変電16【電験3種 電力】断路器は電流を切れない——地絡電流の遮断は不可!令和3年度 A問題8 完全解説

電験3種 電力科目 変電 令和3年度 A問題8 断路器は電流を切れない!遮断器との決定的な差

変電ユニットの締めくくりは令和3年度 電力科目 A問題8、断路器(ディスコン)について誤っているものを選ぶ問題です。「断路器と遮断器の役割の違い」——変電所機器の中でも特に狙われやすいテーマです。

大原則は「断路器は消弧装置を持たない=電流は切れない」。切り離しの手順は必ず遮断器で電流を切ってから断路器を開く。例外的に開閉できるのは変圧器の励磁電流や短い線路の充電電流といった僅少な電流だけで、地絡電流(故障電流)の遮断は不可能です。

目次

令和3年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 令和3年度 A問題8 問題文
令和3年度 電力科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8

電験3種 電力科目 【変電】 令和3年度 A問題8

 変電所の断路器に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

断路器は消弧装置をもたないため、負荷電流の遮断を行うことはできない。
断路器は機器の点検や修理の際、回路を切り離すのに使用する。断路器で回路を開く前に、まず遮断器で故障電流や負荷電流を切る必要がある。
断路器を誤って開くと、接触子間にアークが発生し、焼損や短絡事故を生じることがある。
断路器の種類によっては、短い線路や母線の地絡電流の遮断が可能な場合がある。
断路器の誤操作防止のため、一般にインタロック装置が設けられている。

答え誤っている記述は (4)です。

出題のポイント:断路器は電流を切った後に操作

断路器の五記述を判定し地絡電流は遮断できず充電電流や励磁電流だけ条件により開閉できることから答え4を選ぶ図
断路器は電流を切る機器ではなく、遮断器で電流を切った後に回路を切り離す機器です。

断路器は消弧装置を持たず、負荷電流や地絡・短絡電流を遮断できません。停止時は遮断器で電流を切ってから断路器を開き、点検回路を物理的に切り離します。充電電流や励磁電流などの僅少電流を開閉できる場合はありますが、地絡電流を遮断できるとした(4)は誤りです。

誤りは(4):地絡電流は遮断できない

遮断器CBと断路器DSの役割、停止時と投入時の操作順序、アーク事故とインタロックを示す図
停止時はCBからDS、投入時はDSからCBの順で操作し、断路器を電流開閉に使いません。

「短い線路や母線の地絡電流の遮断が可能」——断路器にはできません

電流の種類断路器で切れるか大きさの目安
★無負荷の線路の充電電流★切れる場合がある★数アンペア以下
★変圧器の励磁電流★切れる場合がある★数アンペア以下
★ループ電流★切れる場合がある★条件つき
★負荷電流★★切れない★数百アンペア
★地絡電流・短絡電流★★切れない★数千〜数万アンペア

断路器が開閉できるのは、ごく小さな電流だけ——数アンペア以下です。

地絡電流は系統によっては数千アンペアに達します——消弧装置のない断路器では切れません

問題文は「短い線路や母線」と条件をつけて、もっともらしく見せています——けれども地絡電流である以上、断路器の守備範囲外です。

正しくは「充電電流や励磁電流の開閉が可能な場合がある」——そこを地絡電流にすり替えた作りになっています。

(1)(2)(3) 断路器の役割

断路器は「切る」機器ではなく「離す」機器です。

★遮断器(CB)★断路器(DS)
★消弧装置★ある★ない
★切れる電流★負荷電流・短絡電流★ほぼ無電流のみ
★目的★事故時に回路を切る★点検時に確実に切り離す
★開いた状態★接点が見えないこともある★開離が目視で確認できる

断路器の価値は「確実に切り離されている」と分かること——作業者の安全を守るためです。

遮断器は内部で切れていても、外からは分かりません——誤動作で閉じる可能性もあるのです。

だから点検前に断路器で物理的に離す——問題文の(2)がその説明になります。

(3) 誤って開くとどうなるか

電流が流れたまま断路器を開けば、アークが持続します

消す仕組みがないので、接触子間で燃え続ける——数千度に達します

そのアークが隣の相へ伸びれば、短絡事故になる——設備を大きく損傷します

実際に重大事故の原因になってきました——だから(5)のインタロックが設けられるのです。

(5) インタロックのしくみ

方式内容
★機械的インタロック★遮断器が入っていると断路器の操作ハンドルが動かない
★電気的インタロック★遮断器の補助接点で断路器の操作回路を切る
★キーインタロック★順序どおりに鍵を移さないと操作できない

