変電15【電験3種 電力】計器用変成器の基本——VTと CTの役割分担!令和3年度 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 変電 令和3年度 A問題7 電圧はVT・電流はCT!計器用変成器の基本

今回は令和3年度 電力科目 A問題7、変電所の計器用変成器に関する空欄補充問題です。実はこの問題、令和5年度上期 A問題7として一字一句同じ形で再出題されました。計器用変成器の基本の「型」として、確実に取れるようにしておきましょう。

押さえるのは3点。計器用変成器=計器用変圧器(VT)+変流器(CT)の総称、出力の供給先は計器と保護継電器、そしてCTの二次は低インピーダンス負荷・一次は線路に直列です。

目次

(ア) 計器用変成器は2種類

「計器用変成器」は総称——その下に2つの機器があります

名称略号測るもの二次定格
★計器用変圧器★VT(PT)★電圧★110 V
★変流器★CT★電流★5 A

問題文が「(ア)と変流器とに分けられ」と書いています——変流器の相方は計器用変圧器です。

選択肢の「CT」は変流器そのもの——並べて「CTと変流器」では同じものを2つ挙げることになります

「主変圧器」は電力を送るための変圧器——計測用ではありません

令和3年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 令和3年度 A問題7 問題文
令和3年度 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【変電】 令和3年度 A問題7

 次の文章は、変電所の計器用変成器に関する記述である。

 計器用変成器は、(ア)と変流器とに分けられ、高電圧あるいは大電流の回路から計器や(イ)に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。変流器の二次端子には、常に(ウ)インピーダンスの負荷を接続しておく必要がある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に(エ)に接続する。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)主変圧器避雷器縦続
(2)CT保護継電器直列
(3)計器用変圧器遮断器並列
(4)CT遮断器縦続
(5)計器用変圧器保護継電器直列
答え正解は (5)——(ア)計器用変圧器 (イ)保護継電器 (ウ)低 (エ)直列 です。

(イ) 何のために取り出すのか

計器で測るためだけではありません——保護継電器へ信号を送るのが重要な用途です。

送り先使い道
★計器★電圧計・電流計・電力量計で監視する
★保護継電器★異常を判定して遮断器に指令を出す

66 kV や6.6 kV をそのまま継電器に入れることはできません——小さな電圧・電流に変換して渡すのです。

「遮断器」は継電器から指令を受けて動く機器——計器用変成器から直接つながるものではありません

「避雷器」は過電圧を逃がす装置——電圧や電流を受け取って動くわけではないのです。

流れは「変成器→継電器→遮断器」——順序を押さえると迷いません

(ウ)(エ) 変流器の扱い

★変流器(CT)★計器用変圧器(VT)
★二次の負荷★低インピーダンス★高インピーダンス
★線路への接続★直列★並列
★禁止事項★二次開放★二次短絡

電流を測るので直列に入れます——同じ電流を通す必要があるからです。

二次には電流を流し続けなければなりません——だから低インピーダンスの負荷をつなぐのです。

開放すると鉄心の磁束が飽和し、数千ボルトの電圧が生じます——変流器が焼損します

「縦続」という接続方法は、この文脈では使いません——直列か並列かの二択です。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「CT」としてしまう——選択肢(2)(4)がそれです。CT=変流器なので、同じものを2つ挙げることになります
(ア)を「主変圧器」としてしまう——選択肢(1)電力用であって計測用ではありません
(イ)を「遮断器」としてしまう——選択肢(3)(4)遮断器は継電器の指令で動く側です。
(ウ)を「高」としてしまう——選択肢(1)(4)変圧器の感覚だと引き寄せられますが、CTは低インピーダンス
(エ)を「並列」「縦続」としてしまう——選択肢(1)(3)(4)電流を測るので直列です。
(ア)だけで(1)(3)(5)に絞れます

⏱️ 本番での進め方
①★計器用変成器=計器用変圧器(VT)+変流器(CT)。
②★送り先は計器と保護継電器。遮断器は継電器の先。
③★CTの二次は低インピーダンス。開放厳禁。
④★電流を測るCTは線路に直列。

