変電4【電験3種 電力】変流器の二次側は絶対に開放禁止!令和6年度下期 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 変電 令和6年度下期 A問題7 CTの二次側を開放すると危険!その理由は?

今回は令和6年度下期 電力科目 A問題7、計器用変成器(変流器)に関する空欄補充問題です。「CTの二次側は絶対に開放してはならない」——実務でも命に関わる、変電ユニット最頻出の鉄則がそのまま出題されています。

変流器(CT)は大電流を小電流に変換する計器用変成器。二次側は低インピーダンス負荷(ほぼ短絡状態)で使い、通電中に開放すると二次側に高電圧が発生して鉄損が過大となり焼損します。理由までセットで覚えましょう。

出題のポイント:変流器の安全な扱い

変流器の空欄問題を解く要点図
二次開放の危険性と一次・二次の接続方法を整理します。

変流器の二次側は低インピーダンス負荷につなぎ、一次電流が流れている間は開放しません。開放時の電圧・鉄損と一次側の直列接続を確認します。

目次

令和6年度下期 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 令和6年度下期 A問題7 問題文
令和6年度下期 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【変電】 令和6年度下期 A問題7

 次の文章は、計器用変成器に関する記述である。

 計器用変成器において、変流器の二次端子は、常に(ア)負荷を接続しておかねばならない。特に、一次電流(負荷電流)が流れている状態では、絶対に二次回路を(イ)してはならない。これを誤ると、二次側に大きな(ウ)が発生し(エ)が過大となり、変流器を損傷する恐れがある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に(オ)に接続する。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)高インピーダンス短絡電圧鉄損直列
(2)低インピーダンス短絡誘導電流銅損並列
(3)高インピーダンス短絡誘導電流銅損直列
(4)低インピーダンス開放電圧鉄損直列
(5)高インピーダンス開放電圧銅損並列
答え正解は (4)——(ア)低インピーダンス (イ)開放 (ウ)電圧 (エ)鉄損 (オ)直列 です。

CT二次開放が危険な理由

変流器の二次開放で大電圧と鉄損が生じる流れの解説
二次側は通常閉回路で使用し、点検時は短絡してから計器を外します。

本問は「二次開放が危険な理由」を順に追う構成です

空欄答え流れの中の位置
★(ア)★低インピーダンス★常にこうしておく
★(イ)★開放★これをしてはならない
★(ウ)★電圧★開放すると発生する
★(エ)★鉄損★それによって過大になる
★(オ)★直列★一次側の接続

(ア)と(イ)は表裏一体——低インピーダンスにしておくのは、開放を避けるためです。

(ウ)と(エ)も連動しています——電圧が生じるから鉄損が増えるのです。

1つ決まれば残りも決まる——だから2欄も分かれば確定できます

5つの空欄と選択肢照合

空欄アからオを埋めて選択肢4と照合する解説
低インピーダンス・開放・電圧・鉄損・直列が選択肢(4)と一致します。

二次を開放すると、磁束が飽和するほど増えます

通常運転★二次開放時
★二次電流★変流比どおり★★ゼロ
★打ち消す起磁力★ある★★ない
★鉄心の磁束★小さい★★飽和するほど大きい
★二次電圧★数ボルト★★数千ボルト
★鉄損★小さい★★過大
★銅損★あり★★むしろ減る

鉄損は磁束の大きさで決まります——ヒステリシス損も渦電流損も磁束次第です。

磁束が飽和するほど増えれば、鉄損も跳ね上がる——鉄心が過熱して焼損します

一方、銅損は電流の2乗に比例します——二次電流がゼロなので、むしろ減るのです。

だから(エ)は「銅損」ではなく「鉄損」——そこが最も紛らわしい点になります。

(ウ)が「誘導電流」でない理由

開放しているのだから、電流は流れようがありません

誘起電圧
\( e=-N\dfrac{d\phi}{dt} \)

磁束の変化が急なほど高い電圧

磁束が飽和すると、波形が方形波に近づきます——切り替わりが急なので dφ/dt が跳ね上がるのです。

その結果、尖った高電圧が現れます——数千ボルトに達することもある

作業者が触れれば感電し、絶縁も破壊されます——だから「絶対に」開放してはならないのです。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「高インピーダンス」としてしまう——選択肢(1)(3)(5)がそれです。変圧器の感覚だと引き寄せられます
(イ)を「短絡」としてしまう——選択肢(1)(2)(3)CTは短絡が安全、開放が危険です。
(ウ)を「誘導電流」としてしまう——選択肢(2)(3)開放しているので電流は流れません
(エ)を「銅損」としてしまう——選択肢(2)(3)(5)二次電流がゼロなので銅損は減ります
(オ)を「並列」としてしまう——選択肢(2)(5)電流を測るので直列です。
(ア)と(イ)は連動——低インピーダンスだから開放が危険になります。

