今回は平成26年度 電力科目 A問題10、地中送電線の布設方式の空欄補充問題です。誤り選択(地中送電1・7・12)で鍛えた3方式の知識を、空欄で正確に再現できるかが試されます。
流れで解く:直接埋設式は工事費が安くなる(暗きょ・管路との比較)。主流の暗きょ式・管路式は引き替え容易。暗きょ式は管路式より熱放散が良好で許容電流を高くとれる(cb1・cb7の熱の序列)。管路式の接続はマンホールで行う(cb12の設備名)——布設シリーズの総復習です。
平成26年度 電力科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10
電験3種 電力科目 【地中送電】 平成26年度 A問題10
次の文章は、地中送電線の布設方式に関する記述である。
地中ケーブルの布設方式は、直接埋設式、(ア)、(イ)などがある。直接埋設式は(ア)や(イ)と比較すると、工事費が(ウ)なる特徴がある。
(ア)や(イ)は我が国では主流の布設方式であり、直接埋設式と比較するとケーブルの引き替えが容易である。(ア)は(イ)と比較するとケーブルの熱放散が一般に良好で、(エ)を高くとれる特徴がある。(イ)ではケーブルの接続を一般に(オ)で行うことから、布設設計や工事の自由度に制約が生じる場合がある。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 暗きょ式 管路式 高 く 送電電圧 地上開削部 (2) 管路式 暗きょ式 安 く 許容電流 マンホール (3) 管路式 暗きょ式 高 く 送電電圧 マンホール (4) 暗きょ式 管路式 安 く 許容電流 マンホール (5) 暗きょ式 管路式 高 く 許容電流 地上開削部

答えは(4):暗きょ式・管路式・安く・許容電流・マンホール
| 空欄 | 入る語 | 決め手 |
| ★(ア) | ★★暗きょ式 | ★熱放散が良好という記述から |
| ★(イ) | ★★管路式 | ★接続をマンホールで行うから |
| ★(ウ) | ★★安く | ★直接埋設式は掘って埋めるだけ |
| ★(エ) | ★★許容電流 | ★熱の話なので電流 |
| ★(オ) | ★★マンホール | ★管路の途中に設ける |
(エ)を「送電電圧」としないことが要点——熱放散が良いと上がるのは電流です。
電圧は絶縁で決まり、電流は熱で決まります——この対応を押さえておくと迷いません。
(ウ)は「工事費が」と書いてあるので安く——直接埋設式は最も簡単な工法だから。
3つの布設方式を比べる
| 項目 | ★直接埋設式 | ★管路式 | ★暗きょ式 |
| ★工事費 | ★★最も安い | ★中程度 | ★★最も高い |
| ★工事期間 | ★★最も短い | ★中程度 | ★★最も長い |
| ★熱放散 | ★土に囲まれ悪い | ★★管の中でこもる(最も悪い) | ★★空気に触れて最も良い |
| ★許容電流 | ★中程度 | ★★小さい | ★★最も大きい |
| ★引き替え | ★★掘り返しが必要 | ★★引き抜いて入れ替えられる | ★★人が入って作業できる |
| ★外傷事故 | ★★受けやすい | ★管に守られる | ★★ほとんど受けない |
| ★多条数 | ★向かない | ★条数が増えると熱が問題 | ★★最も適する |
工事費と性能が、きれいに逆になっています——安いものは性能が低いのです。
直接埋設式は掘って埋めるだけなので最も安い——その代わり掘り返さないと直せません。
暗きょ式は地下にトンネルを作るので最も高い——けれども人が入って点検できるのです。
管路式はその中間——管に通すので引き替えができます。
「我が国では主流」とあるのは管路式と暗きょ式——都市部では引き替えのしやすさが重要だからです。
(オ) マンホールという制約
| 項目 | 内容 |
| ★役目 | ★★ケーブルを接続する作業空間 |
| ★間隔 | ★★ケーブルのドラム1巻き分(150〜250 m)ごと |
| ★制約 | ★★接続はマンホールの中でしかできない |
| ★影響 | ★布設設計や工事の自由度が下がる |
ケーブルは1本の長さに限りがあります——ドラムに巻ける量で決まるのです。
だから途中で必ずつなぐ必要があります——その場所がマンホール。
好きな場所でつなげるわけではありません——だから設計に制約が生じるのです。
暗きょ式なら、どこでも作業できます——人が入れるトンネルだからです。
だから問題文が(イ)=管路式の制約として挙げている。
⚠️ よくある間違い
(エ)を「送電電圧」としてしまう——熱放散が良いと上げられるのは許容電流です。電圧は絶縁で決まります。
