今回は令和4年度下期 電力科目 A問題10、地中送配電線の布設方式3種の誤り選択問題です。この問題は令和7年度下期A問題10(地中送電1)としてほぼ同一の論点で再出題されており、誤りの作り方も同じ「管路式の熱放散」です。
復習:直接埋設式は土と直接接触するため熱を逃がしやすく、管路式は空気層と管が熱抵抗になります。さらに多条数では相互加熱するため送電容量の制限を受けやすい——「熱放散が良く制限を受けにくい」は二重に逆です。
出題のポイント:3方式の特徴と熱の通り道を対応させる

直接埋設式は低コスト・短工期、管路式は外傷防止と引き替えやすさ、暗きょ式は点検性と多条数への適性が特徴です。管路式ではケーブルと土の間に空気層と管があるため熱が逃げにくく、条数が増えると相互加熱で送電容量の制約を受けやすくなります。
令和4年度下期 電力科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10
電験3種 電力科目 【地中送電】 令和4年度下期 A問題10
地中送配電線の主な布設方式である直接埋設式、管路式及び暗きょ式について、各方式の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 直接埋設式は、他の方式と比較して工事費が少なく、工事期間が短い。
(2) 管路式は、直接埋設式と比較してケーブル外傷事故の危険性が少なく、ケーブルの増設や撤去に便利である。
(3) 管路式は、他の方式と比較して熱放散が良く、ケーブル条数が増加しても送電容量の制限を受けにくい。
(4) 暗きょ式は、他の方式と比較して工事費が多大であり、工事期間が長い。
(5) 暗きょ式は、他の方式と比較してケーブルの保守点検作業が容易であり、多条数の布設に適している。
誤りは(3):管路式は熱が逃げにくい