💡 覚え方
「変成器から継電器へ、継電器から遮断器へ」——信号の流れは一方向です。CTは直列・低インピーダンス——VTとすべて逆になります。

変流器の二次開放が危険な理由は平成22年度 A問題9変電:計器用変成器)で詳しく扱っています。

変成比という考え方

計器用変成器は、決まった比で電圧・電流を縮めます

機器定格の例変成比二次の値
★計器用変圧器★6,600/110 V★60★110 V
★変流器★600/5 A★120★5 A

計器の目盛りは、その比を掛けた値で表示されます——使う側は一次の値を直接読めます

二次を110 V と5 A に統一しておけば、計器を共通化できる——変成比だけ変えればよいのです。

誤差階級

階級比誤差用途
★0.1級・0.2級★±0.1〜0.2 %★取引用の電力量計
★1.0級★±1.0 %★一般の計測
★5P・10P★±5〜10 %★保護継電器用

保護継電器用は精度より、大電流でも飽和しないことが重要——事故時に正しく動く必要があるからです。

だから計測用と保護用でCTを分けることもあります——求められる性質が違うのです。

要点をもう一度

4つの空欄が、計器用変成器の基本を並べています

空欄答え決め手
(ア)★計器用変圧器★変流器の相方
(イ)★保護継電器★信号を受け取って判定する
(ウ)★低★電流を流し続ける必要がある
(エ)★直列★電流を測るから

(ア)だけで(1)(3)(5)に絞れます——あとは(ウ)で確定です。

「CT」を選ぶと変流器と重複してしまう——そこに気づけば早いでしょう。

VTとCTを1枚で対比する

★計器用変圧器★変流器
測るもの電圧電流
接続並列直列
二次負荷高インピーダンス低インピーダンス
厳禁二次短絡二次開放

4項目すべてが逆になっています——片方を覚えて反転させれば済むのです。

零相変流器と地絡検出

変流器の応用として、地絡専用の機器があります

★通常の変流器★零相変流器(ZCT)
★通す線★1相ずつ★3相をまとめて
★正常時の出力★負荷電流に比例★ゼロ
★地絡時★ほとんど変わらない★零相電流が現れる
★組む継電器★過電流継電器(OCR)★地絡継電器(GR)

3相の電流は、正常なら合計がゼロです——行った分がすべて戻ってくるから。

地絡すると、大地へ漏れた分だけ差が出る——それを拾うのが零相変流器です。

数百アンペアの中から数百ミリアンペアを検出できます——打ち消しを利用しているからです。

問題文の(イ)保護継電器には、こうした使い分けがあります——短絡はOCR、地絡はGRになります。

なぜ二次側を規格値にそろえるのか

110 V と5 A という値には、実務上の意味があります

理由内容
★計器の共通化★一次が何 kV でも同じ計器が使える
★配線の安全★低電圧なので制御盤まで引ける
★保守の容易さ★試験装置も共通にできる

66 kV の回路を制御盤まで引くわけにはいきません——だから小さくしてから運ぶのです。

110 V なら通常の絶縁電線で足ります——盤内の配線も簡単になります

5 A という値も、継電器のコイルに適した大きさ——小さすぎるとノイズに埋もれます

問題文の「必要な適切な電圧や電流を取り出す」——この「適切な」が規格値を指しています

貫通形と巻線形

変流器の一次側には、2つの形があります

形式一次巻線使う場面
★貫通形★線路をそのまま鉄心に通す(1回)★大電流の回路
★巻線形★一次にも巻線を設ける★小電流でも比を取れる

問題文の「一次端子のある変流器」は巻線形を指します——端子があるので線路に組み込むのです。

貫通形には一次端子がありません——ケーブルを穴に通すだけだからです。

それでも実質的には直列に入っています——同じ電流が鉄心を貫いていることになります。

だから(エ)が「直列」であることに変わりはありません——形は違っても原理は同じです。

まとめ

(ア)計器用変圧器変成器=VT+CTの総称
(イ)保護継電器出力は計器とリレーへ供給
(ウ)低CT二次は低インピーダンス・ほぼ短絡状態
(エ)直列CT一次は被測定線路に直列→答えは(5)
再出題令和5年度上期A問題7に完全同一で再出題

▼あわせて解きたい関連問題
・令和5年度上期A問題7(完全同一の再出題):【電力】令和5年度上期 A問題7
・変流器の二次開放禁止の理由(変電4・類題):【電力】令和6年度下期 A問題7
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和3年度 問題一覧(全4科目)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次