(ア)と(イ)を逆にしてしまう——熱放散が良いのは暗きょ式。管路式は管の中で熱がこもります。
(ウ)を「高く」としてしまう——直接埋設式が最も安いのです。
(オ)を「地上開削部」としてしまう——接続はマンホールの中で行います。
熱の話か絶縁の話かを見分ける——それが(エ)を決める鍵になります。
⏱️ 本番での進め方
①★熱放散が良いのは暗きょ式>直接埋設式>管路式。
②★工事費は直接埋設式<管路式<暗きょ式。
③★熱放散が良いと上がるのは許容電流(電圧ではない)。
④★管路式の接続はマンホールの中でしかできない。
💡 覚え方
「安いほど性能が低い」——工事費と性能が逆に並びます。電圧は絶縁、電流は熱——この対応が空欄補充の決め手です。
布設方式の誤りを選ぶ問題は令和4年度下期 A問題10(地中送電:布設方式)にあります。
直接埋設式の実際
最も簡単な工法を、もう少し見ましょう。
| 項目 | 内容 |
| ★工法 | ★★溝を掘り、ケーブルを置いて埋め戻す |
| ★保護 | ★★コンクリート製のトラフをかぶせる |
| ★埋設深さ | ★車両の通る場所で1.2 m 以上 |
| ★短所 | ★★増設や引き替えのたびに掘り返す |
掘って埋めるだけなので、費用も期間も最小——だから(ウ)は「安く」です。
トラフをかぶせるのは、掘削事故から守るため——他工事のスコップが当たるのです。
それでも外傷事故は起きやすい方式——直接土に埋まっているから。
だから都市部では、あまり使われません——掘り返しが多いところには向かないのです。
架空線と比べた地中線の位置づけ
そもそも、なぜ地中に埋めるのでしょうか。
| 項目 | ★架空送電線 | ★地中送電線 |
| ★建設費 | ★★安い | ★★10〜20倍 |
| ★用地 | ★鉄塔の敷地と線下が要る | ★★道路の下で済む |
| ★景観 | ★★損なう | ★★損なわない |
| ★事故 | ★多いが復旧が速い | ★★少ないが復旧が遅い |
| ★送電容量 | ★★大きい | ★★熱の制約で小さい |
費用は10倍以上かかります——それでも都市部では地中化します。
用地が確保できないことが最大の理由——鉄塔を建てる場所がないのです。
台風や雷の影響を受けにくいという利点もあります——災害に強いのです。
その代わり、熱が逃げにくいので容量が制約されます——だから布設方式が問われることになります。
熱が許容電流を決めるしくみ
(エ)が「許容電流」である理由を、原理から見ましょう。
| 熱抵抗 | 同じ電流での温度上昇 | 許容電流 |
| ★小さい(暗きょ式) | ★★低い | ★★大きくとれる |
| ★大きい(管路式) | ★★高い | ★★小さくなる |
導体の温度には上限があります——架橋ポリエチレンなら90 ℃です。
そこに達するまでしか電流を流せません——それが許容電流。
熱が逃げやすければ、同じ電流でも温度が上がりません——だからもっと流せるのです。
電圧は絶縁体の厚さで決まり、熱とは無関係——だから(エ)は許容電流になります。
管路とマンホールの寸法
実際の数字も見ておきましょう。
| 項目 | 目安 | 決める要素 |
| ★管の内径 | ★★ケーブル外径の1.5倍程度 | ★引き入れやすさ |
| ★マンホール間隔 | ★★150〜250 m | ★★ケーブルドラム1巻き分 |
| ★マンホールの長さ | ★★接続部の長さ+作業空間 | ★★ケーブルの曲げ半径 |
管が細すぎると、引き入れるときに傷つきます——だから余裕を持たせるのです。
ケーブルは重いので、1巻きの長さに限りがあります——それがマンホール間隔を決める。
マンホールの大きさは、曲げ半径で決まります——硬いケーブルほど大きな空間が要るのです。
だから曲げやすいCVTなら、マンホールを小さくできます——工事費に直結することになります。
まとめ
| (ア) | 暗きょ式(熱放散良好) |
| (イ) | 管路式(接続はマンホール) |
| (ウ) | 安く(直接埋設は構造物なし) |
| (エ) | 許容電流(熱放散良→高くとれる) |
| (オ) | マンホール |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・布設3方式の基本(地中送電1):【電力】令和7年度下期 A問題10
・設備名の対応(地中送電12):【電力】令和元年度 A問題11
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