「管路式は他の方式と比較して熱放散が良く」——管路式の熱の通り道とは逆の説明です。
| 方式 | ケーブルの周り | 熱の逃げ方 | 要点 |
| ★直接埋設式 | ★★土と直接接触 | ★土へ直接逃げる | ★熱放散は比較的よい |
| ★管路式 | ★★空気層+管+土 | ★★複数の層を通るため逃げにくい | ★★条数増加で熱的制約 |
| ★暗きょ式 | ★★トンネル内の空気 | ★★換気・冷却条件による | ★★多条数と点検に適する |
管路式では、ケーブルと土の間に管と空気層が入ります——層が増えるほど熱が伝わりにくいのです。
しかも管の中の空気は動きません——対流が起きないので断熱材のように働く。
暗きょ式は人が入れる空間をもち、換気・冷却設備も設けられます——多条数の布設と点検に適する方式です。
管路式は空気層と管で熱が逃げにくく、条数が増えると相互加熱します——(3)は管路式の熱的な弱点を逆に述べていることになります。
3方式の全体像
| 項目 | ★直接埋設式 | ★管路式 | ★暗きょ式 |
| ★工事費 | ★★少ない | ★中程度 | ★★多大 |
| ★工事期間 | ★★短い | ★中程度 | ★★長い |
| ★熱放散 | ★土と直接接触し比較的よい | ★★空気層と管で熱が逃げにくい | ★★換気・冷却条件による |
| ★引き替え | ★★掘り返しが必要 | ★★引き抜いて入れ替えられる | ★★人が入って作業できる |
| ★外傷事故 | ★★受けやすい | ★管に守られる | ★★受けにくい |
| ★多条数 | ★向かない | ★条数が増えると熱が問題 | ★★適する |
(1)(2)(4)(5)は、この表のとおりの記述です——いずれも正しい。
工事費と性能が逆に並ぶ——安いものは制約が多いのです。
だから場所と用途で使い分けます——都市の幹線なら暗きょ式。
郊外で条数が少なければ、直接埋設式でも足ります——費用を抑えられるのです。
条数が増えると容量が下がる理由
(3)の後半にある「ケーブル条数が増加しても」を見ましょう。
| 状態 | 相互加熱 | 周囲の温度 | 許容電流 |
| ★1条 | ★なし | ★基準 | ★基準 |
| ★複数条 | ★★互いの熱が重なる | ★★上がる | ★★温度上限を守るため下げる |
| ★条数がさらに増える | ★★相互加熱が強まる | ★★さらに上がりやすい | ★★送電容量の制約が大きくなる |
隣のケーブルも熱を出しているので、互いに温め合います——だから1条ずつの許容電流が下がるのです。
これを電流減少係数といいます——条数が増えるほど小さくなる。
暗きょ式はケーブルをラックに配置し、点検や換気・冷却を行える構造です——だから多条数の布設に適するのです。
管路式では熱がこもるので、条数の制約が厳しい——(3)が誤りである理由の裏づけになります。
⚠️ よくある間違い
(3)の「送電容量の制限を受けにくい」を見て正しいと判断する——管路式は空気層と管で熱が逃げにくく、条数増加では相互加熱します。
(1)の直接埋設式を疑ってしまう——工事費が少なく期間も短いで正しい。
(2)の管路式を疑ってしまう——管に守られるので外傷に強いのです。
(4)(5)の暗きょ式を疑ってしまう——高価だが点検が容易で多条数向きです。
⏱️ 本番での進め方
①★方式ごとの構造を思い出す。
②★管路式は空気層と管が熱抵抗になる。
③★条数が増えると互いに温め合い許容電流が下がる。
④★工事費・引き替えやすさ・点検性を選択肢ごとに照合する。
💡 覚え方
「管路は熱が通る層が多い」——ケーブルから土までに空気層と管が入り、条数が増えると相互加熱します。暗きょ式は多条数と点検に適し、必要に応じ換気・冷却すると整理しましょう。
布設方式の空欄補充は平成26年度 A問題10(地中送電:布設方式)にあります。
暗きょ式が選ばれる場所
最も高価な方式を、なぜ採るのでしょうか。
| 場所 | 理由 |
| ★都市の幹線 | ★★条数が多く、掘り返しが許されない |
| ★変電所の引出部 | ★★多数のケーブルが集中する |
| ★共同溝 | ★★電力・通信・ガス・水道をまとめて収める |
道路を何度も掘り返せば、交通に影響します——だから初めからトンネルを作るのです。
いちど作れば、あとは中で作業できます——増設も点検も掘らずに済む。
共同溝なら、他の事業者と費用を分け合えます——だから高価でも成り立つのです。
条数が多いほど、1条あたりの費用は下がります——だから幹線向きになります。
(2) 管路式の引き替えやすさ
管に通してあるので、抜き差しができます。
| 作業 | 直接埋設式 | ★管路式 |
| ★増設 | ★★新たに掘る | ★★空いている管に通すだけ |
| ★引き替え | ★★全線を掘り返す | ★★古いものを抜いて新しいものを入れる |
| ★撤去 | ★掘らないと取れない | ★引き抜ける |
あらかじめ余分な管を埋めておくのがふつうです——将来の増設に備えるのです。
管を1本増やす費用は、あとから掘るより格段に安い——だから最初に多めに入れておく。
ケーブルの寿命は30年ほど——いずれ必ず引き替えが要るのです。
そのときに道路を掘り返さずに済むのが大きい——だから都市部で主流になります。
(1) 直接埋設式の埋設深さ
規則で深さが決められています。
| 場所 | 埋設深さ | 理由 |
| ★車両が通る場所 | ★★1.2 m 以上 | ★★重量に耐え、掘削事故を避ける |
| ★その他の場所 | ★★0.6 m 以上 | ★通常の掘削では届かない |
浅すぎると、他の工事のときに傷つけられます——それが外傷事故です。
だからトラフやコンクリート板で覆います——スコップが当たっても守れるように。
それでも直接埋設式は外傷事故が最も多い——管に入っていないからです。
掘る深さが増えれば、工事費も増えます——安さという利点が薄れることになります。
(5) 保守点検が容易であること
人が入れる空間があると、何ができるのでしょうか。
| 作業 | 暗きょ式 | 他の方式 |
| ★目視点検 | ★★歩いて見て回れる | ★★できない |
| ★温度監視 | ★★センサを設置できる | ★限定的 |
| ★事故時の復旧 | ★★掘らずに交換できる | ★★掘り返しが必要 |
| ★増設 | ★★空いた棚に並べるだけ | ★管の数に縛られる |
目で見て確認できるのが、いちばんの利点——異常の兆しに早く気づけます。
復旧も速く、掘削の許可も要りません——道路を止めずに直せるのです。
その代わり、換気や排水の設備が要ります——火災対策も必要になります。
だから建設費だけでなく維持費もかかります——それでも幹線では見合うのです。
方式の選び方をまとめる
どの場面でどれを選ぶのか、整理しておきます。
| 場面 | 選ぶ方式 | 決め手 |
| ★郊外・条数が少ない | ★★直接埋設式 | ★★費用が最優先 |
| ★市街地・将来の増設あり | ★★管路式 | ★★引き替えのしやすさ |
| ★都市の幹線・多条数 | ★★暗きょ式 | ★★容量と保守性 |
費用・引き替えやすさ・容量の3つで決まります——優先するものが場所で変わるのです。
郊外なら掘り返しても影響が小さい——だから安い方式でよい。
都市部では道路を止められません——だから初期投資をかけてでも管路式か暗きょ式。
方式ごとの構造と、熱がどの層を通って逃げるかを対応させて覚えましょう。
まとめ

| 誤り | (3) 管路式は熱が逃げにくく、条数増加で容量制限を受けやすい |
| 直接埋設式 | 工事費少・工期短(1)・土へ直接放熱しやすい |
| 管路式 | 外傷少・増設撤去に便利(2)・空気層と管が熱抵抗 |
| 暗きょ式 | 工事費多大(4)・保守容易・多条数向き(5)・必要に応じ換気冷却 |
| 再出題 | R07下問10(地中送電1)と同一論点 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一論点の再出題(地中送電1):【電力】令和7年度下期 A問題10
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