3)(5)に絞れます——あとは(ウ)で確定です。
「CT」を選ぶと変流器と重複する——そこに気づけば早いでしょう。
誤差階級という考え方
| 階級 | 比誤差 | 用途 |
| ★0.1級・0.2級 | ★±0.1〜0.2 % | ★取引用の電力量計 |
| ★1.0級 | ★±1.0 % | ★一般の計測 |
| ★5P・10P | ★±5〜10 % | ★保護継電器用 |
保護用は精度より、大電流でも飽和しないことが重要——事故時に正しく動く必要があるからです。
だから計測用と保護用でCTを分けることもある——求められる性質が違うのです。
計器用変圧器の保護
(ア)の計器用変圧器にも、扱いの注意があります。
| ★計器用変圧器(VT) | |
| ★厳禁 | ★二次短絡 |
| ★短絡すると | ★大電流が流れて巻線が焼損する |
| ★保護 | ★一次・二次の両方にヒューズを入れる |
| ★外すとき | ★二次を開放してから |
VTは電圧源に近い振る舞いをします——短絡すれば電流が際限なく流れるのです。
一次側のヒューズは、事故が系統へ波及するのを防ぎます——限流ヒューズが使われます。
二次側のヒューズは、配線の事故から本体を守ります——盤内で起きる短絡への備えです。
CTには一次側ヒューズを入れません——切れると二次開放になってしまうから。
変流器の飽和という問題
保護用CTでは、事故時の大電流が課題になります。
| 電流 | CTの状態 | 二次電流 |
| ★定格の範囲 | ★正常 | ★変流比どおり |
| ★★定格の数十倍 | ★★鉄心が飽和する | ★★比より小さくなる |
短絡電流は定格の数十倍に達します——そのとき鉄心が飽和すると、二次電流が出ません。
継電器が事故を検出できなくなる——最も動いてほしいときに動かないのです。
だから保護用CTは、飽和しにくい設計にします——鉄心を大きくし、誤差階級は5P・10P で妥協する。
計測用は精度を優先し、保護用は飽和しにくさを優先する——用途で設計が分かれます。
計器用変成器が置かれる場所
変電所のどこに設置されるかを見ましょう。
| 場所 | 目的 |
| ★受電点 | ★取引用の電力量計測 |
| ★母線 | ★母線電圧の監視・同期投入の確認 |
| ★各回線の引出口 | ★回線ごとの電流監視と保護 |
| ★変圧器の一次・二次 | ★変圧器保護(比率差動継電器) |
1つの変電所に、何十組も設置されます——監視したい箇所ごとに要るからです。
取引用は誤差階級0.2級など高精度——料金に直結するためです。
保護用は精度より確実な動作が優先——用途によって使い分けます。
GISでは、これらも金属容器の中に納まります——コンパクトにまとまるのです。
まとめ
| (ア)計器用変圧器 | 計器用変成器=VT+CTの総称(VTが入る) |
| (イ)保護継電器 | 変成器の出力は計器とリレーに供給 |
| (ウ)低 | CT二次は低インピーダンス負荷・ほぼ短絡状態 |
| (エ)直列 | CTの一次端子は被測定線路に直列→答えは(5) |
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