地中送電17【電験3種 電力】暗きょは熱放散良好で許容電流大・管路の接続はマンホール 平成26年度 A問題10 完全解説

電験3種 電力科目 地中送電 平成26年度 A問題10 暗きょ式は熱に強く大容量!接続はマンホール

今回は平成26年度 電力科目 A問題10、地中送電線の布設方式の空欄補充問題です。誤り選択(地中送電1・7・12)で鍛えた3方式の知識を、空欄で正確に再現できるかが試されます。

流れで解く:直接埋設式は工事費が安くなる(暗きょ・管路との比較)。主流の暗きょ式・管路式は引き替え容易。暗きょ式は管路式より熱放散が良好で許容電流を高くとれる(cb1・cb7の熱の序列)。管路式の接続はマンホールで行う(cb12の設備名)——布設シリーズの総復習です。

目次

平成26年度 電力科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 地中送電 平成26年度 A問題10 問題文
平成26年度 電力科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10

電験3種 電力科目 【地中送電】 平成26年度 A問題10

 次の文章は、地中送電線の布設方式に関する記述である。

 地中ケーブルの布設方式は、直接埋設式、(ア)、(イ)などがある。直接埋設式は(ア)や(イ)と比較すると、工事費が(ウ)なる特徴がある。

 (ア)や(イ)は我が国では主流の布設方式であり、直接埋設式と比較するとケーブルの引き替えが容易である。(ア)は(イ)と比較するとケーブルの熱放散が一般に良好で、(エ)を高くとれる特徴がある。(イ)ではケーブルの接続を一般に(オ)で行うことから、布設設計や工事の自由度に制約が生じる場合がある。

 上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)暗きょ式管路式高 く送電電圧地上開削部
(2)管路式暗きょ式安 く許容電流マンホール
(3)管路式暗きょ式高 く送電電圧マンホール
(4)暗きょ式管路式安 く許容電流マンホール
(5)暗きょ式管路式高 く許容電流地上開削部
答え正しい組合せは (4)です。

答えは(4):暗きょ式・管路式・安く・許容電流・マンホール

空欄入る語決め手
★(ア)★★暗きょ式★熱放散が良好という記述から
★(イ)★★管路式★接続をマンホールで行うから
★(ウ)★★安く★直接埋設式は掘って埋めるだけ
★(エ)★★許容電流★熱の話なので電流
★(オ)★★マンホール★管路の途中に設ける

(エ)を「送電電圧」としないことが要点——熱放散が良いと上がるのは電流です。

電圧は絶縁で決まり、電流は熱で決まります——この対応を押さえておくと迷いません。

(ウ)は「工事費が」と書いてあるので安く——直接埋設式は最も簡単な工法だから。

3つの布設方式を比べる

項目★直接埋設式★管路式★暗きょ式
★工事費★★最も安い★中程度★★最も高い
★工事期間★★最も短い★中程度★★最も長い
★熱放散★土に囲まれ悪い★★管の中でこもる(最も悪い)★★空気に触れて最も良い
★許容電流★中程度★★小さい★★最も大きい
★引き替え★★掘り返しが必要★★引き抜いて入れ替えられる★★人が入って作業できる
★外傷事故★★受けやすい★管に守られる★★ほとんど受けない
★多条数★向かない★条数が増えると熱が問題★★最も適する

工事費と性能が、きれいに逆になっています——安いものは性能が低いのです。

直接埋設式は掘って埋めるだけなので最も安い——その代わり掘り返さないと直せません

暗きょ式は地下にトンネルを作るので最も高い——けれども人が入って点検できるのです。

管路式はその中間——管に通すので引き替えができます

「我が国では主流」とあるのは管路式と暗きょ式——都市部では引き替えのしやすさが重要だからです。

(オ) マンホールという制約

項目内容
★役目★★ケーブルを接続する作業空間
★間隔★★ケーブルのドラム1巻き分(150〜250 m)ごと
★制約★★接続はマンホールの中でしかできない
★影響★布設設計や工事の自由度が下がる