操作の順序を、装置そのものが強制します——人の注意力に頼らない設計です。

停止は「遮断器→断路器」、起動は「断路器→遮断器」——この順序を守らせます

GISでは接点が見えないので、特に重要——位置表示器と組み合わせて確認します

⚠️ よくある間違い
(4)を「種類によっては」という条件つきなので正しいと判断する——条件をつけても地絡電流は切れません
正しくは「充電電流や励磁電流」——数アンペア以下の小電流だけです。
(1)の「負荷電流の遮断はできない」を疑ってしまう——消弧装置がないので正しい
(3)の「アークが発生し短絡事故」を疑ってしまう——実際に起きる重大事故です。
(5)のインタロックを疑ってしまう——標準的に設けられています
「〜が可能な場合がある」という緩い表現は正しく見えやすい——何が可能なのかを確かめることです。

⏱️ 本番での進め方
①★断路器が開閉できるのは数アンペア以下の小電流だけ。
②★充電電流・励磁電流は可、地絡電流は不可。
③★断路器は「切る」機器ではなく「離す」機器。
④停止は遮断器→断路器、起動は断路器→遮断器。

💡 覚え方
「断路器は離すだけ」——切るのは遮断器の仕事です。例外的に切れるのは充電電流と励磁電流——地絡電流はけた違いに大きく、切れません

遮断器との違いは平成28年度 A問題7変電:遮断器)にあります。

断路器で切れる小電流とは

(4)の判断には、何が切れるかを知る必要があります

電流正体大きさ
★充電電流★無負荷の線路の静電容量に流れる電流★数アンペア以下
★励磁電流★無負荷の変圧器の鉄心を磁化する電流★定格の数 %
★ループ電流★閉ループの回路で循環する電流★条件による

いずれも負荷がつながっていない状態の電流——だから小さいのです。

アークが生じても、すぐ消える程度の大きさ——だから断路器でも開閉できることになります。

地絡電流は事故電流なので、けた違いに大きい——断路器では切れません

断路器の種類

形式特徴用途
★水平回転形★ブレードが水平に回る★屋外変電所
★垂直回転形★ブレードが上下に開く★用地が狭い場所
★パンタグラフ形★上方へ伸びて母線に接触する★超高圧

どの形式も、開いた状態が目で見て分かります——それが断路器の本質的な価値です。

要点をもう一度

誤りは(4)の「地絡電流」だけです。

記述内容正誤
(1)消弧装置がなく負荷電流を切れない
(2)点検時の切り離し・遮断器が先
(3)誤操作でアーク・短絡事故
★(4)★地絡電流の遮断が可能★誤(切れない)
(5)インタロック装置

正しくは「充電電流や励磁電流の開閉が可能な場合がある」——そこを地絡電流にすり替えています

「可能な場合がある」という表現

緩い表現は正しく見えやすいものです

けれども何が可能なのかを確かめる必要があります——対象が違えば誤りだからです。

断路器で切れるのは数アンペア以下——地絡電流は数千アンペアに達します

けたが3つ違う——「場合による」で済む差ではありません

断路器と接地開閉器

点検時の安全確保には、もう1つの機器が要ります

操作目的
★①★遮断器を開く★電流を切る
★②★断路器を開く★確実に切り離す
★③★接地開閉器を閉じる★残留電荷を大地へ逃がす
★④★作業を開始する★—

切り離しただけでは、静電容量に電荷が残ります——触れれば感電するのです。

接地開閉器で大地につないでおけば、電位がゼロに保たれます——誘導で電圧が生じることも防げる

この順序もインタロックで守られます——断路器が開いていないと接地開閉器を閉じられない

逆に、接地開閉器が閉じたままでは断路器を閉じられない——短絡になってしまうからです。

断路器の点検と保守

可動部が露出しているので、点検項目があります

点検項目見るところ異常があると
★接触部★変色・荒れがないか★接触抵抗が増え発熱する
★接触圧★ばねのへたり★同上
★がいし★ひび・汚損★絶縁低下・閃絡
★操作機構★動きの渋り・給油★開閉不良

断路器は常時電流を流し続けます——接触抵抗が増えると発熱するのです。

赤外線カメラで温度を測る点検も行われます——停電させずに異常を見つけられるから。

屋外にあるので、がいしの汚損も進みます——塩害地域では洗浄が必要になります。

GISに納めれば、これらの点検が不要になる——密閉していることの利点です。

まとめ

断路器の選択肢一から五を確認し地絡電流を遮断できるとした選択肢4を誤りと判定する図
(1)、(2)、(3)、(5)は正しく、地絡電流の遮断が可能とした(4)が誤りです。
(1)正しい消弧装置なし→負荷電流の遮断不可
(2)正しい切り離し用。開く前に遮断器で電流を切る
(3)正しい誤開放→アーク→焼損・短絡事故
(4)誤り地絡電流の遮断は不可(可能なのは励磁・充電電流程度)
(5)正しい誤操作防止のインタロック→答えは(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・GISの構成機器(変電5・断路器を収納):【電力】令和6年度上期 A問題6
・計器用変成器(変電15・同年度の前問):【電力】令和3年度 A問題7
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和3年度 問題一覧(全4科目)

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