地中送電7【電験3種 電力】管路式の熱放散は悪い!布設方式の定番引っかけ再び 令和4年度下期 A問題10 完全解説

電験3種 電力科目 地中送電 令和4年度下期 A問題10 また出た布設方式の引っかけ!管路式の弱点

今回は令和4年度下期 電力科目 A問題10、地中送配電線の布設方式3種の誤り選択問題です。この問題は令和7年度下期A問題10(地中送電1)としてほぼ同一の論点で再出題されており、誤りの作り方も同じ「管路式の熱放散」です。

復習:直接埋設式は土と直接接触するため熱を逃がしやすく、管路式は空気層と管が熱抵抗になります。さらに多条数では相互加熱するため送電容量の制限を受けやすい——「熱放散が良く制限を受けにくい」は二重に逆です。

出題のポイント:3方式の特徴と熱の通り道を対応させる

直接埋設式、管路式、暗きょ式の構造と5つの選択肢を比較する解説
3方式の構造と特徴を対応させると、誤っている記述が(3)だと分かります。

直接埋設式は低コスト・短工期、管路式は外傷防止と引き替えやすさ、暗きょ式は点検性と多条数への適性が特徴です。管路式ではケーブルと土の間に空気層と管があるため熱が逃げにくく、条数が増えると相互加熱で送電容量の制約を受けやすくなります。

目次

令和4年度下期 電力科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 地中送電 令和4年度下期 A問題10 問題文
令和4年度下期 電力科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10

電験3種 電力科目 【地中送電】 令和4年度下期 A問題10

 地中送配電線の主な布設方式である直接埋設式、管路式及び暗きょ式について、各方式の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 直接埋設式は、他の方式と比較して工事費が少なく、工事期間が短い。

(2) 管路式は、直接埋設式と比較してケーブル外傷事故の危険性が少なく、ケーブルの増設や撤去に便利である。

(3) 管路式は、他の方式と比較して熱放散が良く、ケーブル条数が増加しても送電容量の制限を受けにくい。

(4) 暗きょ式は、他の方式と比較して工事費が多大であり、工事期間が長い。

(5) 暗きょ式は、他の方式と比較してケーブルの保守点検作業が容易であり、多条数の布設に適している。

答え誤っている記述は (3)です。

誤りは(3):管路式は熱が逃げにくい

管路式の熱の通り道と条数増加による相互加熱から選択肢3の誤りを導く解説
管路式は空気層と管で熱が逃げにくく、条数が増えると相互加熱により許容電流と送電容量が制約されます。

「管路式は他の方式と比較して熱放散が良く」——管路式の熱の通り道とは逆の説明です

方式ケーブルの周り熱の逃げ方要点
★直接埋設式★★土と直接接触★土へ直接逃げる★熱放散は比較的よい
★管路式★★空気層+管+土★★複数の層を通るため逃げにくい★★条数増加で熱的制約
★暗きょ式★★トンネル内の空気★★換気・冷却条件による★★多条数と点検に適する

管路式では、ケーブルと土の間に管と空気層が入ります——層が増えるほど熱が伝わりにくいのです。

しかも管の中の空気は動きません——対流が起きないので断熱材のように働く

暗きょ式は人が入れる空間をもち、換気・冷却設備も設けられます——多条数の布設と点検に適する方式です。

管路式は空気層と管で熱が逃げにくく、条数が増えると相互加熱します——(3)は管路式の熱的な弱点を逆に述べていることになります。

3方式の全体像

項目★直接埋設式★管路式★暗きょ式
★工事費★★少ない★中程度★★多大
★工事期間★★短い★中程度★★長い
★熱放散★土と直接接触し比較的よい★★空気層と管で熱が逃げにくい★★換気・冷却条件による
★引き替え★★掘り返しが必要★★引き抜いて入れ替えられる★★人が入って作業できる
★外傷事故★★受けやすい★管に守られる★★受けにくい
★多条数★向かない★条数が増えると熱が問題★★適する

(1)(2)(4)(5)は、この表のとおりの記述です——いずれも正しい

工事費と性能が逆に並ぶ——安いものは制約が多いのです。

だから場所と用途で使い分けます——都市の幹線なら暗きょ式

郊外で条数が少なければ、直接埋設式でも足ります——費用を抑えられるのです。

条数が増えると容量が下がる理由

(3)の後半にある「ケーブル条数が増加しても」を見ましょう

状態相互加熱周囲の温度許容電流
★1条★なし★基準★基準
★複数条★★互いの熱が重なる★★上がる★★温度上限を守るため下げる
★条数がさらに増える★★相互加熱が強まる★★さらに上がりやすい★★送電容量の制約が大きくなる