⏱️ 本番での進め方
①★CTの二次は低インピーダンス。開放が危険。
②★開放すると磁束が飽和し数千ボルトが発生する。
③★増えるのは鉄損。銅損はむしろ減る。
④★電流を測るCTは線路に直列。

💡 覚え方
「磁束が増えるから鉄損」——電流はゼロなので銅損は減ります開放すると打ち消すものがなくなる——それが5つの空欄すべての根っこです。

同じ形式の問題が平成22年度 A問題9変電:計器用変成器)にあります。VTとの対比は令和5年度上期 A問題7変電:計器用変成器)へ。

鉄損と銅損の違い

(エ)の判断には、2つの損失の性質を知る必要があります

損失何で決まるか二次開放時
★鉄損(無負荷損)★★磁束の大きさ(電圧)★★激増する
★銅損(負荷損)★★電流の2乗★★減る

鉄損はヒステリシス損と渦電流損の合計——どちらも磁束の大きさで決まります

\( P_h\propto f B^{1.6},\quad P_e\propto f^2 B^2 \)
ヒステリシス損と渦電流損
★磁束密度Bに依存

磁束密度が2倍になれば、渦電流損は4倍になります——飽和するほど増えれば、けた違いに大きくなるのです。

一方、銅損は巻線抵抗による損失——電流が流れなければ生じません

だから二次開放では、鉄損だけが問題になる——それが(エ)の答えです。

要点をもう一度

5つの空欄が1本の流れでつながっています

空欄答え誤答の型
(ア)★低インピーダンス★高インピーダンス(VTの感覚)
(イ)★開放★短絡(VTの禁止事項)
(ウ)★電圧★誘導電流(電流は流れない)
(エ)★鉄損★銅損(電流ゼロなので減る)
(オ)★直列★並列(VTの接続)

誤答の多くは「VTなら正しい」もの——CTとVTは逆だからです。

(ア)(イ)が決まれば(ウ)(エ)は自動的に決まります——開放→磁束飽和→高電圧→鉄損増大

試験用端子という備え

CTの二次には、短絡用の端子が備えられています

計器を外すときは、まずそこを短絡してから——順序を誤ると危険です。

この端子があること自体が、開放の危険性を物語っています——わざわざ用意する必要があるほどなのです。

変流器の一次側の形

(オ)の「一次端子のある変流器」を確かめましょう

形式一次側使う場面
★巻線形★端子があり線路に組み込む★小さい電流でも比を取れる
★貫通形★端子がなく線路を通すだけ★大電流の回路
★分割形★鉄心が開いて後付けできる★既設への追加

問題文が「一次端子のある変流器」と限定しています——巻線形のことです。

端子があるので、線路を切って組み込みます——それが「直列に接続する」の意味になります。

貫通形なら、ケーブルを穴に通すだけ——切らずに設置できるのです。

どちらも同じ電流が鉄心を貫くので、原理は同じ——実質的には直列になります。

計器用変成器の点検

(イ)の「開放してはならない」は、点検手順に直結します

やること理由
★①★二次端子を短絡する★★開放を防ぐため
★②★計器や継電器を外す★短絡してあるので安全
★③★作業する★—
★④★機器を戻してから短絡を外す★★順序を逆にしない

短絡してから外し、戻してから短絡を解く——常に閉ループを保つのです。

一瞬でも開放すれば、高電圧が発生します——手順を守ることが安全につながる

そのために試験用端子が備えられています——短絡片を差し込むだけで済むのです。

この端子があること自体が、危険性を物語っています——わざわざ用意する必要があるほどだから。

変圧器では、このような配慮は要りません——CTに特有の注意点です。

まとめ

(ア)低インピーダンスCT二次は電流計等の低Ω負荷・ほぼ短絡状態が正常
(イ)開放通電中の二次開放は絶対禁止
(ウ)電圧開放→磁束飽和→二次に高電圧が発生
(エ)鉄損磁束密度増大で鉄損過大→過熱・焼損
(オ)直列CTの一次端子は被測定線路に直列接続→答えは(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・調相設備の空欄補充(変電3・同年度の前問):【電力】令和6年度下期 A問題6
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・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和6年度下期 問題一覧(全4科目)

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