ケーブルは1本の長さに限りがあります——ドラムに巻ける量で決まるのです。

だから途中で必ずつなぐ必要があります——その場所がマンホール

好きな場所でつなげるわけではありません——だから設計に制約が生じるのです。

暗きょ式なら、どこでも作業できます——人が入れるトンネルだからです。

だから問題文が(イ)=管路式の制約として挙げている

⚠️ よくある間違い
(エ)を「送電電圧」としてしまう——熱放散が良いと上げられるのは許容電流です。電圧は絶縁で決まります
(ア)と(イ)を逆にしてしまう——熱放散が良いのは暗きょ式管路式は管の中で熱がこもります
(ウ)を「高く」としてしまう——直接埋設式が最も安いのです。
(オ)を「地上開削部」としてしまう——接続はマンホールの中で行います
熱の話か絶縁の話かを見分ける——それが(エ)を決める鍵になります。

⏱️ 本番での進め方
①★熱放散が良いのは暗きょ式>直接埋設式>管路式。
②★工事費は直接埋設式<管路式<暗きょ式。
③★熱放散が良いと上がるのは許容電流(電圧ではない)。
④★管路式の接続はマンホールの中でしかできない。

💡 覚え方
「安いほど性能が低い」——工事費と性能が逆に並びます電圧は絶縁、電流は熱——この対応が空欄補充の決め手です。

布設方式の誤りを選ぶ問題は令和4年度下期 A問題10地中送電:布設方式)にあります。

直接埋設式の実際

最も簡単な工法を、もう少し見ましょう

項目内容
★工法★★溝を掘り、ケーブルを置いて埋め戻す
★保護★★コンクリート製のトラフをかぶせる
★埋設深さ★車両の通る場所で1.2 m 以上
★短所★★増設や引き替えのたびに掘り返す

掘って埋めるだけなので、費用も期間も最小——だから(ウ)は「安く」です。

トラフをかぶせるのは、掘削事故から守るため——他工事のスコップが当たるのです。

それでも外傷事故は起きやすい方式——直接土に埋まっているから。

だから都市部では、あまり使われません——掘り返しが多いところには向かないのです。

架空線と比べた地中線の位置づけ

そもそも、なぜ地中に埋めるのでしょうか

項目★架空送電線★地中送電線
★建設費★★安い★★10〜20倍
★用地★鉄塔の敷地と線下が要る★★道路の下で済む
★景観★★損なう★★損なわない
★事故★多いが復旧が速い★★少ないが復旧が遅い
★送電容量★★大きい★★熱の制約で小さい

費用は10倍以上かかります——それでも都市部では地中化します

用地が確保できないことが最大の理由——鉄塔を建てる場所がないのです。

台風や雷の影響を受けにくいという利点もあります——災害に強いのです。

その代わり、熱が逃げにくいので容量が制約されます——だから布設方式が問われることになります。

熱が許容電流を決めるしくみ

(エ)が「許容電流」である理由を、原理から見ましょう

導体温度の上昇
\( \theta=I^2 R\,\times\, R_{th} \)

Rth:熱抵抗。熱が逃げにくいほど大きい

熱抵抗同じ電流での温度上昇許容電流
★小さい(暗きょ式)★★低い★★大きくとれる
★大きい(管路式)★★高い★★小さくなる

導体の温度には上限があります——架橋ポリエチレンなら90 ℃です。

そこに達するまでしか電流を流せません——それが許容電流

熱が逃げやすければ、同じ電流でも温度が上がりません——だからもっと流せるのです。

電圧は絶縁体の厚さで決まり、熱とは無関係——だから(エ)は許容電流になります。

管路とマンホールの寸法

実際の数字も見ておきましょう

項目目安決める要素
★管の内径★★ケーブル外径の1.5倍程度★引き入れやすさ
★マンホール間隔★★150〜250 m★★ケーブルドラム1巻き分
★マンホールの長さ★★接続部の長さ+作業空間★★ケーブルの曲げ半径

管が細すぎると、引き入れるときに傷つきます——だから余裕を持たせるのです。

ケーブルは重いので、1巻きの長さに限りがあります——それがマンホール間隔を決める

マンホールの大きさは、曲げ半径で決まります——硬いケーブルほど大きな空間が要るのです。

だから曲げやすいCVTなら、マンホールを小さくできます——工事費に直結することになります。

まとめ

(ア)暗きょ式(熱放散良好)
(イ)管路式(接続はマンホール)
(ウ)安く(直接埋設は構造物なし)
(エ)許容電流(熱放散良→高くとれる)
(オ)マンホール
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・布設3方式の基本(地中送電1):【電力】令和7年度下期 A問題10
・設備名の対応(地中送電12):【電力】令和元年度 A問題11
・許容電流と熱(地中送電10):【電力】令和3年度 A問題11

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