隣のケーブルも熱を出しているので、互いに温め合います——だから1条ずつの許容電流が下がるのです。

これを電流減少係数といいます——条数が増えるほど小さくなる

暗きょ式はケーブルをラックに配置し、点検や換気・冷却を行える構造です——だから多条数の布設に適するのです。

管路式では熱がこもるので、条数の制約が厳しい——(3)が誤りである理由の裏づけになります。

⚠️ よくある間違い
(3)の「送電容量の制限を受けにくい」を見て正しいと判断する——管路式は空気層と管で熱が逃げにくく、条数増加では相互加熱します。
(1)の直接埋設式を疑ってしまう——工事費が少なく期間も短いで正しい。
(2)の管路式を疑ってしまう——管に守られるので外傷に強いのです。
(4)(5)の暗きょ式を疑ってしまう——高価だが点検が容易で多条数向きです。

⏱️ 本番での進め方
①★方式ごとの構造を思い出す。
②★管路式は空気層と管が熱抵抗になる。
③★条数が増えると互いに温め合い許容電流が下がる。
④★工事費・引き替えやすさ・点検性を選択肢ごとに照合する。

💡 覚え方
「管路は熱が通る層が多い」——ケーブルから土までに空気層と管が入り、条数が増えると相互加熱します。暗きょ式は多条数と点検に適し、必要に応じ換気・冷却すると整理しましょう。

布設方式の空欄補充は平成26年度 A問題10地中送電:布設方式)にあります。

暗きょ式が選ばれる場所

最も高価な方式を、なぜ採るのでしょうか

場所理由
★都市の幹線★★条数が多く、掘り返しが許されない
★変電所の引出部★★多数のケーブルが集中する
★共同溝★★電力・通信・ガス・水道をまとめて収める

道路を何度も掘り返せば、交通に影響します——だから初めからトンネルを作るのです。

いちど作れば、あとは中で作業できます——増設も点検も掘らずに済む

共同溝なら、他の事業者と費用を分け合えます——だから高価でも成り立つのです。

条数が多いほど、1条あたりの費用は下がります——だから幹線向きになります。

(2) 管路式の引き替えやすさ

管に通してあるので、抜き差しができます

作業直接埋設式★管路式
★増設★★新たに掘る★★空いている管に通すだけ
★引き替え★★全線を掘り返す★★古いものを抜いて新しいものを入れる
★撤去★掘らないと取れない★引き抜ける

あらかじめ余分な管を埋めておくのがふつうです——将来の増設に備えるのです。

管を1本増やす費用は、あとから掘るより格段に安い——だから最初に多めに入れておく

ケーブルの寿命は30年ほど——いずれ必ず引き替えが要るのです。

そのときに道路を掘り返さずに済むのが大きい——だから都市部で主流になります。

(1) 直接埋設式の埋設深さ

規則で深さが決められています

場所埋設深さ理由
★車両が通る場所★★1.2 m 以上★★重量に耐え、掘削事故を避ける
★その他の場所★★0.6 m 以上★通常の掘削では届かない

浅すぎると、他の工事のときに傷つけられます——それが外傷事故です。

だからトラフやコンクリート板で覆います——スコップが当たっても守れるように。

それでも直接埋設式は外傷事故が最も多い——管に入っていないからです。

掘る深さが増えれば、工事費も増えます——安さという利点が薄れることになります。

(5) 保守点検が容易であること

人が入れる空間があると、何ができるのでしょうか

作業暗きょ式他の方式
★目視点検★★歩いて見て回れる★★できない
★温度監視★★センサを設置できる★限定的
★事故時の復旧★★掘らずに交換できる★★掘り返しが必要
★増設★★空いた棚に並べるだけ★管の数に縛られる

目で見て確認できるのが、いちばんの利点——異常の兆しに早く気づけます

復旧も速く、掘削の許可も要りません——道路を止めずに直せるのです。

その代わり、換気や排水の設備が要ります——火災対策も必要になります。

だから建設費だけでなく維持費もかかります——それでも幹線では見合うのです。

方式の選び方をまとめる

どの場面でどれを選ぶのか、整理しておきます

場面選ぶ方式決め手
★郊外・条数が少ない★★直接埋設式★★費用が最優先
★市街地・将来の増設あり★★管路式★★引き替えのしやすさ
★都市の幹線・多条数★★暗きょ式★★容量と保守性

費用・引き替えやすさ・容量の3つで決まります——優先するものが場所で変わるのです。

郊外なら掘り返しても影響が小さい——だから安い方式でよい

都市部では道路を止められません——だから初期投資をかけてでも管路式か暗きょ式

方式ごとの構造と、熱がどの層を通って逃げるかを対応させて覚えましょう

まとめ

地中送電3方式の特徴と選択肢1から5を照合して正解3を確認するまとめ
選択肢(1)(2)(4)(5)は正しく、実際と逆の内容を述べた(3)が誤りです。
誤り(3) 管路式は熱が逃げにくく、条数増加で容量制限を受けやすい
直接埋設式工事費少・工期短(1)・土へ直接放熱しやすい
管路式外傷少・増設撤去に便利(2)・空気層と管が熱抵抗
暗きょ式工事費多大(4)・保守容易・多条数向き(5)・必要に応じ換気冷却
再出題R07下問10(地中送電1)と同一論点
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一論点の再出題(地中送電1):【電力】令和7年度下期 A問題10
・地中送電の総合問題(地中送電4):【電力】令和5年度下期 A問